組織の上に立ってリーダーという立場になると、勘違いしやすいものとして「威厳をもって接しないといけない」「何でも知っておかないといけない」と考えることがあげられます。

ただ、こうした振る舞いをするとリーダーとして失敗しやすいです。たとえ間違った行動であったとしても、その過ちを指摘してくれる人がいないために正しい結果を残すことができません。

それよりも、相談しやすいリーダーのほうが優れています。また、「困ったときは助けてほしい」というスタンスを取った方が上手くいきやすいです。こうした方針のリーダーであるほど、部下にも意見を求めます。助けてほしいからこそ、積極的にメンバーの意見を吸い上げようとするのです。

それでは、なぜリーダーはメンバーの意見を積極的に取り入れたほうがいいのでしょうか。これについて、より深く解説していきます。

権威付けの証明と機長症候群から、権威性の意味を学ぶ

リーダーである以上、当然ながらある程度の権威性がなければいけません。人を行動させる強力な方法の一つが権威性です。

例えば、見た目のみすぼらしい人から急に声をかけられたら、あなたはどのように対応するでしょうか。できるだけ無視して、関わりたくないように行動すると思います。むしろ軽蔑した目で見るはずです。しかし、これが警察官であればどうでしょうか。「そこのあなた止まりなさい」と言われれば、条件反射的に立ち止まってしまいます。

こうした権威性は別に特定の人に限ったことではありません。

例えば、学校の部活動では基本的に先輩の言うことに従わなければいけません。つまり、後輩にとって見れば先輩は権威の象徴になります。これは会社の上司であっても同じです。

人は誰でも権威を持つ人に従い、また立場が変われば権威を振りかざすことができます。このとき、リーダーとして権威を持っている人が他の意見を押し切った結果、良くない結果を招いてしまうことを機長症候群といいます。

これは医師と看護師との関係を考えれば分かると思います。たとえ医師が間違いを犯していたとしても、看護師はなかなかその誤りを注意することができません。どうしても医師という権威に従ってしまいます。

本来であれば、看護師は医療の専門家として医師の間違いを正さなければいけません。しかし現実的には難しいです。医師が考えを変えない限り、他の医療従事者は医師の決定に従うしかないのです。

圧倒的な権威によってパワーバランスのひずみが生まれると、間違いが起こっていたとしても指摘されないというデメリットが発生します。

機長症候群というのは、「機長(偉い人)の指示が間違っていたとしても、副操縦士はそれに従ってしまう」ことから名前が付けられています。実際、過去にはそうした墜落事故も発生しています。

相談しやすいリーダーはチームのトラブルを未然に防げる

そこでビジネスでのトラブルを防ぐためには、リーダーは「自分の意見は間違っている可能性がある」と、常に認識しなければいけません。それと同時に、部下の意見を積極的に聞くことが重要です。ただ、そのためには「相談しやすいリーダー」にならなければいけません。

組織では「現場で働く人」と「管理する人」に分かれます。最初は必ず現場で働くプレイヤーとして活躍することになりますが、その後はリーダーやマネージャーとしてチームをまとめる立場へと変わっていきます。メンバーに高いパフォーマンスを発揮させることにより、組織を達成へと導くのです。

このとき、リーダーとして組織を引っ張っていくと必ずトラブルに巻き込まれることがあります。こうした不測の事態が起こったとき、「上司として、どのように部下と接するのか」が重要になります。それによって、「トラブルを未然に防げるかどうか」が違ってくるからです。

リーダー・マネージャーとして組織の上に立つ人間であれば、このときは「相談しやすいリーダー」を演じるといいです。これによって、部下は上司に何でも相談してくれるようになります。

トラブルに対して感情的にならず、むしろ感謝すべき

よくあるダメなリーダーの行動としては、トラブルが起こったときに感情的になることでメンバーを叱りつけることがあげられます。

これでは、部下は萎縮してしまいます。そうなると、上司が間違った行動をしていたり、何か問題が起こったりしても指摘・報告してくれなくなります。そうしてトラブルの種が次第に大きくなっていくと、問題が表に出てきたときには既に取り返しのつかない事態にまで発展しています。

また感情的なリーダーであると、部下はいつも顔色を伺うようになってしまいます。怒ったり叱ったりするなど、感情的に対処するのはマイナスの作用しかありません。そこでリーダーやマネージャーの立場にある人は、チームメンバーがトラブルの相談をしてきたときに「報告してくれてありがとう」と感謝の気持ちを伝えなければいけません。

問題の報告をして感謝するのは矛盾しているように思えますが、「勇気をもって言いにくい相談をしてくれて感謝している」というニュアンスの「ありがとう」になります。

上司である以上、「部下から相談しやすいリーダー」に徹する必要があります。そうしないと、ビジネスの方向性がズレたままになってしまうからです。

トラブルは放置すると傷口が広がってくるため、大問題に発展する前に未然に防ぐ必要があります。そこで相談されやすいリーダーになれば、問題への対処が早くなります。

一番下の社員から発言させるべき理由

ただ、部下の意見を聞くとはいっても「本心の意見」でなければいけません。そのため、「単純に、部下の意見を聞けばいいわけではない」ことを理解しましょう。

例えば会社で会議を催すとき、社長や部長など一番強い権威をもつ人が最初に意見を言ってしまう会議は最悪です。たとえそれが間違った判断であったとしても、権威をもたない周りの社員はそれに従わざるを得ないからです。

