事業を始めるときに必ず意識するべきポイントとして、「どのようにして利益を生み出すか」があげられます。このポイントをしっかりと決めずにビジネスを開始すると、あまり利益が出ずにすぐ破綻するようになります。
そのために必要なのは高額商品です。バックエンド商品とも呼ばれますが、50万円や100万円などの高額商品の作り方を学ぶのです。その後、セミナー・対面によって高額商品を売ることを考えましょう。これにより、大きな売上を創出できるようになります。
ただ、バックエンド商品の作り方を理解している人は少ないです。「高額商品をどのようにしてセミナー販売すればいいのか」について、把握している人もほとんどいません。
そこで、「どのようにして高額商品を作り、実際に販売すればいいのか」まで含めて解説していきます。正しいやり方を学び、実践するだけですぐにビジネスでの売上が何倍にも膨れ上がるようになります。
顧客単価の高いバックエンド(高額商品)が必要な理由
一つの商品を購入してくれたお客さんに対して、その後に高額商品を販売するのはビジネスでの基本です。世の中を見ても、バックエンド販売として高額商品を売っている事例はたくさんあります。
- 住宅展示場に呼び込み、その後に家を売る
- 保険セミナーを行い、その後に保険商品を売る
最初に販売する商品をマーケティングではフロントエンド商品といいます。価格の安いフロントエンド商品を購入してくれた人に対して、その後に売る商品をバックエンド商品(高額商品)と呼びます。図にすると、以下のようなイメージです。
フロントエンド商品の販売だけで終わる人がほとんどのため、どれだけビジネスを頑張っても売上が増えません。そこで、バックエンド商品を作って売ることを考えましょう。
例えばセミナーを開催するとします。このときセミナー参加者の中には、単にセミナーを聞きたいだけでなく「高額でもいいのであなたに個別で指導してもらいたい」と思っている人がいます。
そこで、個別コンサルティングというバックエンド商品を作り、販売するようにしましょう。もし50万円の個別コンサルが3人に売れれば、それだけで150万円の利益になります。
高額商品が顧客単価を上昇させる価格決定法
そもそも、参加費3000円のセミナーでは儲かりません。20人集めても6万円です。会場費を差し引き、それまでの準備を考えれば労力に見合いません。しかも、新規顧客を追い続けるため集客はとても難しいです。
ここにバックエンドがあることで、ようやくビジネスが飛躍し始めます。要は、1人のお客さんの単価を上げるのです。例えばビジネスで1000万円の売り上げを出すためには、次のような掛け算で考えることができます。
- 1000万円×1人
- 500万円×2人
- 100万円×10人
- 50万円×20人
- 10万円×100人
- 1万円×1000人
この中で、1000万円や500万円の商品を売るのは難しいです。企業を相手にする場合であっても、かなりのやり取りを熟慮したうえで決定される金額です。
また、10万円の商品を100人に売ることも難しいです。1万円の商品を1000人に販売するのはもっと難しいです。ビジネスでは新規顧客を集めることが最も難しいとされているため、何百人単位でお客さんを見つけてくるのは至難の業です。
一方で「100万円×10人」「50万円×20人」であれば問題なく達成できます。それに見合うだけの商品を考え、徹底的にサポートしていけるのであればお客様は納得してくれます。バックエンド販売では「30~300万円までの商品を考え、少数のお客様に対して販売していく」ことが基本だと考えましょう。
高額商品の作り方:限定性や個別コンサルの事例
それでは、高額商品の作り方としてはどのようにすればいいのでしょうか。安くても30万円以上のするバックエンド商品を売ることを考えたとき、戦略的に商品づくりを考える必要があります。
当たり前ですが、価値のない商品にいろいな理由をつけて無意味に値段をつり上げるのではありません。特にネットビジネスなどでは価値のない商品に高額な値段をつけている人がほとんどですが、そういうことをして欲しいわけではありません。
そこで、本当に価値のある高額商品を創造するようにしましょう。30万円の商品販売を行うにしても、1万円の商品を30万円で売るのではありません。100万円の価値のある商品を30万円で売るのです。
