会社という組織では、多くの人が連携して仕事をするようになります。そのとき、社内人脈を構築しておくと、かなりスムーズにビジネスを進めることができます。会社というのは一人では何もできず、たくさんの人の協力がなければ話が前に進まないからです。
このとき、部署間を超えた交流を考えなければいけません。同じ部署で良い人脈を作り上げるのは当然ですが、普段では交流のない部署の人たちとも積極的に人脈を広げるように留意する必要があります。そうして顔を広げれば、あなたの存在感は大きくなります。
もちろん、社内人脈を構築するには正しい方法があります。事前に理解したうえで実行に移さなければ効果はありません。
そこで、どのようにして人脈を構築すればいいのかを解説していきます。
社内人脈は部署間の衝突を回避する
法人では、組織が多くの部署ごとに分かれています。営業、企画・開発、経理、総務、広報、物流などです。ただ、これらの部署全員が良い関係を築いていることはまずありません。むしろ、大抵は足の引っ張り合いをしています。
例えば、営業と企画の関係は悪いことが多いです。営業は商品を売ることが目的であるため、成績を上げるためにたくさん売ることを考えます。
ただ、企画・開発は「そんなものはできない」と突っぱねてしまうことがよくあります。例えばITソフトの開発会社であれば、開発部門の人が「そのようなソフト開発をこの金額と短い納期で行うのは不可能だ」と営業部門の人に言い放つことは多いです。
このように、部署間で温度差があるケースは珍しいことではありません。「経理が予算をくれない」「営業が動かない」「企画がよく分からない商品ばかり開発する」など、互いに不平不満を言い合うのです。
これでは組織は適切に機能しません。社員が数人規模の会社に比べて、多くの従業員を抱えている企業の方が仕事のスピードが遅かったり、質が悪かったりすることが実際にあります。この理由は、社員間のコミュニケーションがうまくいっていないことによります。
そこで、社内人脈を作り上げるようにしましょう。同じ部署間で上司や後輩、同僚と良い関係を築くのは当然のこととして、他の部署と人脈を築くのです。
まったく顔を合わさなかったり、電話でしか話さなかったりする仲から、まずはお互いに顔を知っていて談笑する仲へと昇格するようにしましょう。これだけでも、仕事がかなりスムーズに進みます。
幹事やイベントの企画を行う
それでは、具体的に何をすればあなたの社内人脈を広げることができるのでしょうか。これを実現するためには、幹事を引き受けたりイベントの企画をしたりしてみてください。
会社である以上は、社員間の交流を深めるために年に数回はイベントを催します。ダメな企業はそのようなイベントを開催しないかもしれませんが、優秀な会社はイベントを実行することで社内の意思疎通を図ることの重要性を理解しています。そのため、必ずイベントを開催します。
このとき、率先して幹事を引き受けるようにしましょう。全員をまとめる仕事が幹事ですが、報酬は発生せず、かなりの重労働になります。イベントの企画段階から参画する必要があるため、頭もかなり使います。ただ、敢えてこうした面倒な役割を引き受けるようにするのです。
幹事として活躍するようになれば、部署を超えてさまざまな人にアポを取ったり電話をかけたりするようになります。
そうして連絡を取っていると、当然ながら普段は絶対に会わないような役員や部長とも連絡を取るようになります。あなたが本気になって行動し、何度も連絡をするようになると必ず親身になって相談してくれるようになり、仲良くなるはずです。
もちろん、イベント開催の準備では他の部署の先輩や後輩、同僚とも協力します。そうした中で、部署を超えて交流を図っていくことを考えましょう。
つまり、イベントに参加することで多くの人と交流するのではありません。「イベント準備」を通して、他の部署の人と仲良くなるのです。
優秀な人と仲良くなるイベント活用術
こうしたイベントに協力してくれる従業員であるほど、優秀な社員である確率が高いです。そのため、開催準備の過程で親しくなった人とは、イベント終了後も良い関係を保っておくのがとても重要です。
例えば何か困ったことが起これば、部署を超えた頼みごとや根回しができます。役員や部長と知り合っておけば、社内で引き上げてもらえるかもしれません。こうして、社内人脈を広げていくのです。
なお、イベント開催の幹事をするときの注意点として、「トップの人にお伺いを立て、社長など肩書きが上の人から承諾を取っていく」ことがあげられます。会社組織である以上、決裁権は経営者や役員、部長の順番になります。
