企業の広報担当者が担う主な役割は、「マスコミを通じて自社の商品や取り組みなどを消費者に伝えていくこと」です。そしてそのためには、メディアに向けて自社の情報を積極的に発信していく必要があります。

また、広報担当者の中には、「マスコミに自社の情報を伝えるだけでなく、メディア関係者との人脈作りにも注力しなければいけない」という意見を持つ方がいます。これは真実であり、記者などのマスコミ関係者との信頼関係ができていればいるほど、その分だけメディアに取り上げてもらいやすくなります。

そこで今回は、「広報担当者がマスコミ関係者との人脈を築くことの重要性とその方法」について、さらに掘り下げて解説していきます。

プレスリリースを読まないメディア関係者もいる

冒頭でも述べたように、自社のことをマスコミに報じてもらうためには、自社の情報をメディアに提供する必要があります。そして、自社の情報をマスコミに発信することを「プレスリリース」といいます。

プレスリリースをメディアに提供する場合、基本的にはA4サイズのコピー用紙1枚の書類にして送ります。そして、プレスリリースの内容を確認した記者が、「この情報は多くの人に伝えるべきだ」と判断した場合、記者から取材を受けられるようになります。

ただ、世の中のメディア関係者の中には、「プレスリリースをほとんど読まない」という記者がいます。さらにいうと、「10年間近くまともにプレスリリースを読んでいない」というマスコミ関係者までいます。

この場合、プレスリリースをどれだけ丁寧に作成してメディアに発信したところで、いつまでたってもマスコミに取り上げてもらうことができません。

そのため、自社がアプローチしているメディア関係者が「プレスリリースを読まない記者」であっても、自社をマスコミに取り上げてもらえるようにするための方法をとる必要があります。

知り合いのプレスリリースであれば読む記者は多い

既に述べた通り、メディア関係者の中には、プレスリリースをほとんど読まない記者がたくさんいます。しかし、「プレスリリースを作ってもほとんど読まれないのだから、プレスリリースは作らなくてもいい」というわけではありません。

実際のところ、「プレスリリースをほとんど読んでいない」というマスコミ関係者であっても、「知っている人から提供されたプレスリリースであればチェックする」という記者は多いです。

そのため、自社が提供するプレスリリースを読んでもらうためには、自社がアプローチするメディア関係者との人脈作りをしておくことが重要になります。

記者にアプローチする方法

具体的なやり方としては、まず過去の新聞やニュースから「自社が取り上げてほしいニュース」と似た内容の記事を見つけ、それを担当した記者の名前を調べます。もしこのとき、記事作成を担当した記者の名前が分からなかった場合は、その記事のコーナー名などをメモしておきます。

その次に、顔なじみのアプローチしたい記者に対して電話で連絡します。このとき知り合いの記者がいなかったり、アプローチしたい記者の名前が分からなかったりした場合には、先ほど調べた記事のコーナー名を挙げ、「○○のコーナーを担当された記者の方とお話ししたいのですが……」といった聞き方で尋ねるようにします。

これによって、こちらがアプローチしたい記者と直接会える可能性が高くなります。そして、記者本人に会って話をし、情報提供しつつプレスリリースを渡せば、そのプレスリリースを読んでくれる可能性が高いです。

マスコミ関係者の知り合いがいない場合、行動することで頑張って人脈を広げるようにしましょう。また、記者の知り合いが増えていけばプレスリリースを出したときにスムーズにメディア掲載されるようになります。

記者から取材依頼の電話がきたときの対応

このように、マスコミ関係者の中には、「プレスリリースはほとんど読んでいない」という記者がいます。そして、このような記者であっても、面識がある人からのプレスリリースであれば読む傾向にあります。

そのため、自社の情報をマスコミに取り上げてもらうために、記者との人脈を積極的に築いていくことが大切です。これによって、メディアデビューを実現しやすくすることができます。

そうしてメディア出演を続けていくと、ある時点から記者から「取材させてください」といわれるようになります。自社のことがメディアに取り上げられるようになると、さらに別の取材担当記者から取材依頼の電話を受けることが多くなるのです。このとき、記者に対してどのような対応をとるかによって、今後のマスコミ掲載がうまくいくかどうかが変わってきます。

