ビジネスを行うとき、頻繁に行われるビジネス戦略としてフリービジネスがあります。別名でフリー戦略やフリーミアムとも呼ばれます。フリー戦略とは、簡単に考えると「有料級の情報やサービスを無料でばらまき、多くの人を集客する方法」になります。
ビジネスで最も重要となる部分が集客になります。集客さえできてしまえば、あらゆるビジネスで上手くいくようになります。
このときの集客でフリー戦略をうまく活用するのです。ただ、フリービジネスによる無料の使い方を多くの方が勘違いしています。これを理解しなければ、いつまで経っても集客が実現できません。
そこで、どのようにしてマーケティングでフリー戦略(フリーミアム)を実践すればいいのかについて解説していきます。
無料では最高の商品をプレゼントし、リストを取る
商品を売りたい場合、見込み客が存在しなければビジネスがスタートしません。そのため、まずはお客さんを集めることから始めます。
しかし、頑張って商品を売ろうとしても通常はは売れません。お客さんはその商品を使ったことがなく、本当に優れているものなのかどうか分からないからです。実際に商品を購入して使わなければ、商品やサービスの価値を把握することはできません。
そこで、最初に無料で商品をばらまきます。もちろん、本当の意味で無料にするのではなく、フリービジネスとして無料商品を配ると同時に顧客リストを収集していきます。
あなたが提供する商品に興味がある見込み客を募集していくのです。
ただ、無料の商品を提供するときに多くの人が失敗します。それは、「提供するものはどうせ無料だし……」と思って、文字どおり「無料程度のプレゼント」を配ります。その結果、失敗します。
これはお客様の立場になれば分かります。例えば、あなたが受け取った無料プレゼントが1週間後に壊れてしまい、むしろゴミになってしまったらどうでしょうか。その製品を提供している会社の商品は、全て大したことがないように思えないでしょうか。これは避けなければいけません。
そこで、「最高の無料」をプレゼントします。お客さんを感動させるような、最高級の無料を提供する必要があるのです。見込み客は提供された商品と無料とのギャップによって、あなたのファンになってくれます。最高の無料によって見込み客は満足し、その後に紹介される商品も購入してくれるようになります。
フリービジネスでは最高の無料情報を提供する
無料とはいっても、製品を提供するにはかなりのコストがかかります。良い品物を提供しようとするほど、製造コストは高くつくのです。輸送コストや人件費を考えると、かなりの赤字が出てしまいます。
ただ、「必ずしもリアルな製品を提供しなければいけない訳でもない」と認識してください。提供するものは情報でも構いません。
電子コンテンツであれば無限に量産することができ、輸送コストもかかりません。一瞬でお客様のもとに最高の無料商品を提供することができます。さらにいえば、この過程を全て自動化させることもできます。
フリービジネスについては、私もこの戦略をしています。私はサイト運営によるネットビジネスを実践していますが、必ず有料級の情報をサイト上へ出し惜しみなく記載し、提供するようにしています。例えば当ビジネスサイトについても、「サイト集客で成功する方法」を記事として出し惜しみなく全公開しています。
さらには、顧客リスト(サイト運営に興味のある見込み客リスト)を集めるためにメールマガジン発行を実践していますが、ここでも最高の無料を提供しています。ポータルサイトビジネスという、社会的意義の高いネットビジネスの実践方法を解説した動画を無料で提供しているのです。
これによって、無料プレゼントを受け取った方はとても満足してくれます。また、何通もの感謝メールが私のもとに毎日届くようになります。
本当はここまでしなければいけません。相手の想像をはるかに超える「無料」を提供すれば良いのです。圧倒的な無料を提供することを考えれば、売上を上げるのは非常に簡単になります。「これだけのものを提供してくれる人であれば、お金を出せばもっと優れたサービスを受けられる」と勝手に考えてくれるようになるからです。
あらゆる商品の中でも「無料」は、かなりの力を入れて作り上げたものでないと意味がないことを認識しましょう。
まずは最高の無料を提供することで、見込み客を満足させることだけを考えるのです。
フリーミアムのビジネスモデルで後から収益化する
ただ、当然ですが本当に完全無料で提供するわけではありません。どこかの段階で収益化を図る必要があります。ビジネス目的で行う以上、見込み客からお金をもらうのは当然だと考えるようにしましょう。
例えば私の場合、サイト上に掲載している情報はすべて無料で閲覧できますし、メルマガの情報もすべて無料です。
ただ、「サイト運営によって、人から感謝されるビジネスを開始する」とはいっても、どのようにして具体的に行動すればいいのか分からない人がほとんどです。その結果、私のビジネスセミナーに出席したり、コンサルティングを依頼したりする人が何人も現れています。
以下が実際のセミナーの様子であり、いつも満席になります。
