プレゼン技術はあらゆる場面で必要とされます。これは、セミナー講師で稼いでいる人や外部機関から講演に呼ばれる人に限りません。得意先での営業や社内会議での発表であっても、効果的なプレゼンを行うことを要求されます。
まったく同じセミナー内容であっても、あなたの話し方によって結果が左右されます。そのため、どのようにスピーチをしなければいけないのか理解する必要があります。
営業現場であれば、販売成績に直結します。セミナー講師であれば、その後にバックエンド(高額商品)が売れたり、受講者が満足してくれたりするかどうかに直結します。会議の場であっても、あなたの意見が通るか通らないかはプレゼン内容で決まります。
このとき、全身を使って聴衆へ訴えかける必要があります。そのためには目線の動きを理解し、さらにはボディーランゲージを活用するようにしましょう。プレゼンをするときの基本姿勢を理解することにより、さらにスピーチがうまくなります。
発表時は全体を見て、聴衆みんなと話を行う
最初に、発表時の目線について確認していきます。特に大勢の前で発表するとき、どこに目線を合わせて話せばいいのでしょうか。
たまに、セミナーなどで目線を下に向けたまま話す人がいます。聴衆と目線を合わさずに、淡々と内容を進めていくため、こうなると聞き手のやる気は次第に薄れてしまいます。
セミナーや講演、営業現場など、あらゆる場面で演者は聴衆とコミュニケーションを取らなければいけません。そのため、聞き手と目線を合わせないという行為をしてはいけません。
そうではなく、椅子に座っている聞き手全員と対話を行うことを意識しましょう。あなたと聴衆の目線が合えば、聞き手は「自分に向って話をしてくれている」と思ってくれます。そのように感じてくれれば、満足度は高まります。あなたが会場全体を見渡すことで、得することはあっても損することはありません。
ただ、人数が多くなると、一人一人と目線を合わせるのは難しくなります。全員と平等に接しなければいけないため、プレゼンで重要となる目線の動きを学ばなければいけません。
このときはジグザグの目線を意識してください。まず、左奥に視線を合わせます。そこから右奥に移動します。ここから左手前に目線を移し、また右に移動するという具合に会場の奥から少しずつ手前に視線を移動させます。
目線をジグザグにする今回の方法を「ジグザグ法」といいます。一点だけを見て話す人は多いですが、ジグザグの視線を意識するだけで多くの人と対話することができます。
なお、初心者であると、一番手前の人を見ない傾向があります。奥側だけをずっと見てしまうため、席の前に座っている人とのコミュニケーションを取れません。これを避けるため、前の席に対しても視線を意識しましょう。
ちなみに、視線の動きは他にも多くの手法があります。ただ、その中でも最も分かりやすく速効性のある方法が今回紹介したZ型(ジグザグ)の視線です。
目が合うことでアイコンタクトを行う
視線を投げかけるだけでなく、アイコンタクトも行うようにしましょう。もちろん、単に聴衆と視線を合わせれば良いというわけではありません。
例えば、左奥に目線を合わせるとき、同時にスピーチを行いましょう。左奥に座っている人に向けて語りかけるのです。すると、うなずいたり目線を合わせたりする人がいることを確認できるはずです。実際にプレゼンを行いながら、聴衆がどのような反応を示しているのか確認しましょう。
その次に視線を右にズラしていき、再び聞き手の反応を見ていきます。当然、目が合うこともあります。こうして、少しずつ視線を前へ移動させていきます。
また、「一番手前まで視線が移した後、今度は左奥に戻る」という具合に目線をズラしていきます。
これを何度も繰り返していると、必ず全員と平等に話しかけるようになります。聴衆にとっても、一度は「自分に向かって話してくれている」と思うことでしょう。
そうすれば、休憩時間や懇親会のときに興味をもって話しかけてくれる確率が高まります。当然ながら、聞き手の満足度も格段に向上します。
目線の動きは意外と重要です。目線を聴衆に合わせないと、大きな損をしてしまいます。聞き手全体に向けて語りかけることにより、対話することを心がけてください。
ボディーランゲージを使い、視覚・聴覚に訴えるプレゼン技術
これに加えて、ボディーランゲージも活用するようにしましょう。実際、日本語しか話せない状態で海外へ行っても、ボディーランゲージだけで何とか話を通すことも可能です。それだけ、体を使って多くの表現ができるのです。