そのためイベントに社長が参加するとき、必ず最初に経営者の意見を聞くことでそれに沿うようにしましょう。その次に役員、そして部長という順番になります。
その他に属する「役職の低い人」の意見は無視して、経営者層の意見に従ったイベントにする必要があります。そうしなければ、トップ層の一言の意見だけで練ったイベント企画が一瞬にして台無しになることがあるからです。
ここまで考えて幹事を引き受け、イベントを成功させましょう。社内人脈を拡大できる人は、ほぼ例外なく仕事のできる人です。あなたが社内人脈を築くように努力し、さらには仕事まで頑張れば「昇進・出世」という形で必ず自分の身に返ってくるようになります。
同僚、上司、後輩との社内人脈の作り方・広げ方
なお、実際の社内人脈としては同僚、上司、後輩の3つに分かれます。当然ながら、それぞれで社内人脈を構築する必要があります。
それでは、どのように社内人脈を広げていけばいいのでしょうか。そこで、同僚、上司、後輩に分けて社内人脈の作り方・広げ方について確認していきます。
同僚との社内人脈の作り方・広げ方
同僚というのは、入社年度が同じ「同期」から考えて、3~5年ほどの先輩・後輩を含みます。会社の中では、3~5年程度の差であれば仲が良いことが多く、一緒に飲みに行ったり遊びに行ったりする機会がたくさんあります。
このとき、同じ部署だけでなく、違う部署の同僚と仲良くなる方法は単純です。それは、飲み会やイベントを企画したり幹事をしたりすればいいだけです。会社に許可を取る必要はなく、プライベートとして仲間うちでイベントを企画すれば問題ありません。
同期会などと称して、自分たちと近い入社年度の人たちにランダムに声をかければ、普段の仕事では会わない同僚とも話すようになります。
そうしてイベントで実際に会い、その後も定期的にイベントを開催するときに出欠の確認を取りながら「元気にしているか?」と聞くようにすれば問題ありません。これだけで、会社の中で多くの同僚と知り合いになれます。
このようにイベント開催の幹事をした後、再び企画をしたり電話でのやり取りをしたりするだけで同僚との社内人脈を作ることができます。これは人見知りの人であっても、意外と決意さえすれば誰でも問題なく実行に移せる人脈構築法です。
上司との社内人脈の作り方・広げ方
それに対して会社内での上司であれば、あなたの成績をつけたり転勤先を決めたりと大きな権限をもっています。こうした上司と付き合うときに重要なのは、「どの上司を目指したいのか」を決めることにあります。
上司には優秀な人がいれば、ダメな人もいます。このとき肩書きが下でも素晴らしい人がいれば、上の役職であっても残念な人がいます。そのため、役員や部長などの役職に関係なく、あなたが尊敬できる上司を見つけて付いていくようにしましょう。
いまは役職が低かったとしても、「この人!」と思う人は数年後にトップへと上り詰めているケースがほとんどです。
そのため、肩書きに惑わされずに人を見極める必要があります。このような人を見つけたら、1~2年間はその人の考え方や仕事への取り組み方を必死になって学ぶようにしましょう。そうして、自分の仕事に応用させていくのです。
重要なのは、その人に誘われたら「たとえ休日であっても誘いに乗る」ことです。飲み会は一緒についていく必要があるし、家に呼ばれたらすぐに承諾するようにしましょう。
一見すると面倒のように思えますが、数年後にトップへと上り詰めるような人の考え方を学べるのは、意外と飲みの場やプライベートでの会話であることは多いです。そのため、こうした場はかなり貴重になります。
そうして気に入られると、社外の人間と会うときに同行させてくれたり、異業種交流会へ連れていったりしてもらえます。こうした会合やパーティーで学べることは多く、そこからいくらでも自分自身の仕事へ応用させることができます。
後輩との社内人脈の作り方・広げ方
そして3つ目に、後輩とも社内人脈を広げるといいです。会社の先輩からは、仕事の考え方や手法を盗んで自分に応用させることが大切です。それでは後輩はどうかというと、自分の技術や仕事のノウハウを積極的に伝えるようにします。
後輩の人脈がない人であるほど、「この仕事はまだ後輩に任せられない」と考え、自分で行おうとします。
一方、後輩からの人望が厚い人であるほど、後輩へ期待を寄せることで「お前ならこの仕事ができるはずだ」と考えて、後輩に対し仕事を積極的に投げます。
自分が3年かかってできるようになった仕事を、後輩が1年で行えるように指導するのが後輩との人脈を作るうえで重要な考え方になります。
