インバウンド(訪日外国人観光客)ビジネスにおいて、日本の特性を生かしたビジネス戦略を立てることは重要です。その中でも、「おもてなし」という言葉は世界的にも知られているものです。

ただ、この「おもてなし」に対して、間違った解釈をしている日本人は少なくありません。そして、そうした勘違いが、外国人観光客からの日本の評判を下げることにつながっているのです。

そうしたことを避けるためにも、インバウンドビジネスを行う上では、「おもてなし」について正しく理解しておくことが大切です。

そこで今回は、「おもてなしを生かしたインバウンド(訪日外国人観光客)戦略」について解説します。

おもてなしとは

おもてなしとは、「もてなし」に丁寧語である「お」を付けた言葉です。おもてなしには、「表裏なし」という語源があります。そうしたことから、おもてなしとは、「表裏のない心でお客様をお迎えする」ということだといえます。

日本において、おもてなしという言葉は頻繁に使われています。特に、2020年のオリンピック・パラリンピックの最終投票直前に行われた東京のプレゼンテーションで、フリーアナウンサーである滝川クリステルさんのスピーチは、おもてなしという言葉を日本だけでなく世界的に有名にしました。

また、観光庁の「2020年オリンピック・パラリンピックに向けた地方のおもてなし向上事業」でも、おもてなしという言葉が使用されています。

このように日本では、一般人から政府まで「おもてなし」という言葉を使っているのです。

おもてなしの現状

こうした「おもてなし」という言葉は、いまや世界的に広がっています。ただ、この「おもてなし」に対して、外国人は決してよいイメージばかりをもっているわけではないのが現状です。

世界から見る日本のおもてなし

例えば、「おもてなし」という言葉を世界的に広めた滝川クリステルさんのスピーチでは、「お・も・て・な・し」というように、一文字ずつ区切っていました。ただ、こうした1字ずつ区切ったような話し方は、欧州では人を見下している態度と捉えられる可能性があるのです。

そして実際に、外国人からは日本の「おもてなし」は、あまり評価されていないのが現状です。

具体的には、2011年度にアメリカ、中国、フランスを対象に「サービス産業の更なる発展に向けた、『おもてなし産業化』の推進に係る調査研究事業」というアンケート調査が実施されました。

その結果、おもてなしという言葉は半数の人は聞いたことがあるものの、内容を理解している人は20パーセントにも達していなかったのです。

また、訪日外国人観光客には、日本人の「礼儀正しさ」や「親切さ」など、一個人の親切に対して感動を覚える人が多いのに対して、ホテルや旅館、レストランなどにおける「おもてなし」を評価している人は少ないのが現状です。

逆にホテルや旅館、レストランに対しては、マニュアル化したサービスを押し付けられて、不満を感じている外国人観光客が多く存在します。日本人が「おもてなし」と思って行っているマニュアル化した対応が、外国人観光客から低い評価を受けているのです。

つまり、外国人観光客が評価しているのは、日本人が誇っている「おもてなし」ではなく、日本人の礼儀正しさや親切さなのです。そして、日本人が「おもてなし」と思って行っていることは、相手の立場を考慮せずに行っている自己満足といえます。

このように、日本における「おもてなし」は、日本人が思っている程、外国人からは評価されていないのが現状です。

おもてなしとゴールデンウィーク

本来、おもてなしとは、こうしたマニュアル化した対応ではありません。既に述べたように「表裏のない心でお客様をお迎えする」というのが、おもてなしになります。

それでは、何が原因でマニュアル化したサービスが「おもてなし」と考えられるようになったのでしょうか。このことには、ゴールデンウィークが関係しているといわれています。

一般的に知られているように、ゴールデンウィーク中は、日本国内の観光地に莫大な数の人が集まります。そのため、ホテルや旅館はもちろんのこと、新幹線なども予約が取れないような状況です。

もちろん、観光名所や観光地における飲食店なども、大勢の人でごった返しの状態になっています。

つまり、ゴールデンウィークになると、観光業者は集客の努力をすることなく、売上を上げることができるのです。こうした繁忙期に「いかに売上を上げるか?」という発想になると、自然と観光客を効率的にさばくことを考えるようになります。

その結果、日本では「おもてなしではなく効率性が重視されてしまった」と考えることができます。そして、こうした効率が高いマニュアル化したサービスが「おもてなし」であるという勘違いに発展した可能性があります。