重要なのは、「30万円の商品」とお客様が聞いたときに「それは安い!」と思ってくれるかどうかという点にあります。「安かろう悪かろう」ではなく、「高かろう良かろう」という発想です。このとき、次のような5つの考え方を取り入れます。
- 限定性:数を限定する
- 独自性:自分一人だけしかできない
- 個別感:オーダーメイド
- ボリューム:とにかく多い(DVD20本など)
- 価格:世の中には、値段が高い方ほど満足する人がいる
それでは、実際にどのような考え方によって高額商品を作り上げるのか、その実例をみていきます。
・個別コンサルは分かりやすい高額商品
セミナー後や対面販売で行うバックエンド販売の典型的な例として、マンツーマンでのカスタマイズ指導があります。いわゆる個別コンサルティングです。その人に対して個別に対応しなければいけないため、何人もの人へ一気に指導ができません。必然的に数が限定されますし、個別感がでます。
大勢を対象にしたセミナーとは明らかに違うため、支払ってもらうお金以上の価値を提供できるのであれば高額に設定してもまったく問題ありません。
例えば私の場合、5万円ほどでビジネスセミナーを開催することがあります。実際のセミナーとしては、以下のようになります。
私の場合はサイト運営で莫大なアクセスを集め、収益を生み出す手法によって多くの成功者を創出していますが、この手法を教えるコンサルティングをセミナー後に販売するようにしています。価格は150万円以上ですが、努力をすれば1~2年ほどで元を取れるようになり、圧倒的に儲かるようになるので多くの人が申し込んでくれます。
一般的には、150万円は高いかもしれません。ただ、1年後には月100万円以上の収益をもたらす自分独自のWebサイトを構築できるため、実際のところ非常に安い価格になっているのです。当然、努力は必要ですが頑張れば確実に成果が出るようになっています。
私の場合は売上アップに関わるコンサルティングを実施していますが、もちろん他の分野でも同じように商品を作れます。「弁護士・税理士などの士業」「保険セミナー」「不動産投資」など、バックエンドで価格に見合う以上の内容を提供し販売すれば勝手に売れるようになります。
他にも、例えば恋愛コーディネーターを行うにしても、ただ「彼氏・彼女の作り方」を伝授するだけでは不十分です。服の着こなし方やデートの設定など、リアルの場でしか解決できない悩みがどうしても出てきます。そこで、「全ての恋愛の悩みをトータルで解決する」というコンサル商品を販売するのです。
コンサルでは個別対応になり、スタートからゴールまでをサポートするため、必然的に値段が高くなってしまいます。
このように考えると、高額商品を作り上げること自体はそこまで難しくないことが分かります。限定性を付与し、本当に価値のある商品であれば必然的に高くなるのです。これが、高額商品を作るときの考え方です。
高額商品を売る方法:バックエンドのクロージング手法
それでは、どのようにしてバックエンド商品を売ればいいのでしょうか。このとき、単価の高い商品を販売するのはセミナーや個別面談など、対面でなければいけません。
一般的には、以下のような「クロージング力の順番」があることを認識する必要があります。
- クロージング力の順番 : サイト < メール < 電話 < 対面
基本的にビジネスはインターネットや電話だけで完結することはありません。まず、ネット上で30万円以上の商品を売るのは圧倒的に難しく、ほぼ売れないと考えた方がいいです。電話による販売であれば高い商品であっても売れますが、それでも30万円以上になるとほぼ売れなくなります。
そこで、対面販売を考えます。ネットマーケティングに強い人でも、高額商品を売る場合は必ずセミナーを開催します。私も150万円のコンサルティングを売る場面は必ずセミナーです。これは、セミナーを含めた対面でなければ、こうしたバックエンド商品は売れないからです。
そこで、セミナーとセールス(高額商品の販売)はセットで考えるようにしましょう。セミナー内で有益な情報を提供後、必ずクロージングを実施します。クロージングの言葉の意味としては、「締めくくる」「終わりにする」といったものになります。
