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会社でコストダウン(コストカット、経費削減)を実現するためには、コスト削減におけるキーパーソンの存在が重要になります。特に、経営者とコスト削減の担当者は、コストカットを成功させるためのキーパーソンになります。

そして、コスト削減を実現するためには、これら2人のキーパーソンが、適切な視点を持って行動・指示することが大切です。そうすることで、効率的かつ効果的なコスト削減を達成することができるようになります。

そこで今回は、「コスト削減を実行するときの経営者・担当者が持つべき視点」について解説します。

経営者に必要な視点

コストダウンを行っていく際に、まず経営者が自覚しておかなければいけないことは、「経営者と現場の社員では意識が違う」ということです。

経営者は社員に対して給料を払う立場にある一方で、従業員は経営者から給与をもらう立場にあります。そのため、言ってしまえば社員にとっては、会社のお金は自分のものではありません。つまり、経営者と従業員では経費削減に対する意識が大きく違います。

このように、経営者と社員の間に、経費に対する意識に相違があることは仕方ありません。ただ、コストカットを実現するためには、経営者と従業員の経費に対する意識の差をできるだけ縮めなければいけません。

そのためには、社長自らが先頭に立って経費削減に取り組むことが重要になります。また、経営者は常に社員に見られていることを自覚して行動し、社員の手本になるように意識しなければいけません。

そこで以下に、コストカットを実現するために経営者が持つべき視点について記します。

会社経営の波を自覚する

会社を経営していく上で、季節や景気の変動によって、経営状況が変動することは珍しいことではありません。

例えば、国全体の景気が悪くなると、商品などが売れにくくなり、経営難に陥る会社は多く存在します。逆に、景気が良いときには、業績が急上昇するところもあります。

このように、会社を経営していると、どうしても経営者の力だけではコントロールできないような経営状況の変動が起こります。どのような会社であっても、経営が安定しているときもあれば、不安定なときもあるのです。

そうした中で、多くの経営者は、業績が悪くなったときに慌ててコストカットを行うようになります。

その一方で、常にコストダウンを意識している経営者は、こうした経営状況の変動があることを自覚しているため、業績が良いときも悪いときも常にコスト削減に取り組んでいます。そして、好業績時にも無駄な経費を使わずに資産を蓄えているため、業績が悪化したときでも慌てることはありません。

このように、経営者は「経営状況には波がある」ということを自覚しておくことが大切です。経営者が、常に危機意識を持ってコストカットに取り組むことが、コスト削減を実現するためには重要になります。

率先してコスト削減に取り組む

経営者の中には「最初に指示を出してその後は部下任せ」という人も少なくありません。しかし、そうした姿勢では、特にコスト削減を成功させることはできません。

コスト削減は、社長自らが先頭に立って取り組むべきものの代表的な例です。

例えば、新規事業の立ち上げ時のときには、経営者が先頭に立って指揮を取ることが大切になります。このことと同様に、コストカットについても軌道に乗るまでは、経営者が率先してコスト削減に取り組むことが大切です。

このように経営者が現場に立つことで、正確に現状を把握できるようになります。その結果、部下への指示も迅速かつ的確に行うことにつながります。

また、経営者が先頭に立って行動することで、社員に対してコスト削減の重要性を認識させることになります。コスト削減を本気で成功させたいのであれば、経営者自らが積極的にコストカットに取り組み、従業員に背中を見せることが大切です。

そうすることで、自然と社員にもコストカットに対する意識が定着するようになります。

公私混同を避ける

経営者の中には、個人的な出費に会社の経費を利用している人もいます。特に、中小零細企業の経営者には、こうした公私混同をしている人が多い傾向にあります。

例えば、個人的な付き合いでの食事などを、会社の経費で落としている人はたくさんいます。その他にも、必要以上に高級な車を社用車として購入して、プライベートでも利用している人も少なくありません。

経営者は、「役員報酬」として、必要な報酬は受け取っています。そのため、個人的な目的で使用した分の費用に関しては、その報酬から支払うことが当然です。

そして、あなたが想像している以上に、部下はあなたの言動・行動を見ています。あなたがコストの無駄使いをしていると、それを見た社員はコスト削減に対するモチベーションが下がります。そうしたことを避けるためにも、会社でコストカットを実行する際には、まずはこうした経営者の無駄な出費を抑えることが重要です。

