社会に出て働く以上、何かしら人前で発表する機会が訪れます。社内会議の場かもしれませんし、得意先での製品説明かもしれません。あるいは、セミナー講師として多くの聴衆の前で話さなければいけないのかもしれません。

これらプレゼン能力は営業職であるほど必要とされますが、当然ながら営業に限らずあらゆる人でプレゼン能力が求められます。

このとき、プレゼンでは特に冒頭のオープニング(イントロ)で心をつかむことが重要視されます。聴衆が最も集中して聞いてくれる箇所が最初だからです。ただし、その時間は数十秒です。

10~20秒の時間が経てば、聞き手は他のことを考え始めます。「今日の夕飯は何にしようか」「溜まっている仕事をどのように片づけようか」などを頭の中で巡らせます。そこでプレゼンの冒頭では、できるだけ聴衆の心をひきつける工夫をしなければいけません。

ここでは、どのようにして最初のつかみで聴衆を引き付けるのかについて、そのコツを解説していきます。

オープニングのイントロで沈黙を活用し、心をつかむ

最初のスピーチでは、演者の多くはすぐに話を始めます。拍手が鳴りやまないうちに、または会場がざわついているにも関わらず出だしでスピーチを始めるのです。これでは、どれだけプレゼンの冒頭に興味深い話をしたとしても、すべてが意味のないものになってしまいます。

そこで、沈黙の時間を作りましょう。いわゆる、「間」を取ることになります。

例えば、大学の講義中に雑談している学生がいるとします。講師がマイクを使って大きな声で話をしているため、雑談をしても周りの人に気が付かれることはありません。ただ、ここで講師が沈黙の時間を数秒でも取ればどうなるでしょうか。

何もない静粛の中で、学生の雑談だけが響くようになります。学生は「何が起こったのだろう」と不思議に思い、友達との会話を止めてしまうでしょう。その結果、沈黙の後に発せられる講師からの言葉に対して、多くの聞き手が耳を傾けるようになります。

プレゼン中の沈黙は、それだけ聞き手に影響を与えることができます。会話と会話の間に沈黙を入れることにより、その後に続くイントロ部分の言葉の印象を強めるのです。

オープニングで間を取ることにより、最初に発せられる言葉のインパクトを強めることができます。聴衆が最も集中している最初の10~20秒を有効活用するため、「間」はとても重要な要素だといえます。

沈黙といっても、5秒も必要ありません。2~3秒で問題ないです。ただ、実際に行ってみれば分かりますが、2~3秒でも講師や聴衆にとっては長い時間に感じられます。このときの「間」を味方にすると、その後のプレゼンも成功しやすくなります。

最初の出だしに聴衆へメリット(利益)を約束する

その後、ようやく話を始めます。ただ、このときは注意点があります。まずセミナーであれ営業先の研修であれ、聞き手は暇だからあなたのプレゼンを聞いているわけではありません。「何かしらのメリット(利益)が得られる」と思っているからこそ、わざわざ時間を割いて聞いているのです。

そこで、あなたは冒頭で聴衆にメリットを約束しなければいけません。「私の話を聞くことにより、これだけ大きなメリットをあなたは得ることができます」と出だしで宣言するのです。何が得られるのか分からないままであると、聞く側はやる気をなくしてしまいます。

例えば、「今回のセミナーでは、一か月以内に彼女を作るための3つの法則を伝えます」「御社の経理計算の時間を半分にする最新の会計ソフトをご紹介します」などになります。

ビジネスでは、結論を先に述べることが重要になります。新聞や雑誌を眺めてみても、先に結論が述べられています。これは、自分が伝えたいことを最初に述べることにより、その後も読み続けてもらうようにするためです。これと同じように、プレゼンでも冒頭に伝えたいことを示さなければいけません。

最も良くないのは、あなたの自慢話をすることです。人前でプレゼンを行う以上は素晴らしい実績をもっている方が大半です。ただ、イントロで実績を披露するだけの話はまったく面白くありません。

そうではなく、あなたが生み出した実績を他の人でも再現できるようにノウハウ化し、これを伝えるのです。つまり、「あなたも同じように実現できます」というメリットを約束しなければいけません。

