書籍出版を果たした後、作家の仕事はそれで終わりではありません。本来、本を出した後のほうが著者は忙しくなります。本を売るために動き回らないといけないからです。すべての原稿が完成した後、著者自身が書店を回ったり友達に口コミしたりして本を売るための努力を開始しなければいけません。

実際のところ、著者が本を売ることを考えなければ本が売れていくことはありません。自ら努力することにより、執筆した本がようやく全国で動くようになるのです。

ただこのときは、一つの方法だけを実践するのでは意味がありません。本を売るための、あらゆる手法を試す必要があります。

そこで、ここでは作家が行うべき販売促進の方法について記載します。著者が行える対策は少ないですが、地道な努力を重ねることで本を重版に導くことができるようになります。

発売日までの準備で本の売れ行きが決まる

いまでは、いろんなジャンルの新刊本が毎日200~300冊も出ているといわれています。このような現実があるため、あなたの本が出たとしても、書店で置かれることすらありません。誰の目に触れることもなく、忘れ去られていくことでしょう。

そこで著者が本を自ら売り込んでいきますが、ビジネスに共通することとして「それまでの準備が、成功するかどうかを決める」ことがあげられます。本も同様であり、それまでの準備であなたの本の売れ行きが決まります。原稿が完成した後、何も行動せずに待ちの姿勢でいるのはとてももったいないです。

特に、初出版はとても大きな威力を発揮します。友達に作家がいる人は稀であるため、本を出すことを周りの友達に言えばかなり驚いてくれます。本を買ってくれるだけでなく、友達は周りの人へ勝手に宣伝してくれるでしょう。それだけ初出版は影響が大きいのです。

実際、私は「出版する事実」を積極的に周りへ告知した結果、新たな人との出会いが急激に増えました。そこからビジネスに繋がったケースもあり、本を出すことの影響力を感じたものです。

ただ、そもそも告知の準備作業を行わない著者が多いため、ほとんどの本は売れません。そこであなたは、必ず販売促進のための準備をしましょう。本を増刷までに導き、さらには3刷までもっていくことができれば言うことはありません。

本が売れていけば、後は勝手に増刷を重ねていくようになります。しかし、そのためのきっかけは不器用ながらもあなた自身が作っていかなければいけません。

著者による販促法は3つ

大前提として、本を出版するときは必ず新聞広告を出すようにしましょう。新聞広告を出さずに、本を売るなどあり得ません。広告を出すからこそ、ようやく書店に本を置いてもらえるようになるのです。

印税が入ってくると思うので、このときの印税をすべて広告につぎ込むのです。そうすれば、著者として本が売れていきます。

こうした必須の作業はあるものの、他にも準備をしなければいけないことが存在します。そうしたものとして、以下の項目があります。

  • 著者買いによってランキングを取る
  • 書店回りによって営業を展開する
  • マスコミに献本する
  • 友人に宣伝し、口コミを起こす

すべてを実施することで、徐々に書店で本が動くようになると考えましょう。

著者による大量買いは本の販売促進の基本

書店によって、売上ランキングが発表されています。自分の書店でどの本が売れているのかをランキング形式にして、店頭やインターネット上に公表しているのです。

そこで著者買いを実行に移します。著者自ら特定の書店で大量買いすることにより、書店でのランキングを上げることが著者買いです。

著者買いに関しては、人によって意見が分かれます。読者が本を購入したという純粋なランキングではなく、いわゆる著者自身によるランキング操作になるからです。

ただ、著者が行える本の販売促進の方法は少ないです。そのため、作者自ら大量買いすることは一般的ですし特に問題ないです。著者買いは、数少ない販売促進の手法です。大量買いするためには、それなりのお金が必要です。著者にある程度の財力があることも実力のうちなのです。

1000円の本を100冊購入するとなると、「1000円 × 100冊 = 10万円」となります。特定の書店に狙いを定めて100冊単位で購入し、あなたの本のランキングを上げましょう。

東京にある大型書店であっても、100冊購入すれば分野別の週間ランキングで10位以内に入ることができます。200冊であれば、週間の総合ランキングで上位に食い込むことができます。

例えば私が大型書店で200冊購入したときは、週間ランキングで総合2位になりました。当然ながら、このときの分野別ランキングは1位です。

こうすることで、1週間はランキング上位として店頭などで大きく宣伝されることになります。私は当時、地方に住んでいますがSNS上で友達が「東京の某大型書店で総合2位になっているよ」とわざわざ教えてくれました。それほど、口コミの効果があるということです。

