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会社にとって、コスト削減(コストカット、経費削減)が重要であることは一般的に認識されています。売上が伸びていなくても、経費を減らすことで会社の利益は上がります。

ただ、コスト削減に伴って「品質の低下」という問題が起こるケースが少なくありません。経費を削減するときに、従業員に負担がかかり過ぎたり原材料や部品の質を落としたりすることが原因で、商品やサービスの質が落ちてしまいます。

それでは、いくら経費を削減しても売上が低下してしまうため、結局利益を高めることにはつながりません。むしろ、長期的に見ると会社にとってデメリットの方が多いです。

そうしたことを避けるためにも、コストカットを行う際には、品質の低下を予防する必要があります。

そこで今回は、「コスト削減によって起こる商品・サービスの品質低下を防ぐ方法」について解説します。

従業員のモチベーションを維持する

コスト削減に伴って商品やサービスの品質低下が起こる一番の原因は、従業員のモチベーションが低下することにあります。

コストカットを行う際には、経費削減の取り組みを行う最初の時期に、現場のスタッフにかかる負担が大きくなることがほとんどです。例えば、経費削減のために人件費を削った場合、残ったスタッフは、少ない人数で今までと同じ量の業務を遂行しなければいけません。そうなると、従業員一人当たりの仕事量が増えます。

その結果、負担が増えた従業員は、「給料が変わらないのに忙しくなった……」という不満を抱えるようになり、モチベーションが下がります。こうした現場で働くスタッフのモチベーション低下が、会社が提供するサービスや商品の質を下げることになります。

そのため、コストカットを実施する際には、できる限り従業員のモチベーションを維持しなければいけません。そこで以下に、コストカットに伴うスタッフのモチベーション低下を防ぐポイントを記します。

成功体験

従業員のやる気を高める方法の一つに、「成功を体験させる」ということが挙げられます。

人は、一度成功したことに対しては、「また上手くやって成功させよう」というように高い意識を持って取り組むようになります。そのため、コスト削減においても、従業員に成功体験をさせることで、モチベーションを維持することができます。

そして、成功体験といっても大きな成功でなくても問題ありません。たとえ小さなことであっても、「上手くいった」という経験をすることが大切です

例えば、従業員に対して、印刷用紙を無駄にしないために、「印刷ミスをした紙を捨てずに裏紙として利用する」といった指示をしたとします。多くの会社は、そうした取り組みに対して、実際に取り組んだ結果をスタッフに対して改めて示すことはありません。

しかし、このときに「印刷ミスをした紙を裏紙として利用した後と前の月に、どれだけ印刷用紙の購入費が下がったか?」という成果を示すことで、従業員は自分たちが取り組んだことに対する結果を実感することができます。こうしたちょっとしたことが、「コスト削減を上手く行えた」という成功体験につながります。

このように、小さな成功を積み重ねていくことで、従業員はモチベーションが下がることなくコスト削減に取り組むようになります。

個人に責任を問わない

従業員のモチベーションが低下する原因の一つに、「担当となってコスト削減に取り組んだが上手くいかなかった」という失敗経験をしたことが挙げられます。

ただ多くの場合は、コスト削減の取り組みが失敗しただけでは、モチベーションが大きく下がることはありません。実際には、コスト削減に失敗した後に上司などから担当者として責任を問われたことで、モチベーションが低下します。

当然ながら、上手くいかなかった取り組みに対して、戦略を見直したり、実施方法を修正したりすることは大切です。しかし、頭ごなしに「なぜ、こんな結果になったんだ!」「なぜ、全然コストが削減できていないんだ!」というように追求されると、担当となった人のやる気は下がります。

そうしたことを避けるためにも、コスト削減を担当する個人に対して責任は問わないようにしましょう。そうすることで、スタッフのモチベーション低下を防ぐことができるようになります。

成果の一部を還元する

そして、従業員が「コスト削減に対して積極的に取り組めなくなる最も大きな理由」は、「コスト削減を実施したことに対する見返りがない」ということです。

社員として働く人の多くは、「コストカットを実施するということは、会社の利益は増えているはずだ。それなら、その一部を従業員にも還元すべきではないのか?」というように考えます。

そして、経費削減が上手く進んでいるのに、それに対する見返りがなければ、「コスト削減を実現しても、給料は変わらない」「同じ給料であれば、わざわざ負担を被ってまでコスト削減をするのは面倒だ」と考えてモチベーションが低下します。

