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在庫管理は、会社のコスト削減(コストカット、経費削減)を図る上で欠かせないことです。確かに、在庫が全くないことは、組織を運営していく上でさまざまなリスクとなる可能性があります。

しかし実際には、ほとんどの会社は過剰在庫が問題となっています。在庫が増えすぎて管理できずに、運転資金が固定されたり、余った商品を廃却したりすることになります。その結果、会社の経営に悪影響を及ぼします。

こうした事態を避けるためにも、過剰な在庫によって引き起こされる問題を理解した上で、在庫が増えてしまう原因を知っておく必要があります。

そこで今回は、「過剰な在庫が引き起こす問題と、在庫が増える原因」について解説します。

過剰な在庫によって引き起こされる問題

多くの経営者は、在庫が増えすぎると会社にとって問題となることを認識しています。しかし、過剰な在庫が「具体的にどのような悪影響を及ぼすのか?」ということを明確に理解している人は少ないです。

そこで以下に、過剰な在庫が引き起こす問題について記します。

運転資金の問題

在庫が多くなることで生じる一番の問題は、「会社の運転資金が固定される」ということです。基本的に製造業は、完成した商品を販売して得たお金で事業を運営していきます。

つまり、完成品が売れなければ、製品を作る原料や部品を買うお金や社員に支払う給料が無くなります。

製造業は、「原料・部品の購入 → 商品の製造→ 完成品の販売(現金化) → 社員の雇用、原料・部品の購入 → 商品の製造……」というようにサイクルが循環して、事業が運営されています。

製造業の場合、在庫(原材料や部品、仕掛品)が増えるということは、一般的に売るための商品(完成品)が少なくなることに繋がるため、当然ながらそれに伴って売上も減ります。つまり、過剰在庫は、「商品の製造 → 完成品の販売(現金化)」という過程をストップさせることになるため、お金の流れを止めてしまいます。

当然ながら「完成品の販売 → 社員の雇用、原料・部品の購入」というステップも滞ることになり、最終的には事業を運転していくことができなくなります。

このように、在庫が増えることは、「最悪の場合には会社の倒産につながる可能性がある」ということを理解しておく必要があります。

廃却・欠品の問題

在庫が増えるということは、「売れ残った商品がある」ということです。そして中には、廃却してしまわなければいけないような製品もあります。

例えば、コンビニなどでおにぎりが売れ残ってしまったとします。当然ながらおにぎりなどの食べ物には賞味期限があるため、在庫で期限切れしたものは廃却しなければいけません。

また他にも、カレンダーや手帳など、時期に関する商品も、利用できる期間を過ぎたら売れなくなります。

もちろん、売ることが出来ない在庫の商品であっても、製造するためには、原材料や部品などの費用や人件費などがかかっています。そのため、在庫として廃却してしまうと、その分にかかったお金は無駄になります。

さらに、在庫が過剰になると、「欠品」という問題が生じることもあります。

一見すると、在庫が多いと欠品は起こりにくいように感じる人が多いかもしれません。しかし実際には、在庫が過剰になるほど欠品が発生しやすくなります。

それは、工場や倉庫の中に原材料や部品、仕掛品が増えすぎて整理ができずに生じてしまいます。

例えば、足元がごみで埋もれているような部屋で、コンタクトレンズを落としてしまうと、見つけるのが大変であることは想像できると思います。

これと同じように、工場や倉庫が在庫で乱雑になっていると、「必要な原料や部品、仕掛品が在庫の山に埋もれてしまって見つからない」ということになる可能性があります。その結果、「あるはずのものが無い」という欠品が起こってしまいます。

このように、在庫が過剰になると、廃却や欠品という問題を生じる可能性があります。

製造原価の問題

在庫が過剰になると、商品の製造原価を上げることになります。製造原価とは、製品が完成するまでにかかる費用のことを指します。

製品が完成するためには、原材料や部品などの材料費はもちろんのこと、スタッフの人件費、商品を作るために必要な機械などの経費など、さまざまな費用がかかります。

具体的には、製造原価に含まれる費用には、以下の3つが挙げられます。

材料費:製品製作に直接必要な原料や部品(直接材料費)や、工具などの備品や補助材料(間接材料費)など

労務費:実際に製品を作る人の人件費(直接労務費)や、事務員など裏方でサポートする人の人件費(間接労務費)など

経費:商品の加工を外部に依頼したときの外注費(直接経費)や、水道光熱費(間接経費)など

例えば、在庫が増えるとなると、当然ながら現金とならなかった製品が出てきます。そして、その製作にかかった人件費や原料費などの費用分だけ、製造原価が高くなります。

このように、在庫が過剰になると、製造原価が高くなるということを理解しておかなければいけません。

在庫が増える原因

在庫が増えすぎると、最終的に会社の経営悪化につながります。そのため、会社を運営していく上で、在庫管理は非常に重要だといえます。ただ、多くの経営者が在庫の問題を知っているにも関わらず、過剰在庫の問題は後を絶ちません。

