ビジネス戦略

社会貢献型のソーシャルビジネスで儲けを両立させるモデルの作り方

ビジネスを実践することは、大きな社会貢献になります。つまり、起業してたくさんお金を稼ぐこと自体が社会のためになり、周囲をより豊かにしていくことになるのです。

多くの日本人は「金儲けは悪い」と考えがちですが、ビジネスの本質を学べばまったく逆であることに気が付きます。

また自分のスキルを磨いていけば、誰もが認める社会貢献性の高いビジネスを行い、儲けと両立させながらそのビジネスを発展させていくことが可能になります。こうした社会貢献できるビジネスをソーシャルビジネスといいますが、ソーシャルビジネスは大企業に限らず個人や中小企業レベルでも可能です。

本当の意味で社会貢献したいのであれば、金儲けをしなければいけません。この意味を理解できれば、社会貢献型ビジネスを行えるようになります。

社会貢献するには金儲けが必要

最初に、社会貢献性の高い仕事を実現するためには「ビジネスによって金儲けが必須となる」ことについて、学ばなければいけません。

実際のところビジネスで成果を出している人であるほど、「社会貢献のためにビジネスをしている」と発言します。お金儲けの原則が分かっている人であるほど、利益を出すことが社会貢献だとわかっているのです。

例えば、オリンピックの水泳で金メダルを取った選手がいて、自分が教わってきたことを後世に伝え、将来のオリンピック金メダリストを何人も輩出したいと考えたとします。このとき、「どれだけ利益を生み出せる仕組みを構築して、お金儲けできるか」が最も重要になってきます。

ボランティアで指導してもいいですが、それでは指導できる生徒の人数が限られます。さらには本人の生活収入を確保しないといけないため、ボランティアではサラリーマン勤めをしながらの指導になります。これでは、本気で水泳の指導ができません。

一方、水泳指導で多くの生徒が集まり、そこから受講料による継続課金やスポンサー売上によって好調な売上が確保できたらどうでしょうか。

こうなると、本気でオリンピック選手を育てるために必要なトレーナーを他に雇うことができます。有望な選手が現れたとき、遠征費を補助することができます。より高度なスポーツプログラムを開発したり、器具を導入したりすることも可能になります。それにより、より多くのオリンピック候補を育てることができるようになります。

ここまでを考えたとき、「ボランティアで細々と指導する場合」と「ビジネスを動かして、利益の出る仕組みを構築する場合」とでは、どちらの方が「真に社会貢献をしている」といえるでしょうか。

世の中きれいごとではなく、何をするにしてもお金が必要です。そのため、「きちんとお金儲けできる仕組みを考えて利益を出し、それを社会にとって役に立つ仕組みへ投資する」ことが社会貢献につながるのです。

お金儲けというのは、決して私利私欲のためにするものではありません。「稼いだお金を社会にとって必要な部分へどれだけ活用できるか」に、ビジネスの本質が隠されているのです。

ビジネスが社会貢献となる事例:ロベルト・クレメンテ賞

それでは、「具体的に、どのようにビジネスを展開することで社会貢献につながるのか」について、実際の事例をもとに解説していきます。

日本で最も盛んなスポーツといえば、誰もが野球と答えます。野球選手として活躍している一流のプレーヤーをみれば、何億円もの年俸があります。普通のサラリーマンが一生稼ぐお金が3億円程度であることを考えると、トップ選手は比較にならない額を稼いでいることが分かります。

ただ、それよりも大きなお金が動くのがメジャーリーグです。メジャーリーグでは、日本と比べてゼロが一つ違うくらい莫大な年俸を提示されます。

お金の額だけを比べると、日本野球はメジャーリーグに完敗であるといえます。日本の優秀選手もメジャーリーグを目指して旅立ちます。そして、「日本野球はメジャーリーグを超えられない理由がある」という人もいます。

まずアメリカのメジャーリーグにおいて、最も栄誉のある賞をご存知でしょうか。MVPでなければ、その年に最も活躍した投手に贈られるサイ・ヤング賞でもありません。それは、ロベルト・クレメンテ賞です。ロベルト・クレメンテ賞を理解するためには、ロベルト・クレメンテという人物を知る必要があります。

クレメンテは1934年にプエルトリコで7人兄弟の末っ子として生まれました。家庭は非常に貧しく、見よう見まねで野球を始めたといいます。

18歳のときにスカウトされ、ドジャースに入団します。ただ、ここでは活躍の場を得られなかったため、ピッツバーグ・パイレーツに移籍します。その後、1960年には打率.314をマークし、チームのリーグ優勝やワールドチャンピオンに大きく貢献しました。

