自社の情報が新聞などのマスコミに取り上げられれば、多くの人に注目してもらえるようになります。ただそのためには、メディアに対して自社の情報を発信しなければなりません。そして、このとき企業からマスコミに対して提供する情報を「プレスリリース」と呼びます。

プレスリリースをメディアに送る場合、基本的に情報を書類にまとめて渡します。このとき、受け取ったプレスリリースをチェックした記者に、「この情報は多くの人に知らせるべきだ」と判断してもらうことができれば、記者の取材を受けられることになります。

そして、新聞社などのマスコミから取材依頼が来た場合、取材に応じる前に確認しておくべきことがあります。

そこで今回は、「メディアから取材を受ける前に把握しておかなければならないこと」について解説し、さらには「実際に取材を受けるときの日程調節や雑誌提供」について述べていきます。

プレスリリースの内容について記者から質問される

マスコミに提供したプレスリリースが採用された場合、担当の記者から電話での連絡が来ます。このとき、記者からプレスリリースの内容についてさまざまな質問を受けることになります。そのため、メディアにプレスリリースを送った際には、記者からの質問に正しい返答ができるように前もって準備しておくことが大切です。

またこのとき、記者との会話で確認しておくべきこととして、「記者が自社を取材する意図」が挙げられます。要するに、「記者が自社を取材することで、どのような記事を作成・掲載する意図があるのか」を把握しておくことが重要になります。

こちらが意図する内容で記事になるとは限らない

企業や事業者がプレスリリースを作る際、「新商品の販売について取り上げてもらいたい」などのコンセプトを決めて作成します。しかし、そのプレスリリースが記者に採用されたとしても、作成者側が望む切り口でそのまま記事にしてもらえるとは限りません。

例えば、あなたが家電製品を作る会社を運営していたと仮定します。そして、「新しく販売する掃除機」についてのプレスリリースを作成し、マスコミに提供したとします。このとき、記者によっては「新しく販売する掃除機」ではなく、「掃除機を購入する客層の変化」などの全く異なる切り口で記事にすることを考えているケースがあります。

そして、担当の記者が「掃除機を購入する客層の変化」についての記事を作ろうとしていた場合、「新しく販売する掃除機」についてはほとんど触れられない可能性があります。

このように、メディアにプレスリリースを提供したとき、必ずしも自社が望む内容のまま記事に取り上げられるとは限りません。そのため、記者から取材の電話を受けたとき、「自社が渡したプレスリリースをもとに、どのような記事を作ろうとしているのか」を忘れずに確認することが大切です。

許容範囲を決めた上で取材に応じる

既に述べた通り、プレスリリースを作ってメディアに送ったとしても、作成者側が望むコンセプトのまま記事に仕上げてもらえるとは限りません。そして場合によっては、「記事にしてもらわない方がいいのでは?」と思ってしまうような切り口で自社の情報が扱われるケースもあります。

例えば、あなたがラーメン屋を経営していたと仮定します。そして、マスコミに対して「当店を活用する女性客が増えている理由」についてのプレスリリースを提供し、取材を受けられることになったとします。

このとき、記者が想定している記事の内容が、「栄養バランスが崩れた食事をする女性が増えている」といった社会問題であった場合、あなたはどのように思うでしょうか。

きっと、「まるで当店で提供しているメニューが体に悪いみたいじゃないか!」「当店がこのような記事で取り上げられたら、お客様が減ってしまう!」などと考えてしまうことでしょう。

こうしたとき、記者が考えている記事のコンセプトがどうしても受け入れられないのであれば、取材を断ってしまうのも一つの手です。このとき、できれば即答で丁重にお断りするのが理想です。また、「すぐに回答できそうにない」といった場合には、回答日を決めてその日までに記者に返答することが大切です。

一方で、記者が考えているテーマを確認したときに、「その内容の記事であれば許容できる」と判断できるのであれば、そのまま取材を受けるようにしましょう。これによって、少なくとも自社の認知度は高めることができます。

