店舗運営でもネットビジネスでも、大きな売上を出すときに重要な考え方としてリピート客があります。リピーターを獲得することによって、リピート率を向上させることがビジネスのキモとなるのです。
多くの起業家や経営者を含め、ビジネスマンの大半は新規顧客の獲得ばかりに意識を向けます。一方でリピート客の流出を軽視してしまう傾向にあります。
しかし、これでは会社の売り上げを伸ばすどころか、企業自体が疲弊していきます。そのため、コップの穴から水が漏れるのを止めなければならないのと同じように、リピート客の流出を防ぐ方向に意識を向ける必要があります。
ここでは、新規顧客を集めるよりもリピート客の流出を防ぐことの重要性とその方法について解説していきます。
水漏れ分析を行い、リピート客(見込み客)を育てる
売上を決定する要素として「新規顧客」「流出顧客」があります。流出顧客とは、「リピート客が減った人数」と同じ意味で捉えれば良いです。
- 客数 = 既存顧客の数 + 新規顧客の数 - 流出顧客の数
ビジネスでは、たくさんのお客様を抱え込むことが大切です。しかし、新規顧客の確保ばかりに意識を向けるべきではありません。なぜなら、新規顧客を獲得するよりも、リピート客の流出を阻止する方が、少ない労力で済むからです。
実際のところ、一度でもあなたの商品やサービスにお金を払ったことがあるお客さんは、あなたの商品やサービスに対する情報を知っています。それに加えて、何かトラブルが起こったわけでもない限りは、あなたが提供する商品・サービスに対して好意的な印象を持っています。
そのためリピート客の場合、新規顧客の獲得よりもコストが1/5で済むといわれています。実際にリピート客に対しては、新規顧客を相手にするときのような「自己紹介や商品(サービス)の説明」を実施しなくていいです。一度でも商品を購入してくれたお客さんというのは、強力な見込み客でもあるのです。
またリピート客であれば、既にあなたの会社の商品・サービスを利用しているため、新しい商品を紹介したときに、嫌悪感を抱かずに買ってくれる見込み客の可能性が高いです。ビジネスでは、新規顧客よりもリピート客の確保に注力した方が効果的なのです。
いくら新規顧客を集めたところでリピート客が減っていけば(流出顧客の数が増えていけば)、バケツに大きな穴が開いているのと同じように客数が増えていくことはありません。
そこで、流出顧客を減らすためにバケツの穴を塞がなければいけません。この作業を飛ばし、新規顧客にばかり目を向けても意味がありません。このようにリピート率の向上を考えてビジネスを行い、マーケティングを進めてていくことを「水漏れ分析」といいます。
リピーターの作り方:リピート率の平均を上回るには
ただリピーターとして見込み客の獲得を実現するためには、それまでのやり方とは大きく異なる対処法を実施しなければいけません。広告を出しても意味はなく、正しいやり方で顧客の獲得を目指す必要があります。
実際、何も行動しなければリピート率は低くなります。例えば新しくお客さんが飲食店で食事をしたとき、その店をリピート客として2回以上利用する割合は平均で約30%だといわれています。業種によって多少の変動はありますが、他の70%の店はリピートされないのです。
それでは、その店の対応が悪かったり料理の味が良くなかったりしたかというと、そういうわけでもありません。ただ単に忘れられているだけです。また、リピートしない最も多い理由として「なんとなく」があります。
そこでリピート率の向上で重要になるのは、「お客さんに忘れられない」ことです。
定期的にお客さんへアプローチして、忘れられないように注力すれば何度もリピート客として訪れてくれるようになります。
そのために必要な手法としては、主に以下のようなものがあげられます。
- メルマガ、DMによるリスト戦略
- VIP客として優遇する
- SNSで情報発信する
- 会員モデルに落とし込む
リピーターの確保をしたいのであれば、これらをできるだけ実施しましょう。飲食店などのリアル店舗からECサイト(ネットショップ)を含め、すべてのビジネスで通用するマーケティング戦略だからです。
顧客リストを獲得し、メルマガやDMで再販を促す