セミナーでのクロージングとは、「聴衆に行動を起こさせる」ことを指します。講師がセミナーや個別面談のプレゼン後にクロージングを達成するには、そのための導線を話の中に組み込んでおく必要があります。
聞き手を行動させることが成約率の高いプレゼンの条件
セミナーを行う多くの講師は、「プレゼンはコンテンツこそが重要だ」と考えます。そこで大量の情報やノウハウを一つのセミナーに詰め込み、数多くのスライドを制作しようとしてしまいます。
その結果、後半では時間が足りずにクロージングを駆け足で終わらせてしまうことが多いです。このケースでは、聴衆は「役に立つ情報を知ることができた」とは考えるものの、高額商品を購入したいとは考えてくれません。つまり、講師が好ましい行動をとらない結果、聴衆も意図する行動を起こしてくれず、成約率が低くなるのです。
結局のところ、プレゼンで最も大切なのはコンテンツではありません。クロージングこそがセミナーで一番重要な要素になります。セミナーで発表者がスピーチを行う場合、まずはこのことを肝に銘じましょう。
成果を出すためには、「テクニック(どうやって実現するか)」と「クロージング(具体的に何をすれば良いのか)」の2つが必要です。テクニックだけを話して理論を教えたとしても、結局のところ行動できないのです。
例えば、あなたがアレルギーに悩む人を対象にして営業をするとします。このとき、ふとんに住み着いているダニの除去が、アレルギーの悩みに効果的であることを訴えたとしても、ふとんからダニを除去するための道具の提示がなければ、聞き手は行動に移せません。
そこで、あなたはふとんダニクリーナーを売らなければいけません。「ダニクリーナーを使えば問題を解決できる」という具体的な行動を示すのです。その後、高額商品として取り扱っているダニクリーナーを販売します。
もし、ダニクリーナーを購入してもらえなければどうでしょうか。聞き手はアレルギーに対して何も結果を得ることができず、あなたにとってみても売上が出ません。一方でプレゼンによってクロージングし、相手を行動させれば互いに大きな成果を得られるようになります。
セミナーや個別対応など、対面でプレゼンするときに商品販売を提示することで相手に行動させることが最も重要なのは、こういう意味があるのです。
対面販売ではクロージング時間を1時間以上は取る
なお、実際の対面販売だとクロージング時間が非常に短い人が多いように思います。その結果、商品の中身が伝わらないために売れません。
そうではなく、高額商品を売る場合はバックエンド販売の時間を1時間以上は取るようにしましょう。例えば私の場合、4時間のセミナーを開催することが多いです。この場合、以下のような構成になります。
- 第1~3部:コンテンツ・ノウハウ(約3時間)
- 第4部:バックエンド販売(約1時間)
セミナーではコンテンツの第4部をすべて使い、バックエンド販売をするための時間に充てます。そのため、セミナー来場者は最後の1時間ほどは高額商品の説明だけを聞くことになります。
ただ、その前のセミナーコンテンツの内容が非常に優れているものであれば、たとえバックエンド販売が1時間以上であったとしても文句が出ることはありません。実際、私はこれまでのセミナーでクレームが出たことはありません。
・セミナー内では出し惜しみなく伝えるといい
しかし、このとき注意点があります。それは、「セミナー内ではすべてのコンテンツ内容を伝えることを意識する」ことです。
多くの人は内容を隠そうとします。「全部を公開するとバックエンド商品が売れない」と考え、100%を見せようとしません。ただ、実際は逆です。全公開するほど成約率が高まり、その後に紹介する高額商品が売れるようになります。
あなたも、「ここまではセミナー内で伝えるが、残りはバックエンド商品を購入しないと教えない」と言われるとどうでしょうか。「セミナー内ですべてを伝えるべきだ!」と考え、講師に対して怒りの感情を抱くはずです。中途半端に隠すほど、聴衆は落胆してバックエンドを買いません。
そこで、セミナー内では圧倒的な価値を伝えて聴衆を感動させます。そうすると、バックエンド販売が行いやすくなります。
