個人事業主にとって、自分のビジネスとは関係のない会計作業は面倒なものです。商品の仕入れなどが発生しないフリーランスであっても、それまで記帳作業を行ったことがなければ確定申告のときに慌てます。何をすれば良いのか分からず、そのための準備をしていない人は多いものです。

確定申告では、白色申告と青色申告の2種類から選べます。白色申告はメリットがないので、開業届を出すときと同時に「青色申告で確定申告をします」という宣言書も提出しましょう。10分もあれば書けるはずです。

このとき、10万円控除と65万控除のどちらかを選ばなければいけません。65万控除の方がたくさん節税できるため、その魅力は大きいです。ただ、65万円控除では複式簿記という大きな難関が立ちはだかります。

事業主貸(じぎょうぬしかし)、事業主借(じぎょうぬしかり)を活用する

複式簿記で記帳作業を行うためには、簿記3級レベルの知識がなければいけません。フリーランスとして小さく行っていくのであれば、たとえ65万円控除が魅力的であったとしても、10万円控除に留めてください。記帳作業に追われてビジネスが滞るのであれば、最初から無理をしない方が無難です。

一方、将来はビジネスを拡大していきたいと考える人であれば、簿記3級を勉強して複式簿記に挑戦してみるのも良いです。フリーランスは個人商店のように頻繁に仕入れや売上が発生するわけでなないため、ちょっと勉強すれば複式簿記でも可能です。

ポイントは「事業主貸と事業主借を最大限に活用する」ことです。この2つを有効利用すれば、簿記3級で習った項目よりも少ない作業で記帳を行えることに気が付くはずです。

個人事業主というのは、事業用の銀行口座に溜まっているお金を生活費に使うことができます。事業用の口座に溜まったお金を活用できなければ、生活に困ってしまうからです。事業用口座から個人用口座にお金を移すことは頻繁にあります。

このような場合、事業用口座から個人へお金を移したことを示すために「事業主貸」を活用します。言い換えれば、生活費が必要になったのでお金を引き出したいときに事業主貸を使います。下記の場合、10万円を引き出して生活費にあてたことを意味します。

※事業主貸の活用

日付 摘要 借方 貸方
 1/3 生活費の引き出し 事業主貸(100,000円) 普通預金(100,000円)

もう一つ重要な科目が「事業主借」です。フリーランスでビジネスを動かしている人であれば、最も活用する勘定科目です。

事業主借(じぎょうぬしかり)を使い倒す

本来であれば、すべて事業用口座の中でお金の出し入れを行うのが普通です。ただし、理想と現実は違います。実際は個人のサイフからビジネスで必要なお金を出すことは多々あります。

例えば、自宅でビジネスを動かしているフリーランスがいるとします。このときは家賃を自分の銀行口座から支払っているはずです。自分が生活している家なので全額経費にはできないものの、家賃の半分程度であれば経費に計上しても文句はいわれません。

家賃が月6万円であると、毎月3万円の家賃を経費で落とすようになります。この場合、見方を変えると「ビジネスで必要な毎月3万円の家賃を個人が肩代わりしている」ことになります。そこで、個人のお金でビジネス用の支払いを行ったことを示す勘定科目として「事業主借」を活用します。

他にも、ガス代や電気代も個人口座から支払っているはずです。これを経費で落とす場合も同様に事業主借を使います。以下に、個人サイフからビジネスで必要な費用を支払った場合の記帳方法を記します。

※事業主借の活用

日付 摘要 借方 貸方
1/10 雑誌を購入 新聞図書費(10,000円) 事業主借(10,000円)
1/13 旅費交通費 旅費交通費(40,000円) 事業主借(40,000円)
1/23 サーバー管理費 通信費(20,000円) 事業主借(20,000円)
……

事業主貸や事業主借は、個人と会社のお金を分けるための項目です。あなたの個人用のお金が動いたとき、それがビジネスと関わる場合は事業主貸や事業主借を使うと考えてください。

ちなみに、私が個人事業主だったころ、個人サイフでビジネス用に必要な物をかなり買っていたので、帳簿を見ると「事業主借」の項目であふれていました。これでも、まったく問題ありません。記帳作業では、勘定科目はそこまで重要視されないからです。

勘定科目が間違っていたとしても、取れる税額は変わりません。そのため、税務署員にとって勘定科目の間違いはどうでもいいのです。指摘された場合、「後で修正します」と言えば問題ありません。この事実を認識し、あなたの手間がかからない方法で記帳作業を進めてください。

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