著者が本を売るためのプロモーションの1つとして、Amazon(アマゾン)キャンペーンがあります。Amazonキャンペーンとは、著者が「Amazonサイト経由で本を買ってください」とキャンペーンを実施することです。決して、Amazonが勝手に行うキャンペーンではありません。
Amazonキャンペーンでは特典を用意します。Amazonで本を買ってくれたお礼として、後で特典を送付するのです。これにより、たくさんの人に本を購入してもらうように仕向けます。
キャンペーンを行うことにより、Amazonの順位(ランキング)が上がります。ランキングで上位表示されるため、それだけあなたの本が売れやすくなります。
ただ、Amazonキャンペーンを実施したとしても、ほぼ意味がないことを知っておいた方がいいです。そうではなく、商業出版したときはその他の方法によって本を売っていかなければいけません。そこで、具体的に何をすればいいのかを解説していきます。
著者によるAmazonキャンペーンは意味がない
メルマガ読者をたくさんもっている人であるほど、Amazonキャンペーンに強いです。メルマガに登録してまでその人の情報が欲しいということは、言い換えればファンであるといえます。メルマガ読者の多い人はファンをたくさん抱えているため、Amazonキャンペーンのときに大人数を動員させることができます。
ただ、自分の書籍を売るときにAmazonキャンペーンはあまり効果がないです。ある程度ネットマーケティングに精通している人であっても、いまだにAmazonキャンペーンを行っていますが、あなたは絶対に行わないようにしてください。
かつては、全国の書店員さんはAmazonの順位をチェックしていて、それを書店の仕入れに反映させていた時期がありました。その時期はAmazonキャンペーンによる効果が高く、「Amazon総合1位を取った」という実績だけで本が売れていました。
一方、現在のようにAmazonキャンペーンがたくさん行われるようになると、書店員さんもAmazonの順位を参考にすることはなくなっています。
もちろんずっとランキング上位にあるのであれば、大きな意味があります。しかし、Amazonキャンペーンによる効果は数日で消えます。すぐにランキング外へ飛び去るため、書店の仕入れには反映されないのです。
本を売るには書店購入キャンペーンを行うべき
Amazonキャンペーンは意味ないですが、その代わりに書店購入キャンペーンを実施しましょう。要は、Amazonで本を買うのではなく、リアル書店で本を購入してもらうように仕向けるのです。
本が売れるのは、圧倒的にリアル書店です。Amazonの影響が大きいとはいっても、そのシェアは約2割程度です。本を売るためには、書店員さんを動かさなければ意味がありません。Amazonで上位表示させたとしても限界があるのです。
実際、私が本を出したときは書店購入キャンペーンを行いましたが、このときはAmazonを無視しました。そうではなく、書店で本を買ってもらうように仕向けたのです。以下は実際の出版キャンペーンの一部ですが、書店購入を促しました。
もちろん、中には遠方に住んでいるためにこうした大型書店に出向くのが難しいケースがあります。そうしたときのみ、Amazonで買ってもらうようにしました。
「紀伊國屋書店 新宿本店」や「丸善 丸の内本店」など、キーポイントとなる大型書店が世の中にはいくつかあります。地方の書店だと、これらの大型書店のランキングを仕入れに反映していることが頻繁にあります。
これらの書店で本を買ってもらうようにすれば、ランキングを上げることが可能です。さらに、書店員さんに「本が売れている」という肌感覚を植え付けることができるため、そのまま継続して本を置いてくれるようになります。
Amazonキャンペーンを実施している人はマーケティングの素人です。本を売るため、「書店で本を置いてもらうようにするには?」を必死で考えましょう。
そうすれば、Amazonではなく書店購入キャンペーンを行うべきことを自然に理解できるはずです。
本の枯渇感を生み出せば増版になる
そうして書店で本が売れるようになると、増版されます。どれだけAmazonで売れても増刷までこぎつけるのは難しいですが、書店で売れれば2刷や3刷と増版を重ねていくのです。
なぜそのようになるかというと、全国の書店で本が置かれるようになれば、それだけ出版社の倉庫にある本の数が少なくなるからです。
Amazonで本が売れたとしても、一週間に10冊売れれば10冊ほどの効果しかありません。一方で一つの書店で週に5冊売れれば、書店は「在庫を置かなければいけない!」と考えて15~20冊ほどは仕入れてくれます。つまり、実際に売れている数の何倍もの本が流通するようになるのです。
当然、本屋はそれぞれの本の売れ行きをデータ共有しています。そうしたとき、大型書店で本が売れていれば「自分の書店でもあの本を仕入れたい」と考えるようになり、次々と本の発注がかかります。そうして、さらに出版社の倉庫から本が無くなっていきます。
これが続けば、出版社は「増刷しなければ本屋に配本できる在庫がなくなる」という状況になります。そうして、めでたく増刷となります。このとき、以下のようなメールが担当編集者から送られてきます。
作家である以上、自ら本を売らなければいけません。そうしたとき、出版での流通を理解して本屋で売れるように仕向けましょう。
Amazonランキングは注文冊数ではなく、注文回数で動く
ただ、もちろんAmazonでも本は売れていきます。そのため著者である以上、どのようにしてAmazonランキングが決まるのかを事前に知っておく必要があります。
