出版するとなると、多くの人は「自分の本が書店の一等地に何冊も平積みされている姿」を想像します。しかし、あなたが既にもの凄い実績を出している大御所でない限り、そのようなことはありえません。

むしろ、書店にあなたの本が置かれていないことの方が多いです。書店で平積みされているのであれば100点満点であり、実際はほとんどは誰も立ち寄らないコーナーの隅に背表紙を向けて入れられているだけです。もちろん、誰もあなたの本に気が付いてはくれません。

処女作は必ず増刷させる

これが、出版業界の現実です。2週間を過ぎれば、あなたの本はどの書店にも見えなくなることでしょう。通帳に数十万円の印税が振り込まれて終わりです。

ここまでの文章を読んで、「それはヤバい!」と思ったのであればセンスがあります。少なくとも出版が決まった後、何も対策を行わないような愚かなことはしないと思います。そこで、最初の印税を全て販売促進のために回しましょう。あなたの目的は印税で稼ぐことではないため、これは問題ないはずです。

まずは、広告を出すことを考えてください。あなたがターゲットとする属性にもよりますが、ネット広告や新聞広告などが有効です。出版社に「著者が本を売るために行うべきこと」を聞きだし、何とかして本を売っていくのです。

こうして、本の増刷を行うようにしてください。初版の本を売っていき、編集者から「2刷がかかりました」という電話やメールを何とかしてもらうのです。ここまですれば、ひとまずは合格です。

ちなみに、増刷がかかって2刷までいく本は全体の2割程度です。ほとんどの本は増刷がかかることなく、そのまま誰にも知られることなく消えていきます。そう考えれば、増刷がかかることがどれだけ素晴らしいか理解できると思います。

私の場合、発売二週目で編集者から「おめでとうございます」というタイトルで増刷がかかったという内容のメールが届きました。これで処女作の出版部数が合計1万5000部になり、そのときはかなり震えました。

私はビジネスに広告をほとんどかけない人間です。広告を出さなくても、いくらでも集客ができるからです。ただ、出版だけは別です。初版の印税は全て販促にまわし、あなたの本を増刷させることだけを考えてください。

3刷までもっていく

編集者と話していると、「2刷で満足してはいけない」と言われます。本は発売直後が最も売れるため、ここでどれだけ本を売るかが勝負です。このときのちょっとした勢いで2刷までいきます。

ただ、同じ増版でも3刷は「本物」です。2刷は多少の運で行くことはあっても、3刷にまぐれはありません。本当に長く売れている本でない限り、3刷というのは起こらないからです。発売直後の勢いがあり、長期で読者が手に取ってくれる本だけが3刷となります。

前述の通り、世の中にある本のほとんどは初版で消えていきます。ただ、残りの本もそのほとんどが2刷までです。3刷というのは滅多にありません。

小さい書店に並んでいる本は、どれも「売れている本」だと思って問題ありません。本を置くスペースが限られているため、売れない本を置いても仕方がないのです。

本が売れて3刷までになると、そこでようやく書店で本が恒常的に置かれるようになります。これが、「3刷がかかると4刷、5刷と売れる流れができる理由」です。

ちなみに、たとえベストセラーにならなくても3刷を越えれば他の出版社から声をかけてもらえる可能性が高くなります。一方、処女作が初版で終わるともう一度出版するのは厳しくなります。だからこそ、著者は本を売ることに本気になった方が良いです。

まずは、なんとしてでも増版させて2刷にしてください。2刷まで達成したら、それで満足することなく3刷、4刷まで狙ってください。何も対策をしなければ、あなたの本は誰の目にもとまることなく静かに消えていきます。

2つの期間に分けて本を売る

それでは、どのようにして本を売ればいいのでしょうか。

本を売ることを考えたとき、出版直後が最も売れやすいです。これは、当然と言えば当然です。このとき、「最初にどれくらい本が買われていくか」によって、その本が継続的に売れるかどうかが左右されます。

初速をつける」と表現されますが、発売直後にできるだけたくさん本を売ることでスピードをつけるのです。こうすることで、書店が本を継続して置いてくれるようになります。

出版業界にはジェット返品という言葉があります。出版社から書店へ本が配られたとしても、ジェット返品では「あなたの本が入っている箱」が開けられもせずに返品されます。まずは、これを防ぎましょう。そのために初速をつけるのです。

初速をつけるためには、出版してから「最初の1週間」と「最初の1ヶ月」という2つの期間に分けます。

最初の土日が勝負になる

発売直後が最も売れることは先に述べた通りですが、もっと言うと「発売後に迎える最初の土日」が1つの区切りです。この土日にどれだけ買われるかによって、「売れる本かどうか」を判断されるからです。当然、売れ行きによって出版社の営業による力の入れ具合も変わってきます。

最初の1週間かもしれませんが、この短い期間が1つの大きな節目になります。この間に露出を増やし、できるだけ本を買ってもらうように仕向けなければいけません。

たとえ運よく書店に本が並んだとしても、「売れない本」と判断されればすぐに返品されてしまいます。そこで、あなたの本が多少は売れる本であることを書店員に印象付けなければいけません。

そして、もう1つの節目が「発売後、最初の1ヶ月」です。あなたが広告を出したりプロモーションを行ったりする際は、1ヶ月の間に集中させるようにしましょう。1ヶ月にどれだけ売れるかによって、書店にあなたの本が継続して置かれるかどうかが決まります。

また、この間に初速をつけることができれば増刷までもっていくことができます。出版直後のちょっとした勢いで増刷が可能なため、何としてでも増刷をかけさせるようにしてください。

初版の印税で広告を出す

あなたが本を出す目的は印税で稼ぐことではなく、出版によってビジネスを加速させることです。見込み客と商談する時であっても、出版した本を出して「売れています」と紹介するだけで、その後の話がスムーズに進みます。

この状態を実現するためには、これまで話してきた通り本を著者が売っていく必要があります、そこで、広告を出してください。このときはターゲットによって出さなければいけない広告の媒体が異なります。若者向けの本であれば、インターネット広告が有効です。新聞は見なくても、若者はインターネットであれば見ます。

一方、お年寄り向けの本であれば、新聞広告を検討してください。お年寄りはインターネットを利用していなくても、新聞であれば毎日読んでいます。あなたの出したい本によって広告を選んでください。

新聞といっても、主にビジネスマンが読む新聞があれば、主婦をメインとする新聞もあります。これはあなたが見極めてください。新聞を見れば、本の広告がたいてい載っています。あなたの本と似た属性の広告が載っている新聞を狙ってください。

ちなみに、私はインターネット広告と新聞広告の両方を出したことがあります。私の処女作は薬に関する本でしたが、インターネット広告はほとんど反応がありませんでした。考えてみれば分かりますが、薬を頻繁に飲まない若い世代には本のメッセージが刺さりにくかったのです。

そこで新聞やラジオなどで本を宣伝したら、それなりに高い反応を得ることができました。薬に興味があるのはお年寄りであるため、そこにアプローチできる適切な媒体を選ばなければいけませんでした。

あなたの本の属性に合った広告を出せば、初速をつけるための大きな手助けとなるはずです。最初に振り込まれる数十万円の印税を頼りにして、著者自ら本を売っていきましょう。

出版コンサルティングの実施

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