心理学

損失回避性(プロスペクト理論)のマーケティング・リスク回避とは

ビジネスをして商品販売をするとき、営業の場面でもマーケティングを仕掛ける場合でも、当然ながら売上を大きくして利益をたくさん出すことを考えなければいけません。

ただ、このときダメな営業方法があります。それは、「この商品はいつでも購入できます」とアピールすることです。いつでも買えるという見せ方だと、「別に今日でなくても良い」と思っていつまで経っても購入されません。

そこで、ビジネスの場面ではお客さんに対して失う恐怖を演出する必要があります。これを損失回避性(プロスペクト理論)といいますが、マーケティングを実践するときに非常に重要となる考え方です。

それでは、お客さんに対してどのように購買の意思決定を促せばいいのでしょうか。ここでは、ビジネスで理解するべき損失回避性について解説していきます。

人は意思決定で損失を恐れる実際の事例

人間は得ることよりも、失うことに対して恐怖を覚えます。例えばあなたが夜眠っているとき、深夜26:00(朝2:00)に急に電話が鳴って叩き起こされ、次のようなことを言われるとします。このとき、どのような感情になるでしょうか。

おめでとうございます。一ヶ月前に応募して頂いた懸賞ですが、見事一等の車が当選しました。これから手続きをします。

多分、ほとんどの人は「いま何時だと思っているんだ」と怒り出します。車が当選したとはいえ、人を起こしてまで真夜中に電話をかけてくるのは非常識だと考えます。

それでは、次の場合はどうでしょうか。

今すぐ起きてください。あなたの車が車上荒らしに遭遇しています。

この事例であると、一気に目が覚めて飛び出していくと思います。そして、電話をかけてくれた人に「よく知らせてくれた」と感謝します。まったく同じ深夜にかかってきた電話であっても、車の当選では怒るのに、車を失う方では感謝するのです。

このように、人は失うことに不安を感じます。そのため、ビジネスを行う場合でも「〇〇をプレゼント」よりも、「〇〇のプレゼントはあと三日間だけです」と失ってしまうことを伝えた方が効果的になります。

ビジネスを行う上で、こうした限定性はとても重要になります。何かしらの限定性を付け加えることにより、人は失う恐怖を味わうことになります。これによってようやく意思決定し、行動するようになるのです。

「得られる利益よりも、失うことによる苦痛の方が大きい」という事実を理解すれば、「なぜビジネスで希少性(限定性)を付けなければいけないのか」を理解できるようになります。

行動経済学での損失回避バイアス:プロスペクト理論

なお、行動経済学の有名な理論の一つとしてプロスペクト理論があります。これについては、損失回避性(損失回避バイアス)を学べば容易に理解できるようになります。

プロスペクト理論では、次のような例が出されます。

・事例1

以下のような2つのくじを選ぶことができます。あなたならどちらを選ぶでしょうか。

  1. 必ず1万円が当たるくじ
  2. 50%の確率で2万円が当たり、残り50%は0円のくじ

この場合であると、多くの人が「1. 必ず1万円が当たるくじ」を選びます。これは、1万円を失う恐怖を回避するために行います。つまり、損失回避性が働いているのです。

それでは、次の場合はどうでしょうか。

・事例2

  1. 必ず1万円の罰金は払わないといけない
  2. 50%の確率で2万円を払わないといけないが、残り50%は罰金が免除される

このように条件を変えると、今度は「2. 50%の確率で2万円を払わないといけないが、残り50%は罰金が免除される」を選択する人が多くなります。

今回の場合であると、「罰金を払わないといけない」という損失を回避しようと行動します。つまり、多少のリスクがあっても罰金が免除される方を選ぶ人が多くなります。このように、「得をするか損をするかで価値の感じ方が異なってしまう」という考えがプロスペクト理論です。

お金の価値としてはどちらも1万円です。しかし、条件を変えると人は行動を変えてしまうのです。この原理が全て行き着くところに損失回避性があります。

これを理解すると、なぜ株やFXなどの投資で多くの人が損をしてしまうのかを理解することができます。人間は損失回避を行う性質があるため、これに逆らわない限り素人が株やFXで稼ぐのは難しいのです。

フレーミング効果で説明されることもある

なお、損失回避バイアスを考えるとき「フレーミング効果」で説明されることもあります。フレーミング効果とは、まったく同じことであっても、言い方を変えるだけで捉え方が異なる心理現象を指します。

例えば、以下の2つの表現があるとします。このうち、どちらを選択したいでしょうか。

  1. この方法を実践すれば、10人のうち7人が助かる
  2. この方法を実践すれば、30%の人は死ぬ

両者はまったく同じことを言っていますが、「1. 10人のうち7人が助かる」が選ばれます。人はリスク回避のため、「30%の人は死ぬ」という失うことを避けようとするからです。ただ、よく考えると両者は同じことを言っています。

