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世の中に存在する中小企業のほぼすべてが、何らかの形で銀行と取引を行っています。例えば、「取引先への代金の振り込み」や、「自社の事業のために融資を受ける」などです。

ただ、中小企業の経営者の多くは、銀行との付き合い方が適切ではありません。その例としては、「銀行から必要以上にお金を借りる」「銀行から言われたことを鵜呑みにする」といったことが挙げられます。これらの間違いを正さなければ、銀行との取引で大きく損をする可能性が高いです。

そこで今回は、「中小企業経営者が理解すべき銀行との付き合い方」について解説していきます。

銀行からはなるべく借金をしてはいけない

企業経営者の中には、「銀行から借りられるときにお金を借りておいた方が良い」などと考え、特に理由もなく銀行から借金をしている人がいます。しかし、そのような行動をとり続けていくと、ビジネスが上手くいくどころか、将来破たんしてしまう恐れがあります。

なぜなら、「銀行から必要以上に借金することで、会社運営で重要な資金繰りに悩まされやすくなるから」です。

銀行からの無駄な借入は、会社経営の重荷になる

実際のところ、銀行からお金を借りれば借りるほど、会社の運営が苦しくなります。それは、「無駄な借金によって銀行に金利を支払う羽目になり、会社から銀行へと次々にお金が吸い取られていく」ためです。

例えば、銀行から5億円を借り、その金利が2%であったと仮定します。この場合、1年あたり1000万円ものお金が金利によって消えることになります。

1000万円もの資金があれば、社員を2名雇うことができますし、会社の設備をさらに充実させることもできます。しかし、銀行から無駄に多額の借金をすることで、これと同じくらいのお金が金利によってむしり取られてしまうのです。

このことから、銀行から借金をするのには、かなり慎重になることが重要です。そしてできることなら、なるべく銀行からお金を借りるのは避けた方が良いといえます。

銀行に借金すると、予想外の危機に対応しづらくなる

銀行から不必要にお金を借りた場合、予想していなかった危機が訪れたときに持ちこたえにくくなります。予想外の危機の例としては、「大口の取引先が急に倒産した」「大地震や津波などで、工場の生産ラインが崩壊してしまった」「材料の値段が急に高騰し、採算が合わなくなった」といったものが挙げられます。

銀行に借金したときに、これらの危機に対応しづらくなる理由は、「会社の状況がどうであるかに関わらず、月々の元金返済や金利の支払いが自社にのしかかってくるから」です。

そのため、必要以上に銀行からお金を借りている企業であるほど、不測の事態が起こったときに急に資金繰りに困るようになります。そして多くの場合、資金繰りが回らなくなってそのまま倒産してしまいます。

このようなことにならないためにも、銀行からお金を借りるのはできるだけ控えるようにしましょう。そして、銀行に返せそうなお金はなるべく早めに返済し、予想外の危機が訪れても持ちこたえられるようにしましょう。

銀行に借入金返済を渋られることがある

銀行からの借金を返す目途が立ったとしても、借入金返済を銀行側になかなか認めてもらえないことがあります。その理由は、「銀行の各支店において、それぞれ融資のノルマが定められているから」です。つまり、銀行は「できるだけたくさんのお金を企業に貸し付け、融資ノルマを達成させよう」と考えているのです。

仮に、一度に何億円もの借入金を返済されてしまえば、その支店での成績は大きく下がってしまいます。返済された分のお金を他の企業に貸し付けることができなければ、その責任はその銀行の支店長に重くのしかかります。

そのため、借入金を銀行に返そうとした場合、銀行から「今じゃなくてもいいのではありませんか?」「急に借入金を返されるのはちょっと⋯⋯」などと言われ、借入金の返済を先延ばしにされる恐れがあります。

「違約金(繰上返済手数料)」という言葉に惑わされてはいけない

経営者によっては、銀行から借りたお金を返済予定日よりも早めに返そうとすることがあります。この場合、銀行から「今返済される場合、違約金(繰上返済手数料)を支払わなければなりませんが、それでもよろしいですか?」などと言われることが多いです。

「違約金」という言葉を聞くと、罰則金としてさらに余計なお金を取られるような気がしてしまいます。しかし実際のところ、違約金という言葉を聞いたとしても、そこまで深刻に考える必要はありません。なぜなら違約金とは、「もともとの返済期日までに支払うはずだった金利の全額」のことを指しているからです。

