マーケティングでは一人の人間を想定した上で、その人に対して商品を売っていくことが重要です。このような空想上の人をペルソナと呼びますが、ペルソナ(一人の人間)に対してのみ商売をしていくのです。

それでは、なぜビジネスで商品を売るときにペルソナを考えなければいけないのでしょうか。これは、そのほうが圧倒的に商品が売れるようになるからです。

ペルソナを用意したうえで、一人の人間のみをターゲットにビジネスをしていくことをペルソナマーケティングといいます。

起業家や中小企業が生き残るためには、分野を絞らなければいけません。マーケティングでは、「分野を半分に絞れば売上が倍になる」といわれています。そのためペルソナとしてターゲットを絞るほど商品が売れていきます。

しかし、正しいやり方で実施しなければ意味はありません。そこで、ペルソナマーケティングの具体的手法や実際の使い方について解説していきます。

ペルソナを設定するメリットは商品が刺さるから

多くの人は商品を売るとき、広く範囲を取ろうとします。つまり、「全員に受け入れられようとするビジネス」を展開しようとするのです。しかし、そうするとビジネスはすぐに破綻してしまいます。

これは、想像すれば簡単に理解できます。例えば次のような美容室があったとき、あなたはどの店に入るでしょうか。

  1. 男性専門の美容室
  2. 女性専門の美容室
  3. どちらも大丈夫な美容室

男性であれば、男性専門の美容室を選びます。そこまでのこだわりはなく、安くて早いものの、ある程度の質を保つことができれば問題ないと多くの男性は考えます。

一方で女性では、髪質のことを詳しく理解した女性専門の美容室を選びます。女性は美容にこだわりをもっている人が多いため、オシャレな美容室を選ぶ傾向にあります。

このとき、中途半端にどちらが来ても大丈夫なスタンスを取っている店は選ばれません。

これが「分野を絞る」というマーケティングの基礎になります。誰にでも来てほしいと考える気持ちは分かりますが、分野を絞らなければお客さんから選択されないと考えましょう。

たとえ医師のような高い知識を持った専門家であっても、総合内科のような何でも屋ほど選ばれません。骨折すれば整形外科に行きますし、肌荒れが起これば皮膚科に行きます。それぞれの専門分野に特化しているからこそ、お客さんの心に刺さるようになるのです。

ペルソナのコンセプトの作り方・使い方

冒頭で述べた通り、ターゲットを絞るほど商品が売れると考えてください。そのためペルソナの作り方やコンセプトの決め方としては、「どのような人に売りたいのか」という一人の人間を明確に決めることにあるのです。

例えば、結婚式を扱う会社の設立を行うときにペルソナを以下のように設定します。

  • 30歳女性
  • 結婚式は格式高い日本式で催したいと考えている
  • いつもは仕事で忙しい
  • 年収400万円ほど
  • 友人を呼ぶ人数は80~100人くらい

このように設定すれば、どのようなサービスを提供すればいいのか見えてきます。少なくとも、「オーダーメイドでどのような希望でも叶えます!」のようなメッセージを投げかけることはしません。そうではなく、和装専門の結婚式を扱う会社を設立するはずです。

同じオーダーメイドを扱う会社であっても、「神社で和装結婚式を実現したい方」などのようなペルソナを設定することで、そうした希望のあるお客さんに選ばれやすくなります。これが、ペルソナを設定するときのコンセプトの作り方になります。

ターゲットが広いと失敗する理由

しかし、ここまで伝えても多くの人はターゲットを広く構えようと考えます。それでは、なぜペルソナを絞らないほど商品が売れないのでしょうか。これは、メッセージを絞れないからです。

