商業出版

書籍出版の初校・校了やゴーストライターまでを含む執筆の流れ

作家として本を書くとき、既に何冊も本を出している人であればそこまで大きな不安はありません。ただ、初出版となると著者はどのようにして本ができ上がるのか分からないため、戸惑ってしまうことがあります。

出版企画書が通って編集者とやり取りをすることになったとしても、途中で頓挫して出版できなくなることがあります。そこで作家として執筆をするのであれば、どのように編集者と本を作り上げていくのか理解しておかなければいけません。

これら本ができ上がるときの流れを知ることにより、著者として何をすればいいのかを理解できるようになります。そこで、著者が商業出版するときの流れについて確認していきます。

出版企画書が通り、編集者と本を作る

あなたの出版企画書が通り、実際に本を執筆するとなると、編集者と一緒になってテーマや方向性を決めなければいけません。これについては、最初にザックリと方向性を定めたうえで、執筆しながら軌道修正していくのが一般的です。

最初の執筆では、パソコンで文章を入力することによって電子データで編集者あてに送付するようになります。そこである程度のやり取りをすると、編集者は紙に印刷をしたうえで赤字を入れたファイル(または紙の原稿)を返送してくるようになります。ここでのアドバイスをもとにして、さらに原稿を加筆・修正していきます。

実際に私が出版したとき、本を作成する過程で編集者から返ってきた生の原稿が以下です。

このように大量の指摘が入ります。このページだけでなく、一冊の本にするのでこうした指摘が200ページ以上にわたって行われます。指摘が多すぎるため、著者としてはどこから修正すればいいのか分からないほどになるのが現状です。

そうして修正していくことにより、内容を洗練させていきます。基本的には、あなたが最初に書いた文章よりも構成や言い回しが大きく変わるようになることを認識しましょう。原稿を書いた後、「編集者へ提出して修正する」という作業を何度も繰り返し、文章を洗練させていく作業を続けていくのです。

この段階で著者の筆力が足りなかったり、編集者と意見が合わなかったりすると、出版が途中で頓挫してしまいます。つまり「作家が出版するに値するレベルにある」ことが本を出すための条件になります。

そのため、企画書が通ったからといって安心してはいけません。次に説明する「初校」の段階になって、ようやく確実に本が世の中に出るようになります。

本が出版されるまでは初校(著者校正)や再校、校了がある

こうしてすべての原稿が完成した後、初校という段階へ移ります。初校まで行けば、あなたの本が世の中に出ることはほぼ確定したと考えてください。

初校とは、すべての原稿を印刷したうえで、それらに誤字や間違いがないかについて確認する、最初の作業のことをいいます。出版社によって異なりますが、初校では「校正者」と呼ばれる第三者の目線から赤ペンを入れられます。校正者の実力は人によって大きく異なりますが、優秀な校正者に当たれば運が良いといえます。

初校の段階では、まだいくらでも修正できます。そのため、担当の編集者と密にやり取りをすることで、さらに原稿の内容を研ぎ澄ましていきます。また、初校のときは作家にも原稿が送られて見直すことになり、これを著者校正といいます。

こうして初校が終わった後、もう一度文章の見直しをします。これを、再校といいます。通常の出版では、初校と再校の2回を行います。初校とは違い、再校では「てにをは」など細かい修正だけを行います。ここで大幅な修正をすると、文書のつながりが崩れるので最小限の修正に留めます。

そうして再校が終わると、すべての作業が終了します。この段階を校了といいます。校了まで行けば、あとはあなたの本ができるのを待つばかりです。

参考までに、以下は実際に出版社の編集者から送られてきたメールになります。

このように初校・再校・校了という流れになっていることが分かります。この流れを経て、商業出版としてあなたの本が世の中に出されると考えましょう。

出版する一ヵ月前から本を売る準備をする

なお、すべての原稿を執筆して仕上げたとしても、実際に出版されるまでには時間差があります。このとき、本が世に出るのをただ待っていてはいけません。著者は本を売るための努力をする必要があるため、出版の一ヵ月前から準備しなければいけません。

このとき、広告会社と打ち合わせすることで本の宣伝をする準備を進めておきましょう。新聞広告やネット広告など、本を宣伝することでようやく書店で売れていくようになります。

また、友達に宣伝したりプロモーションの準備をしたりしておく必要があります。他には、ポップの作成をしなければいけないかもしれません。

本を売るとき、出版されて最初の一週間が勝負になります。そのため、本が出た後に準備を開始しても遅いです。一ヵ月前から本を売るための手はずを整えることが、ベストセラーにするための秘訣です。売れている本の中で、著者が頑張って宣伝していない本は存在しないことを認識しなければいけません。

