出版において、印税の収益で広告を出すことは重要です。本の宣伝で広告を出すことを躊躇していれば、あなたの本はまったく売れることなく書店から消えていきます。

素人であるほど、広告を出すのをためらいます。広告を出して、それ以上の効果が本当に表れるか見当が付かないからです。ただ、こうした考えをもっている以上はビジネスで大きな成果を出すことはできません。

出版するとなると、書店であなたの本が大々的に平積みされている状況を多くの人が想像します。ただ実際は、「書店の片隅にポツンと置かれ、一週間ほど経てばどの書店からも消え去る」という経緯を多くの本がたどります。最初に数十万円の印税が振り込まれ、そこから増刷がかかることはありません。

これを避けるため、出版した後に積極的に本の宣伝をするのです。

特にビジネス書や実用書などの出版は、あなたのビジネスを加速させるためのツールとなります。そのため、「印税で稼ごう」というケチな思考を抱くのではなく、すべての印税を広告宣伝費に回すようにしましょう。

著者の努力で本の初速をつけることの重要性

本を売るためには、「どのような周期で書籍販売を考えればいいのか」を最初に理解しておく必要があります。書籍の宣伝では、出版して「一週間」と「一ヵ月」で区切ります。特に本を出して最初の一週間では、できる限り広告を出すなどして露出を増やすように心がけましょう。

発売後に迎える最初の土日は非常に重要です。この土日にどれだけ購入されるかによって、「売れる本かどうか」を判断されるからです。当然、売れ行きによって出版社の営業による力の入れ具合も変わってきます。

最初の1週間かもしれませんが、この短い期間が1つの大きな節目になります。この間に露出を増やし、できるだけ本を買ってもらえるように仕向けなければいけません。

たとえ運よく書店に本が並んだとしても、「売れない本」と判断されればすぐに返品されてしまいます。そこで、あなたの本が多少は売れる本であることを書店員に印象付けなければいけません。

そして、もう1つの節目が「発売後、最初の1ヶ月」です。あなたが広告を出したりプロモーションをしたりする際は、1ヶ月の間に集中させるようにしましょう。1ヶ月にどれだけ売れるのかによって、書店にあなたの本が継続して置かれるかどうかが決まります。

また、この間に初速をつけることができれば増刷までもっていくことができます。出版直後のちょっとした勢いで増刷が可能なため、何としてでも増刷がかかるように注力しましょう。あなたの本が書店から消えないように、ひと月は本を売る努力を継続するのです。

そうして本が売れていけば、増刷されるようになります。最初の増刷(重版)を2刷といいますが、増刷される本は出版される本の中でも5%に満たないほど少ないです。それだけシビアな戦いであるため、著者は本を売るように努力しましょう。

増刷(2刷)がかかるタイミング

それでは、どのようなときに重版がかかるようになるのでしょうか。それは、「本の品切れ感」を出版社が感じたときです。

前述の通り、最初の一ヵ月(特に発売後一週間)は全国の書店であなたの本が流通するようになります。全国の本屋に何千冊もの本が置かれることになりますが、このときに1000部や2000部などと本が動いていけば、出版社がもっている在庫が不足するようになります。このとき、ようやく増刷の検討を始めます。

全国の書店でどれだけあなたの本が売れているのかについて、出版社は一日や一週間ごとに把握しています。書店から提供されるデータから、本の売れ具合を推測しているのです。そこから本の売れ行きを予測し、めでたく重版が決定されます。

このときは以下のように、担当編集者からメールが来ます。

ただ前述の通り、時間が経過して書店が「この本は売れない」と判断した場合、すぐに返本されてしまいます。そうして書店に流通していた本が倉庫へと返本されると、当然ながら出版社があなたの本に対して「品切れ感」を感じることはありません。

こうした事情があるため、増刷を行うためには出版後の初速が重要になります。重版させることを狙うためにも、出版直後のタイミングを大事にしましょう。

3刷までいけば本物

そうして本が売れていき、さらに増刷がかかって3刷になれば、あなたの本は本物です。3刷までになるのは売れ続けている証拠といえます。3刷までになる本はほとんどありませんが、ここまで続けば4刷、5刷と版を重ねていきやすくなります。