体は言語でもあるため、これを有効に活用することで相手にメッセージを送ることができます。
プレゼンを行うとき、単調に話していては内容に起伏が生まれにくいです。そこで、体全体を使ったボディーランゲージを駆使することにより、効果的に聴衆へ伝えることが可能になります。
このとき最も簡単な方法として、「話の内容を体を使って表現する」ことがあげられます。
例えば、「私は心の中で『ヨシッ』と思いました」と言うとき、同時にガッツポーズをします。また、「みなさんであれば、これをどう思いますか?」と質問を投げかけるとき、同時に手のひらを差し出して聴衆へ考えることを促させます。
わずかな工夫ですが、このようなちょっとしたジェスチャーを加えるだけでも、何もボディーランゲージを行わないプレゼンに比べて聞き手に大きなインパクトを残せます。
セミナー講師はプレゼン時に感情へ訴える
なお、ボディーランゲージが重要であると伝えると、無意味にジェスチャーをする人が表れます。その結果、不自然なプレゼンになってしまいます。ただ、私たちは役者ではありません。そのため、不自然に体で表現しようとすると、よく分からないプレゼンになってしまいます。
プレゼンの上手な人の中には、かなりオーバーリアクションをしている人がいることも事実です。しかし、それを私たち素人が真似しても同じようには表現できません。
ボディーランゲージはプレゼンに必須ですが、意味なくジェスチャーしてはいけません。必要な場所で使うからこそ効果的なのです。そこで、ボディランゲージを活用する場合は「感情」を意識してください。
劇的な成功を収めてうれしかったとき、また仲間に裏切られて大きな悲しみを負ったときなど、どのような気持ちだったでしょうか。
あなたの実体験を語るとき、そのときに感じたありのままの感情を表現するのです。すると、どのようなジェスチャーを行い、どのような口調で話せば良いか自然に理解できるはずです。
このように考えると、体を使って表現するのは難しくないはずです。あなたが思ったままに体を動かし、声のトーンを変えれば良いからです。
ストーリーを語るとき、単調に話してはいけません。ここにボディーランゲージを含めてあなたの感情を入れることができれば、聴衆の心を動かせるようになります。プレゼンでの話し方に滑舌は関係ありません。そうではなく、どれだけスピーチに熱を入れられるかにあるのです。
原稿は見ず、プレゼンを行うときの伝え方・基本姿勢を学ぶ
なお、こうしたポイントを理解するにしても、絶対に行ってはいけない行為があります。それは、原稿を見ながら話をすることです。
人前で発表を行うとき、あらかじめ原稿を作成しておくことは有効な手法の1つです。原稿を作ることで話のストーリーが明確になり、言いたいことを整理できます。原稿を削除したり付け足したりすることで、話す時間を調節することもできます。
ただ、いくら目線の動きに気を付けたとしても、ボディーランゲージを活用したとしても、原稿を読んでいる時点ですべてのプレゼンが台無しになります。基本、下を向いたまま話すことになるからです。聞き手の顔を見ながら話をすることはないため、話の内容が伝わりにくくなります。
同様に、原稿を手にもったままプレゼンを行ってはいけません。原稿に頼るというのは、自信のなさをアピールしていることと同じです。いずれにしても、本番中に原稿を見ることがあってはいけません。手に何ももっていない状態でプレゼンを行いましょう。
最高のプレゼン映像(TED)でプロのスピーチを研究する
こうした原則を理解したうえで、ここまで述べた目線の動きやボディーランゲージを含め、より高度なスピーチ技術を得たいのであればプロから学ぶことも考えてみましょう。このとき参考になるのがTEDです。
あなたはTEDビデオを見たことはあるでしょうか。プレゼンについて学ぶまで、私はTEDを見たことがありませんでした。TEDとは、簡単に考えると「世界最高のプレゼンが行われるカンファレンス」と考えてください。
わずか18分という短い時間の中で多くの聴衆を魅了する、一流のプレゼンテーションが行われる場です。
これらのプレゼンは天才たちだけが実践できるものではありません。プレゼン技術の理論を学び、実際に経験を積めば誰でも取得できます。聞き手に強いインパクトを与え、一瞬のうちに聴衆を引きつけるプレゼンを行えるようになります。
