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マーケティングでは、「お客様が何に対して価値(ベネフィット)を感じるのか」について認識することが重要です。なぜなら、このことを意識せずに作られた商品は、間違いなく売れないからです。

結局のところ、お客様はその商品自体が欲しくて買うわけではありません。つまり、その商品によって得られるベネフィットに魅力を感じてお金を支払うのです。このことを理解した上で商品の開発・販売を行わなければ、売り上げを伸ばすことはできません。

そこで、お客様にとっての価値(ベネフィット)の考え方や種類、そこから考える差別化戦略について解説していきます。

お客様は商品を買っているわけではない

世の中には、さまざまな商品が売られています。しかし冒頭で述べたように、お客様が店舗などで売られている商品を購入するとき、商品そのものが欲しくて買うわけではありません。むしろ、お客様にとって商品はどうでも良いものです。

例えば、家電量販店で扇風機が売られていたとします。これをお客様が購入したとき、その人は扇風機そのものが欲しくて買ったわけではありません。扇風機がもたらす価値(ベネフィット)にお金を払ったと認識するべきです。

扇風機は、「風を起こす機能」をもつ製品です。つまり簡単に言うと、扇風機を購入したお客様は、扇風機そのものではなく、扇風機がもつ「風を起こす機能」に価値を感じてお金を払ったことになるわけです。

そのため、お客様が扇風機にこだわっていない場合には、「風を起こす機能」をもつ製品であれば他の製品であっても買ってもらえる可能性があります。例えば、お客様にエアコンを勧めれば、扇風機の代わりに買ってくれるかもしれません。また、「電気代がかからない」というメリットを伝えれば、うちわであっても売れるかもしれません。

このように、お客様は商品そのものを買っているわけではありません。それがもたらすベネフィットに対してお金を支払います。そのため、お客様のことを理解せずに、商品ありきでビジネスを始めてしまうと、「商品がほとんど売れない」という悲惨な目に遭ってしまいます。

お客様が支払う対価よりも大きな価値がなければ売れない

どれだけ良い商品を作ったとしても、それに価値(ベネフィット)を感じてくれるお客様がいなければ売れません。またお客様は、「商品を買うことで得られる価値を、自らが支払う対価よりも大きい」と判断できたときにだけ、その商品を購入します。

商品購入の際にお客様が支払う対価は、お金だけではありません。手間や時間などもお客様が支払う対価になります。

手間が対価となる例には、「商品を購入することで、面倒な手間を省ける」などがあげられます。一方、時間が対価となる例には、「商品を使うことで、時間を大幅に削減できる」などがあげられます。

また、お金が対価となる例のうち、「商品の値段」以外のものとして、「ガソリン代や電気代を少なくできる」などがあげられます。

お客様が商品購入を検討する際には、これらの対価について考えています。そして、「自分が支払う対価よりも価値(ベネフィット)の方が大きい」と思ってもらえたとき、お客様が商品を買ってくれます。

売上を伸ばすための戦略とは

また、自社商品の売り上げを伸ばしたい場合には、以下の方法のどちらか、または両方を採る必要があります。

・商品が提供できる価値(ベネフィット)を高める

・お客様が支払う対価を減らす

これらのうち、商品が提供できる価値(ベネフィット)を高める方法の例としては、「特典などの付加価値を付ける」「商品の性能を向上させる」などがあげられます。

一方、お客様が支払う対価を減らす方法の例としては、「値段を下げる」などがあげられます。

これらの方法を採ることで、商品の売り上げをさらに伸ばすことが可能になります。しかし、これらの方法のうち「値段を下げる」ことについてはお勧めしません。なぜなら、値下げをした上で自社の利益を維持するためには、人件費など他の費用を削らなければならなくなるからです。

この場合、自社の従業員に無理強いすることになってしまい、社内の雰囲気が悪くなったり、社員が会社を辞めてしまったりします。そのため、商品の売り上げを伸ばしたい場合には、「値段を下げる」以外の方法を採るようにしてみてください。

このように、お客様が商品を購入する際には、商品によってもたらされる価値に対してお金が支払われます。また、お客様が感じる価値(ベネフィット)が対価を上回っているとき、お客様が商品を買ってくれます。