創業当初の気持ちを思い出す

会社の経営が上手くいくほど、コスト削減に対する気持ちが薄れていく経営者は多いです。ただ、どのような経営者であっても、特に創業当初は経費削減を意識的に行っていたはずです。

会社の売上が順調に伸びても、コスト削減を行うことは重要です。会社の利益は、「売上 - 経費」となるため、経費を減らすことは、利益を上げることと同等に扱わなければいけません。確かに、会社が安定してくると、「コスト削減の取り組みを少し緩めてもいいかな……」と考えることもあると思います。

しかし、コスト削減を遂行して会社の利益を継続的に高めていくためには、常に創業時と同じような気持ちでコストカットに取り組み続けることが大切です。

倹約経営を徹底する

経営者の中には、「ケチ」という言葉を嫌う人も少なくありません。そのため、金銭的に「あまり細かいことは気にしない」という経営者は多いです。

例えば、事務所のエアコンを1℃上げると、月に数百円の節電ができるとします。しかし、ケチを嫌う社長は、「1ヶ月で数百円程度であるなら気にしなくてもいい」と考えます。経営者の中には、こうした細かい倹約に取り組まない人が少なくありません。

確かに、ケチという言葉をかけられて嬉しい人はいません。しかし、コストカットを実現するためには、周囲の目を気にせずに倹約することが大切です。正確には、ケチと倹約は違います。ただ、コストカットを成功させるためには、ケチと呼ばれるような経営を行っていくことが欠かせません。

経営者は、周りに見栄を張るのではなく、会社の利益を第一に考えて行動することが大切です。

コストダウンで後継者の目星をつける

経営者は、常に自分の後継者について考えていなければいけません。会社を任せることができる人物が見つからなければ、安心して引退することができません。

後継者になる人物には、情報把握能力と分析力、リーダーシップ力が備わっている必要があります。これらの一つでも欠けていれば、会社の経営を上手く行っていくことはできません。また、社員から厚い信頼があることも、後継者には必須のことになります。

そして、こうした後継者に必要な要素を見出す機会として、コストカットの実践は最適だといえます。

コストカットを成功させるためには、現状を把握・分析し、リーダーシップを発揮して従業員を率先していかなければいけません。また、リーダーとして大きなコストカットを実現することができれば、社員からの信頼も高まります。

こうしたことから、コスト削減の実践は、後継者として適任なリーダー的人物の目星をつけやすい取り組みだといえます。コストカットを行う際には、経営者はこうした視点を持っておくことも大切です。

コストダウンの対象を明確にする

経営者の中には、経費削減というと「とにかく抑えられるものは抑える」という姿勢で取り組む人がいます。ただ、コストカットを成功させるためには、コストダウンの対象となるものと、そうでないものを区別することが重要です。

例えば、商品を構成する部品の質を落としてコストダウンに成功したとします。しかし、そうしたコストダウンは、コストだけでなく商品の品質を下げることにつながります。その結果、売上の低下につながってしまい、最終的には下がったコスト以上に売上が悪くなる可能性があります。

このように、一言でコスト削減といっても、コストダウンの対象とすべきものと、そうすべきでないものがあります。そのため、経営者はコストダウンの対象を明確にして、「コストダウンすべきでないもの」を見極めることが重要になります。

適任な担当者を選出する

経営者は、コストダウンを実行するときに、コストカットを取りまとめる担当者を選出しなければいけません。つまり、コスト削減のリーダーを決める必要があります。

そして、コスト削減の担当者は適任となる人物を選出しなければ、コストカットが成功する可能性は低くなります。

例えば、やらされている感が強い人物を、コストカットの担当者として選んだとします。そうなると、リーダーがコスト削減に対して積極的でないため、当然ながらコストカットの取り組みは広がりません。

コストカットの担当者としては、さまざまなアイデアを取り入れて、積極的に行動する人物が適しています。そのため、経営者は、リーダーとしての資質を見極めてコストカットの担当者を選出することが大切になります。

担当者に必要な視点

コストカットを成功させるためには、経営者だけでなく、担当者の役割も重要になります。いくら経営者が適切な働きをしても、現場で取り仕切る担当者が的外れなことを指示したり、取り組んだりしていては、コスト削減は上手くいきません。

