会社を経営するなどして事業を動かす場合、さまざまな場面で経費を生じることになります。例えば取引先に出向いて商談を行う際には、相手の企業に行くまでの交通費が必要になります。また商品の製造・販売を行う会社であれば、商品を作るための材料を仕入れなければなりません。
このとき、お金を使ったときに受け取る領収書は、基本的にどのようなものであっても経費で落とすことができます。
もちろん経費として認められるためには、必ず押さえておくべきポイントがあります。逆にいえばポイントさえしっかりと押さえておけば、「さまざまな領収書を経費で落とせること」の本当の意味を理解できるようになります。
そこで今回は、「経費として認められる領収書の特徴」と「領収書を経費に計上するときの適切な考え方」について、それぞれ解説してきます。
ビジネスに関係する書類が経費になる
冒頭でも述べたように、ビジネスを動かしているとさまざまな経費が発生します。
ただ、フリーランスなどの個人事業主の中には、「ビジネスに関連性がない領収書を経費で落とす」ことをしている人がいます。このような人の場合、趣味などの娯楽費やコンビニなどで買い物した食費など、ありとあらゆるものを経費として計上します。
しかしこれらの費用は当然ながら経費には当てはまりません。仮に、このようなことをしている人に税務調査が入った場合、経費に計上した項目の大部分が否認されてしまいます。このとき、ペナルティーとして本来納めるべき税金よりもたくさんのお金を国に納めなければならなくなります。
こうした事態を避けるためには、適切な領収書だけを経費として計上する必要があります。具体的にいうと、「ビジネスに関係している領収書」だけを経費にして落とすようにしなければいけません。
例えば、コンビニやスーパーで買ったおにぎりなどの商品は、基本的にビジネスとは無関係です。そのため、このときのレシートは経費として計上しても否認されてしまいます。
その一方で、ビジネスで使うための筆記用具を購入した場合、そのときの領収書はビジネスに関係があります。そのため、このときにかかったお金を経費で落としても否認されることはありません。
このように、多少なりともビジネスに関係するものを買ったときの領収書であれば、それを経費として計上することができます。
その反対に、ビジネスに何も関係ないものを購入したときの領収書は経費で落とすことができません。
領収書を経費で落とすときには、わずかでもビジネスに関係するものかどうかを判断する必要があります。
適切な考え方で、あらゆる領収書を経費で落とす
このとき重要なのは、「少しでもビジネスに関係があることを説明できるのであれば、あらゆる領収書を経費として計上できる」ことです。
例えばコンビニでおにぎりを買った場合、本来であれば単なる食費として扱われるため、その購入費用を経費にすることはできません。ただし、おにぎりを購入した人が「コンビニのおにぎりについてのサイト」を運営しており、それなりの情報量とアクセス数を誇っていたのであれば話が変わってきます。
このようなビジネスを実践している人の場合、「おにぎりの写真を撮ってサイト上に掲載する」「おにぎりの味見をして、レビューを書き込む」などは仕事に当たるため、おにぎりの購入代金を経費で落としても問題ありません。
また、旅行のサイトを運営している人であれば、旅費や宿泊費用などを経費として計上することができます。さらに、旅行先で食べたものをサイト内で紹介しているのであれば、旅先で食べた料理なども経費で落とせます。
このようにビジネスに関係するものであれば、単なる娯楽費や食費などに当てはまりそうなものであっても経費として計上することができます。
またできるだけ多くの領収書を経費で落とせるようにするためには、自分のビジネスに関係するものを徹底的に調べておくことが大切です。今まで経費で落としていなかったものを見つけて計上できれば、これまでよりも少ない税金を納めるだけで済むようになります。
資格取得や語学学習のための勉強費用を経費に計上する
それでは、どのようなケースで経費にできるのかについて、より具体的に確認していきます。
ビジネスで成果を生み出す人ほど、積極的に勉強を行います。例えば、特定の資格を取るための勉強をしたり、英語を話せるようにするための語学学習を行ったりします。
資格取得や語学学習などの勉強はビジネスに大きく関係しているといえます。そのため、資格の取得や語学学習にかかった費用は、当然ながら経費に計上することができます。
このことを知らずに勉強費用を経費で落としていないと、必要以上に多い税金を国に納めることになってしまいます。
社長自身や自社に在籍する従業員が資格取得のための勉強をする場合、その費用を企業の経費で落としましょう。これによって国に納める税金を減らすだけでなく、ビジネスの幅をさらに広げられるようになります。
・将来、必要になるかもしれない資格でも問題ない
また、「将来、ビジネスの役に立つかもしれない」という理由で資格を取得した場合であっても、そのときにかかった費用を経費に計上することができます。
