セミナーや講演などを含め、プレゼンでは実際の中身を構築しなければいけません。ただ、プレゼン内容が薄いと聴衆の満足度は落ちます。
そのため、実際にプレゼンを実践するときはストーリーの組み立て方を理解したうえで、パワーポイントの資料を作成する必要があります。また、聴衆の満足度を高めるためのやり方を理解しておくといいです。
同じ内容であっても、コンテンツの作り方や構成を少し変えるだけで、お客さんの満足度はまったく違うものになります。
そこで、ここではどのように考えてプレゼンでのコンテンツを作ればいいのかについて解説していきます。
プレゼンの組み立て方で重要な4つのテクニック
どれだけ司会者からの紹介が良くて、オープニングで聴衆の心をつかむことができたとしても、プレゼンの中身のインパクトが弱ければすべてが無駄に終わります。聴衆は二度とあなたの話を聞きたいとは思わないでしょう。
そこで、コンテンツに4つの要素を入れましょう。プレゼンを行うときに基本となる考え方であり、会議や学会発表、セミナー講演を含めあらゆる場面で活用できるテクニックです。4つのテクニックとしては、次のようなものがあります。
- キーフレーズ:最も伝えたいメッセージ
- ストーリー:物語を語ることで聴衆を主役にする
- トランザクション:スライドをつなげる
- クロージング:相手に実践してもらいたい行動を明確にする
この4つさえ入れれば、しっかりとしたプレゼンになります。それでは、各項目ごとに説明していきます。
キーフレーズ(キャッチコピー)を聞き手の心に残す
人前で話をする以上は、「これだけは絶対に伝えておきたいメッセージ」があると思います。こうしたメッセージをできるだけ短い言葉で端的に表した言葉が「キーフレーズ」です。
一言であなたの伝えたい内容を示すキーフレーズを用意すれば、聴衆は理解を加速させることができます。必ずしも必要な要素ではないものの、キーフレーズがあるとあなたの想いや考えていることは伝わりやすくなります。
実際、歴史に残る名演説では必ずキーフレーズが存在します。例えば、キング牧師が演説で繰り返していた「I have a dream」などは有名です。
アメリカの選挙では、キーフレーズが大統領選に影響することすらあります。オバマ元大統領が使っていた「Yes, We Can」「Hope and Change」などは多くの人の心に残り、結果として彼は大統領になりました。優れたプレゼンでは、聴衆の頭に残るキーフレーズが用意されています。
これは、日本でも同様です。歴代総理の中で有名な人といえば、小泉純一郎元首相が該当します。彼は「構造改革」「郵政解散」など多くの言葉を残してきました。プレゼンの達人であり、これによって日本を動かしてきた人物でもあります。
講演・セミナーの内容を一言で表すキャッチフレーズを入れる
多くの聴衆の前で話すパブリックスピーキングの場合、その話の内容を一言で表すキーフレーズはとても有効です。キーフレーズは覚えやすいメリットがあり、印象に残りやすいからです。キーフレーズはキャッチコピーやキーワードと言い換えることもできます。
ただ、「キーフレーズを入れて話すことが有効」といっても、これはパプリックスピーキングの場面に限りません。ビジネスの場でプレゼンをするときも同様、どのような場合であってもキーフレーズは有効です。
日本語でのキーフレーズでは、「一呼吸で言えるくらいの長さ」が基準です。フレーズが長すぎると、頭の中に入ってきません。できるだけ短いフレーズを考え、内容を端的に示す表現を考えるのです。
テレビCMを見ると、キーフレーズを学ぶ勉強になります。テレビCMでは15秒という短い時間の中で、聞き手に覚えてもらわなければいけません。そこで企業は、できるだけ心に残るキャッチコピーを考え抜いています。
- やめられない止まらない かっぱえびせん
- それにつけてもおやつはカール
- あなたとコンビニ、ファミリーマート
- ミルキーはママの味
- ココロも満タンに、コスモ石油
多くの人にとって、広告は最も興味のない媒体の1つです。それにも関わらず、多くの人はこれらのフレーズを覚えています。
それどころか、そのときに流れている音楽と共に思い出すことができます。それだけ、キャッチコピーは強力なツールなのです。
プレゼンでは、長く説明するほど伝わらなくなるという原則があります。それよりも、短い言葉で的確に示した方が伝わります。その究極系がキーフレーズといえます。人前で発表を行うとき、キーフレーズを入れてみてください。
