日本では1日に200~300冊の本が新たに出版されているといわれています。1年間では約8万冊です。これだけの本が出ているため、本を売るのはとても大変です。
一方、それだけたくさんの本が毎日出ているため、無名著者であっても本を出しやすい環境であるともいえます。年間8万冊もの新刊本が出ているのであれば、その中の一冊くらいあなたの本が紛れていてもおかしくないように思わないでしょうか。
出版を実現できる人は、1日に200~300冊も本が世の中に出ていると聞いたときに「これはチャンスだ!」と思える人です。それだけ本を出せる機会が多いからです。たとえ新人著者であっても、本を出せる人はすぐに出せますし、いつまで経っても出版できない人はいくらでもいます。
ただ、商業出版するには正しいやり方があります。順番を間違えてはいけないため、どのように実践すればいいのか解説していきます。
新人も既存の作家も関係なく商業出版可能
既にベストセラーを何冊も出した大御所なら別ですが、既存の作家も新人作家も大きな違いはありません。出版社にとって「内容の良い本が仕上がり、後はそれが売れるかどうか」が最も重要な要素だからです。
そういう意味では、しっかりした企画提案ができるのであれば、既存作家よりもあなたの企画が採用される可能性は高いです。
既に出版を実現している人も同じように企画提案して出版社へ売り込んでいるため、同じ土俵で戦って勝てばいいだけなのです。
そもそも、普通に社会に出て働いているのであれば、誰でも一冊くらいの内容を書けるコンテンツをもっているはずです。
輝かしい実績は必要ありません。むしろ、普通のサラリーマンが頑張った結果として作り上げた成果のほうが良いコンテンツになります。
例えば、東大を卒業後にハーバードへ留学し、大手商社へ就職した人の成功談をあなたは聞きたいでしょうか。多分、「非常に優秀な人だから実現できたのであり、自分にはどうせ無理だ」と思うでしょう。そうではなく、普通の人が成功した話を多くの人は知りたいのです。
つまり、普通の人であることが一番に強みになります。あなたが自分のことを凡人だと思い、かつサラリーマン経験があるのであれば本を書くことができます。
今の職業で給料をもらっている以上、あなたは何かしらのプロフェッショナルです。そうでなければ、お客さんから対価(お金)をもらうことはできません。他の人よりも知識があり、サービスを行えるからこそ給料をもらえるのです。
出版とビジネスの考え方は同じ
このとき、ビジネスでは他人よりも少しでも強みがあればお金儲けが可能といわれます。例えば私の場合、Webサイト運営を実践することで稼いでいます。
私がサイト運営を始めたときは薬学部の大学二回生のときであり、このときはサイトへ広告を貼るだけで月5~10円くらいの収入がありました。当時は何も考えていませんでしたが、今から考えると「お金を得ている」という時点で立派なビジネスを実践していたのです。
当時の私の強みは、「薬学部で薬を勉強している」ことでした。薬剤師経験がなく、深く薬のことを知らなかった大学生の私であってもビジネスが可能だったのです。実際のサイトが以下になります。
これは、出版にも同じことがいえます。普通の人が他の人よりも少し優れた部分をもっていれば、それが出版するときのコンテンツになります。だからこそ、一般人であっても出版は十分に可能なのです。
Webサイトやブログを更新することが出版への近道
ただ、無名著者でも商業出版が可能なことは事実であるものの、本を出すまでの過程を大きく間違えている人が大半です。
多くの人は単に「出版したい」と思っているだけであり、何とか出版社へアプローチする方法を学ぼうとしています。しかし、そのような間違った努力をしているからこそいつまで経っても本を出すことができません。
そうではなく出版を行いたいのであれば、Webサイトやブログを立ち上げてあなたのもっている知識の全ノウハウを記事として書き出す必要があります。これが、出版を実現するための第一歩です。
このように言うと、多くの人は「Web上に全ての知識を書いてしまったら本を書くための内容がなくなってしまう」と考えます。ただ、そのようなケチな思考をしている時点で本を出すのは限りなく難しいです。