実際のところ、ここまでの事例で示した「個別コンサル」「ふとんダニクリーナー」をはじめとして、バックエンド商品を購入しなければ問題を解決できないケースは多いです。この場合、むしろセミナー内のコンテンツで全公開し、どのように対応すればいいのかを提示するほど高額商品が売れ、売上が増えるようになるのです。
質疑応答の後、クロージングは最後に行う
このとき、セミナーや対面販売などでプレゼンを行う際、クロージングは必ず最後に行うようにしましょう。質疑応答を挟む場合であっても、「質疑応答をした後にクロージングを行う」という順番が正解です。
プレゼンの最後では、質疑応答で終わるのが基本のように思ってしまいます。もちろん何かの発表プログラムなどによって、既に順番が決められているのであれば従うしかありません。ただ、ある程度の自由が許されるのであれば、「コンテンツ → 質疑応答 → クロージング」の順で話しましょう。
質疑応答では、どのような質問が飛び出してくるか分かりません。予想外の質問を受けて返答に戸惑ってしまうと、悪い印象のままセミナーや講演を終わらせることになりかねません。そこで、クロージングを最後にもってきます。質疑応答で失敗したとしても、クロージングで巻き返すことができます。
また、行動して欲しいことを明確に示した後にすべての話が終わるため、記憶にも残りやすいです。
聴衆は「具体的に何を実践すれば良いのか」を理解した状態でセミナーが終了するため、バックエンド商品が売れやすくなるのです。
高額商品を販売する人ほど、顧客のことを考えている
このとき、特にビジネスに慣れていない人だと「バックエンド商品を販売するのは悪いことなのでは?」と考えてしまいがちです。しかし、実際は逆です。高額商品を考えておらず、販売しない人ほどお客さんのことを理解していません。
例えば私は参加費1人3万円や5万円のセミナーを開催していますが、このときセミナーの休憩時間に「コンサルティングに応募したいのですが、募集していないのですか?」と何人もの人から質問を受けます。
もちろん、私が高額セミナーを開催するときは必ず個別コンサル(または高額塾)のバックエンド販売を行うのですが、セミナー中に「コンサル募集をしていないのか?」という質問をしてくる人であれば、セミナー後は必ず「コンサル募集をしていて安心しました。ぜひとも応募させていただきます」という言葉を頂きます。
もし、この人たちにバックエンドを売らなければどうでしょうか。そうなると「ぜひともコンサルティングを受けたい」と考えている人の希望を裏切ることになり、お客さんの欲求を満たせないことになってしまいます。
つまり、クロージングのときにバックエンド商品を販売しないことの方が「悪」だといえます。「お客さんが欲する商品を売り、感謝されながらお金を受け取る」ようにビジネスを組み立てる必要があります。これを実現するため、クロージングの部分を丁寧に実施しなければいけません。
当然ながら、すべてのお客さんが高額商品を購入するわけではありません。ただ、中にはより上位の商品を欲している人がいるため、あなたはその人の要望に応える必要があるのです。これにより、感謝されながら商品販売できるようになります。
低価格の商品で集客し、対面で高額商品を売る
ここまで、高額商品の作り方や実際のセールス方法までを解説してきました。多くの人は低額商品の販売だけで満足します。そのため、ビジネスを実践しても稼ぐことができません。
そこで、バックエンドの考え方を取り入れるようにしましょう。実際に高額商品を作り、売るようにするのです。高額商品を作って売れば、一回のセミナーで100万円以上の利益を出すのは非常に簡単になります。場合によっては、私が実施しているように一度に1,000万円以上の利益を生み出すことも可能です。
フロンドエンド商品(低価格の商品)を購入してくれた人の中には、高額商品の販売を期待している人がいます。そうした人の期待を裏切ってはいけません。
お客さんが欲する商品を提供し、感謝されながら販売するのがビジネスの基本です。安い金額の商品を集客した後、バックエンドを売るのです。
もちろん、高額商品を売ったからには責任が生まれます。あなたはお客さんの期待に対して最大限に応えなければいけません。高額商品によってお客さんに結果を出させ、より大きな満足を提供するようにしましょう。