ryokan

インバウンド(訪日外国人観光客)ビジネスに限ったことではありませんが、ビジネスを始める際に成功事例を知ることは大切です。

そもそも、これまでに成功事例がないような業界で成功するのは非常に難しいです。つまり、成功事例が多い業界に参入するということは、ビジネスで成功するためのポイントだといえます。

そして、成功事例からさまざまなことを学び生かすことができれば、インバウンドビジネスが成功する可能性は高くなります。特に、インバウンドビジネスの中でも、宿泊施設は、成功事例が多い業界であり、学ぶべきことがたくさんあります。

また、こうしたインバウンドビジネスで成功した宿泊施設の取り組みを知ることで、さまざまな業界へ応用することができます。

そこで今回は、「宿泊施設におけるインバウンドビジネスの成功事例」について解説します。

宿泊施設業界における成功事例

外国から日本を訪れた観光客は、必ず宿泊施設を利用するため、宿泊施設はインバウンドビジネスへ参入しやすい業界の一つです。ただ、一言で宿泊施設といっても、その施設形態はさまざまです。

そこで、宿泊施設の中でも「ホテル」「ゲストハウス」「旅館」の3つにおける成功事例について記します。

ホテル

ホテル運営によって、インバウンドビジネスで成功している会社は多く存在します。その中でも、株式会社「龍名館」が運営するホテル龍名館は、インバウンドビジネスの成功事例として有名です。

龍名館は、1899年に創業した老舗のホテルです。龍名館が運営しているホテルには、東京駅から徒歩3分のところにある「ホテル龍名館東京」と、御茶ノ水駅から徒歩3分のところにある「ホテル龍名館お茶の水本店」の2棟があります。

このうち、ホテル龍名館東京の利用客は、約4割がインバウンド(訪日外国人観光)客となっています。

このように、ホテル龍名館東京が外国人観光客に人気が高いのには、いくつかの理由があります。例えば、東京駅から徒歩圏内という立地条件は、外国人観光客に喜ばれる理由の一つです。

ただ、龍名館が外国人観光客から人気が高い理由は、もっと他の点にあります。それは、「人材教育」と「販売方法」の2つです。

インバウンドビジネスを行う上で、外国語が堪能な人材を確保することは重要です。そして、インバウンド業界では、外国語能力が高い中途採用者を好む傾向にあります。

しかし、インバウンドビジネスにおいては、外国語能力以上に「思考の柔軟性」や「行動力の高さ」が大切になります。そうした点においては、中途採用者より新卒者の方が優っていることが多いです。

龍名館では、そうした新卒者のアイデア力やフットワーク力の可能性を生かすために、新卒採用を積極的に取り入れています。

そして、このような取り組みは、実際に外国人宿泊客から高評価を得ることにつながっています。

例えば、接客中に理解できない単語があったときに、一生懸命ジェスチャーを使って伝えようとしたりスマホを使って調べたりするといった柔軟な対応に好感を持つ外国人宿泊客が少なくありません。

こうした臨機応変に対応できる新卒者を採用していることが、龍名館が外国人観光客から人気を得ている一つの理由だといえます。

また龍名館は、海外からの予約を手数料がかかる代理店に任せっきりにするのではなく、自社サイトからの集客も行っています。実際に龍名館は、直接自社サイトへの予約が約半数近くであるとのことです。

このような、利益率を高める工夫・努力を行っていることも、龍名館がインバウンドビジネスで成功している要因の一つだといえます。

旅館

旅館施設において、外国人観光客をターゲットに成功している例として、熊本県阿蘇市にある「阿蘇内牧温泉蘇山郷」が挙げられます。

蘇山郷は、2011年7月の豪雨による水害で改装をしなければいけなくなったことをきっかけに、国内客から外国人観光客へターゲットをシフトした旅館です。蘇山郷がインバウンドビジネスで成功している要因は、主に「泊食分離」「地元との連携」「アンケート実施」の3つにあります。

・泊食分離

泊食分離とは、一泊朝食付き、もしくは素泊まりの旅行プランです。外国では当たり前のプランですが、日本の旅館では「夕食前にチェックインして温泉に入ったあと夕食を食べる」という流れが当たり前になっています。

蘇山郷では、そうした慣習を見直して旅館に泊食分離を取り入れました。

外国人観光客には、こうした泊食分離プランのニーズを持っている人も少なくありません。当然、夕食を希望するお客様には同館で食事を提供しています。こうした泊食分離は、客単価が下がるものの、夕食にかかる人件費や原価の負担も減るため、利益率は高まります。