「名前が持つ威力」を理解し、伝わるプレゼンテーションをする
キーフレーズは強力なツールですが、あらゆるビジネスで応用できます。例えば、当サイト(ビジネス系サイト)では「ポータルサイトビジネス」をキーフレーズにしています。私のビジネス内容を一言で表す言葉です。
この言葉がなければ、他の人にとって私がどのようなビジネスをしているか分かりにくいです。「有用な情報を発信し、莫大なアクセスを集めることで感謝されながら稼ぐビジネス」と言ったところで心に残りません。それよりも、ポータルサイトビジネスと端的に表現した方が良いです。
ただ、キーフレーズを用いるとき、その内容がオリジナルであることが大前提です。私であれば、「有益な情報発信(サイト運営)によって収益を出すポータルサイトビジネスについて情報発信している人」が他にいなかったため、私が先駆者になります。独自の手法があるからこそ、キャッチコピーが活きてくるのです。
あなたがビジネスを行って独自の方法を編み出した後、そこに名前をつけてみましょう。人の心に残るキーフレーズを付けるだけで、多くの人があなたのビジネスに賛同してくれるようになります。
・独自の法則を作るといい
このとき、キーフレーズとして独自の法則を作っても問題ありません。人間は法則が大好きです。セミナー中に「成功するために必要な〇〇の法則」と講師が紹介すれば、一生懸命メモを取ろうとします。何だかよく分からないけれども、学んだ気になってしまいます。
そこで、オリジナルの法則を作ってしまうのです。このときの語呂は何でも構いません。例えば、以下のようなものです。
- ABCの法則
- 3Cの法則
あなたが教える分野に関わる重要なことを3つピックアップし、その単語を英語に変換したり他の言葉で言い換えたりして法則を作るのです。これをセミナー内で提示することにより、悪い言葉でいうと受講者は学んだ気になります。反対に、良い言葉であれば、満足度を高めることができます。
単に内容を紹介するだけでは、そこまで伝わりません。独自法則を伝えるだけで、多くの受講者の心に残るようになるのです。
ストーリー(物語)の組み立て方を学ぶべき
これに加えて、セミナーではストーリー(物語)を語るようにしましょう。
セミナーや講演、会議などの主役は誰でしょうか。多くの人は、実際に話をしている「自分(演者自身)」だと考えがちです。しかし、これは間違っています。主役は話し手ではなく、聞き手でなければいけません。あなただけが内容を分かっていたとしても、聞き手がまったく理解できないのであれば意味がないのです。
同様に、あなたの話した内容がすぐに忘れられてしまってもいけません。そこで、相手の記憶に残すためにストーリーを構築するといいです。
理路整然と事実を並べて話すと、反論する余地のないプレゼンになります。ただ、インパクトがないので、その分だけ印象に残らなくなります。例えば、次のような文章があるとします。
その夜、私は編集者から「5万部の増刷が決まりました」という報告を受けて飛び上がりました。 |
聞き手としては、「だから何?」と思うことでしょう。身の回りに起こった出来事をそのまま話すようでは、伝わらないのです。そこで、ストーリー形式にしてプレゼンを行います。先ほどの文章であれば、次のように修正することができます。
出版するとき、3刷までいけば「本物」とされています。2刷は最初の勢いだけで到達できますが、3刷は本当に売れ続けないと達成できないからです。
そのためにマーケティングを必死で行ったのですが、出版して3週間後に最初の増刷が決まりました。ただ、そこから2ヶ月が経過しても、編集者から増刷のメールがきません。「やはり、ダメか……」と9割は諦めていました。 ある日、飲み会から帰った夜です。パソコンに編集者からメールが来ていることに気が付きました。何事かと思い、恐る恐るメールを開くと、そこには次のように書かれていました。 「おめでとうございます。第3刷が決まりました。しかも、累計5万部もの増刷です」 部屋の隅で一人、私は心の中でガッツポーズをしました。これと同じ経験を他の人にも体験してもらえるように、今日は出版に関するノウハウをすべてお伝えします。 |
単に事実を述べただけの最初の文章と比べれば、格段に話の中に入りやすくなります。
欠点としては、ストーリーを語ると話が長くなってしまいます。ただ、たとえ2時間のセミナーであっても、持って帰ってもらうノウハウは多くて3つです。伝えたいことを絞って話すプレゼンが良い内容であるため、ストーリーを用いて1つの事柄を集中的に話すことは有効です。
