ECサイトを使ってビジネスを行うなど、ネットビジネスで物販を運営するときに「どのような費用(経費)が発生するのか」を知っておく必要があります。発生する費用について把握しておかないと、途中で資金が尽きてしまう恐れがあるからです。

特に重要になるのが在庫であり、棚卸資産(在庫)をどのように取り扱えばいいのか事前に理解しておくことは重要です。

費用について前もって理解しておけば、どのようにネットビジネスとしてECサイトを運営すればいいのか分かるようになります。

そこで、ECサイトや転売でのネットビジネスで発生する費用について解説していきます。

ビジネスで必要な商品生産・仕入れ・在庫

ECサイトで売るための商品を作ったり仕入れたりする場合、当然ながらお金が必要になります。このとき、商品の開発や仕入れは、ECサイトのビジネスで最も重要な部分になります。

このとき、「メーカーとして自社製品を販売する」「他の問屋から仕入れて転売する」など、方法はさまざまですが、いずれにしても商品生産したり、仕入れをしたりして在庫を抱えなければいけません。

ただ、物販での在庫が無駄に多いと倒産リスクが非常に高くなります。それだけ経営を圧迫することになりますが、それは「在庫は実際に売れなければ経費にできない」からです。

例えば10万円を仕入れ、そのうち8万円を売ったとします。そうして期末になって決算を迎えたとき、経費にできるのは売れた分の8万円だけです。たとえ10万円を仕入れたとしても、10万円を経費化できるわけではありません。

売上原価の考え方

つまり、在庫が多ければ「商品製造や仕入れで多くのお金が先に出ていくにも関わらず、売れていないので経費にできない」という状況に陥り、無駄に多くの法人税(個人事業主なら所得税)を支払うことになってしまいます。また、売れないとお金が入らないので資金繰りが悪くなります。

ネットビジネスのECサイトの運営で起こる商品出庫の問題

また、在庫による罪は他にもあります。自分で商品を保管し、出庫しなければいけないため、ここでトラブルが発生します。

大前提として、ネットビジネスで物販をするときは物流に乗せることを考えなければいけません。つまり、トラックに載せて運ぶ必要があります。そのため、例えば大きい家具を宅配で運ぶとなると、それなりの値段になってしまいます。

また、犬などの生き物も特殊な物流に乗せる必要があります。これらを運ぶためにはコストが大きくなってしまうため、物販ではハードルが高くなってしまいます。このような理由から、ECサイトや転売で売られている商品は雑貨など、比較的小さい商品が主流となっています。

しかし小さい商品であっても、在庫を持つようになると保管スペースが必要になります。最初は誰もが自宅に商品を置くことからスタートしますが、かなりのスペースを取るようになります。

たとえ一つの商品が小さい物であったとしても、月商1,000万にもなると、もの凄いスペースが必要です。そのために、倉庫が必要になります(宝石など小さくて高価な物は例外です)。

また、ECサイトから商品の注文があった場合には、倉庫から商品を取ってくる作業が必要になります。これをピッキングといいます。

ただ、商品の中でも似た商品がいくつも存在する場合があります。服のサイズもS、M、Lと規格違いがありますし、商品名の似ている品物があるかもしれません。つまり、誤って異なる商品を取ってきてしまう可能性があるのです。

そこで、ハンディスキャナーを利用するなどして在庫管理しますが、いずれにしてもこうした作業が必要になることは理解しましょう。

商品の入庫で必要な検品作業

他にも、メーカーから商品が届いた場合は「商品の数や品質に問題ないかチェックする」という行程があります。これを検品と呼びます。この検品作業では二種類行う必要があり、それぞれを「員数検品」「品質検品」といいます。

  • 員数検品:商品の数が正しいかチェックする
  • 品質検品:届いた商品の品質に問題がないかチェックする

これらの作業を飛ばしてしまうと、後で大きな損をしてしまいます。

・員数検品(いんずうけんぴん)

ECサイトの商品を仕入れるためのメーカーから商品が届いたとき、その商品の数を数える必要があります。商品の数が合っていないことが頻繁にあるためです。

例えば、納品書には「100個」と書いているにも関わらず、実際には98個しか納品されていないことがよくあります。もし員数検品を行わずに商品を入荷すると、2個足りないが100個分の料金を支払わないといけなくなります。