ちなみに、私が出版した本であれば、発売から2週間で増刷がかかり、合計で1万5000部まで売れました。1万部売れる本は全体の1%未満であるため、それなりの成績になります。

振り込まれた印税は約100万円ですが、そのときは広告宣伝費として150万円ほどを使いました。完全に赤字ですが、そうして初速をつけたことによって大きな結果を出すことにつながったのです。

同じように考えて、本を売ることで増刷を狙う場合、必ず印税を広告宣伝費に使うようにしましょう。

初速をつけて本が売れたという実績があれば、マスコミから取材が舞い込んできたり、お客さんが勝手にファンになってきたりするようになります。そうしてビジネスを加速させていけば、本に使った広告費は後でいくらでも回収できるはずです。

印税で稼ごうと思う人は出版に向いていない

ただ、それでも印税のことを重要視してしまう人は多いです。広告を出せば、広告費としてその分だけお金が減っていくので、印税の重要性を考える気持ちは分かります。

しかも、本を書く作業はお世辞にも楽ではありません。順調に執筆活動を進めたとしても、出版にこぎつけるまでに1年はかかります。どれだけ努力したとしても、半年は必要だと思ってください。出版というのは、それだけ労力のかかる作業でもあります。

一方、印税はそこまで多くありません。例えば、1,000円の本が1万冊売れたと仮定し、このときの印税が10%だとすると、印税は100万円です。

  • 1,000円 × 1万部 × 10% = 100万円

100万円という数値だけを聞くと多いように思えます。しかし、前述の通り一冊の本を書くためには1年かかります。つまり、月に計算しなおすと「100万円 ÷ 12ヶ月 ≒ 8.3万円」です。月8.3万円の報酬であることを考えると、印税がどれだけ儲からないか分かると思います。

しかも、1万冊売れる本は新刊全体の1%に満たないです。月8.3万円といっても、かなり本が売れた場合を想定してこの数値です。

ほとんどの場合、数十万円が一度振り込まれて終わりです。厳しいようですが、これが現実です。作家が印税を当てにして生活するのは難しいです。それよりも、普通にサラリーマンとして働いた方がいいです。印税だけを考えると、出版は明らかに労力に見合っていません。

このような真実を知り、まずは印税を無視することから作家として歩み始めることができます。

お金を得ることは大きなモチベーションになります。ただ、出版に限っていえば、お金(印税)を目的に行う人は限りなく少ないです。印税目当てに楽をして稼ぎたいと思っている人は、出版を諦めた方が無難です。

出版をすると赤字は当たり前

また多くの著者は赤字覚悟で出版を行います。これまで説明した通り著者が自腹で本を広告に出し、積極的に宣伝していかなければならないからです。私も初の出版作には多くの広告費をかけました。自分の媒体だけでなく、ネット広告や新聞広告を出して露出を増やし、本を売っていくのです。

そのため、広告費がかなりかかります。印税で儲けるどころか、広告宣伝費を差し引けば大赤字もいいところです。

それでは、多くの人はなぜそこまでして出版を行おうとするのでしょうか。それは、「作家という大きなブランドを手に入れる」ことに大きな意味があるからです。

本が売れていけば、それだけで大きなブランドを作り上げることができます。出版を行うこと自体素晴らしいことですが、さらに本が売れることはもっと凄いことなのです。この本が売れていくと、人やお金の流れが変わっていきます。それまでの自分では考えられないような人と一緒に仕事ができるようになり、マスコミからも声がかかるようになります。

実際、私も出版を機にテレビやラジオ、週刊誌を含めあらゆる媒体から取材依頼が来るようになりました。例えば、以下はTBSの土曜日19:00からのバラエティー番組に私が呼ばれたときの様子です。

普通に考えて、こうしたマスコミを単なる個人が活用するなど無理です。しかし、出版さえすれば可能になるのです。

これが、出版して本を売っていく本当の意味です。印税という目先の利益を狙うのではありません。出版を行うことによるブランド化を実現し、さらには新たな人脈を手に入れるために多くの人は本を出そうとするのです。