書籍出版では一連の流れがあります。本を執筆して編集者とやり取りを行い、初校・再校・校了まで完了したあとは、本を販売するための準備を行います。ここまで実行することが、作家として本を作り上げるときに必要な作業になります。

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本の執筆でゴーストライターを活用し、出版するメリット

ただ中には、文章を書くのが苦手であるために執筆作業が進まない人も存在します。こうしたときはどのようにすればいいのかというと、ゴーストライターに頼む手法が存在します。

書籍出版するとき、最も分かりやすい方法として「自分が執筆する」ことがあげられます。ただ実際のところ、ビジネス書を出版している多くの人は自分自身で本を書き上げていません。自ら執筆するのではなく、ゴーストライターが代行して原稿を執筆しています。

それでは、ゴーストライターへの依頼が恥ずかしいことなのかというと、必ずしもそうではありません。むしろ、ゴーストライターがいるからこそ、優れた知識やノウハウが世の中に出回るようになっています。

ゴーストライターを雇うにはお金が必要になりますが、自分が執筆するよりも時間を短縮しながらプロによるライティングをしてもらえます。

ゴーストライターに本を書いてもらうメリット

実際に執筆したことのある人なら分かりますが、文章を書く作業は想像以上に大変です。執筆作業というのは、創作活動に当たります。そのため、ストーリーの構成やテーマ設定を含めてすべてゼロから構築していかなければいけません。こうした作業が必要なため、まったく文章を書けない人は多いです。

これは、セミナー講師でも同じです。セミナー講師として話すことが得意な人はたくさんいますが、質の高い文章を書ける人は意外と少ないです。どれだけ饒舌に話すことができたとしても、実際に執筆するとなると筆が止まってしまうのです。

こうしたとき、優れたノウハウや質の高いコンテンツをもっている人であっても、それを書籍として世の中に出せなければ大きな損失になります。本が世に出なければ、その人のもっている知識を知りたいと考えている人へ情報を提供できなくなるからです。

そこで、ゴーストライターという職業が重宝されます。優れたノウハウをもっている人の話を聞き、それを代わりに文章に変換することで一冊の本としてまとめるのです。

そうして書籍出版を実現すれば、著者側は自分の本を作成でき、出版社は質の高いコンテンツが詰まった本を作ることができ、ゴーストライターは執筆料をもらうことができます。

もちろん、読者はそれまで過去にないノウハウが載っている本を手に取ることができます。このように考えると、実は誰も損をしていません。そのため、ゴーストライターに頼んで書籍出版を果たすこと自体は悪くなく、大きなメリットがあります。

むしろ、ゴーストライターがいなければ世の中に出回る本の数は激減してしまいます。それだけ、ゴーストライターが執筆している本は多いのです。

実際にゴーストライターに書かせるとなると、あなたはライターに向かって「保有しているノウハウや考えていること」などをすべて話すことになります。このときの会話を録音しておき、あとで文章として書き起こすのがゴーストライターの仕事になります。

執筆の丸投げは厳禁

ただ、すべてをゴーストライターに丸投げするのはやめましょう。そうした本であると、必ず面白くない本に仕上がってしまうからです。実際に文章化された内容を見て、編集者とゴーストライターを交えながらあれこれ意見を交わす必要があります。そうして軌道修正を積み重ねていき、ノウハウが凝縮された内容に仕上げるのです。

ゴーストライターはどのジャンルであっても存在します。難しい医療系の話であっても問題なく書けるゴーストライターがいれば、哲学の分野で執筆可能なライターもいます。基本的には、書けない分野は存在しないと考えましょう。

なお本を執筆するとき、優れた本ができる順番としては以下のようになります。

  1. 筆力の高い著者がすべて書く
  2. 筆力がないため、良い文章を書けるゴーストライターが書く
  3. 優れたノウハウをもっているが、筆力のない著者がすべて書く

ビジネスや研究などで大きな成果を出している人であっても、一般向けに文章を書いた経験のない人は多いです。そのため、本を書くときはほとんどの人が「3. 優れたノウハウをもっているが、筆力のない著者がすべて書く」に該当します。こうした事態を避けるため、ゴーストライターを起用するのです。

ちなみに、芸能人やタレントを含め、著名人が出版している本の99%はゴーストライターが書いています。

彼らは名前が知れているため、マスコミで宣伝できますしファンも多いです。そのため、本を売りやすいです。こうした背景があるため、出版社はゴーストライターを積極的に活用してでも著名人を使って出版させようとするのです。