そうしたことを避けるためにも、コストダウンに成功した場合には、その一部を社員に還元するようにしましょう。

そうすることは、スタッフの成功体験にもなりますし、社員は能動的にコスト削減に取り組んでくれるようになります。

このように、コスト削減に伴う従業員のモチベーションを維持することは、結果的に会社のサービスや品質の低下を防ぐことになります。

ルールを徹底する

コストカットを実施する際には、新しい作業が加わったり、業務の流れが変わったりすることが多々あります。そうした業務内容の変更に伴って、作業工程内でミスが起こりやすくなります。

例えば、外注費を削減するために、今まで他社へ依頼していた製品の組み立てを自社で行うようになったとします。そうなると、社員は一から組み立ての方法を覚えなければいけなくなるため、どうしても不良品などが発生する可能性が出てきます。

このように、コスト削減に伴って新たな取り組みを行う場合には、何かとミスが発生しやすくなります。そしてそのことが、最終的にサービスや商品の質を低下させることにつながります。

そうしたことを避けるためには、新たに加わった作業や、変更した業務の流れなどをルール化して、それを徹底的に守るようにしましょう。追加点や変更点をルール化することで、コストカットの取り組みに伴うミスを最小限に抑えることができるようになります。

そうすることが、結果的にサービスや商品の品質低下を防ぐことにつながります。

小さな問題を見逃さず原因を追究する

また、コストカットに伴って品質低下が起こる原因の一つに、「経費削減による気の緩み」というものが挙げられます。

例えば、コスト削減を実施していると、通常であれば見逃さないようなわずかな問題が起こった際に、「コストを抑えているから、これくらいのトラブルは無視しておこう」という対応を行ってしまうケースが多くあります。

ただ、いくらコストカットをしていても、そうした気の緩みは、サービスや商品の質を著しく低下させることにつながります。

そのことを裏付ける法則として、「ハインリッヒの法則」というものが挙げられます。

ハインリッヒの法則とは、「300 : 29 : 1の法則」とも呼ばれるものです。具体的には、「1つの大きな問題の背景には、29回のヒヤリハットと、さらに無意識に流れている小さなトラブルが300個隠れている」という法則です。

つまり、「コスト削減をしているから、少しくらいの小さなトラブルは仕方がない……」という考えが、大きな問題(サービスや商品の品質低下)につながる可能性があるということです。

そうしたことを避けるためにも、コスト削減を実施しているときであっても、「小さな問題を見逃さずに原因を追究する」という姿勢で仕事に取り組むことが大切です。そうすることが、結果的にコストカットに伴う品質低下を防ぐことにつながります。

費用対効果を考えてコストダウンを行う

コストダウンを実施する会社の中には、コスト削減に伴って得られる効果や、生じる可能性があるリスクを考えずに経費削減を行うところがあります。

例えば、「とにかく少しでも経費を安くしたい」と考えて、商品の原材料や部品のランクを一つ下げます。他にも、人件費を削減するために、安直にスタッフの数を減らしたり賞与を削ったりする会社もあります。

ただ、このような安易なコストカットは、商品の質や従業員のモチベーションを下げることになります。そうなると、コストを抑えることができても商品の売上が低下してしまい、結果的に会社の利益は下がることになります。

こうしたことを避けるためにも、コストカットは、しっかりと「費用対効果」を考えた上で行うことが大切です。費用対効果とは、コストパフォーマンスのことであり、「お金をかけた商品やサービスが、投資した額に見合うだけの価値を提供できているか?」ということを表すものです。

たとえコストダウンに成功しても、そのことが結局サービスや商品の質を下げることになってしまうと、費用対効果も低くなってしまうことになります。

そのため、いくらコストダウンが大切といっても、コスト削減によって得られる効果や、起こる可能性があるリスクを考えて、費用対効果が低くならないような取り組みを行うことが大切です。

今回述べたように、コストカットを実施する際には、サービスや商品の品質が低下することが心配されます。確かに、コスト削減の取り組みを行うと、さまざまな問題が生じやすくなるため、サービスや商品の質が下がる可能性が高くなります。

しかし、コストカットを行うときでも、しっかりと対策を立てて取り組むことで、サービスや商品の品質を下げることなく、コスト削減を実現することができるようになります。

ぜひ、経費削減を実施する際には、以上に挙げた4点を意識するようにしましょう。これら4つを実践するだけでも、コストカットに伴うサービスや商品の品質低下を防ぐことができるようになるはずです。

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