例えば、何らかの資格を取得したばかりの頃に、それが現在の事業に役立っていなかったとします。このとき、「将来のことを考えて資格を取得した」ことを税務署員に説明して納得してもらえれば、資格取得にかかった費用を経費としても否認されることはありません。
そのため、将来的に活用することになりそうな資格がある場合、それを取得するための勉強を積極的に推進しても問題ありません。これによって、納めるべき税金の額をさらに減らすことができます。
自動車運転免許も、経費で落とすことができる
また多くの人がほぼ例外なく習得するものとして、自動車運転免許(普通自動車免許)が挙げられます。自動車運転免許にかかる費用も、場合によっては経費に計上することができます。
例えば、高卒の息子が家族経営の会社に入って働くようになるとします。その会社が運送業をしているなど車の運転がビジネスで必須の場合、会社のお金で運転免許を取得することができます
免許がなければビジネスができない場合、その費用を会社が負担するのは当たり前です。特殊な運転免許に限らず、普通自動車の免許も経費になります。
ただ、自動車運転をほとんど必要としない部署にも関わらず、普通自動車の免許を会社の経費で落とした場合、否認される可能性が高いです。例えば、経理部門なのに運転免許代が経費になっていると不自然です。あくまでも常識の範囲内で損金計上を行いましょう。
英語などの語学にかかった費用も経費に計上できる
またビジネスにおいて海外との取引を行う場合、英語ができなければ話が進みません。例えば、海外の取引先と商談するときには、ほぼ間違いなく英語で会話を交わすことになります。またメールでやり取りをするときにも、英語で文章を作成する必要があります。
海外との取引を行う企業であれば、英語などの語学学習はビジネスに直結します。そのため、英語などの語学学習にかかる費用をすべて経費で落とすことができます。
また、ビジネスで英語を必要としてない会社であっても、「将来、海外との取引をすることになるかもしれない」と考えて、語学学習をするケースがあるかもしれません。この場合であっても、語学学習にかかる費用を経費に計上することができます。
もちろん、英語に限らずフランス語やドイツ語などでも問題ありません。いずれにしても、中小企業の社長や家族経営の企業が語学学習費を経費に計上していないのは、大きな損をしているといえます。
自動車を購入して経費で落とすときのポイント
当然、他にも経費に計上して落とせるプライベート費用はたくさんあります。例えば、自動車を買う場合はたくさんのお金が必要になります。そのため自分が使う車の購入費用を経費で落とすことができれば、大きな節税効果を期待できます。
車の購入費用を経費で落とすためのポイントについても1つしかありません。それは、「購入した自動車が、自社の事業に関係しているかどうか」という点です。
そのため、営業車や配送車、社長車に限らず、ビジネスに活用している自動車であれば、その購入費用を経費に計上しても否認されることはありません。
また、小規模の会社を経営する社長の場合、自分の車を会社のお金で購入するケースが多いです。この場合であっても、社長が仕事で自動車を活用する機会があれば経費への計上が認められます。
よくある例としては、「昼間は出社や取引先回りに車を使い、夜はプライベートで車を使用する」といったケースが挙げられます。この場合、社長の自動車をビジネスに活用していることになるため、その購入費用を経費で落とすことが許されます。
参考までに、このときは以下のようなスポーツカー(フェラーリなど)でも損金計上できます。
社用車ということにすれば、どのような車種でも経費になります。たまたま、それが高級車だっただけと判断するのです。
・車の使用頻度は重要になる
ただ、会社のお金で車を購入できるとはいっても、「1年のうち数回ほどだけ事業のために車を使用している」といった場合には、税務調査で否認される可能性が高いです。そのため、自動車の購入費用を経費で落とすためには、会社の車をビジネスに使用する頻度がある程度多くなくてはいけません。
もちろん、通勤時に利用しているケースでも問題ありません。いずれにしても、ビジネス利用が必須となります。
また、会社のお金で自動車を購入する場合、実質的に社長が使っている車であってもその名義は会社にする必要があります。そのため、社長が好きなように使っている社用車であっても、その自動車の持ち主は会社であることが条件です。
従業員に自動車を支給することで節税を行う
先ほど述べたように、ビジネスに使っている車であれば、社長が会社のお金で自動車を買ったとしてもその費用を経費で落とすことができます。これと同様に、役員や一般社員の車についても、事業で使っているものであれば会社のお金で購入することができます。
例えば営業担当の社員の場合、「昼間は営業活動に車を使い、夜や休日はプライベートに車を使用する」というときに、自動車の購入費用を会社が負担することができます。また、営業活動をする社員でなくても、毎日の出勤時に自動車を使っていれば、車の費用を経費に計上しても問題ありません。