ランキング上位になった事実を宣伝ツールに使う

ただ、たとえ大型書店でランキング上位になったとしても、そのまま1週間が経てばランキング外になってしまいます。こうなれば、口コミの効果はありません。

しかし、ランキングの上位に食い込んだことは事実です。それがランキング操作であったとしても、ウソではありません。そこで、この事実を元にあなたの媒体で宣伝しましょう。「〇〇書店でランキング1位」などを、証拠写真と共にあなたのサイトなどに掲載するのです。

新聞広告を出す場合も同様です。名だたる大型店でランキング上位になったことを新聞広告に載せ、これを見た人に「書店で売れている本」であることをアピールするのです。

単に口コミだけを狙っての著者買いでは効果が薄いです。そこで、著者買いによって得られた「大型書店で売れている」という事実を積極的に知らせなければいけません。単に新聞広告を出すのではなく、大型書店でランキング上位になったことを載せ、大きな権威付けをするのです。

小説は別にして、ビジネス書や実用書など本を出す目的は「あなたのビジネスを加速させること」です。広告という意味で著者買いをするのは、費用対効果を考えると問題ありません。著者買いは本の販売促進の基本といわれているため、初出版の場合は積極的に行うようにしましょう。

おすすめは本の陳列を前提にした著者買い

しかし、単純に大型書店での著者買いをするのはおすすめしません。ランキング操作をするだけでなく、実際に多くのお客さんの手に取ってもらうように仕向けたほうがいいです。そうしたとき、ワゴンセールという手法があります。

書店に行けば、本を山積みに置くことでワゴン販売していることがあります。これについては私も実際に実施しており、私がビジネス書を出版したときは以下のように書店にワゴン陳列してもらいました。

当然ですが、こうしたことを実施するには特殊な営業ルートを使う必要があります。ただ、出版社は「本のワゴン陳列を実施してくれる人」とつながっているため、担当編集者にこうした陳列を実施してくれる人を紹介してほしいと申し入れすれば問題ありません。実際、私もそのようにしました。

書店側としては、これだけ多くの本を置くのは一般的に在庫リスクがあります。ただ、ワゴンセールスを実施して売れ残った分については著者が買い取ることにします。つまり、書店側には実質的に在庫リスクがありません。そのため、こうした陳列方法を承諾してくれるのです。

当然、このとき書店で本が売れれば本の買取をする量も少なくなるため金銭的な負担は減ります。例えば私の場合、それぞれの店舗に50冊などを配本してもらってワゴン陳列してもらいましたが、ほぼ完売でした。

ワゴンセールスの段取りをしてくれた人から以下のようにメッセージをもらい、どの店舗でも大きく売れていたわけです。

このときはいろんな大型書店でランキング1~5位を取ることができました。しかも、単なる著者買いではなく実売でのランキングなので堂々と表に出すことができます。書店に大々的に陳列されるため、それだけ宣伝効果もあります。

こうしたワゴンセールスを実施してきちんと本が売れれば、単なる著者買いをするよりも費用が安くなり、さらには大きな宣伝効果を得られるようになります。そのためおすすめの手法です。

著者による書店営業(書店回り)を極める

ただ、著者買いには高額なお金が必要です。ワゴンセールスを仕掛けるにも、当然ながら費用が発生します。そこで、お金をかけずにあなたの本を宣伝する方法が存在します。こうしたものに書店回り(書店営業)があります。書店回りとは、著者が大型書店をひとつずつ回ってあいさつをするという手法です。

インターネットで検索すると、「書店回りは効果がない」と言っている人が大半です。ただ、私が実際に行った感覚では、書店回りは圧倒的な効果がありました。書店回りによる効果がないと言っている人は「やり方を間違えているか、一方的な押し売りをしたか」のどちらかです。

書店営業は大きな効果があります。出版したのであれば、ぜひとも書店を回って挨拶をしてください。このとき、出版直後から書店営業を展開するといいです。ポイントとしては、書店員さんが忙しくない時間を狙うだけです。

特に夕方以降(17:00を過ぎた時間)は多くのお客さんが書店に来ます。そのため、この時間に挨拶へ行くと相手にされません。接客に忙しく、あなたの相手をしている暇はありません。当然ながら、土日に書店営業をするのは絶対に止めましょう。