どのように彼らが話をしているのかを学ぶことで、あなたのプレゼンテーションに活かしましょう。以下のリンクからTEDに飛ぶことができます。
「目線に注意する」「ボディーランゲージを使う」などに限らず、「間を活用する」「聴衆に語りかける」など、TEDで話す人はプレゼンの基本をすべて押さえています。これを生の映像で学ぶことができます。
以下に、特に有名なTEDトークを記します。
- ケン・ロビンソン:学校教育は創造性を殺してしまっている
- ジル・ボルト・テイラー:パワフルな洞察の発作
- サイモン シネック:優れたリーダーはどうやって行動を促すか
- プラナフ・ミストリー:次なる可能性を秘めたSixthSenseテクノロジー
- デイビッド・ガロ:水中の驚き
- アーサー・ベンジャミン:数学手品
- パティ・マース:「第六感」デバイス のデモ
- ダニエル・ピンク:やる気に関する驚きの科学
- メアリー・ローチ:あなたの知らないオーガズムに関する10の事実
- アンソニー・ロビンズ:何が人を動かすのか
実際にスピーチを行い、話し方・プレゼン技術を磨く
理論を勉強した後、今度は圧倒的な実践が必要になります。スポーツの理論を学んでもスポーツが上達しないのと同じように、実践が伴わなければプレゼン能力も上がりません。
そこで、理論を学んだあとは必死で練習をしましょう。プレゼンが上手い人に見てもらい、多くのダメ出しをもらうことが上達の秘訣です。これを行えば、数ヶ月でプレゼン能力が見違えるようになります。
この文章を読み、映像まで確認してプレゼンを学ぼうとしている人は意識の高い人です。普通の人はそこまでして勉強しようとはしません。
実際、世の中のほとんどの人が退屈なプレゼンを行います。私がセミナーを聞きに行くとき、9割は面白くありません。ただ、残りの1割のプレゼンでは話の中に引き込まれ、時間を忘れてしまうことがあります。そこで、どうせ人前に立ってスピーチを行うのであれば、人を魅了するプレゼンを行いましょう。
自ら学ぼうと思わない限り、プレゼン能力は上達しません。セミナーなどでたくさん講演を行っているにも関わらず、退屈で眠たいプレゼンしか実践できていない人が多い現状がこの事実を物語っています。
ただ、プレゼンについて本気で学ぼうとしている意識の高いあなたであれば問題ありません。聞き手を話の中へ連れ込み、大きなインパクトを残すスピーチを行うようにしましょう。
他の人に意見をもらい、改善できたら上達する
なお、これにまでに他の人から一度もプレゼン指導をしてもらったことがないのであれば、確実に独りよがりの内容に仕上がってしまいます。これを避けるため、経験者からの指導が不可欠です。
特に人前での発表機会の少ない人であれば、必ずセミナー経験者に発表内容を見てもらい、意見をもらうようにしてください。
また、セミナー後は受講者からフィードバックをもらうことを心がけるといいです。セミナーの後にアンケートを記入してもらいますが、基本的にアンケートには良いことしか書かれません。悪い点を知ることができないのです。
そこで、懇親会の会場で「もっと知りたい点はありませんか」「分からなかった部分はないですか」などの質問を受講者に行い、セミナーの改善点を積極的に聞いてまわる必要があります。これを次回のセミナーに活かし、実践と修正を繰り返すことで満足度の高いセミナー講師へと成長していくことができます。
聴衆を魅了する、満足度の高いプレゼンテーションを行う
実際のところ、内容の面白くないプレゼンをする人が大半です。大学教授のように、単調にトークを繰り広げるのです。
しかし、まったく同じ内容であったとしても伝え方が違うだけで、聴衆の満足度は大きく異なるようになります。プレゼンテーションの正しい方法を学び、練習を重ね、伝え方を工夫することで面白いスピーチへと早変わりするのです。
セミナー講演やプレゼンを含め、スピーチには正しい基本姿勢があります。原稿を読まないのは当然として、目線の動きを全体に合わせ、ボディーランゲージを活用するようにしましょう。さらにはプロのスピーチから間の取り方や内容構成まで学べば完璧です。
プレゼンテーションは誰でも上達します。あなたが意識してより高度なプレゼン技術を学び取り、練習と実践を繰り返すだけで優れた講演を行えるようになります。
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