さらにいうと、会社が従業員に給料を支払う代わりに自動車を支給することで、大きな節税効果を得ることができます。例えば、ボーナスなどの給料を社員に支給する場合、社会保険料などの税金を国に納めなければいけません。
その一方で、支払うボーナスと同額の自動車を社員に支給する場合には、社会保険料の支払い義務が発生しません。そのため、同じ金額のボーナスを支給する場合に比べて、会社にしても社員にしてもより多くのお金を手元に残せるようになります。
また、会社から従業員に自動車を支給する場合、その車の名義は会社になります。そのため、自動車を支給された社員が退職した場合、その車を取り上げることができます。これにより、自社の従業員が離職しにくくなることを期待できます。
コンサートチケット代などのレジャー費用を経費に計上する
同じように考えて、プライベート費用を経費化する他の事例についても確認していきます。このとき方法によっては、コンサートチケットの代金やスポーツジムの利用料などのレジャー費用であっても、経費に計上することができます。
規模や資金力などに優れる大手企業の場合、社員に対する福利厚生が充実している傾向にあります。例えば、保養所などの施設を保有している会社や、社員に発生した生活費を負担する企業などです。
また企業の中には、スポーツ観戦やコンサートなどのチケットを社員に配布するところもあります。このとき、福利厚生にかかる費用は福利厚生費という形で経費として落とすことができます。
また「福利厚生費としての経費計上」は、大企業だけに許されているものではありません。中小企業であっても福利厚生費としての経費計上は認められています。
福利厚生費という名目であれば、レジャー費用であっても経費で落とすことができます。例えば、スポーツジムに通って運動したい場合、それを経費として計上することができます。この場合、スポーツジムでの運動によって従業員がより健康になれば、日々の業務のパフォーマンスが向上するようになります。
また、遊園地や水族館などの入場券であっても、福利厚生費という名目で経費として計上できます。当然、社員の希望を聞いてこれらの入場券を配布すれば、従業員との人間関係をさらに良くすることができます。
・福利厚生費を利用するときのポイント
ただ福利厚生費として経費計上する場合、適切な手順に従って実践する必要があります。まず、チケット代などのレジャー費用を会社で負担しなければなりません。あらかじめ会社側でチケットなどを購入しておき、それを従業員に支給する形にしておくのです。
そのため、社員がスポーツ観戦に行ったときの代金を後から会社に支払ってもらった場合、その費用は福利厚生費として認められません。
さらに、福利厚生はすべての従業員に対して平等に与えられるものにしなければなりません。例えば、社長一人だけでスポーツ観戦に行った場合、それを福利厚生費として経費計上することはできません。その他の全社員にもスポーツ観戦のチケットを配布するチャンスを与えることで、福利厚生費としての経費計上が認められるようになります。
遊びを仕事にすることで経費にする
ただ、福利厚生は社員のためのものです。そのため一人社長や家族経営の会社は使えません。また、従業員全員に適用させる必要があるので面倒です。そうではなく、個人事業主や法人経営者として社長一人のレジャー代だけ経費にできないのでしょうか。
レジャー代は遊び代になりますが、このときは何とかして「あなたがしている事業」と結び付けるようにしましょう。
例えば私の場合、当サイトを運営していることから分かる通りWebサイト運営がメイン事業になります。その中には「恋愛」に関するサイトが存在します。
当然、女性とデートをしなければ体験談を含めて良い恋愛記事を書くことができません。そのため私の場合、コンサートチケットやイベント費用、テーマパーク代にいたるまで経費にすることができます。
経費化による節税というのは、いってしまえばアイディア次第です。「どのようにすれば、あなたの事業に結び付けられるのか」を全力で考えるといいです。
適切に節税をして、支払う税金を減らす
「どのような領収書が経費で落ち、損金計上するための適切な手順としては何をすればいいのか」について解説してきました。これらを理解したうえで、ビジネス活動を進めるようにしましょう。
例えば、たとえ出張先であったとしても昼食代は経費になりません。自分一人だけの食事はダメなのです。
ただ、取引先を含め誰かほかの人と一緒に飲食したときのカフェ代や飲み代はすべて経費にできます。カフェで食事を取りながら商談することは普通ですし、飲みの場で仕事が決まることもあります。また、接待という意味では飲食店が活用されます。
これらはすべて、「ビジネスに関係あるかどうか」という基準だけで判断されます。一人での食事では否認されるものの、他の人と一緒の食事ではビジネス目的で飲み食いをしたとすることができるのです。
こうしたことを理解したうえで、ビジネスに必要なものかどうかという基準で経費にできるかどうかを考えるようにしましょう。適切に節税し、自分の手元にお金を残しながらビジネスを拡大させるといいです。
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