既に出版経験のある人やサイト運営で莫大なアクセスを集められる人は別にして、現時点であなたが書こうとしている内容は間違いなく大したことがありません。本を書くにしても意味の通じない日本語を羅列し、何が言いたいのか分からない文章が完成されます。もちろん、書いてある内容も面白くありません。
私は出版社の編集者ではありませんが、いまでは莫大なアクセスを誇るWebサイトをいくつも保有しており、他の人のコンサルティングも実施しています。書籍出版についても、これまで何冊も出しています。
こうした中で実際にコンサルを行い、Webサイト・ブログの記事作成の指導をしていると、「初心者は例外なく文章の書き方が下手」という事実があります。以下は実際に私が文章添削したときの様子ですが、このように真っ赤になります。
別にきれいな日本語を書ける必要はありません。文学小説を目指しているわけではないからです。ただ、少なくとも相手に対して何が言いたいのか伝わる文章を書けなければいけません。そうした方法を学んでいないにも関わらず、いきなり出版を実現したいと考えている人が多すぎるのです。
このような人は自分の頭の中だけで文章を考え、自分の言いたいことだけを書こうとします。結局のところ、自己満足でしか出版を考えていないケースが多いのです。
そのため、無名の状態でも確かに出版は可能であるものの、最初に書く練習の意味も込めてサイト上での情報発信をしなければいけません。
マーケティング調査で読者の読みたいコンテンツを探る
また、こうしてWebサイトやブログを運営することは非常にメリットが大きいです。まず、読者が欲する情報を認識できるようになります。
売れる本の条件は決まっています。そのための第一条件は、「読者が読みたい内容を書く」だけです。当たり前のように思われるかもしれませんが、あなたは「読者がどのような記事を読みたいか」を理解しているでしょうか。残念ながら、この問いに答えられる人は限りなく少ないです。
例えば、私が初めて出版したときは「読者が欲しているコンテンツ」が既に分かっていました。私は薬学系サイトを運営しており、初出版を実現した当時でも月110万PV以上のアクセスがありました。学生のころに作成した薬学サイトは順調にアクセスが伸びていったのです。
このようなサイトを運営していれば、アクセスの集まりやすい記事や、口コミが起こりやすいコンテンツが分かってきます。そのような人気コンテンツは「読者が知りたい内容」であることが分かります。
また、SNSも運用していたので、記事を流した際にリアルタイムで読者の反応を見ることができます。そのときの口コミがどのように広がっていくのかを観察すれば、これによっても「読者が知りたい内容」を知ることができます。
もちろん、「これはいい内容だ!」と思ってサイトへ記事を流したとしても、思ったような反応を得られない場合があります。その反対も当然ながらあります。そうして試行錯誤を繰り返していくと、読者が求めている情報を少しずつ把握できるようになります。
このような経験が蓄積していたため、読者が読みたい記事内容をある程度は理解した状態で本を出しました。
しかし、これらの作業を行わずに本を出したいと思っている人がほとんどです。そのために独りよがりの内容に陥りやすいですし、本当に読者が必要としていることを書けないケースが多いです。
このような事態を避けるため、まずは「読者が何を知りたいのか」を学ぶためにサイト上に全ての知識をさらけだしましょう。
そうしてマーケティングを実践すれば読者の反応が見えてきますし、良い文章の書き方も感覚的に分かってきます。
編集者に「文章を書ける証明」を行える
また、こうしたWebサイトやブログを保有していることは「自ら文章を書ける著者」という証明も同時に示すことができます。
どれだけビジネスで大きな実績を出している人であっても、本を出すとなると自分自身では書けないことが多いです。ゴーストライターを雇うのであれば問題ないですが、著者自ら執筆するときに編集者が心配するのは、「この人は本当に文章を書けるのか」という問題が最も大きいです。
セミナー講師で饒舌に話せる人であっても、文章を書くとなると急に手が止まってしまう人が多いです。これは、話すことと執筆作業はまったく別物だからです。
話すときであれば、表情や声のトーンから相手が何を言いたいのかを読み取れます。ただ、文章ではそうした情報がありません。文章というのは、最も相手に情報を伝えるのが難しい媒体だと考えましょう。