そこで以下に、コストカット担当者が持つべき視点について記します。

常に省けるものを考える

現場を任せられた担当者に最も大切なことは、目の前にあるものに対して「本当にこれは必要であるのか?」と考える姿勢を持つことです。コストカットを成功させるためには、不必要なものは積極的に捨てることが重要です。

人は、習慣化していることは、たとえ無駄なものであっても惰性で続けてしまう傾向があります

例えば、毎日定例で行われているような会議は、昔からの習慣で必要性を検討されずに続けられているものの代表です。そうした会議に対しても、「会議にかけた時間以上の成果につながっているか?」「もっと効率的に行うことはできないか?」というように、省けるものを見出すようにすることが大切です。

担当者は、このように何事に対しても、常に「省けるものはないか?」という視点を持っておくことが大切です。

不況の時ほどモノを購入する

不況になると、多くの会社は「手元に現金を持っておきたい」と考えるようになります。当然ながら、手元の現金がなくなると会社を運営していくことができません。

そして、こうした相手会社側の心理を逆に利用することで、コストカットにつなげることができます。

例えば、不況のときは、ほとんどの会社が必死に商品やサービスを売って現金化したいと考えています。そのため、通常よりも多少販売価格が下がっても、商品やサービスを販売するようになります。つまり、買う側のコストカット担当者からすると、「不況のときは値下げ交渉が上手くいきやすい」といえます。

したがって、もしあなたの会社が余裕資金を保有ているのであれば、このチャンスを生かして安く原料や部品を販売してもらえるように、相手会社と条件交渉を行うことができます。そして、このときに有利な条件を引き出して原料や部品を購入することができれば、結果的に会社のコストを下げることにつながります。

コストカットの担当者となった場合には、このように「不況の時ほど商品の原料や部品、消耗品などの会社に必要なモノを安く購入できる」という視点を持っておくことも大切です。

経費の現状を把握する

コストカットの担当者となる人には、今まで経費などの数字に関わったことがない人が選出される場合もあります。ただ、コスト削減の担当となったときには、経費に関する現状を把握することが欠かせません。

例えば、現状を把握しておかなければ、コスト削減を行うにしても、「どの項目を優先すべきか?」「どれほどの値を削減目標とすればいいのか?」ということがはっきりしません。

そして、やみくもに経費削減に取り組んでも、当然ながらコストカットは上手くいきません。

そうしたことを避けるためにも、コストカットの担当者になった場合には、まずは経費に関する現状を把握することが大切です。まずは直近1ヶ月の請求書から確認し、次に過去1年分の経費をまとめて、年間におけるお金の流動を把握するようにしましょう。

社内でコストダウンに関する研修を実施する

従業員にコストカットの意識付けをするために、コスト削減に関する社内研修を取り入れることは有効です。研修を通して、コストカットの目的やメリットを伝えることで、社員にコスト削減を、より意識させることができます

ただ、いくら研修を行うといっても、社員に無理やり受けさせても意味がありません。「やらされている」のではなく、従業員が自ら積極的に研修に参加するように工夫することが大切です。

例えば、研修の中で「コストカットを行うことで社員が得られるメリット」を組み込むことで、従業員のコストカットに対するモチベーションを高めることができます。また、実際のケーススタディを行うことで、コスト削減に対する具体的なイメージを持つことができるようになります。

このように、社内研修を上手く活用することができれば、スムーズにコスト削減を遂行することにつながります。

情報の共有

研修を行ったり、実際にコストカットを成功させたりした場合には、社内で情報を共有するようにしましょう。そうすることで、研修に参加していない従業員にも情報が伝わることになるため、さらに会社全体としてコストカットに対する意識が高まることになります。

例えば、研修内容を共有していなければ、研修に参加した人とそうでない人では、コストダウンに対する知識やモチベーションに大きな違いが生じます。その一方で、研修内容を会社全体へ発信しておくことで、研修に出ていない人であっても、研修に参加した人と同じようにコストダウンについて考えることができるようになります。

このように、情報は会社全体で共有して、さらに有益なものとなります。担当になった際には、積極的にコスト削減に対する情報を社内へ発信することが大切です。

今回述べたように、コスト削減を成功させるためには、特に経営者と担当者という2人のキーパーソンの役割が重要になります。こうしたキーパーソンが持つべき視点を理解しておくことで、コストカットの取り組みをより効率的かつ効果的に遂行することができるようになります。

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