首位打者は計4回、MVPに1回選ばれるほどの活躍であり、1972年には通算3000本安打を達成しました。

彼の優れているところは、「慈善活動を精力的に行っていた」ことです。自身がプエルトリコ出身であることもあり、シーズンオフにはラテンアメリカ諸国に野球の道具や食料を送るなどの支援を行っていました。

そのような中、中央アメリカにあるニカラグアで大地震が起こります。これを聞いたクレメンテは素早く行動を起こし、救援物資を提供するためにチャーター機を手配して、その中に自分も乗り込みました。

ただ、その途中に飛行機が墜落し、3001本目の安打を打つことなく帰らぬ人となりました。1972年12月31日のことです。

クレメンテの死後、「引退後5年経たなければ認められない殿堂入り」に対して、特別措置を受けて1973年に殿堂入りを実現しました。

そして、慈善活動を行ったメジャーリーガーに対して贈られる賞の名前は、それまでのコミッショナー賞ではなく、ロベルト・クレメンテ賞へと改称されたのです。

営利を追求するから可能なことは多い

日本にいる小学生の男の子に将来の夢を聞くと、「野球選手」と答える人は多いです。ただ、このときの理由を聞くと「かっこいいから」「○○億円プレーヤーとして活躍したいから」などの返答があります。

もちろん、これ自体は素晴らしいことです。ただ、ロベルト・クレメンテ賞を受賞したあるメジャーリーガーは「小さいころから、自分はロベルト・クレメンテ賞を受賞することだけを目標に頑張ってきた」といいます。

ここに、日米野球の根本的な違いがあります。ロベルト・クレメンテ賞という存在により、メジャーリーガーは社会貢献の本当の意味が分かっているのです。

本当に社会貢献しようと思えば、お金が必要です。クレメンテが救援物資を用意するにしても、チャーター機の手配を行うにしてもお金がなければ活動できません。これら自ら稼いだお金を社会に還元することが、真の社会貢献なのです。

まったくお金を生み出さないボランティアというのは、社会貢献ではなくて自己満足に過ぎません。そういう意味では、「お金を稼ぐ意味」をアメリカで育ったメジャーリーガーたちは知っているといえます。

日本では、「お金を稼ぐことは悪いことだ」と考えている人が大多数です。ただ、本来は違います。もちろん、稼いだお金をすべて自分のためだけに使おうと考えている人は論外ですが、そのお金を社会に役立つ仕組みに投資すれば素晴らしい社会貢献になります。日本人では、ここを勘違いしている人が大多数です。

メジャーリーガーに「なぜ野球で成功したいのか」と聞いたとき、「ロベルト・クレメンテ賞の存在によって、メジャーリーグでは社会貢献を実現したいため」という高い理念をもった理由を言える人が比較的多いです。それに比べて、日本ではどうでしょうか。

同じことはビジネスでもいえます。起業して新規事業を開始するにしても、会社員として働くにしても、同じように全員がビジネスを動かしています。

そのため、本来は全員が「なぜあなたはビジネスをしているのか?」という問いに答えられなければいけません。言い変えれば、どのような理念をもって働いているのかということです。「働くことでお金を得ることの意味」を明確に答えられなければ、ビジネスを行う意味がありません。これは、「なぜ野球で成功したいのか」という問いにも通じる普遍的な法則であるといえます。

ボランティアと違い、ビジネスこそが社会貢献になる

このように考えると、「なぜ営利を追求することが真の社会貢献につながるのか」を理解できるようになります。ボランティアでは、結局のところ何も実現できないのです。

ボランティアというのは、結局は自己満足で完結します。無償で人のために動き、結局のところ何も実現できずに終わります。これが、営利目的で行う社会貢献型ビジネスとの大きな違いです。

営利を追求するビジネスによる社会貢献であれば、人を雇うことができたり、得たお金を使って新たな投資が可能になったりします。ボランティアでは無理ですが、お金儲けまで考えるからこそ社会に貢献できることの方が圧倒的に大きいのです。

例えば、A店とB店という2つのケーキ屋が並んでいるとしましょう。A店のケーキ屋は美味しいケーキ屋であり、B店のケーキ屋は不味いケーキ屋です。その他の条件はすべて同じであれば、当然A店のケーキ屋は繁盛し、より多くのお金を稼ぎ出すことができます。