そこで、開店から少し時間が経った午前中や昼過ぎが狙い目です。この時間に著者自ら挨拶に行けば、高い確率で受け入れてもらえます。

もちろん、単に「本を置いてください」と押し売りをしてはいけません。書店にとって本が売れることが第一条件であるため、あなたがどのようなプロモーションを行い、広告を出しているかなども話さなければいけません。相手の話に耳を傾けながら、書店員さんと対話をしましょう。

書店にはテーマごとに担当の人がいる

なお、私が書店営業をして分かったのですが、書店にはそれぞれのテーマごとに担当の人がいます。ビジネス書の発注をしている人がいれば、小説などの文芸書を扱っている人、新書を担当している人とさまざまです。

これを理解し、書店回りを行うときは「あなたの本の属性を担当している人」に挨拶をしましょう。例えばビジネス書を出版したのであれば、ビジネス書担当の方に挨拶を行うのです。

私はこの事実を知らず、初めて書店回りをしたとき、店内で歩いていた店員さんを捕まえて挨拶をしました。しかし、何とも反応が微妙です。話も弾みません。ただ、最後に立ち去る際に「私はビジネス書の担当なので、新書担当の方に伝えておきます」と言われました。

参考までに、私が初出版した本は以下のような新書です。

このとき、初めて書店営業をして「書店には新書やビジネス書を担当している人がそれぞれいて、担当が分かれている」ことを初めて知りました。

そこからは、書店へ行くたびに「新書担当の方はいますか」と尋ねるようにしました。すると、最初のときのように微妙な反応を示す人はおらず、全員かなり興味をもって話を聞いてくれるようになりました。なお担当の人が不在だった場合、店長や副店長に話すようにしていました。

手ぶらではなくPOPを用意する

また実際に書店を回る際は手ぶらではなく、直筆のPOPを用意しましょう。大きさの違うPOPを何種類も作ると良いです。直筆POPを渡す作戦はかなり効果的です。後で挨拶をした書店を回ると、私の場合はかなりの確率で直筆POPが本と共に飾られてありました。

書店営業に効果がないという人は多いですが、そのようなことはありません。正しい方法で行えば、大きな効果を発揮します。ただ、そのためには著者自ら広告を出すなど、本を売るための体制作りが必要です。ベストセラーとは行かなくても、初速をつけるための準備をした上で書店回りを実施しましょう。

「新聞広告を出すなどのプロモーションを行っているので、私の本は売れます」という情報を携えて、あなたの本が置かれるように書店を回れば、必ず大きな効果が生まれます。

特に地元は好意的に受け止めてくれます。あなたが地元出身なのであれば、地元書店を積極的に回りましょう。

書店営業をするからこそ本が売れていく

ちなみに私の話をすれば、地元だけでなく、全国の書店を100店舗以上回りました。ベストセラー著者も書店営業を積極的に展開していることを考えると、こうした地道な活動は必須といえます。無名著者のあなたが書店営業を行わなかった場合、あなたの本が書店で置かれる可能性は極めて低いです。

また、書店回りをして書店員へあいさつをしたのであれば、その場で本を一冊買うといいです。書店営業の基本は、書店員へ良い印象を残すことです。そのため、少しでも長くあなたの本を置いてもらうため、本の購入代を広告宣伝費と捉え、その場であなたの本を一冊購入するのです。

こうした地道な努力を続けて全国の書店を回れば、ようやくあなたの本が書店に置かれて売れ始めます。

労力はかなり必要ですが、無名著者であるほど書店営業を行わなければいけません。著者が本を売る方法として、書店回りが最も効果が高いからです。

政治家が「地道に有権者を回り、どぶ板選挙を行う」のは、その方法が最も効果が高いと分かっているからです。これと同じように、あなたが本気で本を売りたいのであれば書店回りを実践しましょう。

出版したら地元のマスコミを回って献本し、取材依頼を頼むべき

同時にマスコミの利用も並行して行いましょう。基本的に地元はあなたに協力的です。地元の書店へあいさつに行くと、「地元出身の著者」というだけで目立つ場所に本を平積みしてもらえます。これと同じように、ダメ元で地元のマスコミに営業を行いましょう。

もちろん、ただ単純に献本するだけではいけません。「取材依頼を含めて、献本を行いに来た」ことを伝える必要があります。地元出身であることを言い、何とかその後の取材に繋げるのです。このときは新聞社だけでなく、放送局にも献本します。