ビジネスで必須となるアイテムが顧客リストです。実際にあなたの店を利用してくれた人に対して、再来店・再販を促すために必ず獲得するべきものがリストだといえます。リストを獲得するだけでリピート率は格段に上昇するようになります。
顧客リストとは、要はお客さんの個人情報だと考えてください。
- メールアドレス
- 名前
- 住所
- 電話番号
これらがすべて顧客リストになります。こうした情報があればメルマガを送れますし、住所に対してDM(ダイレクトメール)を送付することも可能です。
例えば、以下は私が通っているダイビングスクールから届いたDMです。
新年のあいさつDMですが、もちろん裏には「福袋キャンペーン」「お得な割引チケット」などもあり、積極的に再来店させるための仕組みがありました。当然、こうしたDMを受け取ったとしても既存のお客さんなので売り込みされたとは感じず、店へ足を運ぶようになります。
また、メルマガ(メールマガジン)も非常に効果的です。DMの送付にはお金が必要になりますが、メルマガであればほとんど費用はかかりません。お客さんのメールアドレスを知っておくだけで、登録解除されない限りは何度でもアプローチできます。
実際、先ほどのダイビングスクールは私に対してメルマガでも以下のように新年のあいさつメールを送ってきています。
このように、いろんな方法によってお客さんになった人へアプローチしていることが分かります。
ちなみに、私が通っているこのダイビングスクールは日本でも非常に大きなダイビングスクールであり、非常に成功しています。これには、当然ながらリピート戦略を含めたマーケティングをしっかり実践していることが要因となっています。
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お客さんを優遇して手厚いサポートを行い、ビジネスを拡大させる
他にリピート客を増やす方法が存在し、その一つにサポートの充実があります。商品・サービス自体の性能を向上させる必要はなく、お客さんを優遇するだけであなたの商品・サービスの売上が伸びるようになります。
実際のところ手厚いサポートがあれば、それだけでお客さんは次回からもあなたから商品を購入するようになります。
例えば私の親は非常に倹約家であり、できるだけいろんな店舗を見て回った後に最安値の店で商品を購入するような人です。
そうした親にも関わらず、車については「値段に関係なく絶対にこの人から購入する」と決めている営業マン(ディーラー)がいます。要は、その人に対して絶対的な信頼を寄せているのです。
例えば以前、私の兄が田舎道で車を運転していたときにシカと衝突したのですが、日曜日の深夜にも関わらずその車のディーラーさんが駆けつけてくれて対応してくれました。こうした営業マンの対応から、何があっても車はその営業マンからしか購入しなくなったのです。
お客さんが困っているとき、どれだけ真摯に対応して問題を解決してあげられるかがビジネスで非常に重要です。顧客を感動させることができれば、値段に関係なく何度もリピートしてくれるようになります。
・上級会員を作ってもいい
また、このときは上級会員を作ることにより、ロイヤルカスタマー制度を導入しても問題ありません。これについては、多くの会社が導入しています。
例えば私であれば、ANA(全日空)の上級会員になっています。貯めるポイントはすべてマイルであり、さらには上級会員なので特別な空港ラウンジを利用できるなど、会員だけのサービスを受け取れるようになっています。
当然、飛行機の予約はLCC(格安航空券)でなければ、JAL(日本航空)でもありません。すべてANAです。また、利用するクレジットカードもANAカードです。
私は完全にANAの戦略にはまっているわけですが、こうした上級会員の制度を利用することでロイヤルカスタマーを構築し、できるだけ優遇するように仕向けても問題ありません。
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SNSで情報発信し、再来店・再購入につなげる
また、いまの時代はWebマーケティングが必須になります。このときリピート率の向上に重要なものがSNSです。TwitterやFacebookなどがビジネスで活用するべき代表的なSNSです。