それでは、そうした在庫が増えてしまうのには、どのような原因があるのでしょうか。以下に、在庫過剰を引き起こしやすい問題について記します。

まとめ買い

在庫を持つことができるメリットとして、「まとめ買いによって原料や部品の単価を安くできる」ということが挙げられます。

例えば、製品の部品としてねじが必要な場合に、ねじを10本単位で購入するよりも、1000本単位で買った方が、1本辺りの値段は安くなります。ただ、これは同時に在庫を増やすことになります。

また、「原料や部品が安く売られている時期にまとめて買っておく」という行動も、過剰な在庫を作り出すことになります。

このように、「少しでも安く……」という考えが、在庫を増やすことにつながります

欠品を避けたい心理

在庫が無くなるということは、商品を作ったり販売したりすることができなくなることに繋がります。つまり、会社の運営が滞ってしまうことになります。その結果、会社にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。

例えば、コンビニでボールペンの在庫が無く、欠品の状況だったとします。そうしたときに、ボールペンを買いたいというお客さんが来店しても販売することはできません。その結果、お客さんはそのコンビニに対して不満を持つようになるだけでなく、他のコンビニで商品を購入することになります。

このような欠品によって起こる問題を避けようとして、「もしもの事態に備えて在庫を抱えておこう……」という心理が、結果的に過剰な在庫を作ることになります。

生産のアンバランス

商品を作る過程には、さまざまな生産過程があります。そして、全てのステップがバランス良く運転することで、商品はスムーズに作られることになります。

例えば、車を作るためには、「エンジンを製作する工程」や「タイヤを作る工程」「ボディを生産する工程」など、さまざまな生産過程が必要です。当然ながら、どの工程が滞っても、車を完成させることはできません。

また、1つの生産工程が遅れてしまうと、他で作った仕掛品(作りかけの製品)は、在庫となります。

具体的には、エンジンができていても、タイヤが完成していなければ車を作ることはできないため、タイヤが出来上がるまでエンジンは在庫になります。こうした生産能力が低い工程は「ボトルネック工程と呼ばれます。

このように、ボトルネック工程があることは、過剰在庫を生み出す原因の1つになります。

ブルウィップ効果

既に述べたような欠品の問題を心配したり、今後の需要拡大を期待したりすることで在庫を増やしてしまうことを「ブルウィップ効果」といいます。

例えば、実際には10個程度しか商品が売れていないにも関わらず、小売業者は「来月は今月の2倍は売れるだろう……」と期待して、通常の倍近い数を卸売業者に発注します。その結果、小売業者に営業している卸売業者の人は、「もっと発注が増えるだろう……」とメーカーへの発注を多くします。

このように、小売業者の読み違いによる問題(ブルウィップ効果)は、最終的にメーカーにまで悪影響を及ぼします。

こうしたブルウィップ効果も、過剰在庫になる原因の1つです。

在庫の価値がなくなってしまう原因

在庫が問題になる一番の原因は、売れ残ったもの(在庫)が商品としての役割を果たさなくなってしまうことです。その結果、製品を作るまでにかかった費用がコストとして会社に損害を被らせることになります。

そして在庫の商品価値が無くなってしまう(役割を果たさなくなる)原因は、主に「棚卸減耗」「商品評価損」「滞留在庫」の3つがあります。

以下に、それぞれについて解説します。

棚卸減耗

棚卸減耗とは、物理的に在庫の商品が利用できなくなった状態を指します。

例えば、先ほど挙げたコンビニの商品における賞味期限切れは、棚卸減耗の典型的な例です。その他にも、配送途中で製品が壊れてしまったり、盗まれたりした場合も、棚卸減耗になります。

このように、実際に商品が壊れたり使えなくなったりすることで製品としての価値が無くなることを棚卸減耗といいます。

商品評価損

商品評価損とは、物理的な要因ではなく、社会的な理由によって商品の価値がなくなった状態を指します。

例えば、既に述べたようなカレンダーや手帳は、その年が終わってしまうと商品の価値はなくなります。その他にも、クリスマス関連の商品や水泳に使う水着などは、季節が過ぎると役割を果たさずに使えなくなってしまいます。

このように、商品の品質などには問題がなくても製品としての価値が無くなることを商品評価損といいます。

滞留在庫

滞留在庫とは、棚卸減耗や商品評価損などの状態にはなっていないものの、長期間在庫として残っている商品を指します。つまり、このままにしてしまうと、いずれ棚卸減耗や商品評価損となる可能性があるものです。

例えば、需要の予測を見誤ってしまい、部品などを過剰に買いすぎたときなどに、滞留在庫が発生します。

このように、将来的な棚卸減耗や商品評価損の予備軍を滞留在庫といいます

今回述べたように、在庫が過剰になると会社に損失をもたらすことになります。ただ、一言で在庫が増えたといっても、その原因はさまざまであるため、問題を特定した上で解決策をとる必要があります。

そのため、以上に述べた「過剰在庫を作り出す原因」についてしっかりと理解しておくことが大切です。

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