これを見逃すとその分だけ利益損失になるため、メーカーにクレームを入れて足りない分を納品して貰わなければいけません。この作業によって、大きな手間がかかります。

また、員数検品ではメーカーから送られてくる商品の数が多すぎてもダメです。何も言わずにそのまま仕入れても良いのですが、実際にはその後の信頼関係も考えて返品をしなければいけません。この作業にも手間がかかります。

・品質検品

商品入荷時には数だけでなく、品質までチェックする必要があります。この作業をカットしても良いですが、お客さんに届いた後で不良品があればクレームになります。

これによって信頼が失われ、送料や保証などによって無駄なお金が出ていきます。往復分の送料も負担しなければいけないため、これを考えると品質検品を必ず行わなければいけません。メーカーも完璧ではないため、現実では品質検品時に不良品がいくつも出てくるようになります。

商品を出荷するときの問題

商品を入庫するときにこのような検品作業が必ず必要になりますが、これは商品を出荷するときも同じです。商品出荷時には出庫手続きを行い、宅配業者に配送を頼みます。

しかし宅配業者に頼んだとき商品を100個発送したはずなのに、宅配業者が「98個しか受け取っていない」といえば、2個分の商品が消えるという現象が起こります。そのため、宅配業者へ引き渡すときに100個を現場で数えながら引き渡さなければいけません。

しかし、現実的にはどうかというと、商品の数を全く数えずに箱に入った商品を宅配業者が持っていく場合がほとんどです。そのため、商品がどこかへ消えるケースはいくらでも起こります。

このように、在庫を持たなければいけないビジネスである物販は落とし穴だらけです。いくら気をつけたところで、これらのリスクをゼロにすることはできません。

在庫の売れ残り問題と在庫処分での赤字

さらに、在庫の売れ残り問題もあります。在庫として仕入れたとしても、その在庫が全て完売することは現実的にとても難しいです。そのため、在庫が売れ残ってしまう問題は必ずと言っていいほど発生します。

例として、100万円分の商品を仕入れたとします。一般的には6割の値段で仕入れるので、仕入れにかかる値段は60万円です。つまり、全部売れると40万円の利益となります。

しかし、このように上手く商品が売れることは稀です。ここで例えば半分の50万円分の商品しか売れなかったとすれば、仕入れのときに60万円をメーカーに支払っているため、既に10万円の赤字となります。

在庫が売れればお金になりますが、売れなければ邪魔なだけです。そこで、売れない商品は値引きをして売ります。これがいわゆるセールです。ただし、安く売れば売るほど利益は少なくなりますし、セールをしても在庫が残るケースのほうが多いです。

・在庫を処分したときに発生する罠

そこで売れ残った在庫については処分します。ただ在庫を持つビジネスモデルの場合、いくら黒字であっても一瞬のうちに大赤字に転落することが頻繁にあります。このような現象は在庫処分時に起こります。

例えば、これまでに利益が100万出ていたとします。ここでもし150万円分の在庫があり、この在庫が古くなって売れないとすると、在庫を捨てる(償却する)必要があります。すると、100万の利益から在庫償却分の150万が引かれて、50万の赤字になります。

つまり、在庫を償却したときに初めて会計上の悪夢を見ることになります。そのため、企業が決算を行うときにどれだけ黒字が出ているように見えたとしても、期末の在庫償却によって赤字に転落してしまうのです。

それでは、中には「在庫をずっと持っていれば損が出ないのでは」と思う方がいます。

確かに、在庫を持っている限りは損失が確定しないです。しかし、この在庫が売れないままであれば、倉庫スペースがどんどん詰まっていくことになります。新しい商品を入荷したいにも関わらず、売れない商品が倉庫の大部分を取ってしまうのです。

これによって余分なコストが発生し、新しい商品を売る機会を失ってしまいます。売れない在庫を持っていては意味がありません。そのため、余計な在庫は損失として捨ててでも、なくしてしまう方がいいのです。

サーバー代とドメイン代などの運営費を理解する

このように、ネットビジネスに限らず物販での基本にはなりますが、在庫がどのような悪さをするのか事前に理解しなければいけません。ただこれがECサイトだと、他にも必要経費が発生するようになります。具体的には、サーバー代やドメイン代が必要になります。

サーバーは実店舗でいう「店舗そのもの」に相当し、ドメインは実店舗でいう住所に相当します。ECサイトを運営する場合、他社からサーバーとドメインをレンタルしなければなりません。これによって、自社独自のECサイトを保有することができます。