そして、商品の売り上げを伸ばしたい場合には、商品を買うことで提供できるベネフィットを高めたり、商品を使うことによってそれまでの手間や時間を減らしたりできるように注力してみてください。これにより、自社の利益がさらに大きくなります。また、売り上げ確保のための短絡的な値下げは、絶対に行わないようにしてください。

ベネフィットの種類:機能的ベネフィットと情緒的ベネフィット

ただ、ベネフィット(付加価値)といわれても漠然としすぎてしまいます。そこで、ベネフィットそのものを大きく分けると、「機能的ベネフィット」と「情緒的ベネフィット」の2つに分類することができます。そして、それぞれのベネフィットによって異なる特徴があります。

それでは、機能的ベネフィットと情緒的ベネフィットの違いとしてはどのようなものがあるのでしょうか。

機能的ベネフィットと情緒的ベネフィットの違い

機能的ベネフィットとは、その名の通り、「商品が持つ機能に関係するベネフィット」のことを指します。高級車に例えると、「頑丈である」「運転しやすい」「シートの座り心地が良い」などが機能的ベネフィットにあてはまります。

一方、情緒的ベネフィットとは、「デザイン性や高級感、思い出などのように、商品の機能とは無関係なベネフィット」のことを指します。高級車に例えると、「デザインがかっこ良くておしゃれ」「この車をもつことで、周りの人から一目置かれる」「販売台数が極めて少なく、貴重な車である」などが情緒的ベネフィットにあてはまります。

また、情緒的ベネフィットでは、その商品にベネフィットを感じる人によって、その理由がそれぞれ異なります。例えば、高級車を持つ人であっても「デザインのことを意識したわけではなく、ただ単に自分のステータスを高めるために買いました」という人がいるかもしれません。

そのほかにも、「子供の頃にあこがれた車だったので、自分で購入して運転してみたかったのです」という理由で、高級車を所有している人がいるかもしれないわけです。

自社製品を人気商品にするための方法

自社で扱っている製品を売れ筋の人気商品にするためには、その商品がお客様に提供できる機能的ベネフィットと情緒的ベネフィットのうち、どちらか一方、または両方を増大する必要があります。

例えば、あなたが腕時計の製造・販売メーカーを経営していたとします。このとき、自社製品の機能的ベネフィットを高める方法としては、「商品に防水加工を施して壊れにくくする」「時刻表示を見やすくする」「電池交換の手間をなくすため、太陽光で充電できるようにする」などがあげられます。

また、自社製品の情緒的ベネフィットを高める方法としては、「商品のデザインをかっこ良くする」「商品の広告やCMで高級感を演出する」などがあげられます。

これらの方法を採ることで、商品の売り上げを大きく伸ばすことが可能になります。

お客様の声を取りいれた商品開発をする

しかし、実際にこれらの方法で機能的ベネフィットや情緒的ベネフィットを高める際には、一つ大きな注意点があります。それは「お客様の意見を反映させる」ことです。

つまり、自社の製品をどれだけ高性能なものにしても、ターゲットとなるお客様の心に響かなければ、売り上げを伸ばすことができません。また、自社の製品をどれほど高級感があってかっこいいデザインにしたとしても、対象となるお客様が求めていないのであれば、無駄な努力で終わってしまいます。

これらの事態を避けるためには、お客様の意見を取り入れながら商品の開発・販売を行う必要があります。その具体的な方法としては、「多くのお客様に商品を試してもらい、そのとき出た意見を商品に反映させる」などがあげられます。このような方法を取り入れて商品を手掛けることで、人気商品を開発することができます。

このように、お客様が感じる価値(ベネフィット)には、商品の機能に関係する「機能的ベネフィット」と、デザインなどのように商品の機能とは無関係な「情緒的ベネフィット」があります。

そして、ターゲットとなるお客様が「どのようなベネフィットを求めているのか」を把握し、それを商品開発に活用することにより、人気商品を作り出すことが可能になります。

競合との差別化を図り、お客様から選ばれる存在になる

このように、ベネフィットについて述べてきましたが、これらは「競合との差別化をする」ことによっても達成できます。つまり、競合とは違う特徴を備えることで、競合がひしめく市場を抜け出し、自分だけが独占する市場を作り出すのです。これを行うことで、少ない負担で大きな成果を出すことが可能になります。

マーケティングで競合との差別化をするためには、適切な戦略のもとに行わなければいけません。

差別化をするための3つの軸:「手軽軸」「商品軸」「密着軸」

競合との差別化を図る際には、「手軽軸」「商品軸」「密着軸」の3つの軸のうちのどれかを選ぶ必要があります。そして、どの軸を選ぶかによって、採るべき戦略や競合となる存在が大きく異なります。

それぞれの軸の特徴は、以下のようなものになります。

・手軽軸:価格の安さと提供スピードを重視

・商品軸:商品の品質重視

・密着軸:お客様への対応重視(オーダーメイドなど)

ここからは、それぞれの軸ごとの戦略について、さらに掘り下げて解説していきます。

手軽軸の戦略

手軽軸を取り入れる場合の戦略としては、競合よりも安い商品を扱い、さらに速いスピードでお客様に提供するようにします。さらに、このときの商品の品質は、「最高ではないが、一定の水準を満たすレベルの良いもの」にします。またお客様への対応については、特別親切に対応するのではなく、必要最低限のマナーと礼儀を守るようにします。

手軽軸の具体例としては、「安くて早く提供されて、そこそこおいしい」という戦略を採っているハンバーガーチェーン店があげられます。また、「適度に良い品質の商品を各種取り揃え、低価格で販売する」ことを意識しているホームセンターも、手軽軸にあてはまります。

商品軸の戦略

商品軸を取り入れる場合の戦略としては、競合よりも高級で高品質な商品を扱うようにします。その一方で、品質に見合うように高い値段を設定した上で、提供するスピードをある程度犠牲にしてでも品質の良い商品を作るようにします。

また、お客様に対応する際には、馴れ馴れしくならないようにしつつも、最低限のマナーと礼儀を守るようにします。

商品軸の具体例としては、「高品質で高級な時計を扱う」という戦略を採っている高級時計ブランドがあげられます。そのほかにも、「最高級の料理を提供する」ことを意識している高級フレンチも、商品軸にあてはまります。

密着軸の戦略

密着軸を取り入れる場合の戦略としては、競合よりもお客様に親身に接するようにします。そして、お客様の希望を叶えることを重視した商品を開発・販売するようにします。その一方で、値段や商品の提供スピードについては、一定の水準を満たせるレベルを保つようにします。

密着軸の具体例としては、「お客様が食べたいものを聞き、それを提供する」という戦略を採っている飲食店があげられます。そのほかにも、「お客様との密な信頼関係を作る」ことを意識している地元のコーヒーショップも、密着軸にあてはまります。この場合、店主の個性がビジネスを行う上で重要になります。

差別化の軸は、必ず1つに絞る

競合との差別化を図る場合、その軸は必ず「手軽軸」「商品軸」「密着軸」のいずれか一つに絞らなければなりません。なぜなら、これらの軸から2つ以上選んで取り組もうとすると、経営破たんに向かうことになるからです。

すでに述べたように、それぞれの軸によって採るべき戦略が全く違います。つまり、複数の軸を取り入れようとすると、すべてがうまくいかなくなったり、自社の特徴が失われたりしてしまうのです。

人は、何の特徴も持たないものには見向きもしません。そのため、特徴のない会社や店舗からは、誰も商品を買おうとは思わないのです。その結果、特徴を持たない会社は誰にも意識されないまま、倒産していくことになります。このような事態を避けるためにも、差別化の軸は必ず1つに絞るようにしてください。

例えば、高品質のブランドバッグを販売しようとしているとき(商品軸)、これを安く早く提供することを考えるようになると(手軽軸)、利益が全くでないので簡単につぶれてしまいます。

このように、競合との差別化を実践する際の軸となるものとして、安さとスピード重視の「手軽軸」、品質重視の「商品軸」、お客様への対応重視の「密着軸」の3つがあげられます。そして、これらの軸の中から1つだけに特化してビジネスを行うことで、より多くのお客様から選ばれる存在になることができます。

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