要するに、違約金は「早めに借入金を返済するかどうかに関わらず、もともと銀行に支払わなければならないお金」なのです。

そのため、銀行からの借入金を早期返済したいときに、銀行から「違約金の支払いが必要です」と言われた場合、すぐに違約金を払ったうえで借入金を返済してしまえば問題ありません。さらに、違約金は損金(損害賠償金)という扱いになり、経費で落とすことができます。

このことから、銀行から借りたお金が早めに返せそうなのであれば、すぐに返済した方が良いです。このとき、違約金を支払うことになったとしても、それを経費に計上することで納税額を引き下げることができます。

銀行が企業を格付けするときの仕組み

銀行は企業にお金を貸すかどうかを決めるとき、その会社の格付け(スコアリング)を行います。その理由は、「お金を貸したときに利息分までしっかりと返せる企業かどうかを判断し、銀行自らが確実に儲かるようにするため」です。

もし、十分な返済能力がない会社に対して銀行が融資した場合、その銀行は受け取る利息によって利益を出すどころか、相手の企業に貸したお金を回収できなくなる可能性があります。このような事態をさけるため、銀行は融資を求める会社を格付けしているのです。

また、銀行からの格付けが高くなればなるほど、より良い条件で銀行から融資を受けられるようになります。例えば、お金を借りるときの金利を引き下げてもらえたり、担保や保証人を外してもらえたりするのです。

それでは、銀行が会社を格付けするとき、それをどのような形で実施するのでしょうか。

銀行は主に決算書で企業を格付けする

銀行が会社を評価するとき、決算書などのように数値化できる部分(定量的要因)と、その会社の経営者がもつビジネススキルなどのように数値化できない部分(定性的要因)をチェックします。そして、銀行が企業を格付けするとき、定量的要因を重視する傾向にあります。

このときの具体的な割合として、定量的要因が約70%なのに対し、定性的要因が約30%になるとされています。さらにいうと、忙しい銀行の場合、「定性的要因をいちいちチェックせずに定量的要因だけで会社を評価する」といわれています。

そのため、銀行からの格付けを高くしたい場合、決算書などの定量的要因をできるだけ良くすることが重要だといえます。

ちなみに、決算書を良くするとはいっても、粉飾決算などのように法に触れる行為は絶対にしないようにしましょう。つまり、あくまでも合法的に決算書の数字を組み替えるだけにとどめるようにするのです。そうすれば、社会的信用を失うような大きなリスクを避けつつ、銀行の格付けをさらに良いものにできるようになります。

銀行は、コンピューターで企業を評価する

銀行における会社の格付けについて、経営者の多くは「きっと企業の格付けに精通した人間がいて、その人に厳しくチェックされているのだろう」と考えてしまいがちです。しかし実際のところ、銀行には格付けのプロとなる人間は存在しません。

それでは、誰が会社を評価するのかというと、銀行員などの人ではなくコンピューターによって会社の格付けが決定されます。具体的にいうと、銀行員がコンピューターに融資を希望する会社の損益計算書や貸借対照表の数値を入力することで、その数値をもとにコンピューターが融資を希望する企業を格付けしているのです。

なぜ人ではなくコンピューターで会社を評価するのかというと、その方がより正確に企業を格付けできるためです。

実際のところ、人は感情や欲などに流されやすい生き物です。そして過去には、ある大手銀行において銀行員の不正融資事件が発生したことがあります。このようなことを考えると、人よりもコンピューターに会社の評価を下させた方が、より正確に企業を格付けできるといえます。

銀行における自社の格付けを良くするためのポイント

銀行での自社の評価をできるだけ良くしたい場合、「自社の営業利益(自社の本業で得た利益)をなるべく多くすること」と「自社の自己資本比率をできるだけ高くすること」が重要なポイントになります。これらに注力することによって、銀行における自社の格付けをより高められるようになります。

それでは、自社の営業利益を多くしつつ、自社の自己資本比率をより高くするためには、どのようにすれば良いのでしょうか。

自社の営業利益を多くするためには、「自社の売上高を多くすること」と「自社の売上原価と販管費(販売費及び一般管理費、商品を売るのにかかった費用)を減少させること」の2つに注力する必要があります。

自社の売上高を多くする方法

自社の売上高を大きくしたいとき、純粋に自社の売上高を増大させるのはとても大変です。なぜなら、自社の商品やサービスを売るためにどれだけ努力したとしても、それが本当に報われるかどうかは誰にもわからないからです。