このとき、ビジネスで成功した起業家のことを「成金的、欲が強い」と考えている人は、「A店のケーキ屋の店主はあんなにお金を儲けて、高級車や豪邸が欲しいのか!」といっているのと同じです。

そして、こうした考え方は非常に危険です。なぜなら、その人がビジネスを行っている理由が「高級車や豪邸などの贅沢品しか興味がない」と宣言しているようなものだからです。

実際には、A店のケーキ屋の店主はより美味しいケーキを顧客に提供するために、勉強や修行をしてスキルを磨く必要があります。当然、設備投資もするでしょう。より多くの人に美味しいケーキを届けるために、隣町に2号店をオープンするかもしれません。

それらの全てはお金がなければ実現できないことなのです。つまり、「美味しいケーキを届けることによってお客様に満足してもらう」という社会貢献を実現するためには、必然的に稼がなければいけません。

発展途上国、ミャンマーでの貧困救済事例

ちなみに、私も社会貢献性の高いソーシャルビジネスを動かしています。具体的には、発展途上国で知られるミャンマーで貧困救済をするためにビジネスのプロジェクトを動かしています。

私はサイト運営のビジネスをメインで動かしています。当サイトのようなWebサイトを他にもいくつも運営しているのですが、こうした儲かるサイトを作るのが仕事です。このサイト運営の技術を現地にいる若いミャンマー人に教えています。

具体的には、英語で学術記事を書かせて情報発信させています。「中学課程の数学」「高校で学ぶ生物」「大学の経済学」など、学問に関して分かりやすい内容で情報提供したサイトを構築させているのです。

このときは英語なので、実際に情報を見る人はアメリカやイギリス、カナダなど先進国の人たちです。こうした先進国の人を相手に英語で情報発信し、アクセスを集めた後は広告(Googleアドセンス広告)を貼り付けます。

Googleアドセンスの広告はあなたも見たことがあるはずです。以下のように、サイト内に埋め込まれている広告がアドセンス広告になります。

この広告がクリックされると、1クリックごとに20~50円ほどの収益が発生します。これを、クリック課金型の広告といいます。

一般的にこうしたGoogleアドセンスの広告は儲かりにくいビジネスモデルになります。ただ、ミャンマーなので収益が30円ほどであっても、彼らにとっては300円以上の価値があります。また、英語で情報発信するのでミャンマーにいながらお金がドルで入ってくるようになり、効率的に稼げます。

そこで、どのようにしてサイト運営を行い、キーワード選定し、記事作成するのかを実際に私がミャンマーに飛び、現地にいる20代前半の若者たちに教えたわけです。以下がそのときの様子です。

教えた生徒の中には、英語ペラペラで圧倒的に学歴が高いのに失業中の女性もいました。ミャンマーでは、どうしても雇用が不安定になるのです。また、日給500円ほどと非常に賃金レベルが低いのも特徴です。そのため、彼らの学術知識を活かして英語で情報発信すれば、かなり大きなお金になります。

なお、基本的に私は英語を話すことができません。中学英語しか無理です。サイト運営の方法を教えることはできても、英語で伝えることができません。

ただ、私はこれまで多くの人を指導して成功者を何百人も輩出しています。その中には英語を話せるクライアントが3人いたため、彼ら彼女らに声をかけて手伝ってもらいました。通訳&指導員として活躍してもらうことにしたのです。

現地に一緒に出向いただけでなく、彼ら彼女らにはその後もメッセージのやり取りや指導も頑張ってもらいました。

このように他の人の力も借りながら、社会貢献性の高いソーシャルビジネスを構築していったのです。

自動で海外の貧困問題を解決するモデルを創出

また、最初は5人という少人数でサイト運営のやり方を教えました。ただ、彼らが成功したら「今度は彼ら彼女たちが先生となり、サイト運営の方法を他の人たちに教える」という構想でプロジェクトをスタートさせました。そのため、軌道に乗り始めたら自然増殖によって発展途上国でお金を得られる人が増えていく仕組みになります。

具体的には、「先生役として彼らが指導した人のうち、実際に報酬が上がったら、報酬のうち20%が分配される(80%は実際に記事を書いた人に入る)」という仕組みにして、双方がやる気になって取り組めるようにしたのです。