このように、古くからある慣習を見直して外国人観光客のニーズに対応したことが、蘇山郷が外国人観光客に人気が高い理由の一つです。

・地元との連携

泊食分離を取り入れている蘇山郷ですが、夕食なしのお客様に対しては、近くにある地元の食事場所に関する情報提供を積極的に行っています。具体的には、地元の飲食店と連携して多言語化した写真付きのメニューを用意し、お客様に渡しています。

こうした地元との連携によって、蘇山郷だけでなく「内牧温泉」という地域でインバウンドビジネスに取り組んでいます。

実際に、内牧温泉にある飲食店などでは、外国人観光客向けにクレジットカード決済を取り入れたり、英語対応ができるスタッフを雇ったりすることで、町ぐるみで外国人が訪れやすい工夫を行っています。

このような地域と連携した取り組みも、蘇山郷がインバウンドビジネスで成功している一要因だといえます。

・アンケートの活用

蘇山郷では、宿泊した外国人観光客に対してアンケートを実施しています。そうすることで、外国人観光客が求めていることや抱えている不満を拾い上げて、サービスに反映しているのです。

そして、こうしたアンケートによって、それまで意識することが無かった問題点に気付かされて改善することにつながっています

例えば、「テレビのスイッチが日本語表示しかなくて困った」などといったことは、実際のアンケートによって初めてわかった外国人観光客が持つ不満です。蘇山郷では、アンケートによって得られたこうした回答を一つ一つ素直に聞き入れて改善しています。

このように、アンケートを実施してサービスを日々改善していることも、蘇山郷が外国人観光客に人気が高い理由の一つです。

ゲストハウス

ゲストハウスとは、素泊まり宿のことをいいます。ホテルや旅館などとは違い、歯ブラシやタオルなどのアメニティが用意されていないだけでなく、複数の宿泊者と一緒の部屋に寝泊りします。そのため、非常に安い値段で宿泊することができる宿泊施設です。

訪日外国人観光客の中には、こうしたゲストハウスを利用する人も少なくありません。

そして、ゲストハウスを活用してインバウンドビジネスで成功しているのが「富士箱根ゲストハウス」です。

富士箱根ゲストハウスは、神奈川県の箱根町にある民宿です。1984年から創業しており、創業以来「国際観光民宿」として外国人観光客を受け入れています。また、クチコミサイトである「トリップアドバイザー」では、口コミ評価が高い施設として殿堂入りしている程人気が高い宿泊施設として有名です。

さらに、オーナーの高橋正美代表は、2009年に観光庁のビジット・ジャパン大使に任命されています。

こうした富士箱根ゲストハウスがインバウンドビジネスで成功している理由としては、大きく「おもてなしの心」「地元交流」「人材育成」の3つが挙げられます。

・おもてなしの心

富士箱根ゲストハウスで最も大切にされているのが、「おもてなしの心」です。これは、創業以来代表である高橋氏が常に重視していることでもあります。

例えば、富士箱根ゲストハウスでは、外国人観光客が周辺環境を快適に利用できるように、レストランやコンビニ、ATM、郵便局などの近隣案内をまとめた手作り地図を作成・提供しています。

他にも、お勧め観光ルートや交通情報など、外国人観光客から聞かれやすい情報を収集しており、問い合わせに応じて随時提供できるような体制を整えています。

こうした、おもてなしの心を大切にした接客が、外国人観光客から高い人気を得ている理由の一つだといえます。

・地元交流

また、富士箱根ゲストハウスでは、宿泊者と地元住民の交流にも力を入れています。

例えば、地元のボランティアが外国人観光客に対して琴演奏をしたり、お客様から要望があれば地元の学校を案内したりするなどの取り組みを実施しています。

こうした地域に根ざしたサービスは、外国人観光客にとって貴重な体験となり、喜ばれているサービスです。

・人材育成

富士箱根ゲストハウスでは、インバウンド人材育成のため、大学生のインターンや業界向けの人材教育の場として養成講座を開催しています。

実際に、外国人観光客が宿泊する現場を体験してお客様と交流することで、スタッフ自身が気付き、学び、成長することへとつながります。こうした体験を観光に関わる多くの人に学んでもらうために、富士箱根ゲストハウスでは、養成講座として提供しているのです。

このような取り組みが、富士箱根ゲストハウスがインバウンドビジネスで成功している要因だといえます。

今回述べたように、宿泊施設業界では、さまざまな形態のサービスでインバウンドビジネスに成功した例が存在しています。こうした成功事例を参考にすることで、宿泊業界におけるインバウンドビジネスで成功することができるようになります。

利益率95%を超すポータルサイトビジネス:無料メルマガ登録

書籍出版の案内:出版キャンペーン中