ビジネスを動かす以上は、世の中の経済がどのような仕組みになっているのかを学ばなければいけません。ファイナンスを理解すれば、これを理解できるようになります。ただ、実際にビジネスを行わなかったとしても、ファイナンスを実生活に役立てることはいくらでもできます。

例えば、ファイナンスでは機会費用(オポチュニティーコスト)埋没費用(サンクコスト)という概念があります。これを学び実践すると、人生で迷ったとき、どのように選択すれば良いのかまで分かるようになります。

機会費用(オポチュニティーコスト)とは

人は怠ける生き物です。何気なくテレビを見たり、遊んだりする人が大多数です。しかし、ぼ~っとする時間が長いほど、それだけ損失も大きくなります。これは、機会費用(オポチュニティーコスト)を学ぶことで理解できるようになります。

機会費用とは、本来は最も有効に利益を生み出せていたはずである時間を「他のことをする時間」に当ててしまった結果、失われた利益を指します。かなり分かりにくいので、例を挙げます。

例えば、A君は次の日に何も予定が入っていませんでした。今から電話して次の日にアルバイトを入れれば、「時給800円 × 10時間 = 8000円」を手に入れることができます。しかし、A君はアルバイトが面倒くさいと考え、次の日は1日中テレビゲームをして過ごすことにしました。

テレビゲームをしたところで、何も生み出しません。時間の無駄であり、それよりもアルバイトをした方がお金を生み出すことができます。しかしA君はバイトをすることを選択しなかったため、このときは「バイト代8000円の機会損失をした」ということができます。

本来であれば、その時間を他のことに使っていれば、もっと有効に時間を過ごせたはずです。しかし、有効に使わなかったため、それだけ損失が生まれたのです。これが機会損失です。

「時は金なり」という言葉は有名ですが、これは機会損失のことを指しているのです。無駄に時間を過ごす人は多いですが、実はこれは大きな損をしているといえます。何も失ったようには思えませんが、「有効に活用していれば、本来は得られていたものを得られなかった」という損失が発生するのです。

ビジネスを動かす人の場合、機会損失を重要視しなければいけません。ビジネスをするとなると、多くの人はすべて自分で何とかしようとするからです。そのために、多くの時間を損失します。

例えば、会社設立をするときに、司法書士に依頼する数万円がもったいないと思って法律を勉強しようとする人がいます。しかし、これをゼロから学ぶとなると、何ヶ月もの時間が必要です。それよりも、数万円で会社設立の作業をすべて代行してもらった方が明らかに賢いです。

会社登記の勉強時間を他のビジネスをする時間に当てれば、数万円くらい一瞬で取り戻せるはずです。「専門家に依頼する」ことは、機会損失を防ぐために重要な考え方なのです。

埋没費用(サンクコスト)とは

機会費用とは別に、埋没費用(サンクコスト)についても学ばなければいけません。埋没費用とは、「それまでに使ってしまった費用」のことであると考えてください。

多くの人は、過去に支払ったお金に価値があると考えます。例えば、あなたが新たなビジネスを立ち上げるために設備投資を行い、既に1000万円をその事業のために使ってしまいました。このとき、たとえ成績が悪かったとしても、「既にこれだけお金を使ったのだから、後には引けない」とあなたは考えるでしょう。

立ち上げたビジネスを中止しても、使ってしまった1000万円は返ってきません。このときの1000万円が埋没費用(サンクコスト)です。

ただし、ビジネスでは埋没費用を意識してはいけません。過去のお金は戻ってこないからです。埋没費用に捉われた瞬間に身動きが取れなくなってしまうため、単なる授業料だと割り切って、上手くいかないビジネスはスパッとやめてしまう方が賢明です。

先ほどの「既に1000万円を投資したが、うまくいきそうにないビジネス」の例であれば、過去に注ぎ込んだお金のことは忘れて諦めるという選択が正しいです。

ただ重要なのは、埋没費用の分は無駄に終わるかもしれませんが、「それまでに費やしてきた努力は無駄にならない」ことを認識することにあります。

例えば、部活で毎日のように努力して最後の試合に勝てなかったとしても、それまでの努力は無意味ではありません。部活で鍛えられた礼儀や精神力は、将来必ず役に立ちます。多少、辛いことがあったとしても乗り切ることができるようになっているかもしれません。

先ほどのようなに1000万円の埋没費用を出した場合であっても、「この方向性でビジネスを動かせば失敗する」ことを学べたわけです。この経験を活かして、他のことで成功すれば良いのです。

一見すると、埋没費用は無駄のように思えます。しかし、実際はそうではありません。そのための経験や努力は将来必ず役に立ちます。埋没費用は惜しまずに見切りをつけ、失敗経験を将来に活かすことが最も重要です。

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