先輩風を吹かせるのではなく、知識は積極的に与えるようにしましょう。そうして指導をしていくと、後輩が失敗したり問題を起こしたりすることがあります。そのとき怒ってしまう人は多いですが、これでは逆効果です。
そうではなく、「なぜ問題が起こったと思うのか」「次にどのように対処すれば失敗を回避できるのか」「自分自身はどうしたいのか」について、後輩と積極的に議論しましょう。
一方的に叱ると後輩は萎縮するだけですが、フォローであれば自ら過ちを認めて改善しようとします。先輩という立場にあるのであれば、冷静になって後輩と向き合わなければいけません。
イベントの誘いで感謝の気持ちと個別メッセージを送る重要性
なお、実際にイベントを企画するときは人に参加してもらわなければいけません。このとき、どのようにして人を集めるでしょうか。
イベントの告知というのは、たくさんメールをばら撒けばいいわけではありません。実際、多くの人にランダムで案内をする人であるほど、集客が上手くいっていません。
1000人に告知しても集まる人がゼロであれば、イベントを案内した意味がありません。そのため告知する人数ではなく、どれだけの人がイベントに来てくれるのかを考える必要があります。
イベントに誘うとき、まずはあなたの中で「この人を誘いたい」とリストアップするようにしましょう。その後、今度はその人に対して日ごろの感謝を述べたメッセージと共にイベント案内を伝えます。そうすれば、参加・不参加に関わらず必ずメッセージが返ってくるようになります。
その人が既に予定があって不参加であったとしても、普通であれば丁寧に書かれた個別メッセージを無視することはしません。そうして不参加表明をされたとき、あなたは「またご飯でも食べに行きましょう」と軽く流せば問題ないです。
個別メッセージは威力が高いものの、反対にコピペ文章を大量に送ったときは逆効果になります。「自分ではなく、他の人にも同じようにメッセージを送っているのだろう」と思われた瞬間に無視されます。
そのため最初は「絶対に誘いたい人のリスト」を構築し、個別メールで伝えます。その後に、社内への一斉メッセージを促せばいいです。
このとき個別メッセージによって既に参加予約を取り付けている人がいれば、メールの一斉送信をして会社内でイベントが話題に上がったとき、「私は参加予定だよ!」と他の人へ言ってくれます。こうして、多くの人が参加してくれる可能性が高まります。
イベントを告知して人が集まらない理由
ただイベントへ誘うとき、メッセージを送る相手の属性を考える必要があります。分かりやすい例でいえば、既婚者に対して婚活イベントの案内をしても意味がありません。これと同じように、どのような人に参加してもらいたいのか考えるようにしましょう。
実際、単に「社内交流のために飲み会を開催します!」とメールを送ってもほとんど反応はありません。参加者にとって、どのようなメリットがあるのか分からないからです。
そこで、メッセージを絞りましょう。例えば、同期を集めたいのであれば「同期会を開催します」といえば非常に分かりやすいメッセージになります。
一方でお偉いさんを集めたい場合、例えば「経営陣の理念や仕事方針を理解・共有するため、社員参加型の旅行(家族同伴OK)を企画する」がいいかもしれません。これなら、役員にとって経営理念を共有できるというメリットがあり、お偉いさんたちが問題なく参加してくれる確率が高まります。
参加してほしい人を明確にした後、その人が反応するメッセージを投げかけましょう。そうすれば、目的の人とコネクションを作れますし、部署を超えたつながりを構築できます。
ビジネスでの人脈が広いと社内で昇進・出世する
ビジネスである以上、その人の実力は非常に重要です。ただ会社組織の場合、このときの実力には「仕事の能力が優れている」だけでなく、「どれだけ社内人脈を構築し、他の人に気に入ってもらえるか」も含まれています。
つまり、人脈構築も実力のうちだといます。そのためには、同僚だけでなく上司や後輩とも部署を超えたコネクションを作り上げなければいけません。
そこで幹事を引き受けることで、準備を通して他の人と仲良くなりましょう。もちろん、これを忠実に実行できる人は圧倒的に少ないです。社内出世をしたり会社内で大きな活躍をしたりする人が少数なのは、実際に行動しないからです。
そこで、あなたは社内人脈を広げるために行動し、優位にビジネスを進め、出世していくようにしましょう。そうして同僚、上司、後輩とそれぞれ良い人脈を作っていけば、必ずあなたにとってプラスに働くようになります。
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