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会社を運営して経費削減を行う中で、最も短期的に大きなコストダウンを図ることができるのが人件費削減です。

人件費削減というと、「解雇(クビ)」をイメージする人が多いと思いますが、そこまで単純なものではありません。人員を減らす前に、まずは残業の禁止や給与カット、ワークシェアリングなどを行い、業務の効率化を図ります。

それでも会社が黒字化しないようである場合に、人員削減を行います。そして人員削減と一言でいっても、「希望退職」や「退職勧告」など、その方法は1つではありません。

そして、そうした人員削減では、会社にとってもさまざまな問題が生じるため、社員を減らした後も大変な時期が続きます。人件費の削減を考えている人は、そうした人件費削減によって起こりえる問題への対策も知っておかなければいけません。

そこで今回は、「労務管理・人員削減で人件費を抑えて会社のコスト削減を図る方法」について解説します。

人件費削減の順番

人件費を減らしていくときに、まず初めに考えなければいけないことが「労務管理」です。労務管理とは簡単にいうと、「社員やスタッフを有効に活用するための施策」といえます。

例えば、人員配置を変えて生産性を高めたり、残業の必要性を再検討して残業代を削ったりすることは労務管理に当たります。その他にも、以下のようなことが、労務管理の例として挙げられます。

・給与の見直し

・人事考課

・スタッフの減員

・労働時間の管理

このように、「社員をいかに有効かつ効率的に活用するか?」ということが労務管理になります。そして労務管理を行うことで、大きく会社のコストを削減することができるようになります。

ただ、労務管理で人件費を削っていくためには、正しい手順を踏んでいかなければいけません。例えば、いきなり「会社の経営が思わしくないから人員削減を行う」というのは、コスト削減を行っていく順番として良いとはいえません。

そこで以下に、労務管理によって経費削減を行う具体的な手順について記します。

1.残業の削減

労務管理を行う上で、まず検討すべきは残業です。もちろん、いきなり全ての残業を禁止にしてしまうと、業務自体に支障が生じてしまう可能性があります。しかし、多くの会社では無駄な残業が行われているのが現状です。

例えば、業務時間内に1時間程度の空き時間があったにも関わらず、業務後に残って1時間残業を行うような人もいます。他にも、仕事のやり方を工夫するだけで残業せずに業務時間内で全ての業務を終わらせられるようなケースもあります。

まずは、このように残業の状況を見直した上で、必要のない残業を削減していくことが大切です。

ただ、残業代のカットによるコスト削減は、そこまで大きな効果を得られるものではありません。また従業員の中には、残業代が無くなることで収入が少なくなるため、モチベーションが下がってしまう人もいます。

そのため残業代のカットは、「残業代を全てカットすれば赤字から黒字に転化できる」という状態である場合にのみ実施するようにしましょう。

2.給与の削減

残業の見直しを行い、残業代を全額カットしても赤字を黒字化できない場合には、給与の削減を検討します。

社員の給料を下げることは、即時的かつ大きくコストを削減することにつながります。そのため、経費を削減するという観点からすると、非常に効率的な方法だといえます。

しかし、当然ながら給料のカットは、社員のモチベーションを下げることにつながります。また、大幅な給与の削減を行うと、社員の生活自体に支障が出てくる可能性があるため、一度で大きな額を下げることはできません。

こうしたことから、給与の削減を実施する場合には、慎重に行う必要があります。

また、実際に給与の削減を行なう際には、しっかりと給与を減らす社員に説明をして、相手が納得した上で実施するようにしてください。社員の同意を得ずに給与をカットすることは、労働基準法に反することになるため避けてください。

3.ワークシェアリング

ワークシェアリングとは、文字通り「社員同士で仕事内容を分け合うこと」をいいます。上手く業務を分散することで、それぞれのスタッフの労働時間を短くします。そして、労働時間の短縮に伴い、その分だけ給料を減らします。

また、給与の削減は高所得である管理職者を対象に行われやすいです。その一方でワークシェアリングは、残業代カットと同じように一般職者に実施されやすいものです。それは、管理職者が行う業務と比較すると、一般社員の仕事内容の方が、他の人と分担しやすいためです。

そして、ワークシェアリングにおいても、残業代をカットするときと同じように、給料が下がることで社員のモチベーションが下がる可能性があります。特にワークシェアリングは、給与が少ない一般社員に行われることになるため、実際の導入はかなり難しいといえます。

4.希望退職

残業代や給与のカット、ワークシェアリングは、今後も働く従業員のやる気を削ることになるため、実施する際には慎重に行う必要があります。そのため、多くの会社では、そうした問題が生じないようにするために人員削減に踏み切ります。

そして、人員削減を行う最初のステップとしては、「希望退職」を行います。希望退職は、、基本的に対象となる従業員全員に対して退職の希望を募るため、退職者を選別しなければいけない「退職勧告」と比較すると、経営者や人事部にかかる精神的負担は少なくなります。

ただ、希望退職の場合には、以下のような問題が生じる可能性があります。

・能力の高い人材が退職する可能性が高い(やる気の無い社員が残りがち)