リアル店舗によっては、「Facebookでいいね! をしてくれたら〇〇をプレゼント」「Twitterでその場でフォローしてくれたら〇〇をおまけで差し上げます」などのように優遇していることがあります。これは、再来店につなげる一種の戦略だといえます。
こうしたSNSを活用して情報発信すれば、当然ながら店に来てもらった人へアプローチできるようになります。私も実際にSNSを活用していますが、以下のようにTwitterで情報発信をしています。
私はビジネスセミナーを開催することがあり、そのときは参加した人に対して必ずSNSの登録をしてもらうようにお願いしています。以下のように、セミナー最後にはSNS登録の案内をするのです。
これによってSNSに登録してくれれば、SNS上で告知をすることで再びセミナーに来てくれる可能性が高くなります。SNSは新規顧客の獲得に有効ですが、リピートにつなげることでも大きな力を発揮するようになります。
また、こうしたSNSは見てくれる人の数が多くなるほど大きな拡散力を発揮するようになります。そのため、店舗ビジネスやECサイトなどのネットビジネスを含め、すべての事業で必要になるWebマーケティングの手法だといえます。
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会員モデルに落とし込み、リピートにつなげる
また、半強制的にリピートさせる戦略を採用しても問題ありません。こうしたビジネスモデルとして会員モデルがあります。会員モデルとは、継続課金のビジネスモデルだと考えれば分かりやすいです。
世の中には継続課金を採用しているビジネスがいくつもあります。例えば、以下のようなビジネスです。
- 学習塾
- 携帯電話
- ネット回線
- 保険
- 化粧品
こうしたサービスは特別なことがない限り、ほぼ解約されないという特徴があります。携帯電話を毎月のように変える人はいませんし、化粧品についても気に入ったものであれば何年も使い続けます。
そこで、同じように継続課金モデルを導入することで半強制的にリピートしてもらうようにしましょう。例えば、あなたがダイエットジムを経営しているのであれば、ダイエットサプリメントを販売することで継続課金を実現するのです。
本来、メルマガやSNSなどによってこちらからアプローチしなければお客さんとの関係が希薄になります。しかし、こうした継続商品であれば「何もアクションを取らなくても、お客さんとの関係を保てる」という大きなメリットがあります。
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社員の評価制度でリピーター獲得の比重を大きくする
しかし、こうした施策によってリピート改善対策を実施しても、場合によっては効果が半減します。実際にお客さんと接するスタッフの態度が重要になるからです。
一人社長であれば関係ありませんが、あなたが社員を雇っているのであれば評価制度を大きく変えるようにしましょう。具体的には、新規顧客ではなくリピーターをどれだけ獲得できたのかを評価対象にするのです。
多くの会社は新規客ばかりに目を向けているため、リピート客を増やすことができてもあまり評価されないことが多いです。
ただ、こうした評価制度を導入している経営者はビジネスのことを理解していません。リピーターの獲得の方が圧倒的に簡単に売上を伸ばすことができるため、本来は新規顧客よりも「リピーターに対して、何度も再購入させることができたか」を重視しなければいけません。
ビジネスで最重要なのが「リピート客を増やす方法をどれだけ本気で考えらえるか」になるのです。リピーター獲得を考える方がビジネス面でのメリットは大きいです。経営者はそのための仕組みづくりを考える必要があり、これは社員の評価制度も同様です。
お客さんの声を取り入れ、改善させてリピート率を上げる
こうしたマーケティング戦略を実施することでリピート率を向上させるのは基本です。すべてを実施することで、店舗に来たりサービスを利用したりした人に対しては何度もリピートさせるようにしましょう。