そのため、売上高を多くしたい場合、「売上高に当てはめることができるのに、こちらに含まれていない収入がないか」をしっかりとチェックすることが大切です。

例えば、あなたが自動車部品の製造会社を運営していたと仮定します。そして、本業のビジネスのほかにも、他社に物件を貸すことで賃貸収入を得ていたとします。この場合の収入は本業での利益ではありませんが、売上高に計上することができます。

このとき、自社の税務を税理士に任せっきりにしていた場合、本業のビジネス以外で得た収入をすべて営業外収益として計上される恐れがあります。これでは、売上高にできるものが減ってしまい、銀行での自社の格付けを高めにくくなってしまいます。

自社の売上原価と販管費を減少させる方法

自社の売上原価と販管費を少なくしたい場合も、自社の売上高を高めたいときと同じように考えることが大切です。つまり、「自社の売上原価や販管費として計上されているもののうち、これらから外せるものはないか」と考えるのです。

その理由は、自社の売上原価や販管費自体をそのまま低くすることは、自社の売上そのものを伸ばすことと同じくらい困難だからです。

売上原価や販管費とは違って、営業利益に影響を与えない費用(損失)の項目の1つとして、「特別損失」というものがあります。

特別損失とは、「あるときだけ臨時的に発生した損失」のことを指します。例えば、大地震や台風などの自然災害によって会社が保有する物件が倒壊したときの修理費などのように、普段当たり前のように発生したものではない損失や費用が特別損失に該当します。

ただし、「どのような費用や損失が特別損失」にあてはまるかどうか」については、法律などで定められているわけではありません。そのためやや乱暴な言い方をすると、自社独自で「どのような費用や損失を特別損失に当てはめるか」を決めたうえで、それらを特別損失に計上すれば問題ありません。

例えば、使う見込みのない不良在庫を処分した場合、それを売上原価ではなく特別損失に計上しても大丈夫です。

そのため、売上原価や販管費に含まれている費用や損失をチェックするとき、それらをできるだけ特別損失に移動させることが大切です。そうすることで、売上原価や販管費が少なくなり、銀行の格付けをさらに高められるようになります。

自社の自己資本比率を高くする方法

自社の自己資本比率を高めるためには、「自社の自己資本を増加させること」と「自社の総資産を少なくすること」の2つに注力する必要があります。

自社の自己資本を増加させるのは大変

自己資本とは、「自社独自で保有する資金源」のことを指します。そして、自己資本を増やしたい場合、ただ純粋にそのための努力を続けていくしかありません。例えば、営業戦略を改善させるなどして、さらに自社の商品が売れるように努力していく必要があります。

そして、自社のビジネス戦略を改善させ、自社商品をさらに売れやすくしたとしても、その成果がすぐに出るかどうかは誰にもわかりません。そのため、自己資本を短期間で大きく増やすのは現実的ではありません。

自社の総資産を少なくする方法

自社の総資産を減らすことは、自社で保有する不要な資産を手放すことで可能になります。例えば、買ったままで使っていない物件を売却したり、不良在庫を処分したりすれば、自社の総資産を減少させることができます。

そのため、自社の自己資本を増加させるよりも、自社の総資産を少なくする方がより簡単に実行することができます。このことから、自社の自己資本比率を高めたい場合、まずは自社の総資産を減らすことに注力した方が良いといえます。

銀行の手数料や金利は、交渉すれば安くできる

銀行には、さまざまな手数料が存在しています。例えば、自社の口座から他社の口座にお金を振り込むときには、いくらかの振込手数料が発生します。また、銀行からの受取手形を保有する会社の場合、その企業は取り立て手数料を銀行に支払わなければいけません。

多くの中小企業経営者は、「銀行の手数料はもともと支払わなければならないものだ」と感じてしまいがちです。しかし実際には、銀行と交渉することにより、銀行に支払うさまざまな手数料を引き下げてもらうことができます。

銀行に支払う手数料を引き下げたい場合、まずはこちらから銀行に「手数料を下げてくれませんか?」と提案します。そのうえで、「実は、他の銀行で手数料を下げてもらえるという話がきているので、そちらの銀行に切り替えようかと考えています」といった言葉を銀行員に伝えます。