・感情を使って話をする
なぜストーリーが有効かというと、感情に訴えかけるからです。感情を揺さぶられるからこそ、人は話の中にのめりこむようになるのです。
物語を作るのは難しそうと思うかもしれません。ただ、あなたの身の回りに起こった出来事を述べるだけなので、そこまで難しくはありません。小説のように空想(フィクション)で話を作る場合は高い技術を要求されます。しかし、ノンフィクションを語るのであれば大きな障壁はないはずです。
このときは、楽しみや悲しみ、驚きなどの感情を再現しながら、会話や出来事を思い出していくだけで物語が完成されます。そのため当然ながら「実際にあなたの身の回りで起こった出来事」でなければ、人に刺さるストーリーは完成しません。
実際に起こった事実に対して感情を組み合わせることにより、物語が完成されます。先ほどの例であっても、以下のような感情が入っています。
- 「やはり、ダメか……」と9割は諦めていました(悲しみ)
- 何事かと思い、恐る恐るメールを開くと(驚き)
- 私は心の中でガッツポーズをしました(喜び)
あなたがそのときに何を想い、何を感じたかを述べることで、聴衆を話の中に引き込むようになります。情報を伝えるだけでは不十分です。あなたの感情まで聞き手と共有してこそ、相手の心の中まで入っていけるプレゼンを行えるようになります。
プレゼンでストーリーを構築するための3つのテンプレート
それでは、実際のストーリーの組み立て方としては何があるのでしょうか。魅力的なストーリーを作るためには、3つの要素を盛り込む必要があります。その3つとは、以下の項目になります。
- 困難な状況
- 解決策
- 結果や変化
これらそれぞれを順番に話していくことにより、物語が完結します。
「困難な状況」とは、あなたがトラブルに巻き込まれて困り果てている状況を指します。すべてが思い通りに進んでいく話を聞かされても、まったく面白くありません。
それよりも、大きな困難が立ちはだかることにより、それに立ち向かっていくほうが大きな印象を与えることができます。
例えば、「このクリームを使えば、肌のうるおいをキープできます」と話してもインパクトは薄いです。それよりも、「毎日、会社から帰るのが遅いため、朝起きると肌荒れがひどいものでした。
そこで、このクリームを使ったところ、うるおいもバッチリで肌の悩みも解消されました」とした方が良いです。
この場合、「会社帰りが遅く、肌荒れがひどい」という困難を提示しています。
実際、敏腕のセールスマンはプレゼンテーション能力が高いです。人前で話すために必要なプレゼン技術がなければ、商品を売ることはできません。彼らの話し方に着目してみると、先に示した3つの点を上手く組み込んでいることに気がつきます。
例えば、生命保険を売る場合を考えてみましょう。
あなたにとって、最も重要な存在は誰ですか? そう、家族ですね。もし、あなたに万が一のことが起こるとどうでしょうか。家族は収入が途絶え、生きていくことはできません(困難な状況)。
実はいまから1年前、私の友人が交通事故で亡くなってしまいました。絶対に起こってほしくない状況ではありますが、私もその葬式に参列することになりました。家族の「これからどうやって生きていけばいいの?」と泣いていた姿は今でも目に焼き付いています(さらに困難な状況)。 ただ、後日に私は残された家族の元を訪れることにしました。幸いなことに亡くなった彼は私のお客さんであり、生命保険に加入していました。そのとき家族へ3,000万円の死亡保険が下りることを説明し、お子さんは問題なく学校へ通えることも説明しました。不幸はあったものの、生命保険によって残された家族を守ることができたのです(解決策)。 本来、生命保険を活用することはゼロが望ましいです。ただ、万が一のときにあなたの家族を守る切り札が生命保険でもあるのです(結果や変化)。 |
かなり簡素化しましたが、このように優れた営業マンはストーリー形式でプレゼンを行います。「保険に入れば万が一のときも安心です」などのプレゼンテーションという内容では微妙ですが、何か困難な状況を設定すれば、その内容が興味深い話へと変わります。
営業現場に限らず、社内会議や上司にお願いごとをするときなど、あらゆる場面で「困難な状況」「解決策」「結果や変化」の3つを述べるのは有効です。
相手に訴えるときや頼みを聞いてもらいたいとき、普段からストーリーを意識してみてください。そうすれば、その後の結果は大きく変化するはずです。