このように、フレーミング効果の一部に損失回避性(プロスペクト理論)があります。

値上げを行うことで購入させるビジネス手法

損失回避バイアスとは、損失を回避するあまり正常な判断ができなくなることを意味します。ただ、この損失回避バイアスはマーケティングの場で非常に効果的に利用することができます。

例えば、ビジネスの場で購買を促すために行う手段の最も一般的な方法として値上げがあります。リアルビジネスを含めて多くの企業が行っているのではないかと思います。

私の知り合いであれば、ネットビジネスでの教材販売で値上げをしている人がいて、その人は一ヶ月単位で区切りをつけて500円ずつ値上げをしています。例えば、以下のような感じです。

値上げの様子

別にこれは値上げによって売上を大きくしたいのではありません。わざと少額の値上げを行うことによって、値上げ直前に商品を買わせるためにしているのです。たとえ500円であっても、お客さんにとって値上げは良いことではありません。そのため、どうしようか迷っている人にとって値上げ直前はどうしても心が揺れ動いてしまうのです。

もし値上げがなかったとしたら、どうしようか迷っている人は「また後でいいや」と思ってしまいます。しかし、ここに値上げが加わることによってようやく動くようになるのです。

もちろん、デメリットもあります。これら商品を値上げすると元の値段に戻すことができなくなります。時間と共に値段が高くなってしまうため、新規顧客に取ってみれば最初からもの凄く高い値段が設定されていることになります。そのため、売れません。

これはリアルビジネスやネットショップ(ECサイト)でも同じような現象が起こります。リアル店舗やネットショップではセールなどによって区切りを付けることにより、その期間だけは爆発的に売ることができます。

しかし、これを何回も繰り返していると、お客様はセールに慣れてしまって「安売りのときしか買わない」という選択をしてしまいます。その結果、セールをしていない通常時の売上がガクンと下がってしまいます。

安売りは大きな売上を作ることはできますが、その分だけ大きなリスクも含んでいることを認識しなければいけません。これを避けるために、例えば上顧客だけ「感謝セール」としてDM(ダイレクトメール)を流して差別化する方法があります。このように、ビジネスの罠に落ちない対策もあります。

販売中止により商品を売りぬいて利益を出す

値上げは購買意欲を起こさせる常套手段ですが、販売中止は購買を促す最強の手段となります。人間は失うのを最も嫌います。「いつでも手に入る」と思っていたものが急に手に入らなくなると思うと、手に入れるために急いで走り出します。

期間限定商品が比較的売れるのもこのような理由があります。ある一定期間しか売らない事を明示すれば、特に最終日が近くなるにつれて商品が売れ始めます。

こうした期間限定の手法は多くの会社で取り入れられています。お客さんにとって値上げは良くないことですが、販売中止はもっと最悪なのです。そのため、効率的に商品・サービスを買ってくれるようになります。

この方法のデメリットとしては、もう一度その商品を復活させることができない点があげられます。販売中止をしたにも関わらず復活すれば、ほぼ確実に既存顧客に不信感を植え付けてしまうからです。

ビジネスであるため、お客さんに不信感を抱かせるマーケティングは将来的に損失が大きくなります。そのため、期間限定商品は本当の意味で限定販売でなければいけません。

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特典の限定性を活用してもいい

なお、損失回避バイアスによって購入へと導くことを考えている場合、商品自体を販売中止にするのではなく、特典に対して限定性を付けても問題ありません。これであれば商品自体は継続販売しつつも、特典の内容を変えるだけで売上を増やせるようになります。

例えば、以下はクレジットカードの申込画面ですが、このように特典に対して限定性を付けることは頻繁に行われています。

また、以下のような特典の限定を実施している会社もあります。

たとえ商品そのものに限定性がなかったとしても、価値ある特典を限定品として商品に付与することにより、お客さんの心の中に失う恐怖が芽生えます。これにより、限定品付きの商品を購入してくれます。

また、このときのポイントは、限定品を今回限りに設定していることです。もし別のシーズンに同じものを特典として付けるのであれば、お客さんは「また次回売り出されたときに買えばいい」と考えます。その結果、特典を付けたにもかかわらず商品をほとんど売ることができません。

商品をできるだけ多く売りたい場合には、お客さんに失う恐怖が芽生える仕掛けを導入することが重要です。これによって、ビジネスでの利益を増やせるようになります。

損失回避性でビジネスを大きくする

多くの人は商品・サービスを販売するとき、いつでも問題なく購入できるようにします。その結果、いつまで経っても買われることがありません。

そこで、限定性を付けるようにしましょう。期間限定として販売したり、値上げ戦略をしたりすることによって希少性を持たせるのです。そうすれば、一気に商品が売れていくようになります。

人間というのは、得るものよりも失うことの方が影響力は大きいです。そこで得することよりも、失うことに着目しましょう。そうすれば、どのように商品販売をすればいいのか理解できるようになります。同じことでも、損失回避バイアスに焦点を当てるだけで購入されるようになるのです。

営業でもマーケティングでも、商品を買う意思決定をしてもらうように誘導しましょう。そのとき、損失回避性が大きく役立ちます。

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