当然、セミナーではお金を取るのが普通ですし、コンサルティングになるとそれなりに高額になります。このように、無料と有料のサービスを明確に分けているのです。
無料でもいいので多くの人に自分の商品やサービスを使ってもらうことができれば、それだけ多くの人に認知されるようになります。
その結果、そのうちの何人かがお金を落としてくれるようになるのです。このように、フリー戦略の収益モデルは最初に無料でばらまき、後でお金を回収するビジネスモデルになります。
「すべて無料で提供してしまうと、課金できなくなるのではないか」と考える人は多いですが違います。むしろ逆です。
実際、あなたの携帯電話に入っているアプリはどうでしょうか。どれも、無料で利用できるものばかりではないでしょうか。
これらのアプリは、多くの人に活用してもらうことで広告収入を得たり、アプリ内課金をしたりします。無料だからこそ、多くの人が利用してくれるのです。
このように、フリーミアムの事例はいくらでも存在します。あなたの周囲に存在するほとんどの会社がフリー戦略を実施しているといえます。マーケティング戦略に長けている会社であるほど、フリーミアムによって無料で商品をばらまいているのです。
課金率の5%ルールを学び、フリーライダーに口コミさせる
なお、実際に収益化(マネタイズ)するときはビジネスモデルを設計しなければいけません。このとき、実際に有料商品を作ったとしてどれくらいの人がお金を落としてくれるのでしょうか。
これについては、5%ルールがあります。5%とは、課金率のことです。つまり、実際に無料サービスを利用してくれた人のうち、5%の割合で有料サービスを活用して課金してくれるという統計上のルールです。フリービジネスを実践する場合、統計上こうした数値になることが知られているのです。
5%というと、非常に少ないように思えます。ただ、それだけ利用してくれる人の母数が増えれば、お金を落としてくれる人の数も多くなります。
また、無料サービス内だけで完結する人をフリーライダー(無料でサービスに乗っかろうとする人)といいますが、フリーミアムモデルの場合はフリーライダーを容認することも重要になります。
フリーライダーは確かにお金を落としません。ただ、無料サービスの内容が優れていれば他の人に対して「このサービスは非常に優れている!」と宣伝してくれる可能性が高まります。つまり、勝手に口コミしてくれるのです。
口コミしてくれれば自然に利用者が増えて成長し、そのうち5%の人が課金してくれます。フリー戦略では、どれだけフリーライダーに満足してもらうのかも重要になるのです。ケチな人ほどフリーライダーを排除しますが、稼げる人ほど彼らを宣伝要因として利用します。
収益モデルの仕組み・作り方:有料と無料の境目を学ぶ
それでは、実際にフリーミアムモデルの作り方としてはどのように実践すればいいのでしょうか。その仕組みを理解しておかなければいけません。
まず、多くの人が悩むこととして「どこまでを無料にして、どこからを有料にすればいいのか」に関することがあげられます。
これについては、「一つのサービスについて完全無料で提供する」ように考えましょう。つまり、本当の意味で完全無料にしてしまうのです。
- 運営サイトの情報(コンテンツマーケティング)
- ソフトウェア
- 著作権の使用料
- アプリ、ツール
これらを含め、すべて無料で提供しましょう。本当の意味ですべて無料で手渡してしまうことにより、お客さんを感動させることに注力しましょう。
上位版(有料会員)の利用で課金する仕組みを作る
その後、本体の製品とは別に上位版のサービスを作るようにしましょう。そうすれば、本体の製品・サービスに満足しているものの、より高度な機能を欲しているお客さんが購入してくれるようになります。
例えば私の場合、コンテンツマーケティング(有益な情報を発信することによって集客する方法)を実践しており、サイト上には有益な情報を無料で公開しています。そのため、サイトやメルマガとして情報を得ることについては無料です。
ただ、その上位版としてセミナーを開催したり、コンサルティングを請け負ったりすることで課金する仕組みにしています。無料の内容だけでは満足できない人が有料へと移行するのです。
参考までに、フリーミアムは「フリー(free)」「プレミアム(premium)」と反対の言葉を掛け合わせた造語になります。最初はフリーで入り、その後にプレミアム版を利用してもらうためにこうした言葉になっています。
他にも、例えばマイクロソフト社はフリーミアムモデルを積極的に採用しています。マイクロソフトはPCハードウェアに組み込むOSソフト、Windowsを無料でばらまきました。これによって圧倒的なシェアを獲得し、WordやExcelなどのソフトウェアを販売することで儲ける戦略を取ったのです。
また、同じくマイクロソフト社が提供するクラウドサービス「Dropbox(データ共有サービス)」は無料で使えます。ただ、実際に使っていってより大きな容量にグレードアップしたいときは月額課金(定額制の有料会員)となります。