このように、一見するとおもてなしと関係ないようなゴールデンウィークが、日本の間違ったおもてなしを作っている可能性があるのです。

供給者目線のおもてなし

日本人の勘違いした「おもてなし」は、お客様目線ではなく、サービスの供給者目線による「おもてなし」であるといえます。そして、そうした供給者目線のおもてなしは、日本では当たり前のように行われているのが現状です。

例えば、日本のレストランでは、「このように盛り付けて欲しい」「材料の一部を変えて欲しい」といった要望に対して「できません」「無理です」といった否定の回答をする場合が多いです。

その他にも、病院などで開院時間を数分過ぎてしまったら、受診を断られることは少なくありません。

また日本には、おもてなしという名の「押し付け」を行うようなお店が少なくありません。勘違いで準備するだけなら問題ないのですが、お客様が断ったにも関わらず、それを押し付けようとするお店が多いのです。

例えば、「外国人だから正座はできない」や「外国人だから箸は使えない」といった思い込みをしてしまい、椅子やスプーンを準備する店は少なくありません。そして、お客様が断っても、「遠慮せずにお座りください」「お気になさらずにお使いください」といって、椅子やスプーンを使用することを押し付けるのです。

もちろん、こうした対応のほとんどは、相手のことを考えて行っていることです。しかしこのような「おもてなし」は、結局「自分たちがおもてなしをしている」という供給者目線でサービスを行っているだけに過ぎません。

日本人が考えて行っている「おもてなし」には、こうした現状があるのです。

おもてなしのポイント

それでは、外国人観光客に喜ばれる「おもてなし」とはどのようなサービスでしょうか。ここからは、外国人観光客に向けたおもてなしのポイントについて説明します。

価値観の違いを認識する

外国人観光客に限らず、おもてなしに関しては、自分と相手との価値観の違いを認識することが大切です。多くの日本人が行っている勘違いした「おもてなし」は、「これが正しい」「このマニュアルに沿って行えば間違いない」といった、凝り固まった考え方に原因があります

ただ、人はそれぞれに個性があって、物事に対する考え方が異なります。特に、文化が違うような外国人とでは、価値観に違いがあるのは当然です。

例えば、アメリカなどでは、飲食店で食事代とは別にチップを払う習慣があります。その一方で、日本にはチップという習慣はありません。そして、アメリカでは何もしなくてもチップを目当てにスタッフから声をかけてくるのが普通ですが、日本ではお客側から声をかけないと店員が対応してくれない店は多いです。

また日本のレストランでは、注文を受けたスタッフは「誰がどのメニューを頼んだか?」ということを覚えていません。そのため、料理を頼んで運ばれてきたときには、「□□を注文されたお客様」といった確認をして料理を置きます。

その一方で海外のレストランでは、「誰がどのメニューを注文したか?」ということを、担当のスタッフが記憶しているため、日本のように、テーブルへ料理を運んだ際に「○○を注文されたお客様」という声掛けをすることはありません。

このように、何事においても人によって価値観が異なります。

こうした価値観の違いを認識した上で、ある程度相手の価値観に合わせた対応を行うことが、外国人観光客に喜ばれる「おもてなし」のポイントだといえます。

思考を転換する

そして、外国人観光客が満足するような「おもてなし」を提供するためには、思考を転換する必要があります。

既に述べたように、日本における観光業者の考えは「できるだけ多くの人をさばく観光」となっています。ただ、日本で外国人を対象に観光ビジネスを成功させるためには、そうした思考ではなく「お金を落とす客にきてもらう観光」という考えに変えなければいけません。

このようにいうと、「おもてなしの心をわかっていない」と思う人も多いはずです。

しかし実際には、おもてなしとは、何も見返りを求めないような「奉仕の心」ではありません。そして、日本を訪れる外国人観光客の多くも、そうした奉仕の心ではなく、サービスとしての「おもてなし」を期待しているのです。

そのため、外国人観光客が満足するような「おもてなし」とは、「お金を落としてもらえるだけの高品質なサービスを提供する」ということだといえます。

こうしたことから、外国人観光客に評価される「おもてなし」を行うためには、まずは「おもてなし」に対する思考を転換することが大切です。

今回述べたように、インバウンドビジネスを行っていく上で、おもてなしについて理解しておくことは重要になります。ただ、多くの日本人は、「おもてなし」について勘違いしているのが現状です。そして、その間違った「おもてなし」では、外国人観光客に喜ばれることはありません。

そうしたことを避けるためにも、外国人観光客が満足するような「おもてなし」について再考することが大切です。

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