運が良ければ、地元出身ということで取材してくれます。私の場合、放送局へ出向いて献本し、取材依頼を頼んだ後にすぐ電話が来て、ラジオへ出演させてもらいました。

1時間以上のラジオ番組であり、朝の時間に二日間にわたって生放送されました。通勤時間での放送であるため聞いてくれた人は多く、それなりに反響がありました。テレビ出演はさすがに難しかったですが、地元のラジオ番組に拾ってもらったのです。

これがきっかけとなり、今でも出演させていただいた放送局と一緒に仕事をする機会がたくさんあります。マスコミへ私が営業していなければ、このような繋がりはなかったことでしょう。現在では、地元のアナウンサーの方々ともたくさん知り合いになっています。

営業するとなると、嫌がる人は多いです。ただ、あなたが行うことは献本することであり、相手に本を差し上げるだけです。地元であることもあり、嫌がられることはほぼありません。

マスコミへあなたを売込みしなければ、そもそも何も生まれません。しかし、営業すれば取り上げてもらえる可能性があります。

マスコミ掲載を二次利用する

運よくマスコミに掲載されたとき、単に喜んで満足するだけではいけません。このときのマスコミ掲載実績を二次利用していく必要があります。

普通に考えて、本を出すことは凄いことです。何も考えずに働いているサラリーマンでは実現できません。これと同じように、単なる一般人がマスコミで取材を受けることはありません。マスコミから取材を受け、それが掲載されるという事実は大きなインパクトがあります。

そこで、このときの事実をマスコミ掲載実績として、あなたのサイトやブログに載せましょう。私が運営しているWebサイト・ブログでも同様に、マスコミ掲載実績を載せています。本を出版したことや新聞に取材を受けたこと、ラジオ出演したことまで告知していきます。

もちろん、単に文章として載せるだけではいけません。あなたがマスメディアに取り上げられたという証拠が必要です。そこで、マスメディアへ出演時の写真やあなたの紹介記事などをウェブ上にアップしていきます。

これらを行うことにより、あなたに大きな権威性が付くようになります。サイトへ訪問する人がマスコミ掲載実績を見たとき、「この人はメディアに取り上げられるくらい凄い人」と思ってくれるようになります。

単にあなたが出版した本の告知をするためだけに、マスコミを活用するのではありません。その後のビジネスのことまで考え、マスコミ掲載実績を二次利用していくことが今後の大きな活動に繋がるのです。

著者として友人に宣伝し、口コミを起こす

さらに初出版(処女作)の場合、必ず自分の友達に言いふらすようにしましょう。大学や社会人で知り合った人たちだけでなく、小学校の同級生まで深掘りして本を出したことを広めるのです。

世間一般的には、本を出す人はすごい人だというイメージがあります。本は誰でも出せないため、実際にすごいことには変わりませんが、知人・友人に口コミをすることで「あいつが本を出したのなら、一冊買ってみよう」「ついでに、あの本のことを知人にも伝えてみよう」と考えてくれます。そうして、口コミの輪が広がっていきます。

それだけ、初めての出版は口コミ効果が高いです。ベストセラーも同様に口コミの影響は強いですが、これと同じことが処女作にも起こるのです。

ただ、二冊目の本からは「初出版のときほどの口コミは起こらない」ことを認識しましょう。周囲の友達もあなたが本を出すことに慣れてしまうからです。そのため、一回限りのチャンスだと考えて最初の出版ではたくさんの友達に宣伝するといいです。

事前準備を行い、作家自ら本を売る

自分が出版した本を著者自ら売り込むのは必須です。ただ、事前に何も対策をしない場合、あなたの本が売れることはまずありません。

一般的には、本を売るときは広告を出します。新聞広告を出すことにより、多くの人の目に触れるようになります。しかし、こうした広告だけでは不十分です。その他の方法についても積極的に実施するようにしましょう。

作者が本を売り込む手法は正直なところ少ないです。広告を出すことを除けば、「著者買いをする」「書店回りをする」「マスコミに献本する」「友人に宣伝する」くらいしかありません。しかし、こうした手法についてもかなり有効です。

本を作るときと同じくらい、書籍を売ることも考えましょう。こうした努力をすることで、ようやく増刷を重ねるようになります。

出版コンサルティングの実施

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