このように、最初は大変ではあるものの自動で学術記事を書ける人が増えていき、結果的に多くの人を救えるビジネスモデルにしました。

当然、学術分野は範囲が莫大なのでいくらでも記事ネタがあります。また、ネットさえつながっていれば記事を見ることができます。そのため、たくさん記事が更新されれば「学校にいけない子供であってもインターネット上で自動で学べる仕組み」まで構築できます。

もちろん、私たちサイト運営側にもお金が落ちる仕組みを作っているため、現地に「お金の管理をする人をおく」など雇用まで生み出しています。

完全ボランティアでは何も生み出せていません。ただ、ビジネスにしたことで貧困問題を自動で解決する仕組みを創出し、さらには現地で雇用まで生み出す成功事例を作る上げることができました。これが、本当の意味でのソーシャルビジネスになります。

成功した後、自分の強みを活かして社会貢献するべき

なお、ソーシャルビジネスを考えるときに何をしなければいけないかというと、まずは起業して成功することがあげられます。最初から社会貢献性を追求するのは無意味です。そうではなく、特定分野の専門性を磨くことによってあなた独自の強みを明確にさせましょう。独自の強みを活かして、事前に成功しておく必要があるのです。

その後、その強みをもとにして社会貢献するのが基本です。例えば私の場合、サイト作成による金儲けがメイン事業です。そこで、この強みを活かして海外にいる現地のミャンマー人にサイト運営のノウハウを教え、英語で学術サイトを作らせたわけです。

自分の確固たるコア技術があるからこそ、ようやく社会貢献ができます。何もない状態からビジネスアイディアだけで起業したとしても失敗するだけです。

一方で成功者になった後であれば、その技術を活用していくらでも革新性の高いビジネスを生み出せるようになります。ソーシャルビジネスというのは、ビジネスで稼いだ経験があるからこそ可能なのです。

・大企業に限らず、中小企業や個人レベルでも社会貢献が可能

ここで重要なのは、ソーシャルビジネスは大企業に限らず個人レベルの会社であっても問題なく可能だという事実です。

実際、私は社員のいない一人社長であるため、個人でビジネスをしているのと同じです。それでも、大企業であっても実行できていない社会貢献性の高いビジネスを動かしているわけです。

要は、アイディア次第でいくらでもソーシャルビジネスを生み出すことが可能です。むしろ、中小の会社や個人だからこそ実現できる社会貢献ビジネスの方が多いです。

社会の課題を解決するビジネスの作り方

それでは、実際にソーシャルビジネスの作り方としてはどのようなものがあるのでしょうか。

ソーシャルビジネスとは何かというと、社会の課題を解決するためのビジネスになります。このときの社会問題としては、いくつも存在します。日本国内の社会問題かもしれませんし、海外での問題かもしれません。例えば、以下のようなものです。

  • 地域活性化(地方創生・人口減少)
  • 環境破壊
  • ゴミ問題・リサイクル
  • 高齢者介護
  • 貧困救済
  • 教育
  • 農業・食料
  • 医療
  • ホームレス
  • 障害者・発達障害

当然、他にもいくつもの社会問題があります。私の場合これらの中でも、サイト運営というコア技術を活かすことを考えたとき、環境問題やホームレスの問題を解決するのは無理です。

ただ、東南アジア(ミャンマー)の人にサイト運営の手法を教えて貧困問題を解決することはできたわけです。

また、学術サイトとしてWeb上に情報提供していけば、ネットがつながる環境なら無料で勉強できる機会を作れるようになります。これにより、先生がいなくても勉強できる環境を提供でき、教育問題は解決できます。

そこで私の場合、「貧困問題」「教育」という軸に焦点を当ててソーシャルビジネスを開始しました。他の社会問題の解決は別の人に任せて、この2つで社会に革新性の高いインパクトを残すことに決めたのです。

同じようにソーシャルビジネスを行うのであれば、最初のステップとして「何の問題を解決したいのか(経営理念)」を明確にしましょう。そうしなければ、革新的なソーシャルビジネスを創出できる可能性はほぼゼロです。分野を絞り、何に特化させるのかを考えるようにしましょう。

その後、起業家としてこれまでの経営ノウハウを見直し、あなたのコア技術でどのような社会貢献が可能になるのか洗い出しましょう。

私のように東南アジアやアフリカを含め海外に目を向ける必要はなく、日本国内の社会問題を解決するのでも問題ありません。日本の社会問題解決だとコミュニティビジネス(地域が抱える問題を解決するビジネス)と似ることになりますが、コミュニティビジネスもソーシャルビジネスの一部になります。

