インバウンド(訪日外国人観光客)ビジネスへ参入する際に、ターゲットとなる国の文化を知ることは大切です。その国の文化を理解することで、日本を訪れた観光客に対して満足度が高いサービスを提供することにつながります。

日本政府観光局(JNTO)の報告によると、2015年度における訪日外客数のトップ5の国は、中国、韓国、台湾、香港、米国の順となっています。そのため、インバウンドビジネスを行う際には、少なくてもこれら5カ国における文化の特徴や、接客のポイントを押さえておく必要があります。

そこで今回は、その文化の特徴の中でも「世界の食事における風習」を中心に解説します。

世界の風習を知る重要性

インバウンドビジネスにおけるターゲットは、日本人ではなく外国人になります。そして、2016年の時点で世界には196国が存在しています。

当然、それぞれの国で言葉や歴史などが違うため、文化も異なっています。その中で、国や地域によって大切にされている習慣や、逆に禁止されていることなどは全く異なります。

例えば、日本では、食事の際には茶碗を持って食べることが一般的です。それに対して香港では、食器をテーブルから持ち上げないで食べることがマナーとされています。

その他にも、日本では飲食店で食事をする際に、座敷の部屋を好む人が少なくありません。その一方で台湾人は、正座やあぐらが苦手な人が多いため、座敷は好まれない傾向にあります。もし、こうした習慣を知らずに台湾人をターゲットにした飲食店を開き、座敷の部屋を多くしてしまうと、それだけでお店に人は集まりにくくなるのです。

こうしたことから、インバウンドビジネスを行う際には、最低でもターゲットとする国における文化を理解しておく必要があります。

中国文化の特徴

中国は、世界の中でも日本を訪れる観光客が最も多い国です。実際に、日本政府観光局の2015年度の報告によると、年間で4,993,800人の中国人が日本を訪れており、2位の韓国と約100万人の差をつけてトップとなっています。

そのため、インバウンドビジネスを行う際には、中国文化の特徴について理解しておくことは大切です。

中国の国民性

中国は日本と違い、個人主義が強い傾向にあります。そのため、団体行動が苦手である人が多いです。

例えば、日本人は集団で行動することに慣れています。ツアーで旅行に行ったときなどに、みんなが列に並んでいるときに、一人だけ列に並ばずに別行動をするような人はほとんどいません。

その一方で中国人は、団体旅行で来た場合にも、列に並ばなかったり時間に遅れたりと、個人的な行動を行う人が多いのです。

その他にも、中国には「急に予定を変更する」「無理とわかっていることを要求する」といった国民性があります。

中国の食習慣

中国における食習慣で注意しなければいけないことは、とにかく「冷たい食べ物を嫌う」ということです。そしてこれは、どのような食べ物においても共通しています。

例えば、日本ではビールは冷えていることが当たり前であり、むしろビールが温かければクレームが生じる可能性が高いです。それに対して中国人は、ビールも常温のものを好んで飲みます。

料理に関しても、基本的には加熱したもののしか食べず、生食は避けます。

その他にも、中国人には「朝食はおかゆや揚げパン、饅頭などの軽いメニューで済ませる」「野菜を好む人が多い」「食事には必ずスープ類を飲む」といった傾向があります。

また中国人は、基本的に水やお茶を食事中には飲まず、食前か食後に飲みます。

中国のテーブルマナー、風習

中国では、日本と違った風習やマナーが存在します。例えば、冒頭でも述べたように、香港では食器を持ち上げずに食べることがマナーです。これと同様に、中国でも食器をテーブルに置いたまま食べるのが一般的です。

その他にも、「人から勧められた飲み物を断ることはマナー違反」という認識を強くもっています。また、中国ではチップの習慣がないことも知っておく必要があります。

韓国文化の特徴

韓国は、中国に続いて訪日観光客数が多い国です。具体的には、日本政府観光局の調査によると、2015年度における韓国人の訪日外客数は4,002,100人と報告されています。