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プレゼンでストーリーを語るための元ネタの探し方
このとき、ノンフィクションで話すときの元ネタは次の5つを意識してみてください。
- 初体験:最初の経験
- 欠点、短所:あなたの意外な一面
- 恐怖:ヒヤッとした経験
- 失敗:どのような困難があったか
- 不満:何に対して不服に思っているか
「何について話を行えば良いのか」に迷ったとき、こうした中から1つを選ぶといいです。これにより、共感を呼ぶストーリーを構築できます。
・初体験:最初の経験
誰でも、初めての経験があるはずです。例えば、恋愛セミナーを開催するにしても、誰でも最初からモテたわけではありません。そこで、「私もかつては恋愛ゲームで二次元の世界にはまっており、現実世界ではまったくモテなかった」と話します。
正直に話すと、同じ経験をしている大多数の人は共感してくれます。初めての経験というのは、ほぼ全員が同じようなことを思っています。これを話すことで、親近感を出すことができます。
・欠点、短所:あなたの意外な一面
自分の弱みを話すことは、相手に信頼してもらうための基本です。例えば、ベストセラーを連発している作家であっても、「実は中学・高校のときに最も苦手だった科目が国語です。毎回赤点だったので、現文の先生には悪い意味で大変お世話になりました」と話せばどうでしょうか。
多くの人は「ベストセラー作家でも、国語のテストができなかったのか」と驚くと共に、親しみを覚えるはずです。
・恐怖:ヒヤッとした経験
イメージしやすい恐怖体験を語ると、人は引き込まれます。例えば、「雪道の高速道路でスリップして、ガードレールへ正面衝突してしまいました。私は奇跡的にも無傷でしたが、車は廃車になりました」などの話があります。
車の保険に関するセミナーであれば、このストーリーはかなり有効です。プレゼン内容に沿った恐怖体験を話せば、興味をもって聞いてくれます。
・失敗:どのような困難があったか
今は成功者であっても、最初から成功できたわけではありません。多くの失敗を繰り返すことで、少しずつ成功へと近づいていったはずです。そこで、あなたがどのような失敗をこれまでに経験したのかを詳細に話すのです。
「この研究が上手くいったのは、試薬の量を1000倍にしたというミスから始まりました」「この商品を最初に売り込んだとき、124回も断られました。125回目に初めて商品が売れ、そこから人気商品への階段を上り始めました」などの話を行います。
成功体験だけを話す場合、自慢話にしか聞こえません。しかし、失敗談を語ると自慢ではなくなり、聞き手は「自分でもできそうだ」と思ってくれます。
・不満:何に対して不服に思っているか
あなたが不満に思っていることを話すと、同じようなことを思っている人の心は動きます。例えば、私は当サイト(ビジネス系サイト)のセミナーで次のように言うことがあります。
ネットビジネスといっても、多くの人は情報商材系アフィリエイトのような、ねずみ講ビジネスをしています。そうではなく、真っ当な情報発信により、誰からも感謝される社会的意義の高いビジネスだけをしましょう。 |
まともな思考をもっている人であれば、私のメッセージが響きます。相手が不満に思っていることを代弁してあげるのです。
以上のように、ストーリーを作るために必要な要素やテンプレートについてお話しました。物語形式で話すことで、聞き手との心の距離を縮めましょう。
リフレクション(問いかけ)をするのも効果的
なお、ストーリーの語り始めに有効な手段として問いかけがあります。質問を投げかけ、聞き手に想像してもらうことをリフレクションといいますが、これを利用します。質問をした後に2~3秒の沈黙を取ることにより、相手は思いを巡らせるのです。
聴衆の属性にもよりますが、以下のような誰でも経験したことがある質問を行います。これによって聞き手は話の中に引き寄せられていきます。
- あなたは最愛のペットを亡くした経験があるでしょうか
- なぜ自分はモテないのだろうと考えたことはないでしょうか
- 月100万の収入があれば、もっと生活が楽になるのにと考えたことはないでしょうか
注意点としては、質問をした後、すぐ話を始めないことがあげられます。「間」をおくことが重要なのであり、沈黙時間を取って聴衆に空想させることが最大の目的です。
リフレクションをすれば、ストーリーに入りやすくなります。その結果、プレゼンテーションの内容に深みがでます。
偉人(有名人)の言葉を借りてもいい