プレゼンでは、自分が主役になってはいけません。あくまでも、聞き手が主役になる必要があります。そのための手助けをするのが演者です。

聴衆にとって役に立つ情報を話すのであれば、自慢話に聞こえることはありません。あなたが生み出した実績に対して、「こうすればあなたでも実践できる」「このように応用する」と伝えていきましょう。こうして、聴衆が満足するプレゼン内容になります。

オープニングで聞き手が驚く情報を話し、聴衆を引き込む

ただ、「つかみでは聴衆に対して、プレゼン内容を最後まで聞くメリットを教える」とはいっても、具体的にどのようなことを話せばいいのか見当が付きません。そのため、「冒頭で、どのようなことを聞き手に伝えればいいのか」について理解しておく必要があります。

このとき、有効な方法としては以下の3つがあります。

  • 個人的な体験を語る
  • 冒頭を質問で始める
  • ショッキングなデータや話から始める

それぞれについて確認していきます。

個人的な体験をストーリーで語る

プレゼンを行うとき、前述の通りいきなりノウハウや商品説明などをしてはいけません。冒頭の段階では、聞き手はまだあなたの雰囲気に慣れていません。そこで、聴衆にあなたの話を聞かせるための仕掛けを行います。この仕掛けとしては、物語を語ることが効果的です。

人は物語に弱いため、ストーリーを語れば話の中に入っていきやすくなります。例文としては、次のようになります。

私の知り合いで出版を実現している人がいました。どうやら、累計で5万部も売れているようです。その人の話を聞くうちに、「自分でも出版できるのでは」という軽いうぬぼれが生まれました。

そこから出版社へアプローチを行ったのですが、原稿を送ったり著者セミナーに出たりと可能な活動は全て行いました。その結果、1年後には自分の本を出すまでになりました。

また、出版したときは本を売るための戦略を綿密に練り、大きなプロモーションを仕掛けました。現在では8万部を超えるベストセラーになっています。今回、私がどのようにして出版に至ったか、そしてどのように本を売っていったかについてすべてお話しします。

上記の話を要約して、「出版社へのアプローチ方法や本を売る戦略を教えます」と結論(メリット)だけを伝えるとどうでしょうか。これでも問題ないですが、それでは聴衆が話の中にスムーズに入ってくることができません。そこで敢えて物語として語ることにより、聞き手を引き込むのです。

このときの注意点としては、「あなた自身に関するもの」であることがあげられます。独自のストーリーを語らなければ、聞き手はついてきてくれません。

冒頭を質問で始める

他にも、オープニングを質問から始める方法も有効です。聞き手が実際に経験したことのある質問を投げかけると、これから始まるプレゼンの印象を強めることができます。

例えば、「営業の現場で契約が決まらず、会社へ帰りづらい日が続いたことはないでしょうか」「急に外国人に話しかけられ、英語が分からずあたふたした経験はないでしょうか」などです。会場にいる人の属性に合わせて、これらの質問を投げかけるのです。

「営業スキルを上げましょう」「英語を話せるようになりましょう」と伝えたところで、何も心に響くものがありません。質問を行うからこそ、深く心に刻まれるのです。

また、質問をすることで、聴衆に回想させることを促します。そのため、質問を行った後は2~3秒の「沈黙する時間」をとる必要があります。

例えば、「営業の現場で契約が決まらず、会社へ帰りづらい日が続いたことはないでしょうか」と質問するとします。その後、すぐに「これを解決するため、営業成果を一ヶ月で1.5倍にするノウハウを提供します」と言ったとしても、聞き流されてしまいます。

ただ、沈黙を活用すれば、その後の言葉が活きてきます。沈黙によって回想させ、あなたの世界へ引き込むことが質問で始めるオープニングの基本です。

ショッキングなデータや話からスピーチを始める

オープニングでは、ビクッとさせるようなデータや話からスタートさせる方法も多く取り入れられています。よくある例文としては、「タバコが原因で6秒に1人が死んでいることをご存知でしょうか」「日本の借金は1秒で100万円以上増えています」などです。