そのために編集者は著者の文章力を心配しますが、サイトやブログを運営していて多くのアクセスを集めているのであれば、「この著者は文章を書ける」という証明になります。
実際、私が初めて本を出したとき、編集者は「これだけの媒体を構築できる人だったので、本も書けると思いました」と後で話してくれました。
私が初めて出版社に出向いたとき、その場で出版することが決まったわけですが、これはに私が「事前Webサイトをコツコツと運営しており、それなりに多くのアクセスを集めていた」という事実が大きく関与しています。サイトを見ればそこには大量の記事があるため、文章を書けると編集者に証明できるのです。
本を売るための宣伝媒体をもつべき
また、本を出した後は著者自ら売らなければいけません。このときの宣伝媒体として、あなたが育てたWebサイト・ブログが役に立ちます。出版社にとって、自ら本を売れる著者の存在はかなり貴重なのです。
私についても、初出版のときは自分のサイト上で大々的に宣伝しました。また、メルマガやSNSまで含めて宣伝していったため、自分の媒体だけでも500冊以上は一ヵ月以内に売ったわけです。
当然、いまでもサイト上に本の宣伝を載せているので月に何冊か私のサイト上から売れています。
自らWebサイトやブログを運営するのは、「編集者に文章を書ける人間だとアピールできる」ことだけがメリットではありません。書籍出版後の販売まで可能になるのです。
なお、実際に本を出すことが決定した場合、サイトやブログに公開している記事内容をまとめ、加筆修正したものを本として出版すれば問題ありません。すべてサイト上に公開されている内容をコピペするのは問題ですが、新たなエピソードや気づいたことなどを加えて書籍という形にまとめるのです。
このときは編集者の手も加わるため、本の内容や見せ方はネット上に公開している情報とは違うものになっているはずです。そのため、先にWebサイトとして情報発信しても問題ないのです。
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出版社やフリーの編集者の目に留まることもある
こうして情報発信していけば、編集者の目に留まることがあります。世の中には、有能な著者を探している出版関係者がたくさんいるからです。これには出版社に勤めている編集者だけでなく、フリーの編集者も同様です。
それでは、彼らがどのようにして新規の著者を探しているのかについて知っているでしょうか。
一番分かりやすいのは、既に出版されている本を読むことです。そこに書かれている内容が素晴らしければ、「ぜひ自分たちの会社から本として出してみよう」と考えます。つまり、本を出すことで次の出版が決まるのです。
それでは、これまで一度も出版したことがなく、無名な人はどうすれば良いのでしょうか。このとき、ブログやサイトの活用を考えます。
実際に私がフリーの編集者と話したとき、どのようにして著者を見つけてくるのか聞いたことがあります。そのとき、「インターネット上でブログやサイトを運営している人にアプローチする」という答えが返ってきました。
どれだけビジネスでの実績が大きい人であっても、インターネット上に文章が公開されていないと、その人の考えや想いが見えないようです。また文章能力も分からないため、ブログやサイトを運営していることが出版を打診するかどうかの第一ステップとしていました。
また、「出版した際にはブログやサイトに必ず宣伝するように約束してもらう」とも言っていました。
このように考えると、今の時代で無名の著者が出版するにはインターネット上の媒体が不可欠であることが分かります。自分自身のネット媒体があれば本の宣伝が可能ですし、その分だけ出版社も安心してくれやすいのです。
出版前に全原稿を書き上げ、編集者へアプローチする意味
知識をサイトやブログとして公開するほど、商業出版を果たせるようになります。「自分の情報を公には出せない」というケチな思考の人は、いつまで経っても本を出すことはできません。
また、頑張ってWebサイトを更新して情報発信するだけでは、いつまで経っても著者として本を出せないのも事実です。そのため、ある程度のアクセスを集めるようになって人気サイトになったり、SNSでの影響力が強くなったりしたのであれば、ようやくその時点になってから出版社へアプローチするようにしましょう。