ただ、どうしても自分自身のストーリー内容を取り入れることができない場合、有名人の言葉や統計データを活用しても問題ありません。
それまでに大きなことを成し遂げた偉人(有名人)が発した言葉には、自然と説得力があります。あなたが頭の中で考えたことは信憑性が薄かったとしても、誰もが知っている人であれば納得してしまいます。
私も「ビジネスでの集客の極意」を話すとき、有名人の言葉を頻繁に借ります。具体的には、「アニメ界の巨匠である宮崎駿監督の言葉」を出します。例えば、次のようになります。
宮崎駿監督が仕事中に何回も口に出す言葉があります。それは、「面倒くさい」という言葉です。
実写と違い、アニメは全てをゼロから生み出さなければなりません。草の一本一本を自ら描くことから始まります。しかし、もし手を抜いてしまったら、それがスクリーン上に表れて作品の質が落ちてしまいます。さらに、彼は次のようにも言います。
これはビジネスも同じです。ビジネスで集客して稼ぐための理論は単純です。それは、「面倒なことを行う」だけです。稼げない人は面倒なことを行わずに文句だけを言います。ここに、大きな間違いがあります。 |
このように言えば、一気に信憑性が増します。私だけでなく、「あの有名人も同じことを言っている」ことを示すことで、より話に深みが出ます。このように、偉人(有名人)の言葉を借りることはとても有効です。
パワーポイントの資料でつなぎ目(トランジション)を意識する
ここまでのことを実施したら、資料をつなげるようにしましょう。キーフレーズを活用したり、ストーリーを意識したりするとはいっても、パワーポイントの資料で断片的に語っても意味がありません。
スライドが進むということは、話の内容が変わって次の内容へと移ることを意味します。このとき、次のスライドの説明や前後の繋がりを解説せずにプレゼンをしてしまうと、聴衆だけが取り残されてしまいます。
そこでコンテンツのつなぎ目を意識することで、ようやく聞き手は理解できるようになります。例えば、次のような文章があるとします。
- 仕事で怒られ、ストレスが溜まった
- 会社帰りにジムへ行って汗を流した
一見すると、まったく違う内容のように思えます。ただ、文章のつなぎ目を意識して、文字を付け加えると意味のある文章になります。
仕事で怒られ、ストレスが溜まった。そこで気分転換を図るため、会社帰りにジムへ行って汗を流した。 |
つなぎ目を意識するだけで、この人がなぜジムに行ったのか理解できるようになりました。それぞれを単独で提示されたとしても、何が言いたいのか理解できません。文章の繋がりを意識しなければ、意味が通じにくくなります。
これはプレゼンでも同様です。つなぎ目を意識するだけで、あなたのプレゼンは他の人に比べてレベルの高いものになります。
プレゼンのつなぎ目で意識する3要素
日常生活を注意深く観察すると、あらゆる場面でつなぎ目を意識していることに気がつきます。例えば、テレビ番組ではCMを挟むことで番組の内容がいったん切れます。そこで、チャンネルを変えてもらわないように「次に衝撃の事実が」「CM後、正体が明かされる」などのナレーションが入ってコマーシャルに移ります。
漫画であっても、最後に謎の人物が登場して後姿だけを写した状態で話が終わります。これによって、続きの漫画も購入してもらうように気持ちを高ぶらせます。
これと同じことをプレゼンでも意識しましょう。特にプレゼンでのつなぎ目では、次の3つの方法があります。
- これまでの内容をまとめる
- 次に話す内容に軽く触れる
- 今まで話してきた内容の重要性を再認識させる
これまでの内容をまとめる場合、それまでの内容が終わって次に移ることを聞き手に知らせることができます。話し方としては、「以上をまとめますと……」となります。最も簡単な方法であり、初心者であってもすぐに活用できます。
また、次に話す内容に軽く触れると、聴衆はスムーズに次の話へと入ることができます。例えば、「これまでの内容を活かすための方法を次のスライドで話します」などの言葉を付け加えることで、期待感を高めます。
今まで話してきた内容の重要性を再認識させることについても、コンテンツを繋げることができます。「今回のノウハウを実行することで、ようやくあなたの望む結果を得られるようになります。それでは次に、……」という具合に繋げていきます。
これらを意識してプレゼンを行うようにしてください。コンテンツのつなぎ目(トランジション)を意識して、プレゼン内容を一直線で繋ぐことができれば、聴衆を引きつけることができるようになります。
