リスクを下げることは、ビジネスをする上でとても重要です。これは、努力によって達成できます。例えば、「難関大学を受験する」というリスク(不確実性)に立ち向かうとき、勉強して偏差値を上げることでリスクを低くすることができます。

他にも、適切なリスク分散を行えば、得られるリターン(報酬)が変わらないにも関わらず、リスクを大幅に下げることができます。

先ほどの大学受験であれば、1つの分野だけを勉強するのではなく、多くの分野をまんべんなく学んだ方がどの出題にも対応できるようになります。また、いくつかの大学を受けた方が、どこかに引っかかる確率が高くなります。これは、リスク分散の1つです。

ただ、どれだけリスク分散を行ったとしても、そこには限界があります。どれけ努力をして多くの分野を勉強したとしても、ちょっとしたことで志望校に受からないことはよくあることです。

ビジネスも同じであり、リスクを下げることは重要ですが、リスクをゼロにすることはできません。「必ず儲かる分野」は存在せず、何かしらの不確実性があるからこそリターンを得ることができるのです。

リスク分散には限界がある

リスク(不確実性)が大きいと、それに対するリターン(報酬)も大きいことを人は期待します。これをハイリスク・ハイリターンの原則といいます。これは、株を思い浮かべれば分かりやすいです。

多くのお金を投資してリターンが少ないのであれば、誰も株を買おうとはしません。しかし、実際は投資した金額に応じて大きなリターンを得ることができるため、投資家は株の売買を行うのです。不確実性が高いほど、リターンも大きくなります。

ただ、リスク分散は誰でもできます。株であれば、市場動向や世の中の流れを学ぶことでリスクを減らすことができます。また、他の株知識をもつ専門家と情報共有すれば、失敗する確率は低くなります。

しかし、前述の通りリスクはゼロにはなりません。突然の不況によって大損するかもしれませんし、その逆に大儲けすることもあります。こればかりは、どれだけ知識をつけても予測は難しいです。そこで、人はこの「予測できない部分」に対して大きな見返りを求めます。

言い変えると、リスク分散は誰でもできるため、人間が大きなリターンを求めるのは「努力やリスク分散によっても、リスクを減らせない部分」に対してであると考えることができます。

リスク分散の限界

それでは、「努力やリスク分散を行ったとしても減らすことのできないリスク」の部分について、もう少し詳しく解説していきます。

リスクプレミアムとリスクリーフレート

リスクを取るとはいっても、ほとんどリスクのない場合が存在します。例えば、国債に投資する場合です。国債とは、国の借金のことです。国が潰れることはほぼないため、ファイナンスではリスクがゼロであると考えられています。

投資家が国債にお金を投資したときの利回りをリスクリーフレートといいます。リスクリーフレート(無リスク金利)が底辺の利回りであるため、利率がこれを下回ることはありません。そして、国債よりもリスクが高くなるにつれて、利率も上昇します。

例えば、特定の企業に対して投資する場合は、国債ではなく社債となります。会社が倒産することは頻繁にあるため、社債は国債よりもリスクが高いです。

そこで、社債の場合はリスクリーフレートに対して、リスクの分だけ利率が上乗せされます。この上乗せ部分をリスクプレミアムといいます。よりリスクが高い会社の場合、ハイリスク・ハイリターンの原則に従って、リスクプレミアムは大きくなります。

リスクプレミアムとリスクリーフレート

社債ではなく、これが株になればリスクプレミアムはさらに上昇します。社債は「○年後に利子をつけて返す」という契約に基づいているため、倒産さえしなければ元本割れしません。しかし、株式投資の場合、株価は大きく変動するため、元本割れが頻繁に発生します。

社債のようにリターンが確約されていないため、株式投資は社債よりも大きなリスクプレミアムがついているのです。

本当のリスクとは、前述の通り「努力やリスク分散を行ったとしても予測不可能な部分」を指します。これを難しい言葉で表すと、「リスクリーフレートとリスクプレミアムを合わせた部分」であるといえます。この部分が大きくてチャレンジングであるほど、返ってくるリターンは大きいです。

現在、私はビジネスを教える立場にいますが、ビジネスを始めるときに、「その方法で本当に成功できますか」と聞いてくる人は多いです。なぜか「成功の確約」を大多数の人が求めるのです。

しかし、そのような無リスクは存在せず、確実に成功できるビジネスは存在しないことを認識しなければいけません。さらにいえば、確約を求めるのであれば、リターンは格段に少なくなります。

将来、どうなるか分からない未来に向かってリスクを背負いながらビジネスを動かすからこそ、成功したときのリターンも大きくなります。この原則を理解すれば、100%の成功は存在せず、自分だけを信じて行動できる人だけが大きな成功を手にできることが分かります。

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