例えば、同じ20代の女性をターゲットにするにしても、以下のように非常にさまざまな状況に身を置く女性がいます。

  • バイトに忙しい女子大生
  • 最近、ちょっと疲れてきた会社勤めのOL
  • 育児に精を出す専業主婦

人が違えば心に響く言葉も異なります。このとき、ターゲット顧客を「20代の女性」と幅広く設定すれば曖昧なメッセージしか作り出すことができません。

そこで、「社会人3年目で仕事に慣れてきたが、上司からの重圧や後輩への指導など、ストレスが溜まって肩こりもひどく、頭痛にも悩まされている20代女性」とペルソナを決めればどうでしょうか。こうすると、最適な言葉が思いついてきます。例えば、以下のようになります。

【肩こりから来る頭痛に悩む、会社勤めの女性のために】

男性社会の中、仕事を頑張りすぎていませんか? 少し仕事に慣れてきたが、上司からのプレッシャーや後輩の指導などで板挟み状態。これが原因か頭痛に悩まされ、ストレスが溜まって肩もコリます。

でも、知っていましたか。実は20代の女性に起こる頭痛の約83.4%は肩こりからきます。そんな会社勤めのあなたにピッタリの商品が……

このようにメッセージを伝えれば、「まさに私のことだ!」と思われるようになって商品が売れていきます。一方でペルソナを意識せずに「20代女性のために頭痛や肩こりに効く商品を紹介します」と伝えても、まったく響きません。

本当に商品を売りたいのであれば、たった一人のペルソナを意識する必要があります。そうしなければ、商品は売れません。

思考停止に陥るビジネスでの要注意ワードとは

それでは、もっと別の視点で考えてみましょう。戦略を考えるとき、もしペルソナを絞れていないとどうなるでしょうか。この場合、ザックリとした言葉を使うことになります。

マーケティングでいう「思考停止に陥ってしまう要注意ワード」を使うことになるのです。思考停止に陥る要注意ワードとして、以下のような言葉があります。

  • 高品質
  • 高性能
  • 安心安全
  • 非日常
  • おいしい

これらの言葉が出てきたら非常に危険です。例えば、これから掃除機を売るとします。このとき「値段はかかるが、品質価値を分かってくれるお客様に高品質の掃除機を売る」と言えば、表面上は何だか問題ないように思えます。

しかし、実際は何の戦略にもなっていません。そもそも、誰にとっての高品質か答えになっていません。

高品質といっても、人によっては「強力な吸引力のある掃除機」が高品質かもしれません。子供を持つお母さんであれば、子供が起きないように「できるだけ静かに動く掃除機」が高品質になります。一人暮らしの人であれば、「あまり場所を取らないコンパクトな掃除機」が高品質です。

人が違えば高品質の意味も異なってきます。そのため、「高品質の商品を売る」では何の意味も持ちません。

こうした事態を避けるため、上記の要注意ワードを使ってはいけません。これら要注意ワードに共通することとして、「誰にでも適用できる言葉である」というポイントがあげられます。人が違えば求める物も異なるため、誰にでも適用できる言葉ほど当てにならないものはありません。

そこでペルソナを設定し、ターゲットを明確にしましょう。例えば同じ社会人男性であっても、女性と遊ぶことが好きな人に対しては「キャバクラが今だけ50%OFF」というオファーに飛びつくかもしれません。

しかし、真面目一筋で生きている家庭をもつ男性にそのようなオファーをしても無視されるだけです。その代わり、「いつもお世話になっている奥様が喜ぶ顔を見たくないですか? その奥様に最高のサプライズを提供するプレゼントサービスが今だけ50%OFF」であれば申し込んでくれるかもしれません。

戦略を考える場合、まずはターゲットとする人を細かく設定する必要があります。この過程を無視して、多くの人は「高品質」「最高の」「おいしい」などの曖昧な言葉を使いたがります。そのため、稼ぐこともできません。

こう考えれば、マーケティングの基本である「お客さんのペルソナを設定し、分野を絞る」という本当の意味が見えてくると思います。

商品コンセプトを絞り、セグメントしても問題ない理由

ペルソナを設定することで、刺さるメッセージを投げかける利点は分かりました。それではなぜ、一人の人間にまで絞ったとしても商品が売れていくのでしょうか。これは、人間の悩みはどれも共通しているからです。