このような形で、銀行に対してこちらから交渉していくことで、銀行の手数料を今よりも下げてもらえる可能性が高いです。

また、銀行にお金を借りるとき、いくらかの金利が発生します。そして、金利が高ければ高いほど、1年ごとにたくさんのお金を銀行に持って行かれてしまいます。そのため、銀行からお金を借りる必要があるとき、借入時の金利をできるだけ下げてもらえるように交渉することが大切です。

そして、借入時の金利について銀行に交渉するときのポイントとして、「金利を下げないなら他の銀行からお金を借りることを伝えること」と「他社の金利を調査すること」が挙げられます。

金利を下げないなら他の銀行からお金を借りることを伝える

銀行から融資を受けるときの金利について交渉するとき、銀行員によっては強気の態度を取ることがあります。例えば、自社の方から「借入時の金利を下げてほしい」と言ったとき、「そうですか。それなら、御社との取引を見直させていただきます」といった発言をします。そうすることで、こちらに対して心理的に追い詰めようとしてくるのです。

このときは、そのまま銀行員に押し負けるのではなく、その銀行員に対して「他の銀行から借りること」を話すことが重要です。つまり、銀行員から「今の金利で借り入れできないならお金を貸せない」といった発言をされたとき、こちらから「それなら他の銀行からお金を借りる」と言うようにするのです。

一見すると、このような発言をすることで自社はお金が借りられなくなり、資金調達に苦労してしまうように思うかもしれません。しかし実際のところ、世の中にはお金を借りてほしくてしょうがない銀行が数多く存在しています。その理由は、それぞれの銀行に融資ノルマがあるからです。そして、それを達成できなかった銀行は、「支店長がクビになる」などの重い責任を負うことになります。

このことから、銀行から「金利を引き下げてお金を貸すことはできない」と言われたときに、「それなら他の銀行で借りる」と発言すれば、銀行の方から「金利を下げてもいいからお金を借りてほしい」と言われる可能性が高いです。

他社の金利を調査する

自社が特定の銀行から融資を受けていたとき、その銀行が他の会社にもお金を貸していることがあります。その場合、同じ銀行からお金を借りている他社の金利を調べることが重要です。

なぜなら、他社がお金を借りるときの金利が自社の金利よりも低い場合があるからです。そして、そのことを取引中の銀行に伝えることで、借入時の金利を下げてもらえる可能性が高くなります。

借入時の担保と保証人を無しにする方法

銀行からお金を借りるとき、担保や保証人を求められることがあります。これらのうち、担保とは「借金をした人がお金を返せなくなったとき、貸したお金の代わりに没収する財産」のことを指します。また保証人とは、「借金をした人がお金を返せなくなったとき、その人の代わりにお金を返済する人」のことを言います。

借入時に担保や保証人が設定されている場合、借金を返済できなくなったときに担保としている物件を取り上げられたり、保証人になってくれている人に大きな迷惑がかかったりします。そのため、銀行から融資を受ける場合、担保と保証人がない状態でお金を借りるようにすることが大切です。

担保と保証人を設定せずに銀行からお金を借りたい場合、まずは返せる借金を返済するなどして、銀行からの評価を良くすることが大切です。そうすることで、担保と保証人がない状態で銀行から融資を受けられる可能性が高くなります。

また銀行員によっては、自社が「担保と保証人がなしの状態でもお金を借りられるほど評価が高い状況」であっても、担保と保証人を求めるケースがあります。この場合、銀行員に対して「実は他の銀行から担保と保証人なしでお金を借りてほしいと言われました」などと伝え、根気強く交渉するようにしましょう。

既に述べた通り、世の中の銀行は融資ノルマを達成するのに必死であり、お金を貸したくてしょうがない状況です。そのため、銀行からの借入時に担保と保証人なしという条件を求める場合、粘り強く交渉することで担保と保証人がない状態でお金を借りやすくなります。

このように、銀行から必要以上にお金を借りるほど、会社経営の重荷になってしまいます。さらに、自然災害による被害などの急なトラブルに対して対応しづらくなり、ビジネスが破たんしやすくなってしまいます。これらのことを避けるためには、銀行からお金を借り過ぎないように気を付ける必要があります。

また、銀行と取引をする際には、「銀行の言うことには従うしかない」とは思わず、積極的に交渉を行うことが重要です。これによって、銀行におけるさまざまな手数料を安くできたり、借入時の金利を引き下げられたりすることができます。

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