共通点として、どれも「最初はすべての機能を利用できる」ことがあげられます。下手に機能制限を設けることはなく、完全無料で全機能を活用できるようにしてあるのです。ただ人によっては、使い続けていくうちに上位版が必要になり、お金を支払って申し込むようになります。
そういう意味で考えると、「体験版として、時間制限を設ける」「機能の一部しか利用できない」などの制限を設けるのは最悪です。
体験版などによって1ヵ月ほどの時間制限を設けたとしても、その期間だけのために申し込む人は非常に少ないです。また、機能の一部しか利用できない場合、見込み客は「わずかなサービスしか利用できず、上位版も大したことがないのでは」と考えるようになります。
そうではなく、最初のころは不自由なく全機能を使えるようにしましょう。ただ、長く使っていくうちに上位版が欲しくなるように仕向けるのが課金率を上げるコツになります。
・マンガや音楽CDが売れる理由
実際のところ、無料の内容を完全公開するほど売上が大きくなる商品・サービスの方が多いです。そのためフリーミアムモデルにデメリットや問題点はほぼありません。売上を増大させるという意味において、メリットしかないのです。
例えば、日本には「少年ジャンプ」という名の知れたマンガ雑誌があります。コンビニで立ち読みできる少年ジャンプですが、そこにはあらすじや内容が完全公開されています。ただ、毎回少年ジャンプを読む人ほどマンガを購入します。これは、そのマンガのファンになっているためです。
また、アイドルを含め歌手の曲については、テレビやネット上でいくらでも聞けます。それにも関わらず、音楽配信が積極的に行われて多くの人が知っている曲であるほどCDは売れ、コンサートは満員になります。これは、曲を聴くだけでは満足できない人が多く、より上のサービスを求めるようになる人が増えるからです。
このように考えると、フリー戦略のビジネスでは自らが保有するコンテンツや商品を「無料で、どれだけ多くばらまけるのか」が重要だということが分かります。
やり方を間違えると失敗する
フリービジネスモデルによる成功事例は非常に多く、個人や企業で成功している人であるほど「有料級の無料」を積極的に提供しています。これについては、サイト運営によるビジネス(コンテンツマーケティング)を実践している私も同様です。
しかし、ほぼ欠点がなくメリットばかりのフリー戦略ではあったとしても、やり方を間違えると失敗してしまいます。
まず、先ほど述べたようにケチな考え方をしてはいけません。時間制限を設けるなど無料で配る無料サービスに大きな機能制限を加えると、当然ながら利用されなくなります。最初は完全無料で提供するべきです。
例えば成功しているオンラインゲームであるほど、基本プレイを無料で使えます。ただ、上位版としてアイテム課金をすることで稼いでいます。これと同じ考え方をしなければいけません。
・途中の有料化(改悪)は顧客離れを加速させる
またフリービジネスモデルを実践するときは、顧客をガッカリさせてはいけません。よくあるダメな他の例として、途中からの有料化があります。つまり、あるとき急に「やっぱり機能を有料にします」と無料を撤回するのです。
これをやってしまうと、一気に見込み客リストが消滅してしまいます。
それまで無料だった既存のサービスを有料化してはいけません。マネタイズするにしても、そのマネタイズ対象は必ず上位版である必要があります。改悪した時点でフリー戦略を失敗させることになるのです。
・有料版の差別化が不明だと失敗する
他には、よくある失敗として「無料と有料の違いがほとんどなく、差別化が不明確」という例があります。
最高の無料プランを提供することには変わりありませんが、それだけで顧客が満足してくれたらいけないのです。より深く「顧客が何を欲しているのか」を調査し、上位版へ申し込んでくれるように仕向けましょう。
例えば私の場合、情報についてはすべて無料で完全公開し、提供しまくりました。しかし、セミナーやコンサルティングなど実際に私が動かなければいけない部分については、当然ながら無料で提供するのは不可能です。そのため、高額な値段であっても多くの人が申し込んでくれるのです。
フリーミアムによるビジネスモデルの成功要因としては、無料と有料の間に差別化があるのです。
無料の内容が圧倒的に優れているのは当然として、さらにお金を支払ってでも上位版のサービス(私の場合はセミナーなど)を利用したいと思えるかどうかにかかっているのです。
マネタイズの種類・タイプを理解する
なお、収益化には上位版(プレミアム版)を用意すればいいことは分かりましたが、このとき、どのような収益化の種類があるのでしょうか。フリービジネスモデルを実践するにしても、マネタイズのタイプを理解しておかなければいけません。
これについては、以下の3つがあります。
- 定額制の有料会員モデル
- 都度課金モデル
- 広告収入モデル
それぞれ、次のようになります。
・定額制の有料会員モデル