ただ、このときは商品・サービスの内容を改善しなければいけません。どれだけメルマガを送っても、SNSを更新しても、サービス内容が微妙だと次々とお客さんが離れていくようになります。そこで、リピート客の流出を防ぐためにお客さんの声を取り入れて商品内容を改善させましょう。
例えば、私は以下の英語サイトのコンサルをして、完全ゼロの状態から立ち上げて2年で月190万円の利益を生み出すまでに成長させたことがあります。
このときは月額課金の英語塾をサービスとして打ち出したのですが、以下のようなお客さんの声を取り入れていきました。
- 実際の英語を聞けるように音声が欲しい
- どのような手順で学べばいいのか分かる手順書が欲しい
- 高額でもいいので、ネット塾だけでなく直接指導もして欲しい
これらの要望を聞き入れ、実現させていったわけです。そうして、リピート率は大幅に改善していき、完全放置でもお客さんが増え続けていく仕組みを構築することができました。開始2年で月190万円の利益になり、後は勝手に収益が膨れ上がっていくビジネスモデルを完成させることができたのです。
お客様の意見は、正直に受け止めずに掘り下げる
ただ、リピート客の生み出し方では「意見を聞き入れるべき人を選ぶ」という考え方が非常に重要です。
例えば、あなたが駅近くで喫茶店を運営していたとします。このときアンケートを取ると、「コンセントがあって助かります。できれば、もう少し数を増やしてほしいです」との意見があった場合、あなたはどう対応するべきでしょうか。
多くの人はお客さんの要求通り、コンセントの数を増やそうと考え、そのまま実行します。ただ、これでは大きな失敗をしてしまう可能性があります
まず、喫茶店にコンセントの数を増やすことを求めるお客様とは、どのような人でしょうか。分かりやすいイメージの例としては、ビジネスマンがあげられます。この場合、あなたの喫茶店で仕事を行おうと考えているわけです。
もし、あなたが自身の喫茶店の店内を見渡したときに、ビジネスマンのお客様が数多く存在し、なおかつそのお客さんからしっかりと利益が出ているのであれば、コンセントを増やすのは良いかもしれません。
しかし、あなたの喫茶店を利用するビジネスマンの多くが、コーヒー一杯だけを注文し、さらに何時間もあなたの喫茶店に居続けるようであればどうでしょうか。あなたは十分な利益を出すことができなくなり、自分の喫茶店をつぶしてしまう可能性が高くなります。
・意見を出している人の客単価を見極める
利益にならないお客さんの要求を真正面に受け止めるのは避けなければなりません。そうではなく、客単価が高くてあなたの売上に貢献してくれる人の意見を積極的に聞き入れるようにしましょう。
これはビジネスの原則ですが、意外とできていない人は多いです。少額のお金しか払わないクレーマーに多くの時間を割き、たくさんお金を落としてくれるお客さんに時間を取れていない起業家・経営者は多いです。こうした状況を避け、上顧客の意見をたくさん聞き入れるようにしましょう。
単なるクレーマーはリピート率の向上に関与しません。そうではなく、本当に重要な顧客に対して力を注ぐことで多くのリピート客を獲得するようにしましょう。そうすれば優れたお客さんだけが残り、安定的にビジネスで売上を出せるようになります。
個人起業家や企業経営者にとってリピート客はメリットだらけ
個人の起業家や中小企業の経営者を含め、新規顧客ばかりを追い求めているのであれば、いますぐリピート客の獲得に注力するといいです。それだけで、翌月の売上がまったく違うものになります。
大企業の場合、すぐには経営方針を転換できません。一方で起業家や中小企業の経営者であれば、すぐに経営方針を変えることができます。広告をたくさん出し、新規客ばかりを追う戦略をやめれば、それだけで売上や利益が増大するようになります。
リピーター獲得はビジネスを考えるうえで必須です。本来、どれだけリピート率を向上させるかを最優先させなければいけません。
このときのやり方については、リスト収集やSNSの活用などいろんな方法があります。これらはすべて実践しましょう。
いますぐ導入でき、さらにはお金をかけずに可能になるのがリピート戦略です。リピーターの獲得に力を入れれば、すぐに顧客数が増えていくようになります。
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