印税という目の前に転がっている小銭を拾おうとする人であるほど、ビジネスで成功することは難しいです。一方、出版は単なるビジネス拡大ツールの一つと割り切って、その後の何百万円、何千万円を狙える人だけが成功できます。

本の広告宣伝(販促費)で有効な新聞広告、ネット広告

それでは、どのようにして初速をつければいいのでしょうか。前述の通り、あなたが書籍出版をする場合、必ず広告を使って宣伝するようにしてください。

世の中に毎日200冊ほど、いろいろなジャンルの本が出版されていることを考えると、本を出すだけであなたの本が書店で大々的に置かれることはありません。書店の隅にポツンと置かれ、すぐに売れないと判断されて返本されるだけです。

このような事態に陥らないために、どのような媒体に広告を出せばいいのかというと、新聞広告やネット広告を活用するようにしましょう。新聞広告では、サンヤツや半五段広告が有効です。ネット広告では、メルマガ広告やコンテンツ広告など種類があります。こうした媒体を活用することで、本を売る努力をします。

新聞のサンヤツと半五段広告は有効

新聞による広告宣伝効果が落ちたとはいっても、その威力が大きいことには変わりありません。実際、新聞を見ると本の広告が頻繁に出されています。なぜ、新聞広告に書籍の宣伝が多いかというと、効果があるからです。新聞広告としては、「サンヤツ」「半三段広告」「半五段広告」が有効です。

新聞では、一段ごとに考えます。そのうち、三段分を8当分したものをサンヤツといいます。三段を8つに分けるため、サンヤツという名前になっています。

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次に、三段分の半分を半三段広告といいます。紙面トップに掲載する場合、多くは半三段広告です。一方で紙面の中に掲載され、五段分の半分を活用した広告を半五段広告といいます。

例として、以下に私が初出版を果たしたときに利用した半三段広告を載せます。紙面トップに掲載したときの広告になります。

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新聞広告を出すとき、どの新聞に載せるのかを考えなければいけません。全国紙に半五段広告を出すのは何百万円もの費用が必要です。そのため、著者が個人のお金で出すのは現実的ではありません。

そこで全国紙に広告を出したい場合、出版社と相談しましょう。印税分の収入を差し出して広告費用を自ら負担するなど、相殺を利用した交渉を検討すればいいです。

全国紙広告はサンヤツが基本

しかし、実際に全国紙で半五段広告になると高額すぎるので、実行に移すのは難しいです。そこで、サンヤツに広告を出すようにします。

実際に出してみれば分かりますが、サンヤツを出せばかなり本が売れるようになります。広告を出す側からすれば「本当に効果があるのか?」と考えるようになりますが、これまで私が何冊も出版した際に広告を出してきた経験からいうと、確実に効果があるといえます。

このとき考えるべき新聞としては以下があります。

  • 読売新聞
  • 毎日新聞
  • 朝日新聞
  • 日経新聞

それでは、サンヤツを出すときの販促費(広告費)がどれくらいかというと、参考までに私が出版したときは朝日新聞が30万円、日経新聞が45万円でした(値段は変動するのでそのときどきによって異なります)。

この中でも、日経新聞には必ず広告を出すようにしましょう。明らかに大きな効果があると実証されているからです。

・全国紙に出すから本が平積みされる

なお、書店で平積みにさせる最も手っ取り早い方法が「全国紙に広告を出す」ことです。むしろ、広告を出さない場合は書店で本を取り扱ってすらくれないことが多いです。

このとき、日経新聞に広告を出す場合は書店員の反応が変わります。全国紙に広告を出すことは重要ですが、日経新聞への広告はそれだけインパクトが大きいのです。

地元の新聞にも同時に広告を出す

またあなたが地方出身であるなら、地元の新聞に広告を出してください。有力紙のような高額な広告費は要求されないため、広告を出しやすいと思います。このときは、「トップ一面への半三段広告」または「半五段広告」を検討してください。