こうした韓国における文化の特徴を理解しておくことも、インバウンドビジネスを行っていく上では重要です。

韓国の国民性

韓国における文化は、「儒教」の考えがベースとなっています。儒教とは、孔子の思考に基づいた教えです。特に、「親や年長者を大切にする」という敬老精神が強く、韓国人にもそうした人が多いです。

例えば、日本においても同様ですが、食事の際は年長者が先に食事へ手をつけることがマナーとなっています。さらに韓国では、目上の人よりも先に食事を済ませないなど、年長者のペースに合わせることが徹底されています。

その他にも、韓国人には「スキンシップを好む」「感情をストレートに表現する」「曖昧さを嫌う」「せっかちである」といった国民性があります。

韓国の食習慣

韓国は、他国と比較すると宗教上の理由などで食事制限をしている人は少ないです。そのため、基本的には出してはいけない食品はほとんどありません。ただ、一般的に知られているように、キムチを好むため、どのような料理であってもキムチを添えると喜ばれる可能性が高いです。

また、韓国では基本的に一人で食事をすることはありません。家族や友達などと一緒に会話を楽しみながら食事をする習慣があります。

さらに韓国において刺身は、日本のようにしょうゆをつけて食べる習慣はありません。韓国では、刺身にトウガラシ酢味噌とニンニクを添えて、エゴマなどの葉っぱで巻いて食べるのが一般的です。

その他にも、「食事や健康に対して関心が高い人が多い」「ほとんどの料理にトウガラシやニンニクを使用する」「冷たい食事を食べる習慣がない」といった特徴も押さえておくべきポイントです。

韓国のテーブルマナー、風習

中国と同様で、韓国でも食器はテーブルに置いたまま食べるのがマナーです。また、勧められた飲み物は断らない、チップの習慣はないなど、中国と似ている点が多い傾向にあります。

そして、韓国では、基本的に汁物を最初に食べてから食事を始めます。

台湾文化の特徴

台湾は、2015年度の訪日外客数が3,677,100人であり、韓国に続いて世界で3番目に日本を訪れる観光客の数が多い国です。台湾人には日本を好む人が多く、日本のドラマやアニメ、映画などに興味をもっている人がたくさんいます。

台湾の国民性

台湾には、海外旅行を好きな人が多いです。そして、その中でも特に親日家がたくさん存在しており、日本は台湾人が最も行きたい国となっています。

そして、台湾は購買意欲が強い傾向にあり、日本でも多くの品物を買って帰ります。実際に、観光庁調べによる2013年の訪日外国人旅行消費額では、台湾人の消費額は中国人に続いて世界で2番目に多いことが明らかになっています。

また、台湾人にはリピーターが多く、一度訪れて気に入った場所に何回も繰り返し訪れる人が少なくありません。

台湾の食習慣

台湾人も、中国人や韓国人と同じように、冷たい食べ物を好まない傾向にあります。また、料理は見た目よりも量を重視し、見栄えにはこだわらない人が多いです。

さらに、台湾人には菜食主義者(ベジタリアン)が多く存在することも特徴です。実際に、台湾には菜食主義者向けに、「素食家」と呼ばれる、肉・魚・卵・乳製品を一切使わないような料理があります。

そして、基本的に「ご飯とラーメン」「ご飯と餃子」といったように、炭水化物類をセットで出されることを嫌います。

台湾のテーブルマナー、風習

冒頭でも述べたように、台湾では正座やあぐらが苦手である人が多く、畳の上で料理を食べる習慣がありません。そのため、飲食店でも座敷であるところは好まれない傾向にあります。

台湾は、中国や韓国と違って器をテーブルから持ち上げて食事をすることはマナー違反とはなりません。また、台湾にもチップの習慣はありません。

香港文化の特徴

香港は、アジアを代表する地域です。2015年度の訪日外客数も、1,524,300人と台湾に続いて世界で4番目に多い国となっています。さらに、香港における訪日観光客にはリピーターが多く、インバウンドビジネスを行う上では外せない国といえます。