例えば、先ほど紹介した事例に当てはまる人はどれくらいの人数がいるでしょうか。

  • 和装の結婚式を検討している人
  • 20代で肩こりに悩まされているOL

こうしたセグメント(一つの集団)であれば、恐らく日本全国で何万人、何十万人もいるのではないかと思います。そのため一人の人間に絞っているとはいっても、実際のところマーケットは非常に大きいです。そのため、問題なくビジネスをすることができます。

しかもペルソナマーケティングを採用することで、セグメントしたお客さんから確実に選ばれるようになります。

ペルソナを設定して分野を絞るほど売上が増えるのは、こうした理由があります。特に大手企業は大きな市場を拾おうとしますが、分野を絞れば個人の起業家や中小企業であっても問題なく大手企業に勝てるようになります。

・効果的なマーケティングでは、対象意外を無視するのがコツ

このとき、ペルソナを設定したらそのペルソナ対象以外の人を完全無視するのがビジネスで成功するコツです。下手に分野を広げようとせず、絞った状態のままビジネスを展開しなければいけません。

ペルソナマーケティングを行う場合、「ペルソナとして設定した人物にだけ売れれば良い」という考え方が重要です。

先ほどの「和装専門の結婚式会社」であれば、ホテルや教会で行う結婚式をサービスとして取り扱ってはいけません。これをした瞬間に特徴が薄まり、どのような人からも選ばれなくなります。

顧客セグメンテーションは儲かる分野でないと意味がない

ただ、他にもペルソナマーケティングのやり方にはコツがあります。それは、顧客セグメンテーション(攻めるジャンルを一つに絞り、ペルソナを設定すること)を実践するときは「市場性があって儲かる分野でなければいけない」ことです。

実際、非常に特殊なペルソナを設定し、ニッチ市場を攻めるとはいってもお客さんのいない分野で勝負しようとする人がいます。

例えば、英語ビジネスを開始するにしても「TOEIC900点以上の人をターゲットにした英語教材」を開発しても売れません。そうした上級者は対象となる人数が非常に少ないですし、さらには上級者になるほど教材には頼らず自分の努力だけで勉強しようとします。

同じ英語ビジネスを展開するにしても、顧客セグメンテーションでは初心者をターゲットにしなければいけません。例えば、以下のような感じです。

  • TOEIC600点を目指す人
  • 海外勤務を命じられたが、英語を話せない人
  • 上司が急に外人になって焦っている人

こうした人がペルソナの対象になります。ペルソナマーケティングを採用するとはいっても、何でもいいから適当にターゲットとする人を決めればいいわけではありません。いくらペルソナを設定したとしても、市場性がなければ利益を出すのは難しいからです。

必ず市場性がある分野でペルソナを選択する必要があります。どのようなペルソナを設定するのが最適なのかは、慣れないと分かりません。ただ、一つの基準として「人ペルソナとして絞ったとき、対象となるお客さんが何万人もいるか?」を考えてみるといいです。

ペルソナ設定の成功事例:サイト運営でのWeb戦略の例

それでは、どのようにペルソナマーケティングを実践すればいいのでしょうか。実例があった方が分かりやすいと思うため、私の成功事例や失敗事例を含めて解説していきます。

まず、私はWebサイト・ブログの運営をメイン事業にしています。儲かるホームページを作るのが仕事になりますが、あるとき健康サイトの構築を考えました。この健康サイトには「ダイエット」「便秘」「体臭」など、あらゆる健康分野の内容を詰め込むことにしました。

実際のWebサイトが以下になります。

アクセスについては、わりと集まりました。1日500PV(ページビュー)は余裕で超えるサイト・ブログにまで成長したのです。

ただ、まったくWebサイト上から商品が売れませんでした。このサイトではいろんなジャンルがごちゃ混ぜで入っていたため、誰をターゲットとしているかペルソナが明確ではなかったからです。その結果、アクセスはあるものの月1~2個くらいした商品が売れない残念なサイトになりました。

