会社を運営していく上で、経費削減(コストカット)を行うことは、売上を伸ばすことと同じくらい大切です。そしてコスト削減の中でも、電気代やガス代、水道代といった水道光熱費は、とても経費を減らす効果が高いものです。
ただ中には、「水道光熱費は公共料金だから、削減することは難しい」と考える人もいます。しかし実際には、適切な見直しと対策を行うことで、水道光熱費の大幅なコストカットを実現することができます。
そのため、水道光熱費のコスト削減方法について知っておくことは、会社の利益を上げるためにも大切だといえます。
そこで今回は、「水道光熱費(電気・ガス・水道)を抑えてコスト削減を図る方法」について解説します。
水道光熱費は下げることができる
経費削減を行う上で、水道光熱費に関して「公共料金」という言葉によって招いている誤解があります。それは、「水道光熱費は公共料金だからコストカットを行うことが難しい」という認識です。
多くの人は、電力会社や都市ガス会社が、公的機関ではなく民間企業だということは理解しています。ただ、公共料金という言葉が影響しているためか、なぜか「水道代を下げることは難しい」というようにコストカットを諦めていたり、そもそも「節約しよう」という考え自体が抜けてしまっていたりします。
しかし実際には、水道光熱費は下げることができます。そしてその削減効果は、会社にとって非常に大きなものになります。
確かに、公的な機関が提供しているサービスであれば、大量購入によって割引されたり、長期間使うことによって安くなったりすることは、あまりありません。ただ、水道や電気、ガスに関しては、このように料金を下げる工夫を行うことができます。
電力会社や都市ガス会社は民間企業であるため、他の民間サービスと何ら変わりありません。
例えば、あなたがコピー用紙やインクを購入する際には、大量に注文したり、定期購入を申し込んだりすることで、少しでも経費を安くしようと考えるはずです。電気やガスもその他のコストと同じように工夫次第で値段を下げることができます。
ただ、こうした水道光熱費は、額が大きいものであるにも関わらず、注目されにくい経費でもあります。
それは、料金が自動引き落としになっていることや、毎月支払うことが当たり前であるため「経営者が意識しにくい」ということが主な原因です。
そのため、当然ながら経営者に対して稟議書などが上がってくることもありません。
こうしたことが理由で、水道光熱費に関してのコスト削減は見逃されがちになっています。しかし、既に述べたように公共料金であっても、民間企業が提供している電気やガスは、工夫次第で安くすることができます。
まずは、このように公共料金である水道光熱費に対する認識を改めるようにすることが大切です。
水道光熱費を削減する具体的な5つの方法
一般的に経費削減の対象となりにくいと思われている水道光熱費は、工夫次第で大きく減らすことができます。そして、コピー用紙やインクなどは、切れたときに購入するものと違い、毎月必ず必要になってくるものであるため、大きな経費削減効果を発揮することができます。
そこで、以下に水道光熱費を削減するための具体的な5つの方法について記します。
1.電力会社のプランを見直す
既に述べたように、電力会社には、長期的に契約することで基本料金を割引するようなプランがあります。当然ながら、各電力会社によって提供されているサービスは異なりますが、こうした割引を活用することで大幅な電気代カットを実現することができます。
例えば、3年間の契約を結ぶことで、1kW辺りの基本料金が50円ほど安くなるところもあります。中には、「たった50円?」と感じる人もいるかもしれません。
しかし実際には、1kW辺り50円安くなると、電気を大量に使用する大きな工場であれば年間1000万円以上、大型スーパーでも年間200万円近くの電気代が削減されることになります。
こうしたことから、まずは現在契約している電力会社のプランを見直すだけで、大幅なコストカットにつながる可能性があります。
ただ、このような割引プランは、大手企業でなければ電力会社から提案されることはありません。そのため、中小企業である会社の場合には、自分たちから電力会社に話を聞きに行く必要があります。
またその他にも、「土日祝日などの休日は電気代が安くなる」というようなプランもあります。つまり、週末などに電気の利用が多くなるような会社では、こうしたプランに切り替えることで、電気代を削減することができます。
まずは「電力プランを見直すことで、電気代を大きく削減できる可能性がある」という事実を知ることが大切です。
そして、割引プランを活用していないようであれば、電力会社の担当者に相談することで、プランの見直しを行うようにしましょう。
2.照明器具を見直す