このとき、本当に商業出版を果たしたいのであれば先に原稿を仕上げておくといいです。
多くの人は、原稿などをまったく用意せずに出版社へ企画書をいきなり提示します。「企画はもっているものの、原稿はない」と平気で言い放ちます。こうした考えでいるからこそ、いつまで経っても出版デビューできません。
本来、著者として活躍する人は誰から言われるまでもなく勝手に原稿を仕上げます。「出版社に採用されなければ、これまでの労力が無駄になる」のようなケチな考えはしません。
先に原稿を仕上げておくことで、編集者へいつでも提出できるようにしておく必要があります。
先に全原稿を書くとなると、面倒ですし遠回りのような気がします。しかしながら、まだ出版を果たしていない無名著者であるなら、先にすべての原稿を執筆してしまったほうが早く出版できるようになります。
著者として商業出版の見込みがあるとダメ出しをもらえる
そうして編集者に原稿を見てもらうと、「この内容では面白くない」「方向性がダメ」など強いダメ出しをもらいます。そうなれば、あなたは著者として合格点をもらったことになります。
どうしようもない原稿であれば、編集者は何も言わずにあなたの原稿を返却します。突き返して下手に刺激を与えるよりも、読者としてそのまま自社のファンでいてくれた方がいいからです。
ただ、出版を進めるとなると編集者は良い本を作りたいと考えるため、積極的なダメ出しを行います。そのため、アドバイスをもらえるというのは、編集者が「出版できる見込みがある」と考えているからといえます。
このとき、原稿を先に仕上げていたとしても、内容や方向性の問題によってその大半がボツになることはよくあります。そうしたときは新たな章を付け足したり、他の内容を足し合わせたりしながら一冊の本にしていきます。
それでは、ボツ原稿が完全に無駄になったのかというと、必ずしもそうではありません。本を出して売れた場合、他の出版社から別の新しい本を出すようになります。そのとき、あなたが書き貯めていた原稿が活きます。初出版の本のテーマに合わなかったとしても、他の本であれば活用できることは多いです。
出版社でダメ出しされたボツ原稿はネット上に使いまわす
また、ボツ原稿についてはあなたが運営しているWebサイトやブログの記事として使いまわすようにすれば問題ありません。実際、私は初出版でボツになった原稿を自社のWebサイト上にそのまま公開することにしました。すると、その内容を見た新聞社や週刊誌の記者などから取材依頼がきたことがあります。
具体的には、読売新聞や週刊新潮をはじめ、数多くのメディアから取材を受け、全国に記事が配信されました。本の原稿にはならなかったものの、ネット公開することで取材依頼を受ける導線になったのです。
このように考えると、たとえボツ原稿になっても無駄にならないことがわかります。他の本に使いまわしたり、自分の媒体に載せたりすれば問題ないからです。
ネット上に自分の媒体をもっておくことについて、デメリットは一つもなくメリットしかありません。ボツ原稿が発生したとしても、そのままネット記事としてコピペで使いまわすことさえ可能になります。
作家が出版社から本を出す手順を学ぶ
自分の本を出版社から出したいと考えるとき、最初にどのような手順を踏むでしょうか。実際のところ、多くの人は企画書の書き方などを勉強しようとします。または、出版記念パーティーなどに顔を出すようにします。
しかし、これら最初の努力の方向性を間違えていると著者になれることはありません。
出版では正しい努力を実践する必要があります。このときの正しい努力とは、初めにWebサイトやブログを作って、ネット上に情報発信することです。この過程を飛ばして、無名著者がいきなり商業出版を果たすのはハードルが高いです。
既に情報発信しているからこそ、読者が欲している内容を把握できるようになります。さらには文章を書ける著者だと編集者にアピールでき、出版後の書籍販売についても可能になります。
本を出したいのであれば、インターネット上にあなた自身の媒体を保有することから始めてみましょう。そうして努力をしていくことで、出版社から商業出版するための土台を作れるようになります。
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