このような興味深い話を最初にすると、「そうなのか!」と思い、聴衆はそこから後の内容を聞きたくなります。

また、ショッキングな内容ではなくても、「それは知らなかった」と思わず納得してしまうような話など、意外性のある内容も有効です。相手の興味関心を引くことができれば、スムーズにあなたの世界へと聴衆を連れ出すことができます。

講師は自己紹介で謙遜してはいけない

ここまでを実施した後、ようやく講師自身の自己紹介や挨拶になります。多くの人は冒頭で挨拶をします。その結果、失敗します。

そうではありません。プレゼンで聴衆の集中力が最も高いのは冒頭です。また、最初は聞き手との信頼関係を築けていないため、最初のつかみであなたの世界に引き込ませなければいけません。これを理解すれば、最初に挨拶をしている場合ではないのです。

ただ、これら最初のつかみを実行に移した後は、実際に自己紹介をするようにしましょう。ただ、挨拶のときに絶対してはいけないものとして謙遜があります。

セミナー初心者の中には、「私のようなものが話をするのは恐縮ですが……」と謙遜する人がいます。しかし、セミナーでは「経験の浅い私が」「話をするのが下手ですが」などの言葉は使ってはいけません。

セミナー講師は先生や専門家と思われている人たちです。当然、受講者は経験の浅い人物に対してお金を払いたくありません。自分よりも経験豊富な人物から教わりたいと思っているからこそ、受講者は貴重なお金と時間を使ってセミナーへ来るのです。

これを無視して、自己紹介で「私のようなものが」と話し始めるのは、お金と時間を投資してくれた受講者に対して失礼です。自分を謙遜するのであれば、受講者に迷惑料を支払うべきです。

実際、セミナー中に講師が謙遜しすぎるとクレームになります。むしろ、「このセミナーに来ていただいた方は見る目のある素晴らしい方たちです」と自信に満ちた態度で接するようにしましょう。

講師は実績を自ら伝え、セルフブランディングする必要がある

このとき、メリットを提示した後のスピーチで行う自己紹介では、自分の実績を伝えなければいけません。誰が聞いても素晴らしい実績があるのであれば、自ら率先して言わなければいけないのです。

例えば、私はサイト運営では月100万PVを超えるサイトをもっていますし、既に出版まで行っています。テレビや新聞、雑誌を含め取材依頼も数多くこなしています。このように言うと、多くの人は感心してくれます。

しかし、これは自ら言わなければ誰も気が付いてくれません。私がスライドで示すことにより、ようやく人に伝わるのです。セミナー講師に限らず、これはビジネスを行う人すべてに当てはまります。自ら実績を披露することにより、ようやく人が認めてくれるようになります。

講師はセルフブランディングが重要です。謙遜をするわけでもなく、事実だけを述べていきます。あなたの成功体験や結果を文章や画像に表して示すことができれば、さらにインパクトは大きくなります。

ただ、成功体験だけを話すと自慢話になってしまいます。既に述べた通り受講者は成功体験ではなく、「どうすれば講師と同じように成功できるのか」を聞きに来ています。あなただけが成功できても意味がありません。

そこで、その内容をセミナーや講演としてプレゼンし、聞き手に伝えていきましょう。ノウハウとして伝えることができてこそ、ようやくセミナーの満足度が高まります。

プレゼンを成功に導く「紹介」の極意

ここまで、冒頭のつかみをどのようにすればいいのかを解説してきました。ただ、場合によっては最初に第三者からの紹介を受けた後にプレゼンへ入ることもあります。この場合、どのように紹介を受けるのかまで含めて確認しないと、冒頭部分で失敗することになります。

もちろん司会による紹介が下手だったことが原因で、その後の話が全てダメになることはありません。そうはいっても、上手な紹介であると、後に続くプレゼン内容に弾みがつくことは事実です。どうせならば、紹介によって聞き手にとっても話し手にとっても良い内容にしたいものです。