私も、先に示したように地元の新聞へ半三段広告を出しました。このときの広告費は15万円(税別)でした。

さらに、広告を出す場合は掲載日の一週間前までに、地元のあらゆる書店へ出向いて営業活動を行うと効果的です。書店へ出向き、あいさつと共に「地元出身の著者であり、新聞広告を出す」ことを伝えるのです。地元であることもあり、ほぼ100%の確率であなたの本が平積みされるようになります。

事前に、「書店へ行けばあなたの本が置いてある状況」にさせ、新聞広告の掲載日に多くの人に本を取ってもらうように準備しておくのです。

また、新聞掲載が終わった後であっても、あなたの本は書店へ置かれ続けることになります。地元出身であり、あいさつまでしてくれたあなたの本を書店員さんが返品するとは考えにくいからです。実際、私の地元で広告を出した後に書店を確認すると、本はそのまま平積みされていました。

単に広告を出すだけでなく、書店員さんも巻き込みながらあなたの本を売っていくようにしましょう。これが、新聞広告の効果を最大限に高める方法です。書店営業が難しい場合は、新聞広告が掲載される前に書店へ出版告知のFAXを流すことを検討しましょう。

ネット広告を活用する:メルマガ広告、コンテンツ広告

また、インターネット上での広告も本の宣伝では有効です。ネット広告の種類としては、主にメルマガ広告コンテンツ広告の2つがあります。特に、多くの読者を保有している人のメルマガ(メールマガジン)で宣伝してもらうことは有効です。メルマガ広告を出せば、ネット書店でたくさん本が売れるようになります。

適切な媒体にメルマガ広告を出せば、確実に一定数は売れます。ただ、より大きな拡散を狙いたい場合、コンテンツ広告を出すようにしましょう。

インターネットで広告を出す目的としては、口コミを起こすことが挙げられます。新聞広告の場合、新聞を読んだ人の中だけで完結します。一方のインターネット広告では、そこから口コミが起こります。

SNS上で拡散していったり、他のまとめブログにネタとして書かれたりと無尽蔵な広がりを期待してインターネット広告を出します。もちろん、同じインターネットを使った媒体でも、メルマガ広告では口コミは起こりません。コンテンツ広告としてニュースサイトを活用しなければ、口コミを起こすことは難しいです。

大手ポータルサイトには、必ずと言っていいほどその日のニュースが流れています。例えば、Yahooニュースは多くの人が見る最も有名な媒体です。ここにあなたの本の紹介記事を流すことで、何とか口コミに繋げていくのです。

これについては、「ニュースサイトに記事を提供している会社」に掛け合ってみてください。広告代理店などを通して、あなたの本に関する記事をニュースサイトへ提供するのです。運が良ければYahooニュースに取り上げられます。Yahooに掲載されると、それだけで何万PVものアクセスが集まります。

インターネット広告で口コミに繋げることができれば、主にAmazonで本が買われるようになります。同じインターネットを活用した媒体であるため、書店よりもAmazonランキングに影響を与えやすいです。これが、インターネット広告を活用するメリットです。

確実に口コミが起こるかどうかは実際に広告を出してみなければ分かりません。ただ、上手くいけばあなたの本を効果的に宣伝できます。

印税相殺で重版を重ねるように仕向ける

あなたの銀行口座に振り込まれる予定の印税に対して、広告費と相殺させることを印税相殺といいます。本の著者であるなら、積極的に印税相殺を実施することで本を売るように仕向けましょう。

いまでは、私は著者として出版社との付き合いがあります。このとき、あらゆる編集者が「重版を重ねている著者の全員が印税を広告費に回している」といいます。つまり印税で稼ぐことなど考えず、本を売ることによるブランディングだけを考えているのです。

ただ、本が売れればマスコミに取り上げられますし、売れた本の著者にもなります。そうなると、当然ながらビジネスがスムーズになります。

商業出版というのは、単なるビジネスツールの一つにすぎません。印税だけで稼ぐことを目的とするのではなく、ビジネスを円滑にさせるツールとして赤字でもいいので広告を出し、自分の本を売っていくようにしましょう。

これが著者としての正しい印税の使い方であり、本を売っていく方法になります。そのために、どのように行動すればいいのか事前に理解し、重版を重ねるように仕向けましょう。

出版コンサルティングの実施

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