そのほかにも、ネット上でビジネスを行う以上、毎月の通信費も当然ながら発生します。ECサイトの運営を維持する場合であっても、ある程度の経費が必要です

ただ、これらサイト運営にかかる費用はリアル店舗を保有するときの経費に比べれば極めて小さいです。

・決済代行システムの利用料金

費用面でいえば、ECサイトを使って商品を販売する場合、「お客さんからどのような形で代金を支払ってもらうのか」について、あらかじめ決めておかなければなりません。このとき、クレジットカードでの支払いに対応するのは必須です。

カードの決済手数料は4~5%ほどですが、こうした手数料がかかると考えましょう。参考までに、以下は私が使っている決済システムであり、「お客さんがクレジットカード決済で商品を購入してくれたときの様子」です。

ネットビジネスでの物販でカード決済に対応していないのはあり得ないため、必ずカード決済システムを導入しましょう。

追加で発生する可能性がある広告費とデザイン費用

なお、ECサイトを運営していく上で「必ず必要というわけではないものの、かけるかどうかを検討すべき費用」がいくつか存在します。そのうちの主なものが広告費とサイトデザイン費用です。

・広告費

資金に余裕がある場合には、広告費を投下して露出を増やすことで、自社のECサイトにアクセスを集めることができます。ただ、サイトをしっかりと構築しておかなければ、どれだけアクセスを集めてもすぐお客さんに離脱されてしまうだけです。

そのため広告の出稿を検討するのは「ECサイトを完成させ、さらには商品開発など必要な部分にお金をかけた上で、それでも資金に余裕がある場合」に限定しましょう。

・サイトデザイン費

ECサイトを構築する場合、お客さんに好まれるデザインしなければいけません。ただ、綺麗なサイトにすれば商品が売れるわけではありません。どれだけサイトのデザインが美しかったとしても、サイトデザインそれ自体はお客さんのメリットにならないからです。

ここでいうサイトデザインとは、お客さんにとって使いやすいレイアウトにすることや、お客さんに必要な情報をしっかりと伝えられるようなデザインを指します。

在庫問題と必要経費から考える物販の利益率

ネットビジネスとして自分のECサイトを運営する場合、こうした費用が必要になると考えましょう。また、転売を含め在庫リスクがあります。ある程度のリスクがあることを理解したうえで物販を開始する必要があります。

それでは実際のところ、物販を実践する場合はどれくらいの利益率になるのでしょうか。これについては、問屋などから商品を仕入れて売る場合(転売)だとザックリと利益率は10~30%ほどになります。

まず、仕入れ費用(原価)が売上の6割と考えると、売れたときに手元に残る粗利益(粗利)は4割です。例えば100円で売る場合、通常は仕入れ費用が60円(60%)となります。

ここからカード決済手数料や商品発生などをしていくと、基本は粗利として10~20%しか手元に残りません。うまくいっても30%です。これが物販をするときの現実的な数値だと考えましょう。

もちろん、実際に売れた商品だけで考えての粗利益率10~30%であり、売れ残った在庫のことは考慮していません。そのため、実際にはより残るお金は少なくなります。

参考までに、自分がメーカーとして商品を作る場合、原価(商品作成の費用)は売値の30%ほど(例えば100円で売るなら原価30円)が適切です。商品ロットは多くなり、売る商品の種類は少ないですが、利益率についてはその分だけ多くなります。

こうした一般的な物販での利益率を理解し、どのようにすればお金が残るのかを考えながら値段設定や物流の仕組みを考えるようにしましょう。

在庫リスクや出ていく経費を考えるのが物販で重要

同じネットビジネスの中でも、「サイト上だけで完結するビジネス」であれば利益率95%以上であり、完全自動化が可能です。ただ、ECサイトの場合は実際に商品を動かす必要があるため、在庫リスクがあります。

特に大量の在庫は会社を潰すほどインパクトが大きいため、取り扱いには注意しなければいけません。また、物流の段階で商品が消えることも頻繁に発生するネットビジネスとなります。

またECサイトであればWebサイト運営になるため、サーバー代やドメイン代の発生は必須ですし、広告費やWebデザイン代が必要になることもあります。リアル店舗の維持費に比べると圧倒的に少額であるものの、こうした支出も考えなければいけません。

これら在庫や必要経費について理解したうえで物販でのネットビジネスを開始しましょう。意外と利益率が低くなることは多いため、ネットビジネスで物販・ECサイトを開始するときのリスクを事前に理解しておくといいです。

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