ただ、実際に司会から紹介を受けるとき、その内容は聴衆にとって退屈であることがほとんどです。多くの場合、以下のような紹介がほとんどではないかと思います。

今回のご講演は、〇〇先生です。〇〇先生は△△大学を卒業後、アメリカの大学へ留学なさいました。アメリカで博士号を取得後、生体移植に関わる研究に従事していらっしゃいます。

これまでに数多くの生体肺移植に成功し、現在では「最も影響力のある科学者100人」にも選ばれています。それでは、拍手でお迎えください。

何とも眠たくなるような紹介ですが、聴衆にとって何のメリットもないこのような内容が99%以上を占めます。そこで、少しでも司会者が話の内容を工夫すれば、プレゼンに大きな勢いをつけることができます。

このときは、次に示す3つの点に注意します。

  1. これから話す内容が聞き手にとって、どのように役立つのか
  2. 演題と関係のある紹介を行う
  3. 「話し手がいかに信頼できる人物か」を紹介し、経歴は最小限に留める

どちらかと言うと、紹介では演者の経歴について延々と話す傾向があるように感じます。しかし、聴衆にとって話し手の経歴ほど関心のないものはありません。

既に解説した通り、聴衆が知りたいのはメリットです。これから話す人の経歴について聞きにきたわけではありません。これを理解すれば、経歴の紹介は最小限に留めるのは当たり前のように思えます。

先ほどの紹介文では、「聴衆にとってのメリット」をまったく提示していないという欠陥があります。上手な紹介というのは、「何かしらの利益を得られることを提示しつつ、その実態を明らかにしない」というものです。

そのため、先ほどの紹介であれば、「今回の講演が終わるころには、生体移植の現状と問題点、さらには5年後の移植技術がどのように進歩するかについて理解していることでしょう」などの言葉を付け加えると、紹介に弾みがつきます。

また、演者を天才であるかのように崇めるのは良くありません。「彼は東大出身の医者であり、ハーバードを卒業して……」と紹介すると、何だか異次元の天才を相手にしているように思えてしまいます。

そうではなく、「演者がどれだけ信頼できるか」に関する紹介に重きを置きます。先ほどの例でも、「日本全国から患者さんの問い合わせがくる」「政治家として有名な〇〇さんを執刀したことがある」などのエピソードを話す方が聞き手に響きます。

・あらかじめ自分の紹介文を用意しておく

セミナーや講演、学会発表など、司会者はあなたのことを知らない場合がほとんどです。そのため、「紹介でその後のプレゼンに弾みをつける」とはいっても、何も対策を行わずに、ここで述べたような理想的な紹介を司会者に要求するのは不可能です。

そこで、紹介文を自分自身であらかじめ考えておいてください。先に示したポイントを踏まえ、聴衆を引き込む紹介文を用意して司会者へ渡しておくのです。

多くの人は司会者に紹介文を任せます。ここに、司会者による紹介がまったく面白くない理由が隠されています。この考えを改め、自ら紹介文まで考えておきましょう。

内容を考えるだけがプレゼンではありません。プレゼンによって聞き手を動かし、その完成度を高めることまで意識しなければいけません。ただ、ここまで考えている人は圧倒的少数であるため、少し工夫するだけで簡単に聞き手を引き込めるようになります。

セミナーイベントやプレゼンの最初で聴衆を引き込む

講演やイベントを含め、最も重要となる部分がイントロです。最初の出だしで聴衆の心をつかむことができるかどうかによって、その後の成功が大きく異なります。

多くの人はプレゼンの正しいやり方を理解していません。そのため自己流で行い、面白くないスピーチを始めます。

ただ、冒頭を改善するだけでお客さんの満足度は大幅に向上します。最初にメリットを提示し、あなたの世界へと引き込むのです。その後、実績を交えた自己紹介・挨拶を実践することで聞き手から信頼されるようにしましょう。そのための例文を含めて紹介し、解説しました。

スピーチを行うとき、最初を意識しましょう。冒頭を成功させれば、後はスムーズです。あとは、あなたが成功した方法を聞き手に伝え、疑似体験してもらうようにプレゼンで教えるだけです。そうすれば、お客さんはあなたの話を聞いて良かったと感じるようになります。

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