記者からの取材を受けるときの日程調整、資料提供

このように、マスコミにプレスリリースを提供したとき、こちらが意図する内容で記事になるとは限りません。実際のところ、全く異なる切り口で記事になるケースもあります。

そのため、記者から取材の連絡がきたときには、「どのようなコンセプトの記事を作成するつもりなのか」をしっかりと確認することが大切です。

それでは、実際に取材を受けることになった場合はどのようにすればいいのでしょうか。取材を受けることが決まったときに重要視すべきポイントとして、「取材日の調整」と「必要な資料の提供」が挙げられます。

メディアの要求に応じて取材日を調整する

マスコミに提供したプレスリリースが採用された場合、担当の記者から取材の連絡がきます。そして、記者と話し合いながら、具体的な取材日を決定することになります。

このときに重要な考え方として、「できるだけ記者の希望に合わせて日程を調整する」というものが挙げられます。なぜなら、その方が記事の完成度が高められやすくなるからです。

例えば、あなたが喫茶店を経営していたと仮定します。このとき、記者が「経営者だけでなく、店舗スタッフのコメントも欲しい」と考えていた場合、そのスタッフが出勤する日を取材日に指定するようにします。

また、「喫茶店で仕入れているコーヒーの原料(コーヒー豆)を扱う業者のコメントをもらっておきたい」と記者が考えていれば、その業者が搬入に来る日に取材を受ける必要があります。

このような形で、記者の要望に応じて取材日を調整することで、より完成度の高い記事ができあがるようになります。

また、記者の希望にできるだけ応えようとすることで、記者に「この企業は、取材がやりやすい」「この企業は、新聞掲載に対してとても意欲的だ」と思ってもらえるようになります。これにより、今後プレスリリースを提供したときに、取材を受けやすくなることが期待できます。

記者からの要望に合わせて必要な資料を提供する

記者からの取材を受けるときには、記者から「プレスリリースの内容に関係する資料」の提供を求められるケースが多いです。そのため、取材日までのスケジュールに余裕がある場合には、取材日前までに関連資料を準備しておくことが大切です。

例えば、取材する内容の中で「自社の歴史」について触れると仮定します。この場合であれば、そのことについて書かれているパンフレットや会社概要を記者に提供する必要があるでしょう。

また、資料を記者に渡す場合、その前に資料内に間違った情報がないかを必ず確認しておくことが重要です。なぜなら、記者は「受け取った資料の内容はすべて正確だ」と考えてメディアに取り上げようとするからです。

そのため、資料内にミスがあった場合、それがそのままの状態で新聞掲載されることになってしまいます。こうした事態を避けるためにも、記者に資料を提供する前に、間違いがないかをしっかりチェックするようにしましょう。

記者に求められていない資料は、無理やり渡してはならない

ただし、記者に資料を渡すにしても、必ず記者から求められたものだけを提供しなければいけません。なぜなら、頼まれていない資料を一方的に記者に渡してしまうと、記者に悪い印象を持たれてしまうからです。

この場合、「この企業は取材がやりづらい」と思われ、次回からプレスリリースを採用してもらいにくくなってしまう恐れがあります。そのため、記者に資料を提供する場合、求められたものだけを必要に応じて記者に渡すことが大切です。

このように、記者からの取材を受ける際には、その記者の要望に合わせて日程を調整したり資料を提供したりする必要があります。

これらを的確に行うことで、より完成度の高い記事ができあがるようになります。さらに、記者が自社に対して「取材がしやすい会社だ」と思い、良い印象を持ってくれるようになります。これにより、次回以降にプレスリリースを提供したときに、記者がそれを採用してくれる可能性が高くなります。

記者の立場や気持ちを配慮しつつ取材に対応し、マスコミに取り上げられやすい状況を構築していきましょう。そうすることで、自社の事業をさらに発展させていくことができます。