非日常的な経験と高い授業料が良い本を作る

ただ、いくら本が出版されるまでの流れを理解し、最終的にはゴーストライターを頼れば問題ないと分かったとしても、あなた自身に優れた経験やノウハウがなければ商業出版を果たすことはできません。

そうしたとき、作家として非日常的な経験をしており、それまでに高い授業料を支払っている必要があります。こうしたことを行わず、平凡に生きている人が出版できるはずがありません。

非日常的な経験というと、普通では味わえないような特殊な体験を思い浮かべてしまいます。ただ、実際のところ本当の意味での特殊なことは体験しなくてもいいです。そうではなく、「あなたが普段の仕事や趣味でしていることを、どれだけ深掘できているのか」にかかっています。

あなたが日常の中で行っている仕事や趣味などは、他の人にとって非日常であることが多いです。例えば、あなたが看護師として働いているとすれば、それは他の人にとって非日常の世界を常に体験していることになります。

それなりに大きい病院であれば、看護師として働いていると常に死と隣り合わせの患者さんと向き合うことになります。20代にして若くガンを患った人がいれば、難病で苦しんでいる人など、普通に生活していると接することはないであろう人たちと対話することになります。これは、一般人にとって非日常に当たります。

そうした出来事を看護師が本としてまとめ、ベストセラーになった実例が実際にあります。このように考えると、たとえそれが普段の仕事や趣味であっても、他の人が経験したことのない非日常体験であることは多いです。

チャレンジしなければ本を書けない

ただ、多くの人はリスクを取らずに平凡な毎日を生きようとします。そのため、そのような人が本を書くにしても内容が薄っぺらいものになります。そこで、同じように日々を生きるにしても、その日々の生活を濃くしなければ、良い内容の本を書くことはできません。

先ほどの看護師であっても、医師から指示されたことを行うだけであれば何も感性は磨かれないです。一方、勉強会へ積極的に通い、医師とも討論を行い、自ら主体的に行動する人であればどうでしょうか。明らかにこちらの方が濃い内容の本を書けるようになります。

このように、どれだけ毎日の生活を濃くしているのかが重要になります。ただ、そのためには高い授業料を払わなければいけません。勉強会に行ったり、高い技術を学んだりするためには高額のお金と時間が必要です。

それだけのお金を払ってまで学び取ろうとするからこそ、本を書くだけのコンテンツが貯まっていくのです。

例えば、世の中には恋愛術やナンパに関する本を出している人がたくさんいます。単なるナンパかもしれませんが、女性を誘った後の飯代はその人の奢りであることがほとんどです。

また、服装に気を遣う必要があるため、洋服代もかなりの額になります。もちろん、女性を誘っても断られることが多いため、何度も失敗を繰り返しています。

このようにお金と時間を使うため、普通の人と比べて多くの授業料を支払うようになります。そうして自分独自の経験や法則を見出すことにより、質の高いコンテンツが蓄積していきます。非日常的な経験を積み重ねているからこそ、出版することができるのです。

一冊の本を書くためには、どれだけ少なくても100万円以上の授業料を払わなければいけません。それだけお金と時間を削ることで、人の心を揺さぶる本になっていきます。

本を書いて出版したいと思うとき、あなたはどれだけの授業料を払っているでしょうか。また、どれほどの時間を費やしているでしょうか。

先ほどの看護師やナンパの例と同様に、普通の人では考えられないほどの行動を実践し、高い授業料を払える人だけが本を出すことができます。出版を考える前に、まずは高額なお金を払って非日常的な経験を積み、いまの仕事や趣味を深掘りするようにしましょう。そうすれば、出版できる可能性が高くなるはずです。

著者は事前に本を出す手順を理解するべき

このように、書籍出版には適切な流れがあります。どのようにして本を作り上げるのかを知れば、著者として出版しやすくなります。

このときは売れる本を作るために努力し、さらには自ら執筆するのかゴーストライターを雇うのかを検討するようにしましょう。

ただ、本を出すためにはそのためのステージに立っていなければいけません。つまり、他の人が経験していないことを体験しており、積極的に自己投資をして学んでいる必要があるのです。ゴーストライターを使って執筆作業をするにしても、そうした経験がなければ良い本を作れません。

どのような手順によって本を作ればいいのかを理解したうえで商業出版するようにしましょう。事前に手順や流れを理解しておくことで、見通しを立てながら作家として執筆作業に専念できるようになります。

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