記者からの電話では、情報を与えずに切ってはいけない

冒頭でも述べたように、メディアに取り上げられたことがある会社の場合、記者から取材依頼の電話がくることがたくさんあります。

具体的には、日本に数多くある記念日やシーズンなどのタイミングに合わせ、記者から電話で「これから○○の日を迎えますが、それに合わせて、御社では何らかのイベントやキャンペーンなどを行う予定はありますか?」といった質問を受けることが多いです。

このとき、すでに何らかの企画を予定しているのであれば、そのことを記者に伝えることで取材に来てもらうことができます。

その一方で、自社でキャンペーンなどを行う予定がない場合、「自社ではそのような予定はありません」と即答して電話を切るか、「それに関係するイベントを企画中かもしれないので、担当者に確認してみます」と伝えておくのが一般的です。

そして、企画担当者に確認したときに、キャンペーン開催などの予定がなかった際には、記者に「確認してみたところ、大変申し訳ないのですが、弊社ではそれに関係するイベントの予定はありませんでした」と話して電話を切る広報担当者は多いです。

しかし、電話をした記者にこのような受け答えをしてしまうと、次回以降に同じ記者から電話が来なくなってしまう可能性が高いです。なぜなら、記者が望んでいる情報を提供できないと、自社の存在がその記者の印象に残らなくなってしまうからです。

こうした事態を避けるためには、記者が自社に電話をかけてきたときには、記者に「記事に使えそうな情報」を伝えられるように準備する必要があります。

自社に電話した記者に情報提供する方法

自社に電話をかけた記者に記事になりそうな情報を発信する場合、以下のような手法が挙げられます。

1.記者が求める情報にマッチした記事ネタを作る

2.記者が求める情報を提供できそうな企業や人を紹介する

ここからは、それぞれの項目ごとに分けて解説していきます。

1.記者が求める情報にマッチした記事ネタを作る

この方法をとる場合、まずは電話をかけた記者に「それに関係する企画をやっていると思いますので、担当者に確認を取ります」と伝えます。そして、企画の関係部署に速やかに連絡し、実際にイベントやキャンペーンを立ち上げます。その後、そのことを記者に報告し、取材に来てもらうようにするのです。

もちろん、企画を立ち上げるとはいっても、必ずしもたくさんのお金がかかるイベントを行う必要はありません。例えば、「特別割引」「特典追加」などのように、比較的低コストで開催できる企画であっても問題ありません。

このように、記者が求める情報にマッチした企画を立ち上げることで、比較的簡単にメディア掲載を実現させることができます。

さらに、電話をした記者に「この企業はさまざまなイベントを開くから、積極的に連絡した方がいい」と思ってもらえるようになります。その結果、その記者が自社に何度も取材依頼の電話をしてくれるようになります。

また、どうしても企画を立ち上げることができない場合に限り、以下に示す「2.記者が求める情報を提供できそうな企業や人を紹介する」の方法を選択するようにします。

2.記者が求める情報を提供できそうな企業や人を紹介する

この方法をとる場合、自社と組んでいる会社や事業者と話し、「記者に紹介しても構わないか」についての許可をあらかじめもらっておく必要があります。そして、このことを了承した企業や事業者を記者に紹介するようにします。

もちろん、記者に他の企業や事業者を紹介するにしても、記者が「記事にしたいと考えている情報」を持っていそうな会社や事業者にしなければいけません。なぜなら、記者と紹介した企業の両方に迷惑をかけてしまうことになるからです。

そして、適切な企業や事業者を記者に紹介できれば、自社のことが記者の印象に残ります。さらに、記者は情報を探す手間が省け、こちらに感謝してくれるようになります。これらによって、記者が次回以降も取材依頼の電話をかけてくれるようになります。

このように、記者から取材依頼の電話を受けたとき、記者が求める情報にマッチした企画を立ち上げ、メディアに取り上げてもらうように準備することが大切です。これによって、比較的簡単にマスコミ掲載が実現でき、さらに記者からの取材依頼が何度もくるようになります。

また、取材依頼の電話を受けたときに、どうしても企画を立ち上げられない場合には、自社と組んでいる企業や事業者を記者に紹介することが重要です。これによって、自社のことが記者の印象に残り、再び取材依頼の電話をかけてくれるようになります。

このような電話対応によって何度もマスコミ掲載を実現させ、ビジネスをさらに加速させていきましょう。