香港の国民性

香港人には、文化や歴史に対して興味をもっていない人が多いです。そのため、どちらかというと、ハウステンボスやサンリオピューロランドなど、香港にはないようなアミューズメントパークを好む人が少なくありません。

また香港人は、マナーを守らない人が多い傾向にあります。

例えば、バスに乗っているときに自己都合で窓を開けたり、周囲を気にせずに苦情を言ったりするなど、自分本位な行動をする人が多いです。

その他にも、「損得勘定に敏感である」「観光地を回った数や食べた食事の量などを重視する」「一箇所の観光地をゆっくり見るのではなく、複数の観光地を回ることを好む」といった特徴があります。

香港の食習慣

香港では、中国と同じように冷たい飲食物が好まれません。

また、香港では日本食のレストランが多く存在しており、日本食にも抵抗がない人が多いです。例えば、回転寿司やラーメン、お好み焼きなどは、香港人に人気が高いメニューです。

そして、香港では昼に「飲茶」を楽しむ習慣があります。飲茶とは、中国茶を飲みながら点心を食べることです。そうしたことも関係してか、食事中にお茶を提供すると、喜ぶ人が多い傾向にあります

香港のテーブルマナー、風習

香港も、中国や韓国と同じように、食器を持ち上げずに食べることがマナーです。また、香港では分煙が徹底されており、飲食店内に喫煙席があることは嫌われます。

中国や韓国と違う点は、香港ではチップの習慣があるということです。香港のレストランにおけるチップの相場ははっきりしていませんが、レストランの料金にはあらかじめサービス料が上乗せされているため、お釣りの小銭を渡す程度であることが多いようです。

その他にも、香港では特にスープや麺類を食べるときに音を立てることは厳禁とされています。

米国(アメリカ)文化の特徴

アメリカは、香港に続いて世界で5番目に訪日外客数が多い国です。具体的には、2015年度におけるアメリカ人の訪日外客数は、1,033,200人と報告されています。

中国や韓国などと比較すると訪日観光客数は少ないですが、今後の需要を考えるとアメリカ人の特徴を理解しておくことも重要になります。

米国の国民性

アメリカ人は、一般的にイメージされているように「自由を好む」「愛国心が強い」といった国民性をもっています。

また、流行ものや新商品を好む人が多いです。そのため、その時期に応じて「グルメブーム」や「菜食主義ブーム」「自然食ブーム」など、さまざまな流行があります。

そして、アメリカ人には基本的にフランクな人が多く、飲食店などでも打ち解けた対応が好まれる傾向にあります。

米国の食習慣

アメリカでは、中国や台湾などとは違って、国独自の料理が少ないです。移民が多いアメリカでは、さまざまな国の食文化の影響を受けているため、料理も多様性に富んでいます。

また、ファーストフードや冷凍食品など、簡単に済ませることができる料理を好む人が多いのも、アメリカ人の特徴です。

ただ、肥満に代表されるように、アメリカ人には食が原因とされている病気を患っている人が多く存在します。そのため、野菜中心の料理など、健康を意識した食事を好む人も少なくありません。

実際に、アメリカ人には、厳格な菜食主義者が多いということも知っておく必要があります。

米国のテーブルマナー、風習

アメリカにおいては、食器をテーブルに置いたまま食事をすることがマナーです。また、料理や調味料を取る際に、他人の目前を横切って取ることはマナー違反となります。

さらに、アメリカでは公共の場でタバコを吸うことは禁止されています。そのため、飲食店内で喫煙場所があることは嫌われます。

その他にも、食事に限ったことではありませんが、アメリカ人はレディファーストを重視します。

今回述べたように、インバウンドビジネスのターゲットとなる国には、さまざまな文化や風習があります。特に、食に関する習慣は、インバウンドビジネスを行う上で重要なポイントの一つです。

こうした、世界の食に関する風習を理解しておくことで、訪日外国人観光客に対して、より満足度が高いサービスを提供することができるようになります。

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