1つの分野で頂点を取ることは難しく、競合が既にいくつも参入してることがほとんどです。そこで、2つの要素を掛け合わせることにより、それまでにないサービスを生み出して成功することはよくあります。

少し考え方をひねるだけで、空白地帯に入れるようになります。その中でも、最も分かりやすいのは「手軽さ」と「上質さ」の両面を備えることがあります。

 「手軽さ」だけではないコンビニ

コンビニといえば、「手軽さ」の代表のようなものです。ただ、その中でもセブンイレブンは方向性が違います。「手軽さ」の中にも、「上質さ」を詰め込む戦略をとっています。

「手軽さ」を突き詰めれば、マクドナルドや吉野家のような戦略になります。「できるだけ安く、早く」というコンセプトになり、大量出店によって薄利を追います。その分だけ値下げ競争に勝たなければならず、コストダウンにも余念がありません。

その反対に、「上質さ」を追い求めると百貨店や銀行のようになります。顧客の質は高くなるものの、サンダルのような楽な恰好では店に入りづらいです。

そこで、この2つを融合させたビジネスが存在します。本来、「手軽さ」と「上質さ」は相いれないものですが、「手軽さの中にも上質さが見える」や「上質さの中にも手軽さがある」などのコンセプトで成功している企業は存在します。

ユニクロがこの例であり、安い服という手軽さがありつつも、品質は良いという上質さを感じられます。これと同じことをセブンイレブンでも行っています。

例えば、1つ200円以上もするおにぎりと聞いて、あなたはどう思うでしょうか。他にも、セブンイレブンでは、1枚200円以上の食パンも売っています。セブンプレミアムや、さらにその上をいくセブンゴールドなどのブランドを実際に販売しています。

なぜこのようなコンセプトの商品を開発しているかというと、この企業の会長が「上質なおにぎりや食パンを食べたい」と思ったからだそうです。

普通、多くの企業は「手軽さ」ばかりを追求して値下げを考えます。ただ、値下げは小学生でも考えられる低能な発想なので、上手くいくことは少ないです。値下げは大きく利益を下げてしまいます。

その中で他社を見渡すと、コンビニという「手軽さ」の中に、鮮度や品質を重視して「上質さ」まで追及している企業がないことに気がつきます。そこで、普段の商品管理を徹底するのはもちろんのこと、プレミアム商品を開発したのです。

コンビニで高価格商品が売れるはずはないという意見の中、このプレミアム戦略は大きな成功を収めています。コンビニで「手軽さの中にも上質さを見出す」という戦略が当たった瞬間でもあります。

 アメリカでも通用した「上質さ」の戦略

セブンイレブンはもともとアメリカ発祥の会社です。ただ、日本とは異なり、アメリカではセブンイレブンの業績が悪化して潰れかけていました。「手軽さ」ばかりを追求して値下げを行い、利益のまったくでない状態に陥っていたのです。

多くの品物を揃う大手スーパーと値下げで戦ったとしても勝てるはずがありません。そこで、日本と同じように食品の鮮度や品質に気を配るなど、「上質さ」も取り入れる戦略に切り替えました。すると、アメリカのセブンイレブンは再生を果たし、現在では日本セブンイレブンの子会社になっています。

セブンイレブンでは、他にも「手軽さと上質さの両方を取り入れる戦略」を実施しています。例えば、セブン銀行は有名です。

前述の通り、サルダルを履いたまま手軽に銀行に入るわけにはいかず、また旅行先などで急にお金をおろしたいときに銀行がないことはよくあります。そこで、銀行という上質な存在だったものに対して、コンビニでお金をおろせるという「手軽さ」を追加したセブン銀行を立ち上げました。

融資などの要素は一切排除し、コンビニで行える必要最低限の機能だけを備えた銀行です。現在では、コンビニでチケットを手に入れたり、公官庁の書類を入手したりと多くのサービスを「手軽に」行えるようになっています。

このように、本来は手軽であるサービスを「上質」に変えることで、空白地帯に食い込むことができます。その反対に、上質さが常識のサービスに「手軽さ」を加えれば、画期的な商品になります。

たとえ相反するコンセプトであったとしても、「もっと高級志向にできないか」「もっと手軽にできないか」を考えながらビジネスアイディアを考えてみるのもいいでしょう。