この失敗を活かし、今度は分野をできるだけ絞ることにしました。次に着目したのは転職サイトですが、このときは「転職の総合サイト」の作成をやめることにしたのです。そうではなく、ペルソナを薬剤師だけに絞り、薬剤師の転職サイトを作ることにしました。

私自身が薬剤師であり、サラリーマンのときは実際に薬剤師をしていたので内情がよく分かり、作りやすかったという理由もあります。このサイトが以下になります。

特定の属性の人に絞った結果、1日300PV(ページビュー)しかないときであっても月30~40万円は稼いでくれるサイトに成長しました。いまはより多くのアクセスがあるので収益額はさらに大きいですが、先ほどの健康サイトよりもアクセスが少ないにも関わらず、圧倒的に利益額の大きいWebサイトになったのです。

参考までに、薬剤師の人数は全国で30万人以上います。そのため、絞っているとはいってもそれなりに大きな市場を狙っています。ただ、専門サイトになっているのでメッセージが刺さりやすくなり、効果的に成約するようになっています。

ペルソナを設定して分野を絞るほどうまくいくのは、マーケティングの大原則です。成功例と失敗例を見せましたが、絞らなければ必ずビジネスで失敗すると考えましょう。

分野を絞るための手順・順序

したがって、実際にペルソナを絞るようにしましょう。ここまで伝えたとしても、実際にビジネスを開始するときはペルソナマーケティングを無視する人が大半であり、それによって失敗します。

まず、あなたが起業家や経営者として参入している分野としては、どのようなジャンルがあるのでしょうか。このときの手順としては、思いつくだけジャンルを記載してみましょう。

例えば、弁護士であれば手掛けることのできるジャンルを以下のように分類できます。

  • 交通事故
  • 離婚
  • 企業法務
  • 知的財産
  • M&A
  • 国際仲介

当然、他にも多くの分野があります。この中で、参入ジャンルを一つだけ分野を選びましょう。「離婚専門の弁護士」などのように限定するのです。

一つしか選んではダメです。ペルソナは一人の人間であり、他のことには興味がないからです。欲張ってはいけません。その他の分野はすべて捨てるようにしましょう。

私も転職サイトを作るとき、他の職種はすべて捨てて薬剤師だけに特化させました。看護師でもなく、医師でもなく、薬剤師だけにセグメント化したのです。こうした結果、多くの人から選ばれるようになったわけです。

ビジネスに慣れていない人ほど、分野を絞ろうとしません。そうではなく、必ず一つの分野だけを選ぶといいです。

そうして冷静になったうえでライバルを見渡してみましょう。おそらく、ほとんどのケースで分野を絞れていないのではないでしょうか。

そうした中、あなたがペルソナマーケティングのことを正しく理解し、こうした手順によって儲かる一つの分野だけを攻めればどうでしょうか。その場合、ライバルは急にゼロになります。

ライバルがしていないからこそ、勇気をもって商売対象を一人の人間だけに絞ってビジネスを実践すれば、たとえ個人の起業家や中小企業であっても、儲かる市場の中であなただけが勝てるようになります。

ペルソナの決め方を理解し、正しいやり方を実施する

ビジネスで必須となる思考法がペルソナマーケティングです。一人の人間を設定しない限り、ビジネスで成功することはありません。

そこで正しいペルソナの決め方を理解したうえで、適切な順序でビジネスの対象となる人を絞るようにしましょう。

このときあなたがビジネスを開始する分野の中でも、どのジャンルを攻めるのか一つだけに決定する必要があります。その他のジャンルはすべて捨て去り、特定分野に絞るようにするのです。ターゲットではない人は無視するものの、ターゲット顧客に関しては必ず拾い上げるように仕向けるのがペルソナマーケティングです。

そのための方法を解説してきましたが、正しくペルソナを設定すれば利点ばかり生まれます。どの顧客に商品を買ってもらいたいのか明確にして、その人だけに刺さるメッセージを考えましょう。

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