会議のとき、「私は〇〇がいいと思うが、他の人はどう思う?」などのように社長が最初に発言すると、全員がそれに従うようになります。たとえ、本心の意見は違っていたとして追従してしまうのです。

権威をもたない社員は、「下手なことを言って、立場の強い人の機嫌を損ねたらいけない」と考えてしまうわけです。そうして、会議自体が中身のないものになります。

このような事態に陥らないためには、一番強い権威をもつ人の意見は後回しにして、権威をもたない社員から意見を聞き出すように配慮しましょう。当然、権威のない人が言った意見すべてに耳を傾け、権威でねじ伏せるようなことをやってはいけません。機長症候群を防げるかどうかは、権威をもつ人の言動・行動にかかっているのです。

組織のリーダーは部下の意見を積極的に聞くべき

それでは、なぜこのように部下の意見を取り入れるほど優れた組織になってくるのでしょうか。これには、当然ながら理由があります。

まず世の中には、膨大な情報があります。それらをすべて把握するのは困難です。さらにいえば、特定の知識については部下の方が詳しいケースが頻繁にあります。

実際、リーダーとして働いている上司よりも、部下のほうが「担当している得意先の実情や注意点」を詳細に把握しています。部下の業務範囲については、リーダーよりも部下のほうが、知識が豊富なのは当然のことだといえます。

こうした事実を認識したうえで、メンバーが最新情報をもっているのであれば、リーダーはそうした内容を吸い上げるように注力すれば問題ありません。

要は、メンバー一人ひとりを専門家として扱うようにします。リーダーは先導者としての役割があるため、目的・目標に向かわせるように部下を軌道修正するのが仕事であり、すべてを知っておく必要はないのです。

「専門分野(部下の担当範囲)については、圧倒的に部下の方が詳しい」ことを認識したうえで、リーダーやマネージャー職の人は「彼らにアドバイスを求める」というスタンスを取りましょう。

リーダー・マネージャーが部下の仕事へ介入すると悪い結果となる

部下から積極的に意見を提示してもらい、それを聞き入れることは非常に有益です。ただ、その逆についてはあまり良い結果をもたらさないケースが多いです。

実際のところ、現場で働いているのはリーダーではなく部下です。お客さんと実際に接していたり、問題が起こったときに現場で対処したりしているのはメンバーだといえます。

そのため、現場レベルでの不満や意見を肌感覚で最も理解しているのは部下です。そのためよくある間違いは、部下が現場対応していることにリーダー・マネージャーが介入したり、意見を言って口出ししたりすることです。

考えてみれば当然ですが、専門家に対して素人が意見を言うとすべてが崩れます。例えば医者から診断してもらったのに、後になって素人の友人のアドバイスに従ってしまったら、当然ながら症状は悪化します。しかし、会社組織ではこうした場面が頻繁にみられます。

リーダーやマネージャーなど、上司に当たる人は全体を管理するのが役割です。ただ、それは「正しい方向に向かっているか」の管理です。細かいことへ指示出しすることが仕事ではありません。

前述の通り、現場で仕事を行っている範囲内では「部下はその分野の専門家」であるといえます。実際にお客さんと接し、最新情報を仕入れ、クレームも含めてすべて対処しているのは部下です。

そのような部下(専門家)が行おうとしている試みに対して、リーダー(素人)が知ったかぶりをして細かく口出ししようとすると、事態は当然のように悪化していきます。そこで口出しはせず、積極的に部下に仕事を任せ、むしろ積極的に意見を言ってもらうように仕向けましょう。

リーダーやマネージャーは部下を信じて仕事を任せるべき

上司には大きく2タイプ存在します。1つは、「すべて自分が管理しようとするタイプ」です。そしてもう1つは、「部下を信じて可能な限り仕事を任せるタイプ」です。仕事をすべて委任するのは勇気が必要です。ただ、部下を信じて任せるタイプの上司の方が組織はうまく回りやすくなります。

そのためリーダーである以上はメンバーを信じ、さらにはメンバーを専門家として捉え、積極的に意見を聞くようにしましょう。そうして部下からの声を拾い集めることで、現場レベルでの改善点を模索できるようになります。

ダメなリーダー・マネージャーであるほど、権威性だけを主張してメンバーの意見を聞き入れません。そうして機長症候群に陥り、組織がダメになっていきます。

しかし、それでは良い結果を生み出しません。本来は積極的に部下からの本音の意見を出してもらい、さらには部下に仕事を任せるように注力する必要があります。そうしてメンバーを指導し、正しい方向に導いていくことがリーダーやマネージャーには求められるのです。

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