体の大きい人が必ずしも健康とは限らないのと同じように、大企業であっても不健康であることはよくあります。誰もが知っている会社であっても、毎年のように赤字を垂れ流していることがありますし、破産してしまうこともあります。

これらの安全性は決算書をみることで把握できます。決算書の中でも、ここでは「どこに着目して分析すれば安全性が見えてくるのか」について確認していきます。

自己資本比率:上下のバランスをみる

企業の安全性を確認するとき、貸借対照表を活用します。貸借対照表はバランスシートとも呼ばれ、その会社の資産がどのような構成で成り立っているのかを表します。バランスシートという言葉から分かる通り、重要なのは「どれだけバランスが取れているか」という点です。

倒産の危機に近づいているような会社では、そのバランスが崩れている可能性が高いです。これは、貸借対照表の「上と下」「左と右」のバランスを見て分析していきます。

まず確認すべきは上下のバランスです。より具体的にいうと、会社で運用しているお金のうち、どれだけ自分のお金で会社を回しているかを確認します。これは、「借金の少ない会社であるほど、倒産する危険性は低い」という原則からきています。

会社が使えるお金には、他人から借りたお金である「負債(返さないといけないお金)」と自分のお金である「純資産(返さなくてもよいお金)」の2種類があります。負債を他人資本、純資産を自己資本と表現することもあります。純資産(自己資本)が多いほど、後で返済義務が発生しません。

企業が倒産するのは、手元に現金がなくて支払いに滞ることが原因です。自己資本で運営していれば支払いに困る機会は少なくなるため、より安全であると考えることができます。

たとえ売上や利益が多くても、負債(他人資本)が莫大な額であれば、稼いだお金を返済に回さなければいけません。稼げれば良いですが、もしお金が上手く回らなくなれば倒産の危機に陥ります。そこで、総資産のうち、自己資本(純資産)の割合である自己資本比率を確認します。

自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資本 × 100

一般企業であれば、自己資本比率が30%以上であるのが望ましいとされています。50%以上であると、かなり優良です。もちろん、業種によって自己資本比率の平均が異なるため、他の企業と比べる必要があります。なお、自己資本比率は大きいほど安全であると考えてください。

自己資本比率

流動比率、固定比率:左右のバランスをみる

左右のバランスをみることによっても、企業の安全性を判断できます。このときは、「どれだけお金を支払う能力があるか」に着目します。

例えば、銀行からお金を借りて返済期限が間近に迫っているとします。ここでお金返せなければ、会社は即倒産です。このとき、たとえ手元に現金がなかったとしても、株や売掛金(後でお金を払う約束をしてくれているお金)があれば、株を売ったりお金の回収を急いだりすることですぐに現金を用意できます。

このような、短期間での安全性を測る指標として流動比率があります。1年以内に現金化できる資産を流動資産といい、1年以内に返さなければいけないお金を流動負債といいます。流動比率では、この割合をみます。

流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100

流動負債(借金)よりも、流動資産(すぐ現金に変えれる資産)をたくさんもっていた方が安全であることは容易に想像できます。流動比率は数値が高いほど良く、一般的に150~200%以上であると安全であるといわれています。

言い変えれば、すぐに返さないといけない借金の1.5~2倍以上の流動資産(現金、株、売掛金など)をもっていれば安全性が高いということです。

このような流動比率に対して、短期ではなく長期的な安全性を測る指標として固定比率があります。固定比率では、固定資産と純資産(自己資本)の割合をみます。

固定資産とは、工場や自社ビル、土地など、長い期間使い続けることを前提とした資産を指します。このうち、「ビジネスで必要な固定資産を自己資本でどれだけまかなっているのか」を表したものが固定比率です。

固定比率 = 固定資産 ÷ 自己資本 × 100

固定比率は数字が低いほど良く、100%を超えると「借金に頼って固定資産を購入している」ことを意味します。

流動比率と固定比率

ただ、銀行からお金を借りて投資を行うことは頻繁にあるため、固定比率が100%を超えている企業はたくさんあります。つまり、固定比率が100%を超えるのは必ずしも悪いことではありません。本当に問題なのは、「すぐに返さないといけないお金(流動負債)で固定資産を購入しているかどうか」という点です。

負債(借金)には、1年以内に返さないといけない「流動負債」と長期的に借りることのできる「固定負債」の2種類があります。そこで、純資産と固定負債まで含めた上で、固定資産の割合をみたものとして固定長期適合率があります。

固定長期適合率 = 固定資産 ÷ (自己資本 + 固定負債) × 100

この数値が100%を超えると、流動負債で固定資産までまかなっていることになります。固定資産はすぐにお金に変えることができないため、借金返済のためにすぐにお金が必要になった場合、現金を作ることができません。その結果、資金ショートを起こして倒産します。

固定長期適合率

銀行から借りたお金で後先考えずに投資をしていれば、お金を返せない状況に陥ってしまいます。本来は何年先までも見通して投資しなければいけません。

このようにして、決算書を読み解きながら分析していきます。単に売上や利益の額だけを見ていても、その企業の安全性は見えてきません。全体のバランスをみれるようになれば、企業の状態が適切かどうかを判断できるようになります。

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