・希望退職者が集まらず、何度も希望退職を募ると、そのたびに社員のモチベーションが下がる

・想像していた以上に希望退職者が集まると、その後の経営に大きな影響を与えてしまう

希望退職を募る場合には、以上のようなことが起こることを考慮した上で実施する必要があります。

また、実際に希望退職を募る場合には、一般的に通常の退職条件よりも良い条件を提示することになります。例えば、退職金を通常よりも多めに出すようにします。そうすることで、自然と退職希望者が出てくるようになります。

ただ、あまりに条件が良すぎる場合には、退職希望者が増えすぎることになるため注意が必要です。

5.退職勧告

希望退職によって生じる問題を避けたい場合や、希望退職者が集まらないときには、退職勧告を実施します。退職勧告とは、会社から対象となる各従業員に対して退職をお願いすることをいいます。

希望退職がスタッフ全員に募るのに対して、退職勧告は経営者や人事が対象となる社員を決めて直接退職を依頼します。退職勧告は、会社からのお願いであり、「解雇(リストラ)」のように退職を強制するものではありません。まずはそのことを理解しておく必要があります。

そして、退職勧告を行う場合にはいくつかの注意点があります。以下に、退職勧告を実施する際のポイントについて記します。

・1つの現場で1回限りにする

退職勧告を行う場合には、1つの現場で1回限りにすることがポイントです。それは、何度も同じところで退職勧告を実施していると、社員が「次は自分にくるのでは?」と不安になって、仕事に身が入らないようになるためです。

そうしたことを避けるためにも、退職勧告は一拠点1回だけで済ませるようにしましょう。

・退職勧告を行う社員を選定する

退職勧告を行う場合、当然ながら退職を依頼する人を選ばなければいけません。その際には、職種や能力、現在の給与額、勤務状況などを総合的に判断した上で選択します。

例えば、○○という資格があり、それが業務を行う上で必須であれば、その資格を持っている人に退職を促すことはできません。その一方で、現在の仕事内容に対して給与額が高いような人は、退職勧告を行う対象となりえます。

このように、さまざまなことを考慮した上で、退職勧告対象者を選別することが大切です。

・残った人のために業務内容を見直す

退職勧告を行って実際に退職した後は、従業員の数が減っているため、前と同じような状態を維持することは不可能です。

そのため、残った社員のためにも、業務内容の見直しと改善を行うことが必須になります。そうしなければ、会社自体が回りませんし、もし運営できたとしても従業員にかかる負担が大きくなってしまいます。

そうした事態を防ぐためにも、退職勧告実施後は大きな業務改善を実行する必要があります。

人員削減によって起こりえる問題と対策

コスト削減の中でも、人員削減は短期間に大きなコストカットを実現できます。しかし当然ながら、人員をカットする際には、さまざまな問題が生じることになります。その中でも、特に「残ることになった社員にかかる負担が増える」ことに対するフォローは重要です。

そこで以下に、「社員にかかる負担が増える」ことに対する対策について記します。

業務内容を改善する

退職者が出るということは、当然ながらそれまでと同じ状態を維持するためには、残った人たちにかかる負担が大きくなります。

例えば、90人の社員がいた会社で20人が退職することになると、従来は90人で行っていた仕事を70人で回さなければいけなくなります。そうなると、業務自体が終わらなくなるか、社員の残業が増えてしまいます。

そうしたことを避けるためにも、業務自体を減らすような工夫を行わなければいけません。

そしてそうした際には、まずは報告書など、会社の利益に直接関わらないような業務のカットを検討します。

例えば、毎日、業務後に30分かけて当日行った業務内容に関する報告書を書いていたとします。このとき、人数分だけ報告書のために必要な時間が必要になります。具体的には、30人社員がいて全員が報告書を作成するとなると、報告書だけで1日に15時間(30分 × 30人 = 900分)かかることになります。

ただ、人数が少なくなると、そうした業務は直接の口伝えで行えるようになるかもしれません。そして、報告書ではなく口答であればものの5分も必要ありません。たとえ30人社員がいて、1人当たり5分かかったとしても、1日約2時間半と、同じ人数であっても報告書を作成するよりも大幅に時間を短縮することができます。

その他にも、以下のような対策を行うことで、残った社員の負担を減らすことができます。

・社外の業務を減らす

・電話の利用を減らし、メールなどを活用する

取引先の業者を減らす

社員の負担を減らすためには、まずは業務の効率化を図ることが大切です。ただ、人員削減を行った場合には、それだけでは補えないことも多々あります。その場合には、取引先の業者を減らすことも検討しなければいけません。

ただ、取引先の業者を減らすことは、会社の利益が減少することに直接つながることになります。そのため、可能な限り業務内容の改善を優先して、それでも個人の負担が大きい場合には、取引先の業者削減を検討するようにしましょう。

今回述べたように、会社のコストカットを実施する上で、人件費を削減することは短期的かつ大幅なコスト削減につながります。しかし、人件費を削ることには、さまざまな問題が生じる可能性があります。

ただ、会社を継続していくためには、こうした人員削減もやむを得ないようになることもあるのです。

そのため、人件費を削ってコストカットを実施する際には、今回述べたようなポイントを押さえた上で行うようにしましょう。そうすることで、効率的かつ効果的なコストカットを実現することができるようになります。

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