電気代を節約するには、料金プランを見直す他にも、電気自体の使用量を意識して減らしたり、電気機器を効率的なエコ商品に交換したりする方法があります。その中でも、照明器具の見直しは、すぐに実践できる上に、大幅なコストカットにつながります。
例えば、電球には、普通の電球とは違った「省エネ電球」というものがあります。省エネ電球は、確かに器具代自体は、通常のものと比較すると3~12倍はします。
ただ、消費電力は通常の電球の1/4程度である上に、寿命も6倍近く長いです。そのため、たとえ購入時のコストが12倍であったとしても、長期的に考えると省エネ電球を利用した方が、明らかに安くなります。
具体的には、器具代が12倍で、消費電力が1/4、寿命が6倍であれば、通常の電球と比較して省エネ電球の総コストは半分以下になります。
このように、普段何気なく使っている照明ですが、「長期的な視点で使用する商品を選択することで、大幅なコストカットにつながる」ということを知っておくことが大切です。
3.エアコンの温度設定を見直す
電気代を節約する方法としてよく実践されているものの中に、「エアコンの設定温度を高くする」というものがあります。ただ、具体的にその節電効果を理解している人は少ないです。
実際に、エアコンを1℃上げたときの節電効果は、夏場だけでいうと約10パーセントの削減になります。
具体的には、事務所用の大型エアコンの出力が20kWで、1日12時間使用しているとします。そうなると、年間で約5000円近くのコストカットを図ることができます。さらに、上げる温度が高くなるほど、節電効果は発揮されます。
「たかが5000円か……」と考える人もいると思いますが、5000円であっても積み重なることで大きなコストになります。またこうした工夫は、あなたの会社の電気代カットだけでなく、地球の温暖化防止にもつながります。
このように、「エアコン温度を高くする」といったちょっとした工夫が、経費削減だけでなく、地球の環境問題にも影響していることを理解しておくことが重要です。
4.下水道料金を削減するテクニック
水道料金には、実際に蛇口から出た水道である上水道にかかる「上水道料金」と、下水に流れた下水道にかかる「下水道料金」の2つがあります。そしてこの中でも、下水道料金を削減するテクニックがあります。
下水道料金は、上水道の利用量に下水道の料金単価をかけることで算出されています。つまり、下水道料金は上水道の使用量によって算出されています。
しかし実際には、上水道の水は飲んだり掃除に使ったりするため、全てが下水に流れているわけではありません。そのため、上水道の使用量から下水道料金を出すとなると、実質より多く請求されていることがほとんどです。
そうした際に、「出口管理」という方法を使って、実際に下水道へ流れ込んだ水の量を測ることができます。
具体的には、工場やビルなどの排水が集まる場所に計測器を付けて計測します。そうすることで、実際に下水道に入る水の量を正確に測定することができます。そして、その数値を元に下水道代を算出することで、下水道料金が安くなります。
ただ、こうした取り組みを行っているところはほとんどありません。そのため、出口管理を実現するためには、各自治体に交渉して認めてもらうしかありません。さらに下水道メーターは200万円以上するため、初期費用もかかります。
そうはいっても、出口管理によるコストカット効果は非常に大きなものです。例えば、出口管理を行うことで、年間1700万円近いコストカットを実現した企業もあります。
このように、出口管理を行う方法は、かなり手間がかかる上に初期投資も必要になります。しかし、それでも行う価値があるほど下水道代のコストカット効果は高いものだといえます。
5.ガス代を削減するテクニック
電気料金が、長期的に契約することで、大幅なコストカットを実現できることは説明しました。これはガス料金でも同じであり、基本的にまとめて購入することで、コスト削減を行うことができます。
例えば、同じビル内にいくつかの会社や飲食店が入っている場合、個別でガス会社と契約していることがほとんどです。こうした場合に、ガス契約を1本化することで、大幅なコストカットを実現することができます。
このように、ガス代も電気代と同じように工夫次第で大きく減らすことができます。
まずはこうした認識を持った上で、あなた自身の会社で工夫できるところがないかを考えることが大切です。
今回述べたように、水道光熱費といった公共料金は、毎月必要な経費であるにも関わらず見逃されやすいものです。ただ、しっかりと見直して工夫することで、大きなコスト削減につながります。
まずは、水道光熱費もコストカットの対象になるという認識を持ち、あなたの会社でどのような工夫が行えるかを考えるようにしてみてください。今まで水道光熱費のコスト削減について検討したことがないのであれば、きっとカットできる部分が見つかるはずです。
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