まず、Amazonランキングが動くためには注文回数が多いほど良いです。1回注文を受けるよりも、2回、3回とたくさん注文を受けた方が有利なのです。
このとき、注文冊数ではないことに注意が必要です。例えば、10冊の注文がAmazonに入ると仮定します。このときは1人が10冊購入するよりも、10人が1冊ずつ購入した方がAmazonランキングは圧倒的に上がります。理由は先に述べた通り、注文冊数よりも注文回数が重視されるからです。
そのため、もしあなたが献本を行うためにAmazonで本を取り寄せる場合、一度に何冊も注文するのではなく、面倒でも1冊ずつ注文しましょう。
そうすれば、ランキングに大きな影響を与えることができます。
新聞広告を出せばAmazonランキングで1位を取れる
このとき、どれだけメルマガ読者を保有していたり、SNSでの影響力があったりしたとしても、実際のところ自分一人だけの力で宣伝してAmazonランキングで1位を取るのは難しいです。また、前述の通りAmazonキャンペーンではなく書店購入を促すのが基本です。
ただ、効果的にAmazonランキングを上げる唯一の方法があります。それが新聞広告です。全国紙に広告を出すことにより、書店で本を売るのと同時に、Amazonランキングも上げるようにしましょう。
本を売り込むときに出す広告としては、新聞広告が最も効果が高いです。ただ、全国紙で大きな広告を出すとなると非常に金額が大きくなってしまいます。そこで、サンヤツと呼ばれる「新聞記事三段分を8つに分けた小さな広告」に出すのが一般的です。
これで本当に効果があるのか疑問に思いますが、私が自分の出版本を売るために何度も新聞広告を出した経験からいうと、確実に大きな効果があると断言できます。特に日経新聞は段違いで効果が大きいため、必ず日経新聞には広告を出すようにしましょう。
こうした新聞広告を出せば、Amazonでカテゴリー1位を取るくらいは問題なく可能です。例えば、以下は私がビジネス書を発売してAmazonランキング1位を取ったときの様子です。
Amazonランキングの総合1位を取るのは、さすがに不可能に近いので諦めなければいけません。ただ新聞広告を出せば、カテゴリー別の1位は実現可能なのです。
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レビューは数が多くて評価数が高ければ良い
さらにいうと、Amazonにはレビューという制度があります。その本を実際に読んだ人が星マークで評価し、さらにコメントを載せるというものです。誰でも想像できますが、レビューの数が多いほど、また本の評価が高いほど売れていきます。
もしあなたがメルマガなどによってファンを抱えているのであれば、「レビューを書いていただけないでしょうか?」とお願いしてみるのも有効な方法です。
ただし、絶対にヤラセを使ってはいけません。ビジネス書の中には、発売直後に本を絶賛するコメントがズラッと並ぶことがありますが、誰が見てもヤラセだと分かります。
レビューを書いてもらうとはいっても、お願いする程度に留めましょう。私も他の人にレビューを強要させたことは一回もありません。辛口コメントも含めて、自然なレビューで多くの声を集めることがAmazonランキングを押し上げることに繋がります。
あなたがこれまでに有益な情報発信を心がけていれば、自然とファンが付きます。これらのファンがレビューを書いてくれるかもしれませんし、周りの友達に働きかけてくれるかもしれません。
ヤラセで埋められたレビューは異様な雰囲気を発するようになりますが、自然に増えたレビューはその後の資産になります。
小手先のテクニックに走ることは考えないようにして、優れたレビューを集める仕掛けを構築しましょう。
「なか見!検索」は必要
また、Amazonを利用して本を売るときは立ち読みの仕組みを作ることを考えなければいけません。
書店で本を買うとき、多くの人は立ち読みをします。しかし、ネット書店では立ち読みが難しいです。
そこで、Amazonでは「なか見!検索」というシステムが導入されており、本の中を立ち読みできるようになっています。
立ち読みできる本の場合、以下のように「なか見!検索」という文字が出ます。
「なか見!検索」があるのかないのかによって、本の売り上げが大きく違ってきます。そのため、絶対にこの機能を取り入れるようにしましょう。きちんと反映されれば、以下のように本の中身を一部だけ閲覧できるようになります。
ただ、「なか見!検索」で立ち読みできるようにするには、出版社から作業をしてもらわないといけないため、担当してもらっている編集者と相談するといいです。
作家として正しくAmazonを活用する
このように、Amazonを正しく活用することで作家が商業出版したときに本を売っていく方法を解説しました。
多くの人は出版したときにAmazonキャンペーンに着目しますが、そうしたことは無意味なのでやめましょう。そうではなく、本の流通を考えたときに書店で大量の本が動くように仕向けなければいけません。そうすれば、増刷されやすくなります。
また、Amazonでランキングを取りたいときは自ら頑張って宣伝するというより、新聞広告を出すといいです。日経新聞などに広告を出せば、それだけでランキング1位を獲得できるようになります。
こうした知識をもったうえで著者は自らの本を売り込むようにしましょう。正しくAmazonを活用し、本を売っていけばベストセラーに近づくようになります。
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