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一般的に在庫は、無駄なコストとして捉えられがちです。そのため、「在庫は少ないほど良い」と考えている人もいます。確かに、過剰な在庫は廃却しなければいけない原料や部品を生み出したり、業務の円滑化を妨げたりすることにつながります。

しかし実際には、在庫に対する考え方は、業種ごとによって異なります。中には、在庫をたくさん持つことを販売戦略として応用している業種もあります。

こうした、各業種における在庫管理の考え方や、実際の販売戦略を知ることは、在庫管理を通して経営の視野を広げることにつながります。

そこで今回は、「業種別の在庫管理に対する考え方と販売戦略」について解説します。

小売業

業種の中には、在庫を多く持つことを強みとして生かせる業種があります。例えば、文房具などの雑貨を販売している小売業は、その代表的な例として挙げられます。

在庫に対する考え方としては、「余計な在庫は持つべきでない」ということが基本です。しかし、小売業においては、あえて過剰に在庫を持つことで、上手く他社との違いを作り出して成功している会社が多くあります。

例えば、小売業において在庫を多く持つことは、捉え方によっては顧客の満足度を高めることになります。

具体的には、「ドン・キホーテ」や「ダイソー」などは、たくさんの在庫を持つ販売戦略によって成功している小売業の例です。これらのお店には、店頭に多くの種類の商品が並べられています。そうすることで、さまざまな人の多様なニーズに応えることができています

そして実際に、ドン・キホーテやダイソーなどは、顧客に「あの店に行けば必要な商品が揃う」という認識を持ってもらうことに成功しています。

そのため、「具体的に欲しいものは決まっていないけれども、あの店に行けば購入するものが決まるだろう」「すぐに買いたいというものはないけれども、あの店にいけば何か新しい機能やデザインの製品が見つかるかもしれない」といった期待を持った顧客は、こうした在庫が多くあるお店に足を運ぶことになります。

また、店内に多くの商品を揃えていることは、「商品を探す」という行為を楽しんでもらうことにもつながります。これは、特にショッピングが好きな女性にとっては大きな魅力になります。

このように、多種多様な在庫を持つことを強みとして、ビジネスで成功している会社もあります。

コンピューターメーカー

小売業では、在庫をたくさん持つことを生かした販売戦略で成功している会社も多くあります。それに対して、コンピューターメーカーなどには、あえて在庫を少なくすることで、顧客のニーズを満たしている会社もあります。

一般的にパソコンは、大手の量販店が在庫として持っているものを店頭で販売します。その一方で、コンピューターメーカーの中には、受注生産をしている会社もあります。

例えば、「デル」は受注販売を行うことで、他社との違いを作り出し、成功しているコンピューターメーカーの代表的な例です。

デルのパソコンは、受注販売であるため、受注から納品までに時間がかかります。ただ、注文を受けて商品を作るため在庫が必要ない分、商品の価格を安くすることができます

またそれだけでなく、パソコンの大きさや色、CPUの種類などを選択することができます。そのため、顧客は個々人のニーズに合ったオリジナルのパソコンを手に入れることができます。

このように、在庫の少なさを強みとして成功している会社もあります。

中古自動車販売

既に述べたように、在庫を多く持つことは、「顧客のニーズに応じやすくなる」というメリットがあります。ただ、当然ながら一つの店舗が抱えることができる在庫量には限界があります。特に、車などの商品が大きいものは、保管できる在庫量は限られます。

そこで、同業者同士で在庫を共有することで、そうした欠点を補った販売戦略を取っているのが中古自動車販売会社です。

例えば、中古自動車販売で有名な「ガリバー」は、全国に在庫を持つことを上手く生かして成功している会社の代表的な例です。

自動車を購入する際には、購入者が細かい条件を提示する場合が多いです。購入する人は、車種はもちろんのこと、色や年式、シートの状態、走行距離、値段など、さまざまな希望を持っています。

新車であれば、その条件を元にメーカーに発注することができますが、中古車の場合は在庫として保有する車からしか選べません。そのため、顧客のニーズに合う車がなければ、購入を見送られるか、同業他社で買われてしまうことになります。

そうした中で、ガリバーは直営店とFC(フランチャイズ)店の在庫を共有化することで、そうした問題を解消しています。

例えば、ある店舗に訪れたお客様が提示した条件を満たす中古車が、その店舗の在庫になかったとします。そうした際でも、ガリバーのように、近くの直営店やFC店の在庫を共有化しておけば、違う店舗でお客様の希望に合った商品が見つかり、紹介できる可能性が高くなります。

その結果、お客様のニーズを満たすことにつながります。また、販売店としても、お客様の細かい要望に答えられるようになるだけでなく、自店の在庫を他店で紹介してもらえることができるため、在庫として売れ残るリスクが少なくなります。

このように、在庫を近くの直営店やFC店となる同業者同士で共有することで、在庫を上手く管理して成功している会社もあります。

Amazon

在庫を管理する上では、販売数が少ない商品の在庫は抑えることが鉄則です。ただ、あえて一般的には売れない商品を在庫として多く抱えることで、成功している会社があります。中でも、書籍のインターネット販売を中心に事業を展開している「Amazon」は、その代表的な例です。

確かに、一般的に販売数が少ない商品は、店舗で販売すると売れにくいのが現状です。しかし、インターネットを使って全国から購入者を集めれば、相当な数の商品が売れることになります。

そして、こうした人気が低い商品は、それぞれの数は少ないものの、種類は豊富にあります。そのため、それらを全て販売することができれば、相当な金額を売り上げることができます。つまり、他の会社が扱わないような、需要が少ない商品をたくさん販売することで、ニッチな商品の利益を独占することになります。

このように、販売数が少なく、一般的な書店では在庫を持ちにくい商品の販売を狙って、売上を上げる戦略を「ロングテール戦略」といいます。Amazonは、こうしたロングテール戦略によって大きな利益を上げています。

またAmazonは、店舗販売を行っている書店と違って、インターネット上で商品を販売しているため、在庫を管理する場所を選ぶ必要はありません。そして、田舎などの土地代の安いところで在庫を管理することで、在庫管理にかかる費用を大きく抑えています。

そのため、ニッチな商品の在庫をたくさん保有することができます

このように、一般的に売れにくい商品をあえて在庫として持つことで、自社の強みとして成功している会社もあります。

アスクル

企業の中には、在庫管理が上手くいかずに悩んでいる会社が多くあります。そして、そうした企業が持つ悩みに目をつけてビジネスを行っている会社もあります。その代表的な例が、「アスクル」です。

アスクルは、主に事務用品を通信販売している会社です。そしてアスクルの特徴は、「アスクル(明日来る)」という名の通り、インターネットやFAXで注文を受けた翌日には、顧客に商品を届けるという点にあります。

つまり、事務用品に関しては、アスクルを利用することで在庫を持つ必要がなくなります。具体的には、社内に事務用品を取り置く必要がなくなるだけでなく、要るときに使う分だけ購入するため、無駄がなくなります。また、そのつど商品を選択するため、多くの種類から選ぶことができます。

このように、在庫管理に悩む企業のニーズを満たすことで成功している会社もあるのです。

今回述べたように、一言で在庫管理といっても、業種によって適切な管理方法は異なります。ある業種では過剰な在庫は無駄になりますが、他の業種では強みになることもあります。

こうした、在庫管理に対する多様な視点を持つことで、在庫管理がスムーズに行えるようになるだけでなく、新たな販売戦略につながることもあります。

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