最も一般的であり、フリーミアム戦略の中で儲かりやすいビジネスモデルが定額課金制です。有料会員になってもらうことにより、月額など定額でお金を支払ってもらうのです。
いろんなビジネスモデルの中でも、将来の売上予測を立てやすい定額制の課金モデルは非常に優れたビジネスになります。急に売上が減るというリスクを回避し、ビジネスで難しいとされる売上予測を簡単に立てることができるからです。
・都度課金モデル
ただ、中には都度課金のビジネスモデルも存在します。オンラインゲームなど、アイテム課金によるシステムがこれに当たります。
本来、月額の有料会員にする方がいいです。ただ、ゲームのように場合によっては都度課金でなければ難しいケースも存在します。実際、私の場合もセミナーやコンサルなど単発の案件を取り扱っているため、都度課金モデルになっています。
・広告収入モデル
ちなみに、上位版を用意せずアプリ内に広告を掲載するタイプのフリーモデルも存在します。例えば以下のように、アプリやツール内に広告を表示させるようにするのです。
ただ、定額制や都度課金のビジネスモデルに比較すると、圧倒的に稼ぎにくいのが広告収入モデルだと考えましょう。広告収入モデルの問題点としては、たくさん表示させても収益額が非常に少ないことがあげられます。
いくつかのパターンがあるため、どのビジネスモデルを選択するのか先に考えたうえで、フリーミアム戦略を練るようにしましょう。ただ、特別な理由がない限りは定額制の課金モデルや都度課金のビジネスを選択するといいです。
スタートアップで応用できるフリービジネスモデル
なお、これから副業や起業、または新規事業を考える場合、フリービジネスによるモデルを考えるのは基本になります。ビジネスではマーケティングが重要になりますが、フリー戦略を活用すればスタートアップでの集客部分の課題をクリアしやすいからです。
多くの人が勘違いすることとして、「質の高い商品やサービスを作れば勝手に売れる」ことがあげられます。しかし、前述の通りお客さんはその商品を使ったことがないため、本当に優れているかどうか判断することができません。そのため、無料でもいいので実際に使ってもらう必要があるのです。
ここでは私の事例を含め、IT業界で行われているフリーミアム戦略について解説しましたが、実際のところ「無料」を利用して集客している業界は無数に存在します。飲食店や教育、不動産、美容などあらゆる種類のリアル店舗がフリー戦略を実践しています。
例えば、スーパーへ行けば必ずというほど試食コーナーがあります。
実際に食べてみなければ味が分かりません。そこで、無料で試食させることで味を分かってもらった後、商品を購入してもらうのです。スーパーに限らずお土産で試食があるのは。、「お試し商品を無料で提供し、どのような製品なのか理解してもらう」ためなのです。
このように考えると、「フリーミアムの考え方はいくらでも応用できる」ことが分かります。特にスタートアップの個人や企業では課題が多く、主に集客や営業の部分で苦労します。そうしたとき、無料戦略を効果的に取り入れれば売上を出しやすくなります。
・企業向けのB to Bでも無料プランが基本
なお、当然ながら個人に対する商品やサービスだけに限らず、メーカーなど企業向けに展開する場合であってもフリーミアムの仕組みは有効です。当然、個人に限らず企業についても無駄な経費を使いたくないからです。
そのため、企業向けのB to Bを考える場合もフリービジネスモデルの作り方は同じだと考えるようにしましょう。
価値の高い無料戦略をビジネスに取り入れる
ここでは、フリー戦略によるビジネスモデルの作り方や特徴について解説してきました。フリーミアム戦略とは、無料で商品をばらまくことによって多くの人に価値ある商品を届け、後で有料プランを利用してもらうという特徴のビジネスモデルになります。
ただ、特別なビジネスモデルというわけではありません。集客に成功している企業であるほど、フリービジネスを採用しています。当然、大企業に限らず個人であってもフリー戦略は有効です。
もちろん、全員が有料会員になるわけではありません。全体の比率でいうと、わずか5%の割合でしかお金を支払ってくれる人は表れません。それ以上の人がお金を払ってくれることはなく、有料会員になってくれる割合には限界があります。
しかし、それでも問題ありません。利用者が多くなれば、有料会員やフリーライダー(たた乗りの人たち)を含めて積極的にサービス内容を口コミで宣伝してくれます。そうなるとさらに利用者が増え、そのうち5%の人が利用してくれるので売上が自動的に増えるようになります。
こうしたポイントを理解したうえで、事業の中にフリー戦略を取り入れてみてください。非常に強力なビジネスでのプラットフォームがフリーミアムです。
実践するうえでの弊害は特になく、集客が加速されるのでメリットの大きいビジネスモデルです。ただ、無料と有料の違いについては明確にしておきましょう。そうしたうえでフリービジネスモデルを実践することが売上を拡大させるコツです。
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