クロージング:締めくくりで行うべきスピーチ技術のコツ
なお、プレゼンを完了させた後、最後に聴衆を行動させる必要があります。営業現場であれば、プレゼンで顧客に商品を買ってもらうことがゴールです。社内会議であれば、あなたの意見を通すことが目的です。人や場面によって最終目標が異なるため、これは一概には言えません。
ただ、いずれにしても目的を達成するためには、最後のクロージングで適切な結果を得るためのスピーチをする必要があります。
そのためには、まず聞き手の質問にすべて答えていることが重要です。人は無理やり説得されても動きません。自ら納得してこそ、ようやく行動に移します
もちろん、プレゼンテーションなので相手から質問を受け、それに回答する形式ではありません。セミナーなどの場面を含め、一方的にスピーチをして伝えることになります。そこで、このときは「聴衆が疑問に思い浮かぶことに対して、プレゼンの中ですべて答えておく」といいです。
営業マンの場合、商品の問題点や考えられる欠点まで述べる必要があります。他にも、社内会議であなたの意見を通す場合、周辺知識まで調べて「相手が思い浮かべるであろう疑問」を最初に潰しておくといいです。
例えば私が過去にサイト運営のセミナーを開いたときであれば、セミナー開催前に「ネットビジネスでの疑問点はありますか?」と受講者に前もって質問を投げかけるようにしたことがあります。
もちろん、本番ではこれらの質問にすべて答えるように話を行いました。考えられる予想質問に答えることができれば、満足度も高まってクロージングまでをスムーズに行えます。
また、簡単な行動を示すことも有効です。行動を起こすことがプレゼンのゴールではあるものの、実際のところ人はなかなか行動しません。そこで、プレゼンの中で小さなステップを示すのです。
例えば株のセミナーを開いて営業するのであれば、「まずは口座開設から始めましょう」などを指示します。このようにして、受講者に行動を促していきます。
なお、締めくくりで行ってはいけないこととして、「新たなテーマを出す」ことがあげられます。締めくくりはそれまで話したテーマに沿って、振り返りを行わなければいけません。それにも関わらず、新たなテーマを出すと聴衆は混乱してしまいます。また、感想文をまとめたような普通の言葉を並べるだけでもダメです。
・最後のクロージングは時間を取る
このとき、最後のクロージングであまり時間を取ろうとしない人が大半です。しかし、これは間違ったプレゼンテーションだといえます。本来、クロージングにはかなりの時間を割かなければいけません。
例えば私の場合、セミナーでのクロージングは1時間ほどの時間をかけて話をします。それだけの時間を取り、しっかりと説明することでバックエンド(高額商品)が売れていくようになります。
当然、パワーポイントの資料内容を洗練させ、セミナー講演の内容自体が優れていることは重要です。ただ、それと同じくらい熱を入れてバックエンドにも長時間を割いています。コンテンツ内容を考えるのと同じだけ、バックエンドも本気で行うのがセミナーを成功させるコツです。
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スライドの作り方のコツを知り、プレゼンを行う
多くの人はプレゼンのやり方を知りません。そのため、結果として何も印象に残らないセミナーや講演を実施することになります。会議や営業の場でプレゼンをするにしても、刺さらない内容になってしまいます。
これは、「興味深いプレゼンテーションを実践するためのコツ」を理解していないために起こります。
- キーフレーズを意識する
- ストーリーを語る
- トランザクションによって話をつなげる
- クロージングで行動させる
パワーポイントの資料を作るときであっても、スピーチ内容を考えるときであっても、これらを意識してコンテンツ構成を組み立てなければいけません。
ほとんどの人はキーフレーズがなければ、ストーリーを語ることもしません。話のつなぎ目もバラバラであり、当然ながらプレゼン後に聞き手を行動させることなどまで考えていません。そのため、意味のないセミナーになります。
しかし、少し意識を変えるだけでプレゼンテーションの中身が格段に良くなります。そのための見せ方やテクニックを解説してきました。プレゼンのとき、必ずこれらを意識したうえでコンテンツの中身を考えるようにしましょう。
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