さらに、革新的なビジネスを動かしながらも儲けが入る仕組みを構築しましょう。そうすれば、あなたが生み出したソーシャルビジネスはさらに発展していくようになります。

フェアなビジネスが真の社会貢献ビジネスになる

ただ、このときビジネスアイディアを間違える起業家は意外と多いです。よくあるのは、「東南アジアにいる途上国の人が作った置物です」「障碍者が作ったお菓子です」などのように伝え、販売しようとする手法です。

しかし、これはフェアではありません。「貧しい人たちが頑張って作成しました」「ハンデをもった人が作ったので買ってください」などの、わがままを押し付けているにすぎません。これでは、本当の意味で広がりは期待できません。

ビジネスとは、そういうものではありません。「ぜひとも欲しい!」とお客さんが言ってくれるような商品・サービスを作り、それを届けるのがビジネスです。相手の同情を買って売りつけているようでは、ビジネスモデルとして二流です。

私が創出したソーシャルビジネスについても、英語圏の人をターゲットに学術サイトを構築させたわけですが、完全に対等な立場で情報提供し、アクセスを集めることでドルを稼いでいるわけです。これと同じように考えなければいけません。

同情で買ってもらうのではなく、相手が欲しいと思う商品・サービスを提供する必要があります。

マイクロファイナンスでノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス博士

なお、ソーシャルビジネスで最も有名な人といえばムハマド・ユヌス博士の存在があげられます。彼はグラミン銀行の創設者であり、営利を目的にしたビジネスを運営してノーベル平和賞を受賞しました。

グラミン銀行ではマイクロファイナンスという手法が取り入れられており、貧困層に無担保で少額のお金を貸し出すことを行いました。これにより、お金を借りてビジネスを行えるようになる貧困層が増え、お金を生み出しながらも世界の貧困問題を解決していったわけです。

現在では、マイクロファイナンスによる手法が非常に儲かることが知れ渡っているため、全世界であらゆる会社がマイクロファイナンスのやり方でビジネスを展開しています。ただ、これを世界に先駆けて実施したのがグラミン銀行であり、ムハマド・ユヌス博士だったのです。

・NPO(非営利組織)でも稼げる会社が社会貢献している

グラミン銀行は営利組織ですし、私も株式会社として売上を出すことも踏まえてミャンマーでソーシャルビジネスを行いました。

ただ、これはNPO(非営利組織)であっても同様です。実際のところ、寄付だけで運営しているNPOはショボい活動しかできていません。

一方でアメリカではNPOが大きなお金を生み出し、非営利組織なのに高額報酬を得ているNPOの理事はたくさんいます。それだけ社会問題を解決するために尽力しているため、高額報酬を得て当然という考え方なのです。

もちろん、そうした大きなお金を生み出している機関であるほど社会の課題を解決しているので誰も文句はいえません。結局のところ、「寄付に頼らず多くのお金を得られるビジネスモデルを作っているからこそ、社会貢献できる」と考えましょう。

儲かりにくいが、社会にイノベーションを起こせるのがメリット

ここでは、社会貢献型ビジネスの始め方や取り組み、実際の成功事例を含めて解説してきました。

なぜ、「儲かりにくいソーシャルビジネスをわざわざ行う」のかというと、それは「社会の課題を解決することによって、革新的なイノベーションを起こせるメリットがある」からです。確かに稼ぎにくい欠点はあるものの、グラミン銀行のようにノーベル平和賞を受賞する人もいるほど、大きなインパクトがあるのです。

ただ、まったく儲からないわけではありません。実際、寄付やボランティアだけで運営しようと考える人は二流であり、ボランティアに近いビジネスほど確実に失敗します。そうではなく、稼ぎにくい中でもビジネスモデルを構築し、儲けを出す必要があります。

このとき、大切なこととして「どのような社会問題を解決したいのか、最初に目的・展望を明らかにする」ことがあげられます。私の場合、世界の社会問題の中でもITテクノロジー(サイト作成の技術)を使って貧困と教育の課題解決に焦点を当てました。同じように、何を解決したいのか明確にしましょう。

当然、このときは自分独自のアイディアである必要があります。誰かのコンサルティングを受けてアドバイスをもらっている段階では、優れたソーシャルビジネスを生み出すのは不可能です。

立ち上げは大変ですが、起業と同じくスタートアップを乗り切れば軌道に乗ります。その後、「ビジネスをしてお金儲けするほど社会が豊